原作・脚本:押井守×監督:沖浦啓之による『人狼 JIN-ROH』(2000年公開)の劇場公開25周年を記念して、映像を4Kリマスター化&音響をDolby Atmos化した4Kリマスターセット(4K ULTRA HD Blu-rayとBlu-rayの2枚組)を2026年3月25日に発売となります。
さらに、2026年3月6日より全国15館にてリバイバル上映を実施中です。
そして、この度の25周年と4K化を祝し、本作のメインスタッフと、漫画家の藤本タツキ先生(「チェンソーマン」)よりコメントが到着しました!
くわえて、3月8日(日)新宿バルト9にて実施した舞台挨拶のオフィシャルレポートと写真も到着しました。
※以下、プレスリリースより引用しています
公開25周年 & 4K化 お祝いコメント/イラストメインスタッフ & 藤本タツキ先生 より到着!
◆沖浦 啓之 <『人狼 JIN-ROH』監督 >
◆押井 守 <『人狼 JIN-ROH』原作・脚本 >
「人狼 4K 版に寄せて」
久々に観た『人狼』。
さすがにリニューアルされた 4K 版は映像も音響も素晴らしかったのですが、何より昨今の日本映画では滅多にお目にかかれなくなった「政治と恋愛の葛藤」という古典的なドラマが涙腺に刺さりました。
かつてはこういう男が生きて、こういう女と巡り合い時代の荒波に翻弄されていた―そんな時代もあったのです。
脱イデオロギーの現在に真っ向から逆らう物語。
そんな物語がアニメとして復活したとはなんとも皮肉な話ではあります。
アニメファンならずとも、一度はご覧あれ。
◆神山 健治 <『人狼 JIN-ROH』演出 >
『人狼 JIN-ROH』4Kリマスター&ドルビーアトモス版に寄せて
「アニメ映画の良さはアニメーションがいかに素晴らしいかで決まる」という事実を改めて知らしめてくれる素晴らしい出来栄えだ。
制作当時、絵を描くことに携わったスタッフの信念が余すことなく収められている。
オリジナル版は映像として物語の時代性を表現すべくフィルター処理が強くかかっていたが、4Kリマスター版は手描きの絵が持つ凄みが明確に伝わるようなカラーグレーディングが施されさている。
今ではなかなか実現することができなくなった、劇中の全ての事象を手描きのアニメーションで表現するという試みにただただ圧倒されてしまう。
◆西尾 鉄也 <『人狼 JIN-ROH』 キャラクターデザイン>
◆井上 俊之 <『人狼 JIN-ROH』 副作画監督>
4Kリマスターには不安がありましたが、まったく違和感なくそれでいて見易くなっていてスタッフとして大変嬉しいです。
それにしても「よく描いてるなあ!」いや「描かされてるなあ(苦笑)」
ぜひこの機会に劇場でご覧ください。
◆小倉 宏昌 <『人狼 JIN-ROH 』 美術監督>
4Kリマスター試写で映画『人狼 JIN-ROH』を久々に見ました。
この作品で描いている街や古い住宅街の風景は、私が子供の頃生活していた町の記憶を頼りに描写した部分が多く、懐かしく感じたりしました。
夜も商店などあまり多くはなく街灯も少なく、路地の暗さが思い出されるそんな自己体験をぶつけた作品です。
ですが、地下下水道に入ったことはありません。
昔の街の匂いのようなものを、この作品で感じてもらえたらありがたいです。
◆溝口 肇 <『人狼 JIN-ROH 』 音楽>
『人狼』の音楽制作に携わったのは、もう四半世紀以上前のことになります。
あの頃、アニメーションはまさに手描きの最後の時代。一枚一枚に魂を込めるスタッフの執念が、あの圧倒的な映像の密度を生み出しました。音楽もまた、アナログからデジタルへと移り変わる過渡期の真っ只中にありました。制作には膨大な時間を要しましたが、その一つ一つの思案や試行錯誤こそが作品への情熱となり、音楽の深みとなって刻まれたと感じています。海外オーケストラとのレコーディングで追い求めた響きは、この物語の持つ孤独と哀切を余すところなく描き出せたのではないかと自負しています。
