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2020年1月28日『ワンパンマン SEASON 2』Blu-ray & DVD第4巻発売記念! スイリュー役・松風雅也 インタビュー [実録! ワンパンマン]全文掲載

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『ワンパンマン SEASON 2』Blu-ray & DVD第4巻(1月28日発売)のジャケットにはスイリューが登場! 今回は松風雅也さんに、作品を通じて感じ取ったヒーローへの想い、スイリュー役に込めた想いなどを様々な視点からじっくりと伺った。

スイリューを演じるにあたって追求したのは、痛さも含めたリアリティー

──まずは、『ワンパンマン』との出会いのエピソードからお聞かせください。

『ワンパンマン』の世界観に初めて触れたのは、自分がスイリューを演じることになってからです。スイリューに関していえば、彼はスーパーファイトで初めて登場するので、自分はスイリューの場面以外のことは知らずに演じることが理想的だと思うんです。作品を知りすぎてしまうとサイタマを尊敬してしまったりするので(笑)、僕としては原作をあまり読まないようにしていました。ただ、スーパーファイトのくだりは、ほかの場所で起こっている出来事との切り返しが多くて、はからずも全部読んでしまいましたね(笑)。

──作品の面白さを感じた部分は?

作品全体の第一印象としては、ちょっとシニカルな感じが伝わってきたといいますか、“正義を守るヒーロー”を短絡的に良いものとして捉えていない、というアンチテーゼが僕にはすごく感じられたんです。どんな敵でも一撃で倒してしまうキャラクターを描くことで、自分たちが思い描くヒーローという存在は、実は“ヒーロー”ではないのかもしれない、ということを言っている作品かなって。僕は『メガレンジャー』(1997年)というスーパー戦隊作品がほぼデビュー作ですし、これまでに出会った共演者の方や出演した番組から、ヒーローというものを考える機会がたびたびあるんです。ヒーローとは? 正義とは? そして強さとは? 『ワンパンマン』からは、そうしたある種の哲学的なメッセージを感じ取った僕もいて。深い作品だと感じましたね。アニメの第1期は、サイタマが一撃で勝つ爽快感に溢れた作品でしたが、第2期ではアンチヒーローとしてガロウが登場し、ヒーローだけではなくいろいろなキャラクターに感情移入しながら観ることができる。その両極のアプローチがある面白さを感じました。

第2期 #23「それぞれの矜持」より

──そんな世界観の面白さを感じた上で、スイリューというキャラはどのように捉えられたのですか?

原作を読んだときは、僕の中でスイリューに対してカッコいいの“カ”の字もなかったんです。役が決まってから、「スイリューってカッコいいですよね」とよく言われたんですが、実は自分の中ですごくギャップがあって。それが何故なのか考える過程で思ったのは、原作を読んでいるみなさんの頭の中では、コマ間が補完されていたり、セリフの捉え方が違うからだろうな、と。彼のセリフを言葉通りストレートに捉えるか、それとも裏に嫌味が込められたものとして捉えるか…。実はすごく努力しているのに「何もしてないけどね~」と言っているのかもしれなし、読み取り方次第でニュアンスが変わってくると思うんですね。ですから、僕がスイリューを演じるにあたって追求したのはリアリティー。実際にスイリューの立場だったらどんな声が自然に出るのか…そこをすごく意識しました。

──確かに、演じ方ひとつでスイリューの見え方って変わりますね。

一撃で全てを解決してしまう非現実的なことが起こる世界なので、「普通」っていう楔を打つことが大事かな、と。このあともまだまだ進んでいく物語の中で、スイリューの立ち位置は「普通ってなんだろう?」というある種の“基準点”のようなものかもしれないな、と感じていたんです。だから、観てくださったみなさんが、スイリューについて「こいつの想いがさっぱり伝わらない」とか「こんな奴いねーよ」と思われるのはダメだと感じたし、取って付けたように演じたくはないな、と思っていました。

