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阪口大助&渡辺久美子の間「教えて!マイブーム」全文掲載

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連載企画「声優の間」では、人気声優に今ハマっていることやマイブームについてお聞きしながら、ご自身が出演されたバンダイビジュアル作品についても語って頂くコーナーです。第2回は、Blu-ray Box I の発売が7月24日に迫る『機動戦士Vガンダム』より、阪口大助さんと渡辺久美子さんのお2人です。

──いよいよ『機動戦士Vガンダム』がBlu-ray Boxで発売されますが、ご自身にとってどんな作品ですか?

阪口 自分にとって本格的な声優デビュー作が本作だったので、今の僕の全てなのかもしれないですね。本当に僕の声優としての根本を作って頂いた作品だったと思います。富野(由悠季)監督もそうですし、音響監督の浦上(靖夫)さんが本当に丁寧にお芝居をつけてくださって、こうして自分が今ここにいられるのも、その時の皆さんの力があってこそのことなので、本当に感謝しかないですね。

渡辺 あの頃は女性キャラクターを演じたことがほとんどなかったので、私自身は新鮮な気持ちで演じることができました。ただ、先の話がどうなっていくのか分からないまま演じていたので、キャストたちは毎回アフレコスタジオで自分のやるべきことをとにかく全力でやるしかないという感じでした。今だったら、キャラクターの役割において力の入れ具合を考えながら演じたりもするんですけど、当時は本当に、常に全力でその役にぶつかっていましたね。

──当時を振り返って思い出に残っているエピソードなどがあれば教えてください。

阪口 楽しかった思い出しかないですね。スタジオは本当に楽しくて、逆に賑やかすぎて怒られるくらいでした(笑)。世代が近い人が多かったというのもあるかもしれませんが、今考えると学校みたいな雰囲気でしたね。

渡辺 当時はプロ意識が低かったというか。もちろん演じている時は一生懸命なんですけど、その反動なのか、休憩時間は本当に騒がしくて(笑)。

阪口 とてもシビアな作品だったので、抜くところは抜かないとみたいなことはあったかもしれないですね(笑)。

渡辺 あと印象に残っているのは、とにかく人が多い現場で、スタジオに入り切らないくらいでした。スタジオで体育座りしている人もいて、学校の朝礼みたいな、部活の集まりみたいな感じでしたね。

[V-STORAGE online 限定]──収録を重ねていく中で手応えみたいなものは感じていたのですか?

阪口 手応えというよりも、僕の場合は逆に危機感が高まったというか、今のままではマズイなっていう気持ちになりましたね。音がついて、映像がついて、実際に放送された作品を観て「全然足りてない」って。もっと声を出すところは出さないと駄目だなって、自分の中で途中から物凄く意識が変わりましたね。


[V-STORAGE online 限定]──阪口さんは本格的な声優デビュー作品が本作になりますが、当時は相当のプレッシャーがあったのではないですか?

阪口 小さい頃から観ていた作品でしたし、僕自身も『ガンダム』に出たくて声優になったんです。でも、周りの人から「『ガンダム』に出れて嬉しかった?」って良く聞かれるんですけど、嬉しいなんていう感情は当時ほとんどなかったですね。とにかく吐きそうなくらい緊張して、どうすれば良いか分からなかったんです。アフレコにしても、台本の持ち方やチェックの仕方はもちろん、マイクワークも当然分からないですし、全てが初めてのことばかりでしたから。最初は本当に大変でしたね(笑)。

[V-STORAGE online 限定]──渡辺さんが演じたカテジナ・ルースは富野監督が描く女性キャラクターの中でも異彩を放つ存在だと思いますが、演じられていて苦労されたことは?

渡辺 女性の役をやっていなかったので、良くある「〜かしら」や「〜だわ」を台詞の中で言う機会もなくて、そもそも現実の世界で、そんな喋り方をすることなんて普段ないじゃないですか。逆に言い慣れていたら、嫌な奴ですよね(笑)。でも、カテジナさんはお嬢様の役だったので、そういう喋り方をする訳です。そうなると、自分の頭の中で何となく想像するじゃないですか、お嬢様ってこんな感じだよねって。でも、実際にやってみて初めて分かることって意外とあるんです。なので、その役について変に頭で考えるよりも実際にやることの方が何倍も大事なんだってことに、この役をやらせて頂いて気づかされました。

──お気に入りの話数やシーンを教えてください。

阪口 こういう話になった時、大抵候補にあがってくるのは第50話「