手間と時間を惜しまなかった時代の熱がそのまま封じ込められた本作が、(4K UHD)Blu-rayという最良の器で蘇ることを心から嬉しく思います。どうかその画と音の隅々まで、味わっていただければ幸いです。
◆若林 和弘 <『人狼 JIN-ROH』 音響監督>
公開からはや 25年...。この様な機会を頂けるとは何と幸せな事でしょう。
それも当時与えられた環境の中で最大限の努力を映像・音響ともに歩んできた結果が、このリマスター作業と再びの公開へと繋がったものと感じております。
今回のドルビーアトモス作業ではオリジナルの演出を変える事のない範囲で、当時のシステム上表現しきれなかった部分を描く様に務めました。
冒頭や後半部で出てくる地下下水坑での反響感、突機隊の打つMGの重厚・音圧感をオリジナルより広げ・強くしております。
僅かですがね。
その他にも見直して頂ければ、地道な変化しかしておりませんが損はさせない仕上がりになっていると思います。
それでは最後までお楽しみ下さいませ!
◆藤本 タツキ <漫画家(『チェンソーマン』) >
畳に寄りかかる、滑り台を滑る人間の重さ、セル画特有の色合い、人体のリアリティどれをとっても一流の技術が詰まった素晴らしい作品です。
反政府勢力と警察の戦いという重厚なストーリーの中に、妙にリアルでポップな恋愛模様が描かれ ていてそれが大好きです。
1つの童話を中心に話を進めていく感じ、そのままチェンソーマンのレゼ篇でパクりました。申し訳ございませんでした!!
3月8日(日)開催 舞台挨拶オフィシャルレポート&写真 到着!
■イベント概要
『人狼 JIN-ROH』公開25周年記念舞台挨拶
●日程:2026年3月8日(日)
●場所:新宿バルト9
●登壇者:沖浦啓之(監督) 西尾鉄也(キャラクターデザイン・作画監督) 藤木義勝(伏 一貴 役)

▲[写真 左から 沖浦啓之、藤木義勝、西尾鉄也]
Production I.G 最後のセル画劇場作品としても知られる、押井守さんが原作・脚本を手がけ、沖浦啓之さんが監督を務めた長編アニメ映画『人狼 JIN-ROH』(以下『人狼』)。その劇場公開25周年を記念し、3月8日(日)に新宿バルト9にて舞台挨拶が開催された。本編上映後に行われた舞台挨拶には、沖浦啓之監督、キャラクターデザイン・作画監督の西尾鉄也さん、伏一貴役の藤木義勝さんが登壇。貴重な制作秘話で盛り上がった舞台挨拶の模様をお届けする。
MCの藤津亮太さんの紹介で、沖浦監督、藤木さん、西尾さんが登場してトークがスタート。藤木さんは「警備部 特殊機甲大隊 第2中隊 第3突入小隊所属 前衛隊員、伏一貴巡査役の藤木です」と挨拶し、客席から大きな拍手があがる。ちなみに伏の肩書はこの日のために覚えたわけではなく、藤木さんの記憶に刻まれていたそう。また、西尾さんは「今思い出したんですけど、ちょうど30年前の春に作業を開始したんです。制作から30年経っても観てもらえるなんて、ありがたいです」と感慨深げに語った。
25周年にあわせて、本作は映像を4Kリマスター化し、音響をDolby Atmos化した。沖浦監督は「VHS、レーザーディスク、DVD、Blu-rayと発売されてきて、それらを持っている方が『同じだったね』となると寂しいし、どう違うかを比べる楽しみが少しほしいと思って。
今までより精細感は上げつつも、やりすぎるとこの作品らしくないので、フィルムグレイン(フィルムで撮影したような粒子状の質感)はやや残しました。元々のフィルムのポテンシャルを、活かすようなかたちになっていればいい」とバランス調整へのこだわりを明かした。より精細な映像を確認したことで、従来のBlu-rayの映像ではわからなかった色の間違いなどに気づいて、修正した部分もあるという。これには西尾さんも「4Kになって初めてわかったってこと!?」と驚いた様子。修正が分かりやすいシーンもあると 具体例をあげつつも「ぜひその辺りも今回の4K UHD BDと、(既発売の) HDリマスター版などの映像と比べて見つけてみていただけたら」と沖浦監督。
