インタビュー ココだけ | 機動戦士ンガンダム 閃光のハサウェイ
2021.6.11 UP
6月11日(金)ついに公開!『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 小野賢章(ハサウェイ・ノア役)インタビュー全文掲載
ガンダムシリーズの最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が6月11日(金)ついに公開! シャアとアムロの意思を継ぐ主人公、ハサウェイ・ノア役の小野賢章さんに作品に関わった思いを伺った。
迷い、悩み、それでも行動する
ハサウェイの言動に込めた思い
──主人公であるハサウェイを演じることが決まった時の気持ちはいかがでしたか?
小野 やはり、ガンダムシリーズはすごく歴史のある作品ですし、いち声優として出演することに憧れる部分ではあったので、オーディションに受かった時はすごく光栄でした。一度『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にも出演しているんですが、その時はパイロット役では無かったので、その意味で嬉しかったですね。でも、知れば知るほど緊張するし、作品の大きさも日ごとに実感するという感じで、今でも相当プレッシャーを感じています。ただ、その分すごく気合いも入っていますし、監督とスタッフ、キャストの皆さんと本当に集中して時間をかけて作っているので、そこはぜひ映画館で観て、感じていただきたいなと思いますね。
──ハサウェイ・ノアをどのような人物だと捉え、演じようと思われましたか?
小野 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(以下、閃光のハサウェイ)』という作品そのものや、そこに至るガンダム作品に関してはハサウェイ役のオーディションに受かってから勉強しました。台本をいただいて読んだ時には、ハサウェイというキャラクターをすぐに理解することができませんでした。今回の映画に関しては、物語は会話で紡いでいくスタイルとなっていますが、わかり易い説明セリフがあるわけではなく、本当に作品を知っていないと理解できない部分が多い印象でした。そこで、元となった小説を読み、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(以下、逆襲のシャア)』を観て、その後最初の『機動戦士ガンダム』を観るような形で、どんどん遡って勉強したという感じです。
ハサウェイというキャラクターに関しては、『逆襲のシャア』の頃はすごく素直で、ピュアな少年という印象が強かったです。でも、目の前でクェスが死んでしまい、自分の手でチェーンを撃墜して殺してしまう。それがトラウマというか、心の傷となってしまっていて、そこにこそハサウェイの大事なところがあるのではないかと感じました。さらに、間近でアムロの思いやシャアの行動を体感し、その二人がどんな思いでそれぞれ地球を守ろうとしてきたのかをすごく純粋な立場で見ている部分もあるんですよね。そこから12年という月日が経ったのが『閃光のハサウェイ』になるわけですが、「どの考え方が正解なのか?」とハサウェイ自身がすごく悩みながら行動しているような印象を受けました。アムロとシャアの意思を継いでいるけど、そのやり方について「これが本当に正しいのか?」とずっと悩みつつ、それでも行動に移してしまっているので立ち止まれない、振り返れない、後戻りできないところまで来ている状況にいるのだろうと考え、演じさせていただいたという感じですね。
──ガンダムシリーズを改めて勉強されたわけですが、どんな印象を持たれましたか?
小野 「何が正解かわからない」というのがガンダムシリーズの特徴だなと思いました。どのように解釈するかは受取り手に委ねていて、「これが正解です」という提示をあまりしない。『逆襲のシャア』でも、アムロとシャアのどちらの考え方も納得できて、そのどちらを支持するのかを問われるような感じがしました。それぞれが信念を持って行動し、ぶつかり合っているから観ている人にも問いかけてくるものがあるだろうと。ロボットアニメとしてクオリティが高いのに、人間ドラマが凄くてそこに集中してしまう。そうした部分から、作品の持つパワーやキャラクターの持つ力の凄さをガンダムシリーズでは強く感じましたね。
ハサウェイとマフティーという表と裏の顔を、
一本線で通せるように演じるのはかなり難しい作業でした。
──ハサウェイを演じるにあたって苦労された部分などはありますか?
小野 全部難しかったですね(笑)。ハサウェイ・ノアという表向きの顔があって、マフティーという反地球連邦政府運動をしている裏の顔があるわけですが、今回の第1作目では表向きの面で会話している場面が多い。中でも、ギギと会話するにあたっては、彼女が味方になるかわからない状況で、ハサウェイ・ノアを保ちながら、距離感をあまり詰められないように会話をしていて。表情や言動も好青年だけど、心の中で抱えているものは常に表の顔とは違う印象があるので、表と裏、一本線で通せるように演じるのはかなり難しい作業でした。その感情の動きに対して「これはしっくりきたな」というタイミングが、演じている中でもなかなかなくて。でも、そういう感じこそがハサウェイというキャラクターなんだろうなとも思いました。やっぱり難しかったですし、未だにこれが正解なのかというところに関しては、僕個人としては結論が出せていなくて。そういう意味では、ハサウェイというキャラクターは、村瀬修功監督やスタッフのみなさんと一緒に作りあげたというか、皆さんの判断を信じて演じたという感じですね。
──作品テーマとしてもアムロとシャアの存在が大きいですが、『逆襲のシャア』を観て、その印象が演技に影響を与えたりもしているのでしょうか?
