衝撃の真実!!舞台裏完全密着!
10/27(日)僕は出張で大阪にいた。実は、今夜「東京国際ファンタスティック映画祭2002」で「マクロスゼロ」が初上映されることになっている。発売延期の山を越え、ようやく「マクロスゼロ」が日の目を見る。そう、思いながら夜の新大阪発ののぞみの中でほくそ笑んでいました。
そして仕事も終わり、新大阪を出る前に現場に電話したところ「19:00には上がります、大丈夫です」と伝えられ、鼻歌まじりに東京へと戻る予定…のはずが、この後、予想だにできない事件が起きてしまう。
10.27 PM7:00
のぞみで熟睡をしていた僕は、携帯の着信で目を覚ます。
「マクロスゼロ」の制作現場スタッフT氏からだった。電話ごしに笑い声が聞こえる。
不安を尻目にどうしたの?と尋ねると、「いや~、まずいっす…!」といきなりのワンパン。
それってもしかして今日、映画祭で上映する「マクロスゼロ」のことっすか?
「納品っていつまで待てるんですかね?」T氏の平然とした問いに、ガ・ク・ゼ・ン。
「いや、もうリミット過ぎてるんですけど…」
実は映画祭は渋谷パンテオンで行われる。もちろん平日は劇場作品の興行をしているため、前日もしくは最悪、当日の夜に映像テストが行われることになっていた…が間に合わないだって(怒)?
と言ったところでここは現場に頑張ってもらうしか、もう他に手はない。
神にも祈る気持ちだった。
夜の闇の中、その頃、僕が乗るのぞみは、名古屋駅を通過していた。
10.27 PM9:00
東京に着いたと途端に現場に再度、連絡を入れてみた。
しかし、不安とは裏腹な答えが返ってきた。
「何とかなりそうです」現場スタッフからは軽やかな声。
「なんだ~心配しちゃったよ~、てっきり"上がらない"ものかって」
「PM10:00頃までには納品できると思います」
その言葉を聞いて一安心。これであとは上映テストのみとなった。
急いで僕は、会場となる渋谷パンテオンへと向かった。
…が、これで終わらないのが「マクロス」。
な、なんと到着して間もない頃、諮ったかのように、またしても悪魔の電話が鳴り響く!!
今度は何よ?映像は上がったんでしょう?
「分かったタクシーが渋滞につかまったとか、そんなことでしょう」
「いや~、上がった映像のデータがHDに落とせませ~ん」
「な、なにぃ~」
実は今回「マクロスゼロ」では、史上初の試みとして空戦シーンに最新技術を取り入れて制作にあたっている。そして、ソフト面のみならず、ハード面においても最新の設備を取り入れて編集作業を行っているのだ。
今回の制作は札幌と東京で行っており、札幌から上がったカットをデータで転送して(便利な世の中ですね)東京で編集を行っている。
…が、最新設備ゆえの落とし穴があったのだ。
"原因不明"の緊急事態発生!ちなみに原因不明というところがミソ!
カットは上がっているのに、上映用にかけるためのテープに映像が落とせないという、何とも間の抜けたような最悪の事態が発生してしまったのだぁ。
絶対、呪われてるよ~。助けて~。
10.27 PM10:00
映画祭開演!!
「マクロスゼロ」の映像は未だ、上がらず。映画祭の事務局スタッフがしきりに状況を尋ねててくる?
「まだですか?」
分かってるよ~、でも、上がらないんだよ~。最悪の事態を想定しておかないと、これはマズイ事態になってしまう。だって、お客さんは「マクロスゼロ」見たさに会場に足を運んでいるのだから。これで上がってないなんて言ったら暴動が起こってしまう。
明日の3面記事にリーチ目確定~、あ~、泣きたくなるよ~。
映像は上がってるのに、テープに落とせないなんて~。
この状況に動揺しながらも、監督不在のまま舞台挨拶は開始された!
(左から進藤さん、南里さん、小林さん、鈴村さん)
10.27 PM11:00
各作品のトークコーナーがついに始まってしまった…。
そこで、また1つ問題が発生してしまう。
0:40から予定している「マクロスゼロ」舞台挨拶にゲストとしてお呼びしている河森監督が…いないではないか!
未だ、「マクロスゼロ」の現場にいるのだ。どひゃ~!!
「河森監督だけでもこちらへ…」現場へ何度も催促しているのだが、映像を上げる責任を感じて、監督がスタジオから出ていらっしゃらない。
「頼みます、監督~、せめてあなただけでも…」
10.28 AM0:30
「マクロスゼロ」コーナーが始まるまで、あと10分をきってしまった。
現場スタッフはみんな、顔色が蒼い。タクシーを外で待つスタッフ、会場でしきりに走り回るスタッフ、半ばもう「ダメか?」と誰もが思い始めていた。
多分、このときがスタッフ一同、胃がキリキリッってしていた最高潮のときだっただろう。
10.28 AM0:40
鈴村さん、小林さん、南里さん、進藤さんが舞台に登場する。
会場からは、盛大な拍手の音が聞こえる。
「ホント、ムリかも…」
台本の大幅な変更を今、まさにスタッフと相談をしたときだった。
神が降りた!
「今、現場を出ました!」
1本の電話を受け、急いで入口まで河森監督をお迎えにあがった。
渋谷駅の前を救急車が通り過ぎるたびに、ドキドキしながらひたすら待った。
会場ではもちろんゲストコーナーが現在進行中!!
「早く、早く」とみんなで叫んでいたそのとき、河森監督がご到着~!!
しかも、「マクロスゼロ」のテープを手に持ってるじゃないですか。
ゲストコーナーの残り時間あと3分…。
ホントに申し訳ないけど、河森監督には走っていただいて、舞台に急いで上がってもらいました。
「おっと、今、河森監督がご到着いたしましたので、ご登場いただきましょう」
司会の絶妙なアドリブで前フリしたあと、河森監督がステージに!!
観客からは会場が割れんばかりの歓声が聞こえる。
「すいませ~ん、今、マクロスゼロが完成して…0.43バージョンですが(笑)」
右手に持ったテープを高々と持ち上げた河森監督のその一言で、会場は大爆笑の渦とともに、歓声でうめつくされました。
そして、ゲストコーナーも無事?終わったあと、河森監督たちと2F席から見ていました。
大画面と大音量で見るのはいいよね~。0.43っていってもちゃんと物語が分かるように作ってあるからホント映画を観てるって感じがして。お客さんの反応もすごく良かったし。あまりのうれしさに、ウルウルって涙が出してましたよ。
スタッフ一同、皆様に新作「マクロス」を楽しんでいただくため、日々奮闘しております。
ぜひ、応援のほうをよろしくお願いいたします。
P.S.
あとで聞いた話ですが結局ハードのほうは、現場スタッフも半ば諦めてたとき、奇跡的に復旧したそうです。原因は未だ分かってません。きっと、小人さんのいたずらでしょうというのが大方の見解です。プロがそんなんでいいんかい!!
きっと、みんなの想いが届いたんだと思います。
やっぱ、「マクロス」はファンの皆さんあってですよ。
さぁ、発売までもう目前だぁぁ!それにしても、今回みたいのはコリゴリですよ、ね。