「みどりのマキバオー Blu-ray BOX」発売記念! 犬山イヌコ(ミドリマキバオー役)×千葉繁(チュウ兵衛役)スペシャル対談[前編][『みどりのマキバオー』Blu-ray BOX特集サイト「ボックスなのね~!」]
TVアニメ25周年を記念して「みどりのマキバオー Blu-ray BOX」が7月27日に発売!発売を記念して、ミドリマキバオー(うんこたれ蔵)役の犬山イヌコさん、チュウ兵衛役の千葉繁さんのスペシャル対談が実現! 作品への参加の経緯、TVアニメ収録時の共演者との貴重なエピソードや、改めて作品の魅力について伺いました。さらに、犬山さんにはBlu-ray BOX特典の完全新作アニメ「終わらない挑戦!!」収録についてもお話いただきました。今回はロング対談の前編をお届けします!
犬山お久しぶりです。以前、スタジオの側にあるお蕎麦屋さんでお会いして以来ですね。
千葉それも随分と昔のことですよね。もはや前世の記憶ですよ(笑)。
犬山お仕事ではあまりご一緒しませんからね。ですから千葉さんとの対談はすごく緊張しますよ。
千葉いやいやいや(笑)。でも全然お変わりなくて安心しました。
鼻を垂らして「んあ」と言ってる姿を見て
「この役、絶対にやりたい!」って思いました(笑)。(犬山)
──まずは『みどりのマキバオー』への参加の経緯からお願いします。
犬山原作者のつの丸先生からご推薦いただきました。わしが出ていたラジオ番組を聴いたのがきっかけだそうです。それでオーディションを受けました。
千葉オーディションはあったんですね。
犬山いくら、つの丸先生の推薦でも、どこの馬の骨か分からない人間でしたからね(笑)。スタッフの方に聞いた話では、まずわしの事務所を探すのが大変だったそうです。そして事務所を通じてオーディションの連絡が来ました。ただ作品を知らなかったのでコミックスの第1巻を買って読んだんです。そして鼻を垂らして「んあ」と言ってる姿を見て「この役、絶対にやりたい!」って思いました(笑)。そのときは、どんな演技をしようかなんて考えませんでしたね。
千葉本当にイメージピッタリでしたからね(笑)。よくぞ犬山さんを連れて来たと思いました。実はたれ蔵を見た時の第一印象は「小汚ぇ馬だな」だったんです(笑)。ところが犬山さんの声が入ると可愛くなるんです。
犬山ありがとうございます。
──千葉さんもオーディションだったのでしょうか?
千葉そうではなかったと思います。事務所から「役が決まりました。何曜日の何時から収録です」という感じで。あと当時は収録当日まで台本がもらえない時代だったんですよ。
犬山恐ろしい時代でしたね(笑)。
千葉だから自分がネズミ役と知ったのは収録直前でした。そして「ネズミにしてはよく喋るなぁ」と思いました。
犬山ご存じなかったんですね!
千葉僕、漫画が読めない体質なので、原作も読んでいないんです。コマを読む順番が分からなくなるんです。
犬山わかります。わしも小学校まで漫画禁止だったので、漫画の読み方は下手くそでした(笑)。
千葉だから原作付きアニメの仕事が来ても原作は読まないんです。ストーリーを知るのは台本をもらってからなので、アフレコ中の瞬発力を大事にして演技をしています。先の展開も分からないので「今が勝負」みたいな感じですね。そのぶんキャラクターが今を生きている感じがして良かったと思っています。
ギャグがあるからこそ根底にある愛情が際立つんです。(千葉)
──『みどりのマキバオー』という作品からどのような印象を受けましたか?