続いては、主人公・伏のキャスティングの話題へ。メインの役どころはオーディションだったが、伏役だけイメージ通りの人物が見つからず難航していたという。そんななかで沖浦監督の頭にふと『ケルベロス 地獄の番犬』(1991年公開)に出演した藤木さんが浮かび、セリフを録音してもらったところ「これだ!」となったそう。それを受けて藤木さんが「テストをやってもらったんですが、開口一番に『滑舌がね......』と言われたので、こりゃダメだと思った(笑)」とまさかのエピソードを披露し、会場は笑いに包まれた。
さらに、制作時の特に大変だったことについて聞かれ「今みたいにちょっと調べれば情報が出てくる時代ではなかったので、車を描くにしても資料を頑張って探さないといけない。作中と同じ昭和30年代のものは見つからなかったんですけど、昭和40年ごろに発売された雑誌などを読んで、当時の世の中がどうだったのかを 確認したり」と沖浦監督。西尾さんも「調べものをしないと電話ボックスにしろ、服装にしろ、ヘアスタイルにしろ、何ひとつ描けなかった。街の風景は写真集なども出ていたけれど、足りないから古い映画をあたってみたりして。そのうえ、ドイツの銃がどうこうと、押井さんのミリタリー趣味も入ってくるから(笑)」とうなずいていた。
藤木さんはすべてのシーンが大変だったと語ったが、「歯が折れた」と噂されるラストシーンについて聞かれ、実際に歯ぎしりの音が収録されており、歯が欠けたことを明かした。「伏が葛藤の末にああいう結末を迎え、(収録時に)自分が過呼吸のような状態になっちゃって。そこから絞り出した苦悶の声だったんです。終わった後、ブースからスタッフの方が飛び出してきて『歯が欠けたでしょう』と心配されたんですけど、照れくさかったので『大丈夫です』と答えました」と照れ笑いを浮かべた。沖浦監督によれば、ラストシーンは納得するものがなかなか録れず、藤木さんにダビング(映像に効果音・BGMをつける段階)の現場に来てもらって録り直したそう。「突然、藤木さんに神が降りてきたような気がしたんですよ」とその演技を大絶賛した。
また、リアル志向の作風について沖浦監督は「当時はアニメで実写みたいな作品をつくる意味があるのかと言われていたし、制作側としても葛藤はあった。でも『人狼』みたいな作品の場合、(実写でやるには)当時の技術では全部CGでやるわけにはいかなくて、昭和30年代の街並みはセットを組まないと撮影できない。だから本当はアニメでしかつくれないんですよ」とその時代ならではの悩みを吐露した。西尾さんも「これをアニメでやる意味があるのかは、アニメーターの中に も疑問視する人がいたんですけど、自分としてはひとつの理想に向かってフィルムをつくる楽しさが勝っていたので、このリアルさを突き詰めてみようじゃないかと思っていました。『人狼』のキャラクターデザインは、アニメちっくなケレン味のある芝居をやると、とたんに破綻しちゃうんですね。激怒して青筋を立てたり目を血走らせたりすると、一気に漫画になってしまうので、これは大変だなと覚悟を決めてやっていました」と回想。
