――全話放送を終えた今の気持ちをお聞かせください。
矢野ホッとしていますし、お届けできてうれしい気持ちなのですが、ニコラ的には「よし、行くぞ!」というところで終わり、ラストで「To Be Continued?」となっていたので、本当に終わったのかなという気持ちがとても強いです(笑)。この後のお話も観ていけたらいいなと思っています。
高橋全13話だと分かってはいたけれど「どこまでアニメになるのだろう」「これ、13話じゃ終わらない!」という気持ちで台本を読んでいました(笑)。オンエアでも「ここで終わりかー!」というところで終わって。原作通りのアニメ化で、オリジナルのエンディングじゃないところが、作品に寄り添った感じがして、いい形で13話までやれたのかなとも思っています。と同時に、知りたいよね、この続き…という気持ちもあります。
――ハガ、ニコラ、アマノ、アキラはパーティーとして旅をする仲間ですが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
矢野石川(界人)さんと2人でスタートしたアフレコが、回を追うごとに徐々に賑やかになっていきました。まさにパーティーが増えていくかのようなアフレコで、作品とリンクしているみたいで楽しかったです。
高橋私は8話からの途中参加でした。退場してしまうキャラクターも多かったので、入れ替わりの多い作品だなあという印象でした。
矢野それから、アフレコ収録後のある打ち上げで原作の左藤真通先生と食事をした時に、不思議な会話をした記憶があります。
高橋あっ!インボイス!?
矢野作品の話ではなくインボイスの話から始まって、左藤先生からキャストへの取材になるという(笑)。
高橋私は遅れてその場に行ったのですが、着いたらなんだかインタビューみたいなのが始まっていて、左藤先生がハガちゃんみたいにめっちゃメモしてて笑ってしまいました!
――「モーニング」31号に掲載された左藤真通先生の描き下ろし特別企画、ルポ漫画『このふかの制作現場に潜入せよ!』の取材を兼ねていたと伺っています。
高橋どうして声優になったのか、どんなところに声優の仕事の楽しさを感じているのかとか、先生が熱心に訊いてくるので、こっちも楽しくなってペラペラ喋っちゃいました(笑)。先生のメモする姿を見て、ハガちゃんはこの方だから生まれたんだなと思った記憶があります。妃菜喜ちゃんの芸歴とかも聞くことができて楽しかったです。
矢野同業の方のお話、どうして声優になったのかなどを聞く機会ってなかなかないので、私自身も貴重なお話を聞くことができてすごく楽しかったです。
――左藤先生からの面白い質問はありましたか?
高橋ありました! 「アキラの登場時のポーズって古臭いですか?」って訊かれました(笑)。
――どう答えたのでしょうか?
高橋自分を解放している性格のアキラにはピッタリと思っていたので、「個性が詰まっている立ち姿ですし、華やかさも感じる好きなコマです」と伝えました。あのポーズに合わせるようなトーンで声をあてられたらという思いでアフレコに臨んでいたこともお伝えして。
――左藤先生の反応は?
高橋ハガちゃんみたいな反応でした(笑)。もしかしたら、自問自答を繰り返すタイプなんでしょうかね。
矢野左藤先生がいろいろと質問してくださるので、たくさん喋った記憶はあるのですが、私の記憶力が…(笑)。
高橋確かにああいう席ってノリで話しちゃう瞬間も多いから、忘れてることも多いです(笑)。でも、左藤先生が楽しそうだったことと、話の振り方がインタビュアーさんのように上手だったことがすごく記憶に残ってるかな。
矢野私は収録後の打ち上げで食事をするみたいな機会もすごく久しぶりだったので、探り探りな感じもあってそっちに気を取られていたから記憶に残ってない部分も多いのかも(笑)。
高橋みんなで一緒にアフレコするのも久しぶりだったので、椅子の探り合いも発生したりして面白かったよね。
矢野たしかに。やられる(倒される)側の方々と収録して、「お疲れ様でした」を繰り返していた感じ。
高橋私は手を下す側だったので。キャストさんの出番を終わらせた側からの「お疲れ様でした」が言いにくいという…。
矢野(笑)
高橋だって、社長とか「俺には嫁と子供がいる」ってフラグみたいなセリフも言ったりするから。いろいろな人と会えて楽しいアフレコだったけれど、送り出しの時の気持ちはちょっぴり複雑でした(笑)。
――パーティーものでは職業がキャラクターの個性と大きく結びつきますが、個人的にやってみたい職業はありますか? どんなアバターがいい!など具体的に取り入れたいビジュアルや装備のこだわりなどがあれば教えてください。
矢野ビジュアル的にはアカネがすごく好き。アマノがかわいいなと思っていたところにアカネが現れて「大好き!」って思いました。アバターにするなら種族はフェザーがいいです。職業的には魔法使いが一番使い勝手がよさそうかな。前にも出れるし、サポートもできそうだし、選択肢が広い気がします。何でもできそうだし、何にでもなれそう!