千葉愛情たっぷりだけどギャグ満載という、真逆な要素で成り立っている作品ですね。でもギャグがあるからこそ根底にある愛情が際立つんです。そして主人公のたれ蔵君があんなに小さい体で頑張るじゃないですか。鼻の穴を広げてターボチャージャーのような勢いで(笑)。その姿を見ているうちに『マキバオー』のファンになるんです。普通に考えれば、あんな小さい馬が勝てるわけないじゃないですか。だから応援したくなるんですよ。そういう気持ちにさせてくれるのは犬山さんの声の力が大きいと思います。
犬山この作品は、自分がやっているのに観る度に泣けちゃうシーンがいっぱいあるんですよ。やはりたれ蔵の気持ちになってしまうんでしょうね。実はつい先ほど第3話までを見返していて。たれ蔵と母親が再会する話のところですね。でも母親はたれ蔵を冷たく突き放して、ショックを受けたたれ蔵が、森でリスの兄弟を見かけるんです。そのリスの兄は弟を強くするため厳しくするんですが、たれ蔵はそれを見てようやく母親の気持ちに気付くんですよ。そして母親のところに戻り「人違いでした。でも一度だけ甘えさせてください」って言うんです。そのシーンを見ていたら涙が溢れてきました。そこから、たれ蔵は競走馬として頑張っていくんです。
千葉あのシーンって根源的な感情に訴えるから、ストレートにバーンと伝わってきますよね。また、たれ蔵君がなぜ頑張れるのかを描いた原点にもなっている。僕もあのシーンには泣きました。そんな母親との別れや厩舎の経営難とか、色々なものを背負ってるからバカなことをしても成立するんですよ。そしてカスケードたち他の馬にも背負っているものがある。だからライバルたちは敵だけど悪ではないのが良いですね。そんな中でも主人公のたれ蔵君とチュウ兵衛親分は必死に生きている感じがしました。それが画面から伝わるので人気も出たのでしょう。共感できる部分も多いですからね。これが美男美女ばかり出てくる作品だったら違っていたと思います。鼻毛が出ているから良いんですよ(笑)。
──たれ蔵は普段とレース中のギャップが激しいですが、その切り替えは大変だったのではありませんか?
犬山もともと原作もギャグとスポ根が混在する作品なので、特に意識しなくても切り替えはできました。
千葉僕もネズミであることは特に気にしませんでした。意識することに意味がないですからね。「こういうときネズミならどう考える」と言っても、ネズミの気持ちなんか分かりませんからね(笑)。ただ互いの想いをぶつけたり共感し合ったりする。そのキャラクターの見た目がたまたまネズミや馬だっただけです。
──レース中にチュウ兵衛がたれ蔵の髪の毛にぶら下がったりしますが、その際の演技はどのように行っているのでしょう?
千葉舞台のように身体を使えるならまだ楽ですが、アフレコ時は体を動かすとノイズが出てNGになるんです。さらに左手は台本を持っているので、力むシーンは右手に力を込めて収録しています。だから右半身の筋肉ばかりが凝るんですよ。昔、マッサージに行った時に「なんだか右ばかり鉄板みたいになってますよ」なんて言われたことがありました(笑)。
犬山わしも台本を左手で持つんですよ。たまには逆の手で持った方が良いですね。
チュウ兵衛親分としては、共演するうちに
互いの芝居が噛み合うようになったのは嬉しかったですね。(千葉)
たれ蔵と一緒に成長したような感じでした。(犬山)
──当時のお互いの印象はいかがでした?
犬山主役が声優経験のない犬山と聞いて、「誰だ、コイツ?」とか思いませんでした?
