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「名作ヒストリー」舞-HiME[特集サイト「プレイバックエモーション」]

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 サンライズといえば『機動戦士ガンダム』シリーズを筆頭に、メカやアクションが得意なアニメスタジオ……というイメージが、まだまだ強かった2004年。「サンライズ初の萌えアニメ」というキャッチフレーズとともに、1本の作品が世に送り出される。タイトルは『舞-HiME』(マイヒメ)。2004年9月に放映が始まったテレビシリーズに加えて、コミックやゲーム、ラジオ番組など、さまざまなメディアで展開した、いわゆるメディアミックス作品だ。
 とはいえ「サンライズ初の萌えアニメ」というのは、あくまでも宣伝用に考えられたキャッチフレーズだったようだ。
 当時プロデューサーを務めた古里尚丈は、あるインタビューで、本作を「とにかく女の子がたくさん出てくる」「オリジナルの深夜帯アニメ」として企画・立案したと語る(※1)。そして、そんな「女の子がたくさん出てくるアニメ」を成立させるために、ぜひとも必要だったのがキャラクターデザインを担当した久行宏和の存在。久行は、古里がプロデュースした『新世紀GPXサイバーフォーミュラ SAGA』『SIN』のOVA2作でもキャラクターデザインを務めているが(原案はいのまたむつみ)、そんな久行が描く女の子たちを「アイドル化して売り出す」のが『舞-HiME』の狙いのひとつだったという。

 事実、『舞-HiME』の物語を彩る女性キャラクターは「バラエティ豊か」という言葉では収まりきらないほど、強烈な個性の持ち主ばかりだ。ノースリーブの学生服に身を包み、溌剌と動き回る鴇羽舞衣を筆頭に、ライダースーツをまとい、クールな雰囲気を醸し出す玖我なつき、あやうく海で溺れかけていたところを舞衣に助けられ、まるで飼い主に対するペットのごとく舞衣に懐く野生児・美袋命、いついかなるときも冷静沈着な生徒会長……のように見えながら、実はその胸の奥で誰よりも強い情念の炎を燃やす藤乃静留、夜の街に繰り出しては言い寄ってきた男たちから金を巻き上げる不良少女・結城奈緒、おちゃらけた言動とは裏腹に、誰よりも強い信念で生徒たちを導いていく非常勤講師・杉浦碧などなど。いかにもマンガ的なデフォルメ表現(例えば、激辛カレーパンを食べた後、暴走する命など)を導入しつつ、水着回があったかと思えば、コスプレ姿でカラオケに興じるエピソードもあり、はたまた浴衣姿でお祭りに出かける回もありと、いかにも「萌えアニメ」的なサービスが、これでもかとばかりに詰め込まれている。


 そして本作の面白いところは、そんな萌えアニメ的な「お約束」を随所に盛り込みつつも、作品の主眼が少女たちによる「熱血バトル」にあるところだ。
 物語は、主人公の舞衣が弟の拓海とともに、緑に囲まれた巨大学園・風華学園にやって来る場面から幕を開ける。学園に向かうフェリーに乗船中、ライダースーツ姿の侵入者に襲われる舞衣たち。そこで彼女は、HiME(Highly-advanced Materializing Equipment=高次物質化能力)の力に目覚め、不本意ながらも、風舞学園周辺に出没するオーファン退治に協力することになる。

 しかも物語が進むにつれて、HiMEの力を持つ者が、舞衣以外にも複数人いることが明らかになり、さらには「一番地」と呼ばれる謎の組織や、HiMEの力を自分たちのものにしようと企む外部勢力の存在が見え始める。物語の全体像がなかなか見えない中で、ときに衝突し、ときに交流を深めていく女性キャラクターたち。クラスメイトとなる楯祐一(演じている関智一の演技がまた素晴らしい)と舞衣の、いかにもラブコメ的なやり取りもおかしいし、拓海とルームメイトになる尾久崎晶の正体が明らかになるまでの、お約束を守りつつ予想の斜め上を行く展開もまた楽しい。

 そして、物語の大枠がひとまず明らかになった第17話。ここで、ストーリーの目指す方向が大きな転換点を迎えることになる。「HiMEと呼ばれる少女たちが、オーファンなる怪物と戦う、伝奇風味の学園バトルアクション」から「少女たちが、お互いの激しい情念をぶつけあうバトルロイヤル」へ。HiMEの力を手に入れる代わりに、舞衣たちは自分の一番大切なものを賭けなければならないのだが(この設定を考えたのは久行だったという)、つまり「大切なものを守り抜く」ために、好むと好まらざるとに関わらず、戦いに身を投じる――そのあまりに不条理な状況で、最後まで生き残るのは誰なのか。これまで各所に散りばめられてきたドラマの種子が一気に芽吹いたかと思えば、思いがけない細部と細部がつながり、300年に一度行われるという「祭」に向けて、ドラマチックな一大絵巻を描き始める。

先述のインタビューで、古里プロデューサーは『舞-HiME』の根底にあるのは「少女漫画の持つドラマチックさ」だと明かしているが、まさにしかり。思いと思い、情念と情念がときにぶつかり、ときに絡み合う少女たちのドラマが、サンライズらしいケレンの効いたバトル演出と響き合う。観れば決して忘れられない一作になること、間違いない。

文:宮 昌太朗

(※1)週刊少年チャンピオン編集部・編『舞-HiME アニメブック2学期』、秋田書店、2005年

 


 

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原画サイズ:A3
額縁サイズ:各約 長辺525mm×短辺410mm

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2024年11月3日(日)21:00~2025年1月13日(月)23:59
【お届け予定日】
2025年3月下旬頃より順次お届け
【受注サイト】
A-on STORE:https://a-onstore.jp/shop/my-hime/
サンライズストア(プレミアムバンダイ内):https://p-bandai.jp/sunrise-store/

 

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『舞-HiME』 公式サイト
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『舞-HiME』20周年 公式X
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