高橋エルフにしか聞こえない笛はめちゃくちゃ便利そうだし、一回やってみたいんですよね。いわゆる美しいと言われるジャンルの種族を。スタイルもいいし、リーチが長いと戦闘でも強い気がするので。私はエルフを希望します。職業…、たしかに魔法使い、いいね。私はスナイパーでお願いしたいです。己の能力一本だけでやる、みたいなのってかっこいいと思うし、なってみたいなって。
――お互いに似合いそうな役、こんなキャラを演じるところを見てみたいというのはありますか?
矢野李依さんのテスラが見たいです! 李依さんは明るい声の印象があるんですけれど、アキラの落ち着いて達観した感じの声を聞いて、どんな解釈でテスラをやるのか聞いてみたいと思いました。私の場合はニコラも残しつつを意識したのですが、テスラは演じる人によっていろいろな解釈がありそうなので、李依さんバージョンも聞いてみたいです。
高橋面白いかも。職業で言えば、たとえば声のイメージを僧侶寄りにするのか、賢者寄りにするのかでもだいぶ変わってくるような気がします。多分、どっちもテスラっていう存在にはハマりそうだとも思うし。人によってというのはめちゃくちゃあると思うから、たしかに面白いなって思います。私はダメージボイスがすごく好きなので。一番ダメージを受けそうな武闘家になってもらって、妃菜喜ちゃんのダメージボイスを浴びたい!
矢野浴びたい(笑)。
高橋芝居の上手い人って受けもめちゃくちゃ上手いんですよ。そういう意味でも、殴られた時にどんな声を出すのか、それが味わえるのは武闘家かなって。かなり個人的願望が入っているリクエストで申し訳ないけれど(笑)。仕事と実益と趣味が一緒になってしまっているので。
――大事です(笑)。ちなみにお2人にはパーティーもので活かせる強みはありますか?
矢野体力には自信があるので、体力を活かせること…と考えると、李依ちゃんが言ったように武闘家が向いているかも(笑)。受けのお芝居頑張ります!
高橋アハハハ。私はめちゃくちゃ掃除が得意なので、メイドさん的な、お婆ちゃん的な感じかな?
矢野片付け、お掃除、ありがたい!
――旅をしていく仲間で、いてほしいタイプについてお聞かせください。最初にパーティーとして選びたいキャラクターは誰ですか?
