ニュースココだけ | ガールズ&パンツァー 劇場版
2012年、TVアニメシリーズとして制作された『ガールズ&パンツァー』。厳格なるミリタリーファンたちが放送開始当初、美少女モノとして拒否反応を見せるかと思いきや、瞬く間に手のひらを返すように大絶賛。今やミリタリー×美少女コンテンツの代表ともいえる作品として認知されるまでに至った傑作アニメである。
戦車乗りを題材とすると血なまぐさい内容となりそうだが、本作は“戦車道”なる乙女のたしなみとした健全かつ安全なスポーツとして戦車戦が描写されるという異色の内容。
これだけ聞けば、さぞ堅物ミリオタ(ミリタリーオタク)たちの怒りを買いそうなものだが、戦車そのものの考証や機能特性をリアルに表現したところに本作の真髄がある。従来の手描きアニメでは、その再現が難しかった無限軌道の履帯の動き、車体のフォルムや細部のディテールが、CGによって描き込まれたことで戦車ファンの琴線に触れただけでなく、ほんわか女子高生たちが繰り広げる心温まるハートフルなドラマが融合し、独自の世界観を創り上げた。そのことで、既存の美少女アニメファン以外にミリオタまでをも取り込むことに成功した好例となった作品である。
物語は、戦車道から離れるべく大洗女子学園に転校したはずの主人公・西住みほが、ひょんなことから再び戦車に乗ることになり、やがて、学園の存亡をかけた戦車戦が始まっていく。そこで生まれる仲間との絆や、戦車道を通して生き方を見つけていく女子たちの胸打つストーリーはアニメだけにとどまらず、コミックをはじめとしたメディアミックス、ゲームやラジオ配信、イベントなどガルパンワールドは広がりを見せていく。
そして話題が盛り上がる中、TVシリーズでは一瞬しか語られなった戦車道全国高校生大会2回戦目のアンツィオ戦の詳細が描かれた新作OVA『ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!』を2014年7月に劇場上映。
次いで翌2015年11月には、みほたちが駆るⅣ号をはじめとする戦車たちが多くのファンの期待を背負い、『ガールズ&パンツァー 劇場版』となって映画館の大スクリーンに再び進撃を開始!
『劇場版』では、TVシリーズ最終話にて危機を脱したはずの大洗女子学園の廃校が決定する、という絶対の危機が訪れる後日談が描かれた。学園廃校のピンチを回避するには、社会人チームをも打ち破った大学選抜チームに大洗女子チームが勝つしかない! しかし、今度の試合は殲滅戦。30輌を駆使する大学選抜チームに対し、対する大洗女子学園には8輌しか戦車がない。その圧倒的な不利な状況の中に現れたのは、かつてのライバルたち。彼女らはこの窮地に急遽大洗女子学園に短期転校(笑)して参加、質、量ともに互角になったと思われたのだが……。
大学選抜チームを率いるのは、島田愛里寿。彼女は、OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』でのセリフにあった、戦車道家元のひとつ“島田流”を継ぐ者として天才少女ぶりを発揮。翻弄される主人公・西住みほは、大洗女子チームを伴い愛里寿に挑んでいく。クライマックスでは、西住流を継承する姉の西住まほと共に、戦車同士の超格闘戦へと突入していくのだ。
さらに、『劇場版』となったこともあり、活躍する車輌がTVシリーズ以上にマニアックに。本作からアニメ初参戦となる、知波単学園の使用する旧日本軍の九五式軽戦車、九七式中戦車、継続高校の使うフィンランド軍のBT-42突撃砲と、戦車プラモ愛好家くらいしか知らないであろうセレクションが憎らしい。TVシリーズでは、クライマックスに登場した試作超重戦車マウスにも驚かされたが、今回はさらなる隠し玉として、米軍の試作重戦車T28が登場。この車両は独自のギミックを搭載し、その特異な機構を活かした行動など、戦車野郎が泣いて喜ぶ演出が、エキサイティングなドラマとの相乗効果で激熱展開を魅せてくれる。
だが、劇中には、これをも上回るトンデモ兵器まで出現! “これを戦車と言っていいのか?”と誰もが思う(劇中でも同様のセリフあり/笑)、驚愕車輌も出現し、大洗女子チームは窮地に追い込まれていく展開は、手に汗握ること間違いなし。
また、グレードアップしたのは登場した戦車の種類だけではなく、繊細かつ精密なアニメーションでさらなるリアリティを追求。大画面に負けない迫真のメカ描写が迫力を増す。音響面でも、砲撃音や走行音だけではなく、避弾経始(戦車に砲弾が直撃せず弾き飛ばされる)における現実味ある衝撃音(本来は、この音だけで乗員は気絶したりする)などは威圧感すら感じられ、オーケストレーション編成によるBGMと併せて臨場感は最高潮へ達するのである。
が、本作で最も注目すべきは、主人公の西住みほのナイーブな心情を描くドラマ部分にある。TVシリーズで描かれた「成長する彼女」から、本作における彼女自身が自己形成していく様は、確執が続く頑な母の心にも変化を与え、観る者の心を打つ。そのドラマ性が、本作を単なる美少女モノから脱却させ、ミリオタをも感動させる名編たるものにしたのは明白だろう。
そんな本作は、劇場公開してから早くも10年を迎える。それを記念して、「『ガールズ&パンツァー 劇場版』10周年記念上映~バリエーションちょい増し作戦です!~」が2025年11月から記念上映されることも決定。初の4Kアップコンバート版やMX4D版などを含めた様々な形式で、そしてなにより再び劇場の大スクリーンで本作を観るチャンスが到来する。銀幕でしか得られない映像情報が堪能出来るこの機会を逃さぬよう、ぜひ劇場へパンツァー・フォー‼
文:中村宏治
『ガールズ&パンツァー 劇場版』10周年記念上映~バリエーションちょい増し作戦です!~
絶賛上映中!
■実施日時
2025年11月21日(金)~
※限定上映
■上映形態
4K版/Dolby Atmos版/4DX版/MX4D版
■上映館
全国175館
▼上映館の詳細は公式サイトをチェック!
https://girls-und-panzer.jp/theater-the-movie-screening/
※今後上映館が増える可能性がございます。公式サイトにてご確認ください。
※劇場により上映形態が異なります。詳細は公式サイトをご確認ください。
※Dolby Atmos 版、4DX 版、MX4D 版の鑑賞については通常の鑑賞料金の他に追加料金がかかります。
「ガールズ&パンツァー 劇場版 10th Anniversary 4K ULTRA HD Blu-ray」発売決定!

▲島田フミカネ描き下ろし収納BOX
◆税込価格:¥8,580
◆品番:BCQA-0027
◆スペック:UHD BD:約135分(本編約120分+特典約15分)+特典BD:約25分
UHD BD:HDR/Dolby Atmos・リニアPCM(ステレオ)・ドルビーデジタル(ステレオ)/HEVC/100G/16:9<2160p Ultra High Definition>/バリアフリー日本語字幕付(ON・OFF可能)
特典BD:リニアPCM(ステレオ)/AVC/25G/16:9<1080p High Definition>
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス
TVシリーズ&OVA&「劇場版」公式サイト
http://girls-und-panzer.jp
「最終章」公式サイト
http://girls-und-panzer-finale.jp/
ガールズ&パンツァー 公式X
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