小野 その部分に関しては、参考にはさせてもらいましたが、あまり意識しないようにしました。ハサウェイは、その当時はいろいろと経験する前の少年ですし、「大切な人の死」という大変なことも体験しているので、あまり意識すると悪い方向に行きそうだと思いました。ハサウェイは、あれから12年という月日でいろいろと心の整理をする時間もあったと思うし、その自分に納得した上で行動しているだろうと思って演じさせてもらいました。
各キャラクターの解釈を細かく共有し、
もの凄く丁寧に作ったという印象があります
──収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
小野 スタジオでは、無駄話をしなかったという印象が強いですね。作品やキャラクターに対してすごく集中力を高めてアフレコ作業をしていたからだと思います。収録の前に、監督と録音演出の木村絵理子さん、ギギ役の上田麗奈さん、ケネス役の諏訪部順一さんの4人で、作品の設定や背景、各キャラクターの解釈についてなどの話をし、細かく共有してから収録を始めたので、ものすごく丁寧に作ったという印象があります。
──村瀬監督とは、ハサウェイを演じるにあたってどのような話をされましたか?
小野 ハサウェイという主人公像に関しては、監督自身もいろいろと悩まれているようでした。ハサウェイは、主人公であり、ガンダムのパイロットであり、マフティーのリーダーでもあるということで、僕の中では格好良くしたいという思いが強かったんです。そこに、仕事に疲れていて、ちょっと弱っているような感じを散りばめられたらいいなというイメージでした。でも、監督はもっと泥臭く、青臭く、全然スマートじゃない、周りの状況に振り回されまくっているというイメージを語られて。そういう意味では、僕が作りたかったハサウェイよりは、いい意味で格好悪くなっている気がしますし、その結果人間臭くなったようにも思います。ひとりの人間として迷って悩んでいるけど、そんなところに魅力を感じましたし、それでも立ち止まれないというところにすごくドラマがあると思いましたね。
──ギギ役の上田麗奈さん、ケネス役の諏訪部順一さんとの絡みや、お二人が演じるキャラクターに関してはどのような感想を持たれましたか?
小野 3人で一緒に演じる(収録する)ことができたのは良かったです。やり取りに関しても、「次はこういうパターンでやってみましょう」、「アプローチの仕方を変えて」という感じの収録だったので、そうなるとひとりの場合では化学反応を起こせないし、掛け合っていないと変化に対応できないですからね。その掛け合いの瞬間を共有することができたのは良かったと思います。上田さんとは、ハサウェイとギギのやり取りについて、2人でああでもない、こうでもないと悩みながらやっていたので、一緒に戦った戦友のような存在ですね。
ケネスというキャラクターは、いろいろと見てきた人物という印象があって、大人の余裕を感じます。そして、ハサウェイやギギと話す時と部下を指揮する時のギャップも印象的です。そうしたいくつかの要素を持つケネスを、一本筋を通して演じることができる諏訪部さんはさすがだなと思いましたし、お芝居の掛け合いもすごく楽しかったですね。
──本作で印象に残っているシーンやシチュエーションはありますか?
小野 地球でタクシーに乗るシーンがあるんですが、そこがすごく印象的でした。ハサウェイがタクシー運転手と話をして、「マフティーが起こしているテロのような行動をどう感じるのか?」という感想を聞くんです。ハサウェイにとっては、地球のため、地球に住む人のためと思って行動を起こしているけど、実際に地球に住む人たちには逆に迷惑だと思われていることを知り、余計に悩んでしまう。人のためだと思っているのに、全然伝わっていなくてその答えが「1000年後のことなんか考えて生きていない。明日のことしか考えていない」というもので。この台詞は、現代にも通じるところがあるなと考えさせられました。そして、作品の書かれた小説が30年も前だということに衝撃を受けますね。当時の考えが全然古くなく、今だからこそ心に刺さるというのは、本当に鳥肌がたちます。
──現代社会が抱える環境問題、社会問題、格差社会というものを、作品を通して訴えかけているような部分はどうしても感じてしまう内容になっていましたね。
小野 そうですね。役名も無い「タクシー運転手」のセリフなのに、何でこんなに刺さるのかなと思い、共感できたところでもあるんですよね。ごく最近になって環境問題が注目されて、地球温暖化の対策なんかを意識するようになったんですが、そこに至るまでは当事者でありながらも他人事のように考えている思考があったなと思うんです。だから、その感覚に近いところで、ハッっとさせられる部分があって。そういう感覚を30年前から考えて、小説にしているのは「すごいな」しか出てこないし、普遍的な人の考え方ってあるんだなと思いましたね。
──ガンダムシリーズということで、モビルスーツによるアクションも見所ですが、声のお仕事をしている立場として、ガンダムのパイロット役というのは感慨深いものですか?
