インタビューココだけ | 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち
壮絶な最期を迎えたキーマンを演じて…!『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』神谷浩史インタビュー
混迷の21世紀に贈る国民的SFアニメのシリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』。最終章となる第七章「新星篇」のBlu-ray&DVDが、いよいよ2019年4月26日(金)に一般発売される。そこで今回は、本作でその名の通り、作品の鍵となる活躍を果たしたキーマンを演じた神谷浩史さんに、全26話の長い旅を終えた今のお気持ちなどを伺った。
福井さんから「キーマンは本編で死んじゃうんで〜」と軽くネタバレされて…
──いよいよ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下『2202』)も、残すところ第七章「新星篇」のみとなりました。ここまできた率直なお気持ちをお聞かせください。
神谷約2年掛かってようやく全てのアフレコが終了しました。全26話構成なので、およそ1ヵ月に1本のペースで収録していたことになりますが、そのような長期間にわたる関わり方をさせて頂いた作品は今回が初めてでした。無事に最終話まで辿り着けた時に、メインキャストの方々はこんなに長い旅を2回も経験していたんだなということに思い至り、改めて本当に頭が下がる思いでした。
──キーマンの最期の決断について、シリーズ構成の福井(晴敏)さんから話を伺った際はどのように感じましたか?
神谷本編と同じ時間軸の中で語られる福井さん渾身の書き下ろし限定版ドラマCD「誰も聞いてはならぬ裏ヤマト」(法人特典としてBlu-ray&DVDに付属)の収録前に、福井さんから「キーマンは本編で死んじゃうんで〜」と軽くネタバレされまして…。それを聞いて「えっ…、死ぬの!!」と驚きました(笑)。ただ、キーマンは『2202』を象徴するキャラクターの一人なので、その後の話を続けていくとなると、生かしておいてもオリジナル要素が強すぎて後々問題になるのは間違いないはずなんですよ。『宇宙戦艦ヤマト』というコンテンツのこの先を考えると、『2202』で決着を着ける、つまりキーマンには死ぬ以外の運命が見えて来ない。ネタバレされた瞬間にそのことまで去来して、「そういう結末以外は確かに考えられないな」と納得しました。自分が演じている役が生き残っていれば、物語が万が一続いた時にまたその役を演じ続けられる喜びが生まれるので、僕は生き長らえることはとても大切なことだと思っています。だけど、きちんと役割を果たして、見せ場を作って散っていくことは、生き残ることと同義かそれ以上に意味のあることなんです。なので、キーマンにも納得のいく最期を用意してもらえたらいいなと思っていました。それで、いざ頂いた台本を読んで、納得せざるを得なかったんですよね。最期に行き着くまでのヤマトクルーとの関係値、彼が下してきた決断、自分ができること、置かれている状況、全てを鑑みた上で「決してうれしいとは言い切れないけど、キーマンという役としては納得せざるを得ないものを用意してくださったな」と素直に感じました。
キーマンは『2202』という作品を象徴する
キャラクターの一人だったのかなと改めて思います
──過去のインタビューで、キーマンは『2202』を象徴するキャラクターになるかもしれないとのお話がありました。演じられた神谷さんは、キーマンが担った役割はどのようなものだったと考えていますか?
神谷キーマンという役柄は過去作の資料にも記述されていたという話は聞くので、それを拡大解釈して福井さんが現代に甦らせてくれたのかなと思っています。元々あるものを現代版に翻訳する作業において、オリジナル要素として動かしやすいキャラクターを誕生させることは必要ですし、旧作に縛られることのない行動を取るキーマンという存在が、新たな展開をストーリーに落とし込みやすくしてくれているのかなと考えています。キーマンという役割を第一章から第七章まで通してやらせて頂いて、『2202』という作品を象徴するキャラクターの一人だったのかなと改めて思います。
──最後の収録を終えて、スタッフやキャストの方からはどのような言葉をかけられましたか? 印象に残っている方がいれば教えてください。
神谷直ぐに取材が入ってしまったので特にないんですけど(笑)、スタッフの方からお花を頂きました。監督の羽原(信義)さんが古代に、音響監督の吉田(知弘)さんが雪に、脚本の岡(秀樹)さんが島に。キーマンには福井さんからだったんですけど、実はそれがすごくうれしかったんですよね。福井さんが『2202』を象徴するキャラクターとしてキーマンを生み出してくれて、旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下『さらば』)や『宇宙戦艦ヤマト2』(以下『ヤマト2』)にはない新しい息吹を付け足したのかなと勝手に思っていたので、福井さんご本人からお花を頂けるのはとてもありがたかったです。僕がやらせて頂いたキーマンという役は、福井さんをはじめとするスタッフの方々にご納得頂けていたのかなという想いもありつつ、そんなことを考えながらお花を頂きました。
一つの答えしかない窮屈なキャラクターだったキーマンが、
山寺さんが来てくださったことで変わりました
──これまでの収録で印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
神谷これだけのベテランの方々とご一緒できる作品はなかなかないので、収録は毎回楽しかったです。石塚運昇さんとは(2018年)2月の収録でお会いしたのが最後でした。その後は忙しい方だから抜き録り(一人での収録)なのかなと思っていたので、まさかあんなこと(2018年8月に逝去)になるとは思ってもいませんでした。最後の収録の時も、収録の直前までロビーで楽しそうに(大塚)芳忠さんと運昇さんが話していたので「何話していたんですか?」と聞いたら、「健康の話題は尽きないね」と仰られていたので、まさか健康を損ねていらっしゃるとはこれっぽっちも思いませんでした。ご自身の体調のことを微塵も感じさせないあのお姿は本当に素敵でしたね。いつまでも健康でいて欲しいですし、この人たちとずっと一緒に仕事をしたいなと思いながら、『2202』の収録をしていました。
──共演する機会の多かったデスラー役の山寺宏一さんとのエピソードは何かありますか?
