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完全新作劇場版『ガールズ&パンツァー 劇場版』岩浪美和×小山恭生×山口貴之スタッフ座談会全文掲載

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観客動員110万人&興行収入19億円を突破(※2016年4月22日現在)した大ヒット映画『ガールズ&パンツァー 劇場版』。そんな本作の大きな魅力の一つとなっている“音響”に携わった音のスペシャリストたちを直撃。音響監督の岩浪美和さん、音響効果の小山恭生さん、録音調整の山口貴之さんの3人に劇場版の音の魅力、さらには劇場版をパッケージ化するにあたっての苦労やポイントなどの話を伺った。ここでしか聞けない裏話満載のスタッフ座談会はファンならずとも見逃せない!

劇場版について

劇場版でしか体験できない迫力のある音響になっている

岩浪 TVシリーズと劇場版の間にOVA「これが本当のアンツィオ戦です!」があって、これは2.1chのものを機械的に広げて4.1chにしました。そのあと劇場版があり5.1chで制作するということは決まっていたので、間を取る仕様にしたんです。小山くんと山口くん、劇場版は何が大変だった?

山口 ちゃんとセリフを聴かせることですね。でも、当たり前だけど難しい。

小山 劇場版もTVシリーズと変わらず、絵に合わせていけば迫力のある音になるんです(笑)。劇場版は5.1chになってスピーカーが増えている分、大きい音、迫力ある音を全部入れることができます。

山口 作品の音の軸はやはり台詞なんですね。だから効果音の迫力を保ちながら、いかにクリアなセリフを聴かせるかに留意しました。

小山 そのあたりの整理が一番大変でしたね。

山口 ダイナミックレンジ(小さい音から大きな音の幅)を大きく取ることによって、劇場版でしか体験できない迫力のある音響になっていると思います。

岩浪 あと、クライマックスシーンは小山くんのせいで音楽がなくなったんです(笑)。

小山 その現場には山口さんがいて、あと水島(努)監督もいたんですけど、その時に水島監督が「セリフがいっぱいあるんです」と仰っていて、僕が「セリフがたくさんあったら効果音出せませんよ」って言ったら、水島監督が「じゃあ、削ります」みたいな(笑)。ついでに音楽もなくしますってなったんです(笑)。

岩浪 実を言うと、TVシリーズの最終話も劇場版のクライマックスと同じような演出をしているんです。みほとまほの一騎打ちのところはセリフがほとんどなくて、あの時は音楽を付けたんですけど。通常、映画の場合、音楽は絵コンテが上がってから発注し、映像にあわせて作るんですが、今回は諸々の事情でそれが難しくなり、水島監督の方から作曲家の浜口(史郎)さんに「こういう音楽が必要です」って注文して頂きました。最終的に映像が上がってきたところで、選曲作業は僕がして、こんな感じでどうですか?って、絵に音楽を付けて水島監督にお見せしたら、あのクライマックスのシーンで「ここは音楽いらないです。小山さんがいらないって言ってたんで」って(笑)。

山口 水島監督は「絶対に音楽を付けるな」って、小山さんに言われたって仰っていましたよ(笑)。

岩浪 結果的には正解だったと思います。ただ、あれだけの金属と爆発と発砲の物量があって、それだけしか聴こえないって結構不安だったでしょ?

小山 結局のところ全部が全部金属で、それ以外の音で勝負できないので大変でしたね。魔法とか出てきてくれたら楽だったんですけど(笑)。他の作品だと流背という流れる背景で、それに音を付ければ派手になったりするんですけど、『ガルパン』はその手の省エネな演出が全くないので、音も逃げられないんです。

岩浪 映画らしい迫力を保ちつつうるさくなく魅力的な音を作るか? あのシーンは効果音が音の主役ですよね。

小山 良い映像があったからこそ音も評価して頂けたんだと思います。

パッケージについて

テレビよりもちょっと良いスピーカーがあれば十分楽しめます

岩浪 今回発売されるBlu-rayには5.1ch音声で収録されますが、どういった状態で収録されるのか、山口くん説明してくれますか?

