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「名作ヒストリー」『舞-乙HiME』[特集サイト「プレイバックエモーション」]

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 夜空に浮かぶ巨大な月からカメラがゆっくりと下りてくると、炎に包まれた城と逃げ惑う人々の姿が現れる。その暗闇にぬっと現れる不気味な怪物。「姫を捜せ!」と叫ぶ男に続いて、カメラは侍女らしき女性の姿を捉え、林を抜けた彼女は幼子の入ったかごを密かに川に流す。……そこから場面は切り替わって、14年後。どこまでも続く砂の海が現れると、マントを被った行き倒れの少女の横を、巨大な客船がゆっくりと通り過ぎる。透き通った青空には、クーラックと呼ばれる白い綿毛のような生き物の群れ。そのファンタジックな風景に、人々の目は自然と奪われる……。
 前作『舞-HiME』の放映終了から約半年後の2005年10月にスタートした「舞-HiMEプロジェクト」の第2弾『舞-乙HiME』は、いわゆる「続編」とは異なる、ユニークな位置づけのオリジナルアニメだ。現代日本をベースにした『舞-HiME』に対して(前述した導入からもわかる通り)本作で採用されているのは中世ヨーロッパ風の舞台設定にSFの要素を採り入れたハイブリッドなファンタジー世界。タイトルにもある「乙HiME(オトメ)」は王族や大統領など、要人の警護やアドバイザーを務める存在なのだが、ナノマシンによって強化されたその身体能力は、一国の軍事力に相当するとも言われている。いかにもファンタジー的な意匠と、ナノマシンのようなテクノロジーが「失われた技術」として同居する世界観(物語が進むにつれて、舞台となっている「惑星エアル」が遥か昔に地球から渡ってきた移民たちの星であることが判明する)もまた、本作の大きな魅力だ。

舞-乙HiME場面1

 いわば世界観やストーリーを一新し、まったく新しい構想のもとで制作されたのが、この『舞-乙HiME』ということになるのだが、面白いのは『舞-HiME』のキャラクターが、前作とは異なる役割と関係性で登場するところだ。前作に続いて監督を務めた小原正和は、インタビューでこう話している(※)。
「続編をやるとしたら、ストーリーは完全に別物で、同じキャラクターを出すにしても、そのポジションをアナグラムのように入れ替えていこう、というアイデアはありました。(中略)要するに、キャラクターを女優に見立てて、ひとつの劇として成立させるんだというコンセプトですね」

 「アナグラム」という監督の表現は、じつに言い得て妙。例えば、前作のメインキャラクターのひとりである玖我なつきは、本作では主人公たちが通うオトメ養成学校・ガルデローベの学園長、ナツキ・クルーガーとして登場し、そんなナツキを支える補佐役、シズル・ヴィオーラとして前作の藤乃静留が現れる。ほかにも、前作ではヒーローオタクな熱血漢だった杉浦碧がこちらでは「呪われた民」として人々から忌み嫌われている集団・アスワドの頭領として出てきたり、はたまた前作の主人公・鴇羽舞衣(と美袋命=猫神様のミコト)が物語に決定的な契機をもたらすキャラクターとして登場したり。本作だけでも単独の作品として十分に楽しめつつ、前作を知っていれば「あのキャラがこっちではこんな役回りに!?」と、また違った角度で楽しめるのが『舞-乙HiME』のユニークなゆえんだ。

舞-乙HiME場面2
舞-乙HiME場面3

 そんな具合に、前作から引き続き顔を見せる華やかなキャラクターたちに囲まれつつ、本作はオトメになることを夢見る主人公、アリカ・ユメミヤと仲間たち――ガルデローベという乙女の園に集う少女に襲いかかる試練と運命を、ドラマティックに追いかけていくことになる。
 アリカは、ガレリアという辺境にある自由国境区から、生き別れた母親の手がかりを求めて、ガルデローベにやってきた少女。そこで彼女は、かつて孤児だったところをアルタイ公国の武官、セルゲイ・ウォンに拾われ養子となったニナ・ウォン、そしてガルデローベのあるヴィントブルーム王国の王女、マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルームと運命的な出会いを果たす。

舞-乙HiME場面4

 ひょんなことから、オトメとして契約を交わすことになるマシロとアリカ。その一方で、養父のセルゲイに心を寄せるニナと同じくセルゲイに心惹かれるアリカの間に生まれる、切ない恋とかけがえのない友情……。アリカとニナ、マシロの3人を軸に綴られていくストーリーは、恐るべき力を持った「オトメ」という存在がはらむ謎をめぐりつつ、次第に世界全体を巻き込む戦いへと視聴者をいざなっていく。
 わがままいっぱいに育てられた一方で、自分が本物の王女ではないのではないかと思い悩むマシロ。セルゲイへの恋慕のあまり、思いがけない運命に直面することになるニナ。そして、オトメをめぐる真実を知るなかで深く傷つくアリカ。3人の運命が鋭く交差し、世界全体を揺るがす大事件へと発展していく終盤の展開は、まさにドラマティックのひと言。「かわいい」だけでは決して終わらない、熱く燃えるクライマックスは、きっと観る人の心を掴んで離さないはずだ。

舞-乙HiME場面5

(※)週刊少年チャンピオン編集部・編『舞-乙HiME アニメパーフェクトガイド』、秋田書店、2006年

文:宮 昌太朗

 


<イベント情報>
上映イベント「舞-乙HiME ~20周年記念同窓会~」

【日程】2025年11月16日(日)
【会場】新宿ピカデリー
【実施時間】15:00の回(上映後にトークショー実施)
【登壇者(予定/敬称略)】菊地美香(アリカ・ユメミヤ役)、ゆかな(マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム役)、南里侑香(ジュリエット・ナオ・チャン役)、古里尚丈(司会)
【チケット料金】全席一律4,000円(税込)