千葉それはないですよ。犬山さんの声はたれ蔵にピッタリだったので、違和感とかはまったく感じませんでした。
犬山良かった~(笑)。現場ではそんなこと聞けませんでしたからね。
千葉そもそも現場ではあまり話さなかったですからね。現場では一人一人が自分の芝居に集中するので。
犬山わしも当時の千葉さんとお話しした記憶はないです。いっぱいいっぱいで他の人に話しかける余裕なんか無かったですし。右も左も分からなくて、源次郎役の緒方賢一さんや、勝君役の高山みなみちゃんにいろいろお世話になりました。
千葉チュウ兵衛親分としては、共演するうちに互いの芝居が噛み合うようになったのは嬉しかったですね。
犬山たれ蔵と一緒に成長したような感じでした。
千葉一生懸命だったよね。当時の犬山さんはたれ蔵みたいに一生懸命でした。
犬山良い意味でリンクしていたと思います。
千葉当時の犬山さんはキャラを演じるのではなく、そのままぶつかってゆく印象でしたね。でも収録時は絵もなかったから大変だったでしょう。
犬山そうそう、あれはビックリしました。森を走るシーンも目の前にあるのが木なのかキャラなのか分からなかったし。動きのあるシーンは本当に大変でした。
千葉でもオンエアを見ると、ちゃんと躍動感のある映像になっているんですよ。手探りでやっていた僕らの勢いを絵が上手く拾ってくれた作品でした。
犬山こっちはキャラの口が合わないのを気にするじゃないですか。でも音響監督の水本完さんは「そんなの気にしなくて良いから気持ちでやりなさい」と言ってくれたのがとてもありがたかったです。今でもこの時のことは忘れませんし、その後もずっと大切にしている言葉です。
千葉「最終的には絵を直すから大丈夫だ」と言ってくれたんです。芝居を大事にする音響監督さんなので。役者の引き出し方が上手いんですよ。厳しい時は厳しいけど、声優の感情の流れを大事にする演出家でしたね。
──犬山さんからご覧になった当時の千葉さんの印象はいかがでした?
犬山それはもう格好良かったです。
千葉本当に? 他の人と間違えてない(笑)?
犬山いやいやいや(笑)。まさに「親分」という感じでした。
千葉そう言えば、たれ蔵の「なのねん」って口調があるじゃないですか。あれが周囲に感染するんですよ。本多平七郎役の加賀谷純一さんに感染したときは面白かったですね。どんな台詞か忘れましたが、たとえば「それを、やっちゃいけないんだ!」が「それを、やっちゃいけないのねん」になったんですよ。それを真面目な顔して言うんですよ。そんなキャラじゃないのに(笑)。皆が皆、たれ蔵のオーラに巻き込まれていました。
インタビュー後編はこちら
PROFILE
犬山イヌコ(いぬやま いぬこ)
12月16日生まれ、東京都出身。アクロス エンタテインメント、劇団ナイロン100℃所属。舞台、映画、TVと幅広いジャンルで活躍。『ポケットモンスター』シリーズでは長きにわたりニャース役を務め、TVアニメや映画、OVAなど数多くの作品に出演。またバラエティ番組『ポチたま』シリーズなどのナレーション役でも活躍。ソロアルバム「東京ポーキュパインコレクション Vol.3」「inu cafe」も発表している。『みどりのマキバオー』出演時の芸名である犬山犬子から現在は改名。
PROFILE
千葉繁(ちば しげる)
2月4日生まれ、熊本県出身。81プロデュース所属。役者としての活動中に『ドカベン』で声優デビュー。以降、俳優、声優、音響監督として活躍。2000年より俳優養成所「C&O ActorsStudio」の所長も務める。『紅い眼鏡/The Red Spectacles』、『獣電戦隊キョウリュウジャー』、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』などに役者として出演。アニメの代表作は『うる星やつら』(メガネ役)、『北斗の拳』(ナレーター他)、『ハイスクール!奇面組』(一堂零役)、『幽☆遊☆白書』(桑原和真役)など。
<Blu-ray BOX 発売情報>
みどりのマキバオー Blu-ray BOX
発売日:2022年7月27日(水)
価格:¥27,500(税込)
■収録作品 TVアニメ全61話収録
■映像特典
・ノンテロップOP&ED
・GIレース名勝負ロングPV
・完全新作アニメーション「終わらない挑戦‼」(約5分)
■仕様 キャラクターデザイン・小原秀一描き下ろしインナージャケット
※EDおよび一部本編カットはアップコンバート映像となります。
※当初ハイレートSDでの収録を予定しておりましたが、HDでの収録に変更となりました。
▼みどりのマキバオー 公式Twitter
©つの丸・スタジオ将軍/集英社・ぴえろ