高橋この作品、問題児が多いからなぁ。
矢野(笑)
高橋ってなるとハガちゃんがいいのかな。でも10日で行ける道を1ヶ月かけたりするのは、せっかちな人には厳しいですよね。神林さんとかについていくのもいいかな。ちゃんと意図があるから計画通りに進めそうだし。キャラとしてならやっぱりアカネ。みっこ(新井里美)さんボイスで喋ってくれるアカネちゃんがいたら絶対元気になれる! 一緒にフルーツ牛乳飲みたいなぁ。お茶しながらのんびりと進みたいです。楽しいパーティー希望です。
矢野私はアキラさんがいい。なんといっても料理が上手い。ウザイ時もあるかもしれないけれど、結構肯定してくれるところがいいなって。このゲームの世界では精神崩壊している方が多いので(笑)。アキラさんはメンタル的な面で味方になってくれそうだし、シンプルに強いので、めちゃくちゃ頼れそう。あと、エルフの笛。強いなって思うので味方につけたいです。
――全話を通してのお気に入りのシーンを教えてください。
矢野レンとアカネがハガたちの旅の苦労を知って「よく頑張りました!」というシーン、あの一連の流れが大好きです。ニコラのシーンなら「ただの村人ニコラ!!!」って叫ぶところがお気に入りです。
高橋アキラが出ているところだと、お料理対決のようなコミカルな日常シーンが好きです。箸休め的な感じもあって、テンポもよく、キャラたちの楽しい会話が聞けるところが、アニメでの楽しみのひとつになっていたので。アキラのシーン以外だと、最終話のニコラの目つきがめっちゃ好きです。ハガさんたちを信じて行くぞ!という感情が詰まっているエンディング前、Bパートの終わりが最高です。立ち上がるところまでの流れがたまりません。
矢野言われて気づいたんですけど、あのシーンはテスラではなく初めてニコラで食べ物を食べているシーンなんです。
高橋なるほど! 落ちたサンドイッチを生きるために食べる姿。土臭い魂のようなものを感じてすごくかっこよかった。食べ方から意志が伝わってきて、頑張れ!っていう気持ちになったシーンです。
矢野うれしい!
――ニコラとテスラの話が出たところで。矢野さんに伺います。2つの人格を演じるにあたり、役作りで気をつけていた点を教えていただけますか?
矢野ニコラはこの世界のNPC、村人ということで、すごく素朴な女の子を演じようというのが根底にありました。素朴でこの村のことしか知らないからこそ、新しいことに興味津々。好奇心旺盛な姿を素直に演じようと意識していました。テスラはメタAIなので、ニコラとは正反対。全てを分かっているくらいの存在なので、分かっている感をイメージしながら演じました。あとは2人が似ないようにとも意識しました。
――やりがいがあったシーンや大変だったシーンはありますか?
矢野シンプルに楽しかったのは、ニコラが牢屋の中で出して欲しいと必死に叫ぶシーン。アフレコしながら自分でもうるさいと思ったくらい、泣きながら叫びました(笑)。門番に向かって「出してください!」って叫ぶのですが、門番の声が聞こえなくなるくらいの音量で泣き叫びました。すごく楽しかったです。テスラは普段はあまり使わない、自分的には低めのトーンで喋っていたのもあったし、世界の説明をしたりもするので、キャラを守りつつ説明をして、さらに分かってる感も出しつつ…ということで全体的に難しかったし、苦戦しました。
――高橋さんはいかがですか? アキラは人懐っこい部分がある反面、命を脅かす存在が現れた時には冷酷な一面も見せていて興味深かったです。
高橋女性的にしてほしいというリクエストがあって。自分で考えていたよりもちょっといい女感、気持ち盛るくらいの感じでいい女感を意識して出していました。全体的に表現を盛っていくと、押しの強さも出る。その圧がほしいとも言われたので、足し算でのお芝居が多かったですね。そうすることで、冷静な判断をした時とのギャップも大きくなるし、シビアな説得力に繋がるのかな、なんて思っていました。
――キャラのタイプは違えど、演じる際にはお2人とも“ギャップ”がポイントになっていたようですね。
矢野本当だ!
高橋たしかに!
――高橋さんの演じていて楽しかったシーンも教えてください。
高橋杉田(智和)さんとキスができたことですかね(笑)。
――レンとですね(笑)。
矢野(笑)
高橋そうそう、レンとです(笑)。開放感や安寧のためにする行為の一環、なんていうのかな…。
――リラクゼーション?
高橋それです! リラクゼーション効果を得るためのキスにこだわらせていただきました(笑)。ハガちゃんたちのリアクションのおかげで、恥ずかしいけれどなんか見ちゃうみたいな、引力のある心地よさそうな感じは出ていたんじゃないかなと思います。すごく楽しかったです。
――今回のBlu-ray BOXには怪談をテーマにしたドラマCDも封入されています。お2人は怖い話は得意ですか?
