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「イマレコ!」『ふしぎ遊戯』[特集サイト「プレイバックエモーション」]

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 1995年にテレビアニメ化された渡瀬悠宇原作の『ふしぎ遊戯』は、本の中の異世界で伝説の巫女となった少女が、体に文字を宿す7人の守護者とともに冒険を繰り広げる異世界ファンタジーである。
 30年が経過した今なお本作がファンを魅了し続けているのは、少女漫画の枠を超えた壮大な物語と魅力的なキャラクター、そしてそれらを彩る切なく過酷な運命と恋愛模様に他ならない。

90年代に登場した「異世界」を舞台に戦う少女の物語

 今回紹介する『ふしぎ遊戯』は、1992年から1996年にかけて『少女コミック』(小学館刊・現「Sho-Comi」)で連載された全18巻の漫画が原作のテレビアニメである。物語は、中学3年生の夕城美朱(ゆうき みあか)と親友の本郷唯(ほんごう ゆい)が、古い書籍「四神天地書」に吸い込まれるところから始まる。異世界へ迷い込んだ美朱は、運命に導かれ「朱雀の巫女」となり、世界を救い元の世界へ戻るため「朱雀七星士」とともに尽力することに。しかし、彼女たちの前には、親友・唯を巫女とした「青龍七星士」が立ちはだかるのだった。

 本作の画期的な点は、1990年代前半において「少女漫画における異世界トリップ」という新たなジャンルへの挑戦だ。近年の主流である「異世界転生」とは異なり、当時は生きたまま異世界に移動・往来する「異世界転移・召喚(トリップ)」が多く、物語が終わると主人公は元の世界に帰るのが一般的であった。このジャンルは平成が進むとともに多様化していくが、それまで少年向けが中心だった「異世界冒険バトル」を、少女もまた世界の命運を背負って戦い、活躍する場所へと押し上げた功労者のひとつが本作だ。

女性ファンを熱狂させた美形キャラと、敵味方が織りなす過酷な人間ドラマ

 さらに、多くのファンタジー作品が中世ヨーロッパを下地にした西洋風の世界観に対し、本作の舞台である四正国・紅南国は古代中国を思わせる「東洋風」である。実は1990年代は若者を中心に「オリエンタルブーム」が巻き起こり、ツインお団子ヘアや中華風のファッションが広く認知された時期でもあった。そのため、登場人物たちが身にまとう漢服や武術着ベースの中華風デザインは当時の異世界アニメにおいて非常に魅力的であり、若い視聴者もすんなりと受け入れられた。

 この東洋エッセンスは、作品の随所に盛り込まれている額に「鬼」の字を持つ鬼宿(たまほめ)をはじめ、美貌の皇帝・星宿(ほとほり)、女装の怪力・柳宿(ぬりこ)、仮面の術師・井宿(ちちり)、鉄扇使い・翼宿(たすき)、治癒師・軫宿(みつかけ)、知力の張宿(ちりこ)など、中国の天文学・占星術に由来する二十八宿から名付けられた称号はどれも難読だ。しかし、当時のファンが必死にその漢字と読みを暗記していたことからも、その熱狂的な人気がうかがえる。

 彼ら七星士は、いずれも個性的で魅力あふれる美形揃いである。美朱と思いが通じ合う鬼宿、美朱に一途な求愛をする星宿、そして女性のような姿でありながら、美朱を守るため長い髪を躊躇なく切り落とす漢気を見せる柳宿。このように、宿命を背負った多くの男性キャラクターが主人公・美朱に好意を寄せ、献身的なその構図は、後年の「乙女ゲーム」や「逆ハーレム」の先駆的存在であり、現代に続く「恋愛ファンタジーの元祖」と称されるゆえんである。

 作り込まれた重厚な世界観にキャラクターの運命が深く絡み合い、物語が進むにつれて七星士たちの過去が明かされていく。それは唯を巫女とする「青龍七星士」も同様であり、彼らの宿業は過酷だ。倶東国(くとうこく)の将軍・心宿(なかご)は、幼い頃より異民族として過度な迫害を受け、自身の野望を叶えるために唯を騙して青龍召喚を狙う。元娼婦の房宿(そい)は、そんな心宿を慕い、彼を庇って壮絶な死を迎える。唯にほのかな恋心を抱く角宿(すぼし)は、鬼宿の家族を惨殺した報いを受ける。そして、双子の兄・亢宿(あみぼし)は、自分への情愛を持つ弟の魂をその身に受け入れた。こうした美朱や唯、そして七星士たちが直面する別れや試練は、視聴者の心を大きく揺さぶった。

