- 【Blu-ray特装版 封入特典・特典ディスクについて】
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●未公開シーン
未公開シーンは、松さん(里子)と阿部さん(貫也)が中心の3つのシーンを入れています。
1つ目は、レストランでウエイトリフティング選手のひとみと初めて3人で食事をするシーンの後、ひとりぼっちで帰る帰り道。電車の中で貫也になりすまして、色々な女性とメールでやりとりをするシーンを入れています。メールのテロップにもこだわっていますので注目して下さい。
2つ目は、貫也と風俗嬢の紀代がキャッチボールするシーン。2人の自転車のシーンのあと、実は河川敷に行くシーンがありました。その直後ではないけど、二人がベッドでただただ疲れ果てて眠っているというシーンもありましたね。(こちらはメイキング映像に収録されています。)
最後は、里子のフォークリフトのシーン。松さん、免許まで取って頑張ってくれて、現場でもすごく上手で観ていて泣けてくるほどだったんだけど、残念ながら本編で見せられたのはほんの一部。あまりに技術が確かだったので、特典にはじっくり入れています。
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●メイキング映像「『夢売るふたり』のうちがわ」
現場を撮ってくれたディレクターの山内(大堂)さんが、色々なところに張り付いてキチンと綺麗に撮って下さっていたのが本当に良かったですね。
そしてなんと言ってもこのメイキングのポイントは、映画本編の編集マンである宮島竜治さんとその助手の菊池智美さんが作っているということです。宮島さんは、ドキュメンタリーの経験もあるし、膨大な素材の中から編集していくセンスにも長けている方。さらにこの現場のことも、映画の作り方というものもよく分かっている人なので、愛着と客観性とを持ってつないでもらえるだろうなと。それから助手の菊池さんは、私が冬編(富山で撮影した、里子のフォークリフトのシーン)を撮っている間、編集作業が休みになっていたときに、彼女が多分半分自分の練習も兼ねてなんでしょうが、この映画の予告編のようなものを作ってくれていたのを見せてもらったことがあったんですが、それがすごく良かったんです。面白いセンスがある人だなあ、と。それで、宮島さんに菊池さんと一緒にメイキング映像の編集をやって貰えないですか?と打診したんです。だから、ある意味このメイキングも本編です!
引き受けてくださった宮島さんから「監督のインタビューで構成してみたい」というご提案を頂きましたので、まあ拙いんですけどメイキング映像の中で現場の色んなことをお話しさせて頂きました。本当にスタッフが素晴らしいからね、その涙ぐましい美しい仕事ぶりをきちんと伝えてもらえればと思っていたんですよ。スタッフの皆さんをこのような形で紹介出来るのは、嬉しいです。これが今後もシリーズ化出来たらいいと思っています!是非ご覧下さい!
- 【バリアフリー仕様について】
- 『夢売るふたり』では、色分け字幕というものを劇場作品では初めて公開時に実施しました。このようなニーズがあるのであればということで、Blu-rayにも収録されることになりました。
色分け字幕は、主役と準主役とその他の人たちを分けるという3色で構成された字幕です。矢継ぎ早に出てくる字幕は、色分けされていた方が解釈しやすいのだという、当事者の方達の意見を受けて試みてみた訳ですが、実は今回色分け字幕を作る過程を経ながら、同時に白という色の偉大さを再確認もしたんです。要は白というのは文字通り、色がついてない字なんですよね。何も邪魔をせず、見る人の解釈にすべてを委ねる色。でもこれが何かの色がついた途端に、言葉にも、キャラクターにも、「色」が付いてしまうんです。その文字の色がその人のカラーになるというように。でも、白と黒という色は、そうではない、ありとあらゆる要素を含んでくれています。反対に、赤・青・黄等の色はそれ以外の要素を許さないものを持っていて、そういう意味では色つきを選択することに対して随分迷いました。同じ黄色でも青でも、ものすごい幅があるわけで。キャラクターにあった色、作品の色彩的な世界観を壊さない色にしようとすると、今度は字幕として馴染みすぎて読みづらくなったり。でも、白という字はどんな背景にもなじみ、また、どんな背景にも生えるのです。。そこで改めて白の凄さも感じつつも、ともかく一度当節のご要望に答えてやってみようというのもあり、色分け字幕を作ってみました。読みやすくて、かつキャラクターの世界観に沿い、映画の全体の画面の世界観を大きく損なわない色というのをちゃんと選んで、入れているつもりです。
今回の取り組みを、今後の作品の参考にしたいと思っています。ただ色分け字幕が収録されるBlu-rayには白一色にも対応出来るようにしてお願いしました。(DVDには、白のみ)多色だと逆に気が散る人、白のほうが見やすい人は、一色でも選べるようになっていますので、カラーと白一色を見比べて貰いたいです。
そして、視覚障害者対応副音声も付いています。副音声は視覚障害者のために作ったものなのですが、何を言葉にするかということに関しては、実際の視覚障害者の方の意見を何度も聞きながら、私も台本を監修させて頂き、言葉を厳選しているつもりです。ガイドになるかどうかは分かりませんが、視覚障害者の方の世界とはなにか?ということが、副音声を聞けば分かるかも知れません。私が、目が見えなくても映画というのを解釈する方法があるっていうのを知ったのは、この副音声を作ることに携わってからなので、興味がある方は是非、特典も利用してみて下さい。