1987年、古き良きセルアニメの全盛期。そんな時代に、バンダイ(※)が映画製作に初挑戦したアニメ作品をご存じだろうか? それが今もアニメファンの間で伝説として語り続けられている『王立宇宙軍 オネアミスの翼』だ。今から35年前の1987年3月14日に劇場公開された本作は、物語、世界観、演出力、作画、美術そのすべてで高評価を獲得しただけでなく、日本のアニメの歴史において大きな転換点となった。
※バンダイが製作し、現在はバンダイナムコフィルムワークスが映像事業を継承
気鋭のクリエイターが集結、GAINAX設立
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作のために、1つのアニメ制作会社があたらしく設立された。その会社こそ、のちにOVAシリーズ『トップをねらえ!』、NHKで放送された『ふしぎの海のナディア』、そしてアニメ好きでなくともその名を知らぬ人のいない『新世紀エヴァンゲリオン』など大ヒット作を立て続けに生み出したGAINAXだ。GAINAXには創設時から庵野秀明、貞本義行、樋口真嗣といったそうそうたるメンバーが参加し、本作の制作に携わっている。
そもそも『王立宇宙軍 オネアミスの翼』はどんな作品?
舞台はこの世界によく似た、けれどこの地球ではない世界。その小国のひとつオネアミス王国に落ちこぼれが集まる戦わない軍隊「王立宇宙軍」があった。シロツグ・ラーダットは、ある少女・リイクニとの出会いをきっかけに宇宙パイロットに志願し、有人人工衛星の打ち上げを目指す。この世界と異なる世界の文化や情景を緻密に設計し、そこに息づく人々を丹念に描いたオリジナルSFアニメだ。当時大流行していた他の派手なSF作品とは異なり、地に足のついた世界観と現実感のあるドラマに、膨大な作業と細やかな手法で織り上げられた、他に類を見ないオリジナリティがあふれている。
最高峰の作画で世界が変わる
あまたあるアニメーション映画の中で、その名を長く高めている理由の一つが、圧倒的な作画力だ。貞本義行のキャラクター造形、庵野秀明のダイナミックで緻密なエフェクト作画は、今でも他の追随を許さないとアニメファンの語り草だ。登場人物たちの多彩な表情や、日常の何気ない動き。飛行機の飛翔感や、空気感を伴った戦闘シーン。そして、ロケット発射シークエンスは間違いなく世界最高峰の映像だ。さらに、初めて見るのに何故か懐かしさを感じる町並みや生活感あふれる空間、背景美術。異世界にリアリティを与える独創的で存在感のあるデザイン。あらゆる点で妥協がない。手描きによるアニメーションは、それ故に色あせることなく、デジタルアニメが主流となった現代でこそ、より一層の輝きをもって、観る者を圧倒するだろう。
2022年、4Kリマスターで復活
35周年という節目に4Kリマスターが実現し、緻密でダイナミックな映像が公開当時をしのぐクリアな画質で復活した。10月28日(金)から全国の劇場で4Kリマスター版が劇場公開。更に、UHD BD(※2)化されることが決まり、劇場・流通販売限定の特別限定版には、442ページにもおよぶ本作の絵コンテ集が同梱されている。細部まで緻密に描きこまれた作画を4Kの最高の画質で、劇場そしてUHD BDで楽しんでいただきたい。
※2 「UHD BD」=「4K ULTRA HD Blu-ray」とは、4K(3840×2160)の高解像度、HDRによる高輝度表示、BT.2020の広色域再現を備えた次世代の映像メディアです。
<公開情報>
2022年10月28日(金)より劇場公開!
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▼王立宇宙軍 オネアミスの翼 公式Twitter
@Honneamise1987 推奨ハッシュタグ:#王立宇宙軍
©BANDAI VISUAL/GAINAX