神谷一つの答えしかない窮屈なキャラクターだったキーマンが、山寺さんが来てくださったことで変わりました。デスラーと会話するシーンになった瞬間に、ありとあらゆる選択が僕に委ねられている状況になりました。山寺さんと喋っていると、その選択肢がとても豊かになるんですよね。自分がやっていることを受けてまた違うボールを返し続けてくれるので、自分が出した選択肢の中でちゃんと良いものが選べているという感覚を持って芝居ができました。それが本当に楽しくて、終わった後に「今日の収録スゲー楽しかった!」って小野(大輔)くんに言っていた気がします。「じゃあ、それまで退屈だったんですね」って返されて、思わず口ごもりましたけど(笑)。あとは、健康器具の話をずっとされていた山寺さんから「イェーとかウォーみたいな名前のやつ、持ってる?」って聞かれて困惑したんですけど、調べたら「バーンマシーン」のことを言っていたことが分かって(笑)。後日、僕が「バーンマシーン買いましたけど、悪くないですよ」と話したら、買うかどうかその場で真剣に悩まれていたこともありましたね(笑)。
20年後30年後とかにまた何かしらの形で『宇宙戦艦ヤマト』が復活した時に、
この作品がとんでもなく大きなハードルとして残っていけばいい
──物語の中で“縁”が一つのキーワードとして語られています。今回のシリーズに参加したことで、神谷さんはどのような“縁”に巡り会いましたか?
神谷以前『ブレイク ブレイド』という作品でご一緒した羽原監督が僕をこの作品に呼んでくださったんです。(2010年から2011年にかけて全6部作の劇場アニメとして上映された)その作品では、オーディションで受かったゼスという役で参加させて頂いたんですけど、そこから何年か経って、『2202』が動き出して「キーマンという役はぜひ神谷さんに」ということでお声掛け頂きました。羽原監督との“縁”でこの作品に参加させて頂き、約2年という年月を経て、実は今回のインタビューでも横に付いて頂いているんですけど…、(影のアドバイザーとして)福井さんを呼び出せるまでの仲になりました(笑)。通常のTVシリーズと同じ半年間では、そこまでの関係値を築くのは難しかったと思います。収録が2年続いた結果、こういった取材の際に横に付いて頂く安心感を得られているので、“縁”に恵まれているなと感じますね。
──“愛”をテーマに掲げた『2202』はどのような作品でしたか? 一観客としての感想をお聞かせください。
神谷“愛”は何でも解決してしまうくらいのパワーワードなので、それをテーマとして扱うのは非常にチープじゃないですか。全てを肯定する“愛”という言葉を使われるとハッキリ言って思考停止になります。『2202』では、安易には使えないその言葉を大上段に掲げて、敵のズォーダーという奴がその言葉の意味を分からず使うところから始まるので、まず怖いなと感じましたし、この果てに一体何があるんだろうとも思いました。そこから古代が波動砲を撃つ撃たないという葛藤があって、それと“愛”というテーマをきちんと結び付けて、最終話で旅の果ての一つの答えが示されます。“愛”という言葉を使いながら、決して綺麗事ではなく一つの選択肢として提示して、最後は皆で選んでくれと。でも、どちらが選ぶべき答えなのかということが分かるように提示してくれるので、僕はそれがすごく好きでした。(大塚)芳忠さんのお芝居も相まって、とても素敵だなと感じて、最後まで観終えて『2202』はすごく良い話だったなと思いました。“愛”というパワーワードを使い、思考停止ではなく、長い旅をしてきたからこそ辿り着ける一つの答えをきちんと提示して完結しています。なおかつキーマンという役に対して、最後はあれだけの見せ場を作ってもらえたことは本当に感謝ですね。この作品に関われて本当に良かったなと思います。
──最後に、全26話の長い旅を共にしたファンへメッセージをお願いします。
神谷『2202』は、SFの古典である『さらば』と『ヤマト2』に新たな解釈を与えて、現代に生きる皆さんに伝わりやすいようにリメイクした作品です。『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに対して「どうせ一昔前の作品でしょ」というような偏見を持っている方にこそ観てもらいたいですね。そういった方々にどうしたら観てもらえるのかが、今後の課題かなという気がしています。『さらば』と『ヤマト2』、どちらのエンディングに辿り着くのかなと思っていたファンの方々にも一つの答えを提示して、全26話できちんと物語が完結します。今後『2202』が新たなマスターピースとなり、20年後30年後とかにまた何かしらの形で『宇宙戦艦ヤマト』が復活した時に、この作品がとんでもなく大きなハードルとして残っていけばいいですし、きっとそうなるだろうなと思います。偏見を持たれず、色んな人に広く観続けられることを願っています。
PROFILE
神谷浩史(かみやひろし)
1月28日生まれ。千葉県出身。青二プロダクション所属。高い表現力で多彩なキャラクターを演じ分けると共に、ナレーターとしても活躍。主な出演作に『化物語』阿良々木暦役、『黒子のバスケ』赤司征十郎役、『進撃の巨人』リヴァイ役、『おそ松さん』松野チョロ松役などがある。
<Blu-ray&DVD発売情報>
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2019年4月26日発売
メカコレ付Blu-ray[初回限定生産]:¥9,800(税抜)
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通常版Blu-ray:¥8,800(税抜)
通常版DVD:¥7,800(税抜)
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©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会