最後のトークテーマは「本作を経験して変わったこと」で、藤木さんは「人生の糧になったことは間違いない」とコメント。西尾さんは「『人狼』をつくった男としてどこの現場に行ってもデカい顔ができたので、超巨大な節目の作品です(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。沖浦監督からは「この作品をやって 作画がうまくなった気がする。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年公開)のときはいい感じに描けなかったという記憶しかないんですけど」とまさかの発言が飛び出し、西尾さんが「恐ろしいことを言うね」と驚愕する場面も。なお沖浦監督の中では、演出する自分と作画する自分は別人格だそうで「同一人物だと、自分が描きたくない大変なものを、人にお願いできなくなる。でもそれだと作品にならない。例えば、制作中に都電に思い入れができたのでなんとか活躍させようと演出を考えるけど、絶対に自分では描きたくないんですよ(笑)」と、作画の大変さは度外視で、演出家としての希望を優先させたと振り返った。
全国15館でのリバイバル上映や、沖浦監督がBOXとインナージャケットのイラストを描き下ろした4K ULTRA HD Blu-ray が入った「4Kリマスターセット」発売などのお知らせの後は、ファンへメッセージを伝えていく。西尾さんは「4KのBlu-rayが出ますが、『人狼』のディスクが出るのもこれで終わりでしょうから、観賞用、保存用、布教用といっぱい買っていただければと思います(笑)」と最後まで客席を笑わせ、藤木さんは万感の思いを込めて「今後とも『人狼』をよろしくお願いいたします」と述べた。沖浦監督は本作が、日本では完成から公開まで1年半かかったことにふれ、「25年経てば、待たされたというのもいい思い出の一部だなと思っています。今日初めてご覧になった方は何回か観てもらう機会があればうれしいですし、今まで支えてくださった方にはひときわ感謝したいです。ありがとうございました」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。
■『人狼 JIN-ROH』作品情報
【STORY】
首都、東京。その強引な経済政策は、失業者と凶悪犯罪を急増させた。政府は反政府勢力掌握の為、首都圏に限り治安部隊を設置した。通称「首都警」と呼ばれる治安部隊は、加速拡大した。ところが、反政府勢力は、立法措置により非合法化し地下組織の道を辿った。そして地下組織は首都警との市街戦を繰り返した。世論は強大な武力で対抗する「首都警」を非難の的とし、結果、「首都警」は孤立を一層深めていった・・・。青年、伏一貴は、反政府鎮圧部隊「首都警」の一員である。伏はこれまで、闘争本能のみで生きる一匹の〝狼〟の様に人間としての一切の感情を切り捨て、自分を律してきた。しかし、或るとき、伏は潜伏する地下組織の追跡で、衝撃的な事件に遭遇してしまう。そして、この事件がきっかけで、彼は、彼自身の〝内なる世界〟に変化が芽生え始めた。更にその後、ひとりの女、雨宮圭との出逢いが、彼を思わぬ方向に導いてしまう。運命のように惹かれあい、そして…。
【STAFF】
原作:押井 守・藤原カムイ『犬狼伝説』(双葉社刊)/監督:沖浦啓之/脚本:押井 守/演出:神山健治/キャラクターデザイン:沖浦啓之・西尾鉄也/副作画監督:井上俊之/美術監督:小倉宏昌/美術設定:渡部 隆/銃器設定:黄瀬和哉/車輌設定:平松禎史/色彩設定:片山由美子/撮影監督:白井久男/編集:掛須秀一/音楽:溝口 肇/音響監督:若林和弘/制作担当:堀川憲司/プロデューサー:杉田 敦・寺川英和/エグゼクティブプロデューサー:渡辺 繁・石川光久/製作:バンダイビジュアル・Production I.G
【CAST】
伏 一貴:藤木義勝/雨宮 圭:武藤寿美/辺見 敦:木下浩之/室戸文明:廣田行生/半田 元:吉田幸絋/巽 志郎:堀部隆一/阿川七生:仙台エリ/安仁屋 勲:中川謙二/自治警幹部:大木民夫/塔部八郎・ナレーション:坂口芳貞
【映倫区分】 PG-12
【劇場公開】 2000年
©1999押井守/BANDAI VISUAL・Production I.G
▼『人狼 JIN-ROH』特設サイト
https://v-storage.jp/jin-roh/