<Blu-ray BOX情報 >

◆「舞-HiME」&「舞-乙HiME」 20th Anniversary Blu-ray BOX(特装限定版)」◆

【商品概要】
発売日:2026年2月25日(水)
品番:BCXA-2011
価格:52,800円(税込)/48,000円(税抜)
スペック:カラー/本編約1430分+映像特典約370分/リニアPCM(ステレオ)・一部ドルビーTrueHD(5.1ch) /AVC/BD50G×10枚/4:3<1080i High Definition>・一部16:9<1080i High Definition・1080p High Definition>/英語字幕付(ON・OFF可能)

※日本語音声のみを収録
※英語字幕は「舞-HiME」「舞-乙HiME」の本編のみ収録
収録内容:「舞-HiME」全26話、「舞-乙HiME」全26話、「舞-乙HiME Zwei」全4話、「舞-乙HiME 0~S.ifr~」全3話
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス
※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。

【映像特典】
NEW!!▶「舞-HiME ~20周年記念同窓会~」トークショー(夜公演/2024年11月3日開催)
NEW!!▶『舞-HiME』20周年記念PV~Shining☆Days~ver & ~君が空だった~ver
NEW!!▶『舞-乙HiME』20周年記念PV~Dream☆Wing~ver & ~乙女はDO MY BESTでしょ?~ver
※下記特典は、既発商品からの再録となります。
「舞-HiME」
▶アニメ「黒の舞/最後の晩餐」, DVD各巻収録特典アニメ(全26話), 第15話「天翔ける ミ☆ 女子高生」(エンディングノンテロップ版), 第26話「shining☆days」(ディレクターズカット版), ノンテロップオープニング「Shining☆Days」, ノンテロップエンディング「君が空だった」, 各種プロモ映像(プロモーションビデオ 15秒ver.×7種類/プロモーションビデオ 30秒ver.×9種類/プロモーションビデオ 90秒ver.×5種類/プロモーションビデオ 2004春ver./プロモーションビデオ 2004 夏ver./プロモーションビデオ 2004冬ver./キャラクターPV「小さな星が降りる時」/キャラクターPV「進め!愕天王」/キャラクターPV「片恋艶花」/キャラクターPV「Parade」), 「舞-HiME 対 舞-乙HiME 萌え?史上最大の決戦!」, 一気見次回予告

「舞-乙HiME」
▶ピクチャードラマ「乙女の祈り」, DVD各巻収録特典アニメ(全9話), 第26話「Dream☆Wing~夢の在処~」(アバンタイトル&エンディングノンテロップ版), ノンテロップオープニング「Dream☆Wing」, ノンテロップオープニング「Crystal Energy」, ノンテロップED「乙女は DO MY BEST でしょ?」, 「舞-乙HiME」DVD CF集, 一気見次回予告, マテリアライズコレクション, ユメミヤ・アリカデビュー, 「Believe~永遠の絆~」ミュージュククリップ, 「storm」ミュージッククリップ, 舞-乙HiME 総集編 ~夢のアリカ~

「舞-乙HiME Zwei」
▶ノンテロップED「乙女は DO MY BEST でしょ?2007ver.」, 舞-乙HiME Zwei総集編~夢のツヅキ~

「舞-乙HiME 0~S.ifr~」
▶「舞-乙HiME0~S.ifr~」特報, ノンテロップエンディング「Finality blue」「Heart All Green」「ここにあったね」


<書籍情報 >

設定資料集『舞-HiME』&『舞-⼄HiME』 20th Anniversary Book

【商品概要】
発売日:2026年2月25日(水)
受注締切日:2025年12月28日(日)
価格:12,000円(税込)/10,909円(税抜)

仕様:冊子(A4縦判型・2冊/600ページ以上予定)、三方背BOXケース付き
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス

【収録内容】
Vol.1:ポスター・KV・版権イラスト集
Vol.2:設定資料集【キャラクター/チャイルド/オーファン/美術/カラー設定/絵コンテ(OP,ED)など】
※一部収録内容が変更になる場合があります。

【三方背BOX】
久行宏和(キャラクターデザイン)新規描き下ろし

【受注概要】
A-on STORE(バンダイナムコフィルムワークス公式通販サイト)やプレミアムバンダイ他にて受注中!
▶受注期間:2025年9月19日(金)11時 ~ 2025年12月28日(日)23時59分予定
▶お届け:2026年2月25日(水)以降を予定

A-on STORE・プレミアムバンダイでの2商品同時購入特典は新規録り下ろしドラマCD!

A-on STORE・プレミアムバンダイにて、同時発売の「「舞-HiME」&「舞-乙HiME」 20th Anniversary Blu-ray BOX」「『舞-HiME』&『舞-乙HiME』20th Anniversary Book」の2商品を一緒に予約・購入いただいた方に、新規撮り下ろしドラマCD「もえろ!メイドのおもてなし♡」をプレゼント!
吉野弘幸(脚本)と古里尚丈(プロデューサー)監修のもと、『舞-乙HiME Zwei(ツヴァイ)』のその後、『舞-乙HiME』の「いつかのあの日」の様子をお届け!

【ドラマCD出演予定】※敬称略
菊地美香(アリカ・ユメミヤ役)、小清水亜美(ニナ・ウォン役)、ゆかな(マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム役)

◆A-on STORE特設ページ:https://a-onstore.jp/shop/my-hime-20th/


「舞-乙HiME」シリーズ 公式サイト
https://www.my-zhime.net/

「舞-乙HiME」シリーズ 公式X
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