山口 劇場に納品している音声が非圧縮でそのまま入ります。ただ、それを家で劇場と同じように再生するとなると一苦労でして(笑)、まず何よりも大きい音が出せる環境が必要ですし、大きい音に耐えられるスピーカーやAVアンプも用意しなくてはいけないですが、テレビよりもちょっと良いスピーカーがあれば十分楽しめると思います。

岩浪 環境が許すのであれば、ベストなのは安価でもいいので、5.1chの音響再生装置を揃えて頂くことですね。もし、あまり大きい音を出せないという方は、これは裏技ですが、5.1chのスピーカーを自分の周りに置いてもらうと良いかもしれません。実はコレ、僕もやってみたんですけど、自分の近くにスピーカーを置いてサブウーファーを目の前に置くとかなり良いですよ(笑)。主観の弾をかすめるシーンなんかはすごくリアリティがあります。音響的には決してオススメできる置き方ではないですけど、この作品に限ってはそれもアリかなと(笑)。これだったらそんなに大きな音を出さなくても大丈夫なので。ただ、くれぐれもご家族やご近所に迷惑にならない音量でお楽しみください(笑)。また、今回の劇場版Blu-ray特装限定版には5.1chの再生装置がなくてもヘッドフォンで映画館と同じような迫力の立体音響が楽しめる「DTS Headphone:X™」(※注)という技術を使った音声を収録しています。

山口 「DTS Headphone:X™」がどういう技術なのか簡単に説明すると、ヘッドフォンで聴く場合、本来ならば左耳と右耳ステレオの平面な音しかないはずなのに、自分の前と後ろにもスピーカーがあるうように聴こえるというものなんです。ただ特殊な音声ファイルなので、パソコンなどでは再生できない場合がありますのでご注意ください。とはいえ、通常のBlu-rayの再生機であれば大丈夫ですのでご安心ください(笑)。

岩浪 そういうことですので、ちょっと質の良いヘッドフォンを用意して頂くと、かなり劇場に近い、むしろ音源的には耳に近いので、劇場とはまた違った形の音の迫力が立体感を伴って楽しんで頂ける仕様になっております。Blu-ray特装限定版をお買い求め頂ければ体験できますので、発売まで楽しみに待っていてください。

(※注)DTS Headphone:X™とは?
今までモバイルデバイス上で不可能だった、息を飲むような迫力と空間的特徴を備えた音、映画、ゲームをヘッドホンで体験できる、他に類のない新しいテクノロジーです。リスナーはまるでスタジオのミキシングチェアに座っているかのように上下左右からの音を市販のヘッドフォン、イヤフォンを装着した状態で体験できます。
PROFILE

岩浪美和(いわなみよしかず)
ミキシング・エンジニア、映像演出を経て音響監督に。音響監督として手掛けた作品には『キルラキル』『ソードアート・オンライン』などのヒット作が並ぶ。

PROFILE

小山恭生(こやまやすまさ)
フリーで音響効果を手掛ける。主な担当作品に『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ』『シドニアの騎士』『アルスラーン戦記』などがある。

PROFILE

山口貴之(やまぐちたかゆき)
本作『ガールズ&パンツァー』では録音調整を担当。『SHIROBAKO』ではサウンドミキサーを、『テラフォーマーズ リベンジ』では音響監督を担当している。

 <Blu-ray&DVD発売情報>

ガールズ&パンツァー 劇場版
2016年5月27日発
Blu-ray特装限定版:¥9,800(税抜)
Blu-ray通常版:¥7,800(税抜)
DVD:¥6,800(税抜)

<イベント開催情報>

ガールズ&パンツァー 第2次ハートフル・タンク・カーニバル(仮)
<開催日>
2016年8月28日(日)※開演時間未定
<会場名>
パシフィコ横浜 国立大ホール
<料金>
有料(料金未定)
<イベント内容>
本イベントは『ガールズ&パンツァー』の集大成イベントです。シナリオ書きおろし生サウンドドラマや、アーティストによるライブなどを予定。
<参加申し込み方法>
2016年5月27日発売の『ガールズ&パンツァー 劇場版』Blu-ray特装限定版に、本イベントの「イベントチケット優先販売申込券」を封入致します。チケット販売のスケジュール他、詳細は公式サイトなどで随時お知らせします。
<出演者>
■CAST
渕上舞(西住みほ役)、茅野愛衣(武部沙織役)、尾崎真実(五十鈴華役)、中上育実(秋山優花里役)、井口裕香(冷泉麻子役)、高橋美佳子(小山柚子役)、植田佳奈(河嶋桃役)、吉岡麻耶(近藤妙子・アンチョビ役)、桐村まり(河西忍役)、中村桜(佐々木あけび役)、仙台エリ(カエサル役)、森谷里美(エルヴィン役)、井上優佳(左衛門佐役)、大橋歩夕(おりょう役)、竹内仁美(澤梓役)、中里望(山郷あゆみ役)、多田このみ(阪口桂利奈役)、山岡ゆり(宇津木優季役)、秋奈(大野あや役)、山本希望(ナカジマ役)、石原舞(スズキ役)、葉山いくみ(ねこにゃー役)、倉田雅世(ももがー役) 他
■ARTIST
ChouCho(主題歌アーティスト)
※出演者や内容は、予告なく変更となる可能性がございます。

ガールズ&パンツァー 公式サイト

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