奇跡の布陣が命を吹き込んだテレビアニメと、心揺さぶる名曲たち

 この壮大な物語は1995年に全52話でテレビアニメ化され、アニメーション制作をスタジオぴえろが担当。監督には亀垣一を迎え、キャラクターデザインには美形キャラに定評のある本橋秀之が。当時、アニメーターの手により一枚一枚描かれたセル画は繊細で美しく、アクションシーンでは少女漫画原作とは思えないほどの苛烈で迫力あるバトルが展開された。特に、第51話と最終話(第52話)は、絵コンテ・演出を亀垣監督、作画監督を本橋秀之が務めた渾身のエピソードである。
 声優陣もまた、今見ても目を見張るほどの贅沢な布陣だ。主人公・美朱役は荒木香衣(旧・香恵)、鬼宿役は緑川光が演じた。さらに子安武人、関智一、神奈延年(旧・林延年)、三木眞一郎、井上和彦と言った人気声優陣がキャラクターに命を吹き込み、多くの女性ファンを虜にした。

 物語の所々で美朱を中心にギャグやコントが入る本作であるが、アニメでは荒木や緑川の軽妙なテンポでの会話が心地よい。全編シリアスな展開だけではなく、程よい緩急があるため肩ひじ張らずに楽しめる。さまざまな面を見せるキャラクターに親しみと深みが生まれた。アニメ制作スタッフがくるくると表情の変わるキャラクターを動かし、声優が発する台詞に込める演技により、視聴者は違和感なく『ふしぎ遊戯』の世界に没入できたのだ。

 そして、忘れてはならないのが、アニメを盛り上げた楽曲の存在だ。佐藤朱美の魅力的な主題歌『いとおしい人のために』が物語の世界観を決定付け、この曲で「ウォーアイニー(我爱你)」が中国語で「私は貴方を愛しています」と知った視聴者も多い。今野友加里のエンディングテーマ『ときめきの導火線』では、放送回の映像が流れる横で、原作者・渡瀬悠宇の美麗なカラーイラストが何枚も映し出され、ファンを魅了した。

テレビアニメを補完し、ファンの思いに応えたOVAシリーズ

 テレビアニメの大ヒットを受け、その後OVAシリーズが展開された。制作スタッフはテレビアニメとほぼ同じであり、亀垣監督が絵コンテと演出、本橋秀之がキャラクターデザインと作画監督を担当している。
 1996年から発売された『オリジナルビデオシリーズ ふしぎ遊戯(第一部)』(全3巻)は、アニメ完全オリジナルストーリーだ。現実世界で平穏に暮らしていた美朱と、現実世界に転生した鬼宿こと宿南魏(すくなみ たか)。だが、玄武の巫女の声に導かれ、魏は紅南国に舞い戻ってしまう。懐かしい顔が勢ぞろいするなど、ファンサービス満載のOVAとなった。
 続いて1997年から発売されたOVA『ふしぎ遊戯 第二部』(全6巻)は、原作コミックス第14巻~第18巻にあたるエピソードを映像化している。実はテレビアニメは原作全18巻のうち第13巻までを描いており、このOVA『第二部』こそが原作準拠の正統な続編にあたる。鬼宿としての記憶を失い現実世界で暮らす魏は、美朱とともに再び「四神天地書」の世界に戻り、最強の敵・天罡(てんこう)と戦うことになる。刺客の襲撃をかわしつつ「記憶の玉」を探す怒涛の展開が続く中、星宿の遺児や井宿の過去など、ほろりと泣かせるエピソードも随所に盛り込まれていた。

 1990年代を彩った『ふしぎ遊戯』は、美麗なセル画、迫力のバトルシーン、そして豪華声優陣の熱演が奇跡的なバランスで融合した傑作だ。主題歌を聞くだけで当時の記憶が蘇る、あの瑞々しくも熱い興奮を今一度味わってほしい。

文:高塔琳子

<発売情報>

ふしぎ遊戯 Blu-ray BOX(特装限定版)【A-on STORE限定】
2026年8月26日発売
税込価格:¥33,000
品番:BCXM-2060

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▼TVアニメ『ふしぎ遊戯』30周年記念特設HP
https://pierrot.jp/fushigi30th/
▼ふしぎ遊戯 Blu-ray BOX 公式X
https://x.com/fushigiyugi_bd

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