第2期 #21「最強の悩み」より

──だからでしょうか。スイリューのセリフから受けた印象は“生身の人間”であること、でした。

そう言っていただけて良かったです。演じていて、嘘をつくのはイヤだったんですね。言い方ひとつで彼を異常なキャラにしたくない。あくまでもスイリューは強さにおいて“人間”の中ではトップクラスのキャラ。彼にとってそれはとても普通のことなんですよね。だからナチュラルに居ることを心がけていました。ただ少しナチュラルにしすぎたかな、という反省も。あれだけ立派な肉体を持っているので、もうちょっと体の出来上がった人の喋り方にしても良かったかな、とか。

──しかし、ナチュラルだったからこそ、ヒーローに助けを求めるスイリューの慟哭が胸を打ったようにも思います。

あれは…“痛さ”とか“イヤさ”ですよね。あのシーンを見た人に“痛いな”、“見ていてイヤだな”、って思ってもらうことが大事だなと。

──その“イヤさ”について詳しく聞かせてくださいますか?

僕はアクションアドベンチャーゲーム『シェンムー』(1999年発売 松風は主人公・芭月涼を演じた)でモーションキャプチャーを演じたのが声優のルーツでもあるんです。僕自身、『呉氏開門八極拳』を学んでいることもあって、本当に戦うということ… つまり、格闘に伴う痛さやイヤさを実感として持っているんです。それをスイリューを通して伝えたいと思いました。
かつて「声ってなんだろう?」と考えたことがあって。極論を言うと声は「危険信号」だな、と。危険なとき、死の恐怖を感じたとき… 異常だと思ったときに発せられる声が、そもそものコミュニケーションのルーツじゃないかと思ったんですね。スイリューが助けを呼ぶシーンも誰かをキャッチできる“イヤさ”を表現したかったので、あのシーンは見ていて痛いとかキツいなと思ってもらえたら嬉しいです。

──その“イヤさ”こそが観ていて真に迫ってくるワケだったんですね…。

人が絶望の果てに終わっていくイヤな感じが出せたのでは、と思っています。

──バトル中のスイリューの“息づかい”もまた印象的でした。

僕にとっていちばん印象に残っているのは、バクザンにやられて、助けを求める前にスイリューが息を吸い込むシーン(#20)。これだけ要素が多い作品では、尺はとにかくタイトですし、監督をはじめ制作スタッフのみなさんも、泣く泣く削るカットやセリフがたくさんあったと思うんです。演者のみなさんだって「ここで一息溜めたい」というシーンは山ほどあったでしょうしね。厳選されて落とされていくカットがある中で、あの息を吸い込むシーンが残されたというのは、とても凄いことだと思っています。次に何を言うか予想のつかない息づかいでもあったと思うんですが、そうした間を大事にしている作品だと感じました。

第2期 #20「強い奴の抵抗」より

サイタマの次に強いのは覚醒ゴキブリですよ!

──実際にスイリューを演じてみて、改めて彼の印象はどうだったでしょう。

スイリューは、女の子にすぐ声をかけるし、戦いも超強い。どんなことも自然にクリアできてしまうことが当たり前に生きてきた。そんな彼が、数時間後にはサイタマに服を吹き飛ばされて、ゴウケツの登場で地獄の底まで突き落とされてしまう。そんなスーパーファイトのわずかな時間の中に彼の人生の縮図がありますよね。役を演じる上で、あんなに精神状態のメーターが激しく振り切れたことは、なかなかない経験でした。

──ところで、アフレコの雰囲気はいかがだったですか?