矢野得意ではないですが、好奇心で聞いたり、観たりしちゃいます。今回は怖がる側だったけれど、怖がらせる側も楽しそうだし、キャーキャー怖がらせられたら面白いだろうなって思っていました。
高橋怪談を語る時って、聞き手が自分の話に耳を傾けてくれるし、表情が変わるのも手に取るように分かってすごく気持ちいいと聞いたことがあります。怪談を制することができたら、声の表現者としてひとつ高みに行ける気がするので、得意になりたいとは思います。怖いけれど、私も話を聞くこと自体は大好きです!
――全話を通して感じたTVアニメ『このふか』の魅力を教えてください。
矢野ゲームの世界の話だけど、人間ドラマの話だとも思っています。デバッガーである本当の人間と、NPCが関わった時にどう変化していくのかがすごくリアル。だからこそ人間ドラマがどんどん生まれていくんだろうなと思っています。シリアスな展開も結構多い中、挟まれるギャグシーンから生まれるテンポ感のよさも『このふか』の魅力だと思います。
高橋私が『このふか』を誰かにおすすめする時に言っていたのが、「分からないまま観てほしい」ということ。この世界はどうなっているんだろうとどんどん知りたくなるんですよ。知りたいことだらけなんだけど、まずは目の前の“どうするんだろう”に集中させてくれる辺りが上手く構成されていて、ずっとシナリオを追いたくなる。解決要素も面白い作品だなと思っています。
――Blu-ray BOXで作品をリピートする方へのおすすめポイントもぜひ!
矢野ゲームの世界だと分かった上でハガさんの行動理由が分かるし、やっぱりハガさんってデバッグ馬鹿なんだと改めて感じながら観るのも楽しいと思います。もし自分が同じ状況に置かれたら…などと考えるのも面白いんじゃないかな。
高橋ゲームキャラだと意識した上で、キャストさんたちのお芝居を楽しむのもおすすめですね。ポーカーの会場に行った時のNPCの人たちをはじめ、いわゆる“ゲームっぽい喋り方”をやっていて。皆さん細かいお芝居でこの世界を巧みに構成していたりするので、注意して観ていただくと、さらに楽しめる要素だと思います。
――最後にファンのみなさんへのメッセージを!
矢野原作を読んでいる身としては、アニメでもこの先の展開が観たいと思っています。演じてみたいという気持ちもあるので、作品を観て『このふか』の面白さを広めていただければ嬉しいです。
高橋原作ではこの先の展開がヤバいんです(笑)。演じてみたいシーンがたくさんあるので、Blu-ray BOXを手にとっていただき、原作共々、周りに布教するという方向での温かい応援をよろしくお願いいたします!
PROFILE
矢野妃菜喜(やのひなき)
3月5日生まれ、兵庫県出身。声優としての主な出演作は、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』高咲侑役、『ウマ娘プリティーダービーSeason3』キタサンブラック役、『変人のサラダボウル』サラ・ダ・オディン役、『逃げ上手の若君』雫役など。ニューシングル「キミといた夏を」をリリースし、11月3日(日)にワンマンライブを開催する。
PROFILE
高橋李依(たかはしりえ)
2月27日生まれ、埼玉県出身。『【推しの子】』アイ役、『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア役、『からかい上手の高木さん』高木さん役、『この素晴らしい世界に祝福を!』めぐみん役などを担当。10月放送のアニメ『歴史に残る悪女になるぞ』ではジル役を務める。
『この世界は不完全すぎる』作品情報
配信
「ABEMA」に加え、2024年10月5日(土)12:00より各配信サービスにて順次見放題配信開始!詳細は下記配信サービスよりご確認ください!
■見放題配信
配信開始日:2024年10月5日(土)12:00~
・ABEMAプレミアム
※7月5日(金)より好評配信中!
・アニメタイムズ(Amazon Prime Video チャンネル)
・アニメ放題
・dアニメストア
・DMM TV
・バンダイチャンネル
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※配信開始日時・配信期間は配信サービスによって異なる場合がございます。
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≪発売日≫2024年11月27日(水)
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©左藤真通・講談社/『この世界は不完全すぎる』製作委員会
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