小野 やっぱり嬉しいですね。あれだけ巨大な機体を自分で操縦できるというのは、テンションが上がりますよね。ガンダムの歴史や背景、作品の重さを知れば知るほど、主人公でガンダムのパイロットというのはプレッシャーになる部分もありますが、やっぱり素直に嬉しかったですね。
モビルスーツのアクションも現代の技術で全力で作られている。複雑なデザインや空中戦での特殊な動きを見せてもらうと、今の時代だからこそ映像化できたということを感じましたね。CGを使っているからこその、距離感の見せ方も素晴らしいですし。それに乗って操縦しているかと思うと幸せですよね。映像表現の素晴らしさも含めて、あの完成した映像を映画館のスクリーンで体感したいなと思いました。大人なドラマも見応えがあるんですが、やはりモビルスーツ同士の戦いになると「キターーーッ!」って胸が躍って、子供みたいになってしまいますよね。それまでは、いろいろと考えながら観ていたのが、「ここからは視覚と聴覚だけで楽しませてもらいます」というような感じになれるところもすごくいいです。
──最後に、公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
小野 当初の公開予定から何度も延期になってしまい、ようやく公開することができる段階にきました。すごくお待たせしている状態になっていると思いますが、その分、クオリティやキャスト、スタッフの気合いの入り方も凄くて、自信を持ってお届けできるものになっていると思います。ぜひ、大きなスクリーンで、素晴らしい音響で、全身で作品を体感してもらえればと思います。
PROFILE
小野賢章(おの けんしょう)
10月5日生まれ、福岡県出身。アニモプロデュース所属。主な出演作に『黒子のバスケ』(黒子テツヤ役)、『文豪ストレイドッグス』(芥川龍之介役)、『アイドリッシュセブン』(七瀬陸役)、『ハリー・ポッター』シリーズ(ハリー・ポッター役)などがある。
<公開情報>
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 6月11日(金)全国ロードショー
Dolby CinemaTM/ 4D同時公開
劇場限定版Blu-ray 公開劇場にて公開と同時発売
関連記事:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』劇場限定版Blu-ray 公開劇場全館にて 6月11日(金)より公開と同時発売決定!!
VIDEO
<作品情報>
【STORY】
あざやかな閃光 新たな世界の始まり―
第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)から12年。
U.C.0105――。地球連邦政府の腐敗は地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的な政策「人狩り」も行っていた。
そんな連邦政府高官を暗殺するという苛烈な行為で抵抗を開始したのが、反地球連邦政府運動「マフティー」だ。リーダーの名は「マフティー・ナビーユ・エリン」。その正体は、一年戦争も戦った連邦軍大佐ブライト・ノアの息子「ハサウェイ」であった。
アムロ・レイとシャア・アズナブルの理念と理想、意志を宿した戦士として道を切り拓こうとするハサウェイだが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと謎の美少女ギギ・アンダルシアとの出会いがその運命を大きく変えていく。
【スタッフ】
企画・製作 サンライズ
原作 富野由悠季、矢立 肇
監督 村瀬修功
脚本 むとうやすゆき
キャラクターデザイン pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
キャラクターデザイン原案 美樹本晴彦
メカニカルデザイン カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案 森木靖泰
総作画監督 恩田尚之
色彩設計 すずきたかこ
CGディレクター 増尾隆幸、藤江智洋
編集 今井大介
音響演出 笠松広司
録音演出 木村絵理子
音楽 澤野弘之
配給 松竹ODS事業室
【主題歌】
[Alexandros]「閃光」(UNIVERSAL J / RX-RECORDS)
【キャスト】
ハサウェイ・ノア 小野賢章
ギギ・アンダルシア 上田麗奈
ケネス・スレッグ 諏訪部順一
レーン・エイム 斉藤壮馬
アムロ・レイ 古谷 徹
ガウマン・ノビル 津田健次郎
エメラルダ・ズービン 石川由依
レイモンド・ケイン 落合福嗣
イラム・マサム 武内駿輔
ミヘッシャ・ヘンス 松岡美里
ミツダ・ケンジ 沢城千春
メイス・フラゥワー 種﨑敦美
ハンドリー・ヨクサン 山寺宏一
ゲイス・H・ヒューゲスト 佐々木望
©創通・サンライズ
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 公式サイト
http://gundam-hathaway.net/
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