僕でも若い方に入ってしまうくらいベテラン揃いの現場で、その誰もが真摯に取り組んでいて良い雰囲気でしたね。その中で座長の古川(慎)くんが誠意を持ってサイタマを一生懸命に演じたからこそ、彼の雰囲気がありありと出ていた現場でした。
古川くんって会うたびに必ずひとつ褒めてくれるんです。本人にも言ったんですが「恐ろしいな、君は! 人生成功するよ!」って(笑)。彼は後輩ですが、その姿勢はとても勉強になりましたし、僕も褒める姿勢をパクろうと思っています(笑)。

──松風さんも1日いち褒めですね(笑)。豪華メンバーに彩られたキャラクターがたくさん登場しますが、松風さんのお好きなキャラクターは?

自分が演じたスイリューは間違いなく好きなんですが…面白いと思ったのは覚醒ゴキブリ。強烈に印象に残っているのは、ジェノスの接着剤によってやられたとき、足を自切して逃げるシーン(#18)。彼が自切した箇所はくるぶしの上ですよ?! これは生物、格闘家として、とんでもなくクオリティが高い話なんですよ!

──と、言いいますと!?

僕はトカゲが好きなんですが、トカゲには自切点があって切れやすい箇所があるんです。それを鑑みても、くるぶしの上は骨ですよ。覚醒ゴキブリはおそらく外骨格なんですよね。関節を自切するならわかりますが、スネをチョップか何かで叩き折って逃げるなんて…生き物としてムチャクチャですよ。あの自切された足を見たとき、僕は恐怖しましたね。

──ふむ…確かに、ですね。

格闘家視点からみると、サイタマの次に強いのは覚醒ゴキブリだと僕は思いますね。

第2期 #18「怪人の蜂起」より

──では、最後に第2期の見どころをお願いします。

『ワンパンマン』はヒーローに対するアンチテーゼが込められた作品だと僕は感じているんです。その中で、ガロウがとても魅力的なアンチヒーローだとすると、スイリューは正義の味方の大事さを伝えるためのキャラなのかな、と。ヒーローの価値観がより多彩に幅広く描かれているからこそ、いろんなキャラの気持ちに感情移入できるのかなと思います。
僕自身、作品というのは作り手のメッセージが込められていて、しっかりクリエイトされているものだという考えなんです。それはキャラクターに関しても同じなので、もちろん、僕はスタッフのみなさんと一緒に、スイリューが人としてブレないように演じきりましたが、スイリューという役は、見る人によっていろんな想いを抱いてもらえるキャラだと感じています。彼に共感してくださる方もいるでしょうし、「怪人に負けてせいせいした」と感じる方もいると思います。そうした意味で、僕自身は彼を筋の通った人間としてブレずに演じたものの、受け手に感じ方を預けたキャラでもあるので。僕にとっては初めての特殊な感慨を抱いています。どんな気持ちであれ、スイリューに感情移入してもらえたら嬉しいですね。

PROFILE

松風雅也(まつかぜ まさや)
福島県出身。青二プロダクション所属。主な出演作:『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』ガエリオ・ボードウィン役、『SSSS.GRIDMAN』ヴィット役、『斉木楠雄のΨ難』才虎芽斗吏役 など

<TVアニメ『ワンパンマン』第2期>
Blu-ray & DVD 10月25日よりシリーズスタート

世界中で大ヒットとなったTVアニメ「ワンパンマン」、ファン待望の第2期! BD&DVDでしか見られないオリジナルエピソードのOVA等、魅力的な特典満載で発売開始!

パンマン SEASON 2 Blu-ray & DVD 第4巻
2020年 1月28日発売

<特装限定版>
以降毎月発売・全6巻/Blu-ray各7,000円(税抜)、DVD各6,000円(税抜)
レンタルDVD同時リリース
発売・販売元:バンダイナムコアーツ

 


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収 録:
Blu-ray BOX
本編全12話+OVA全6話+OVAコミックス同梱版+既存映像特典+既存音声特典+本編英語吹き替え版
602分(本編DISC:292分+特典DISC:310分)/DISC4枚組

DVD BOX
本編全12話+OVA全6話+OVAコミックス同梱版+本編英語吹き替え版
389分(本編DISC:292分+特典DISC:97分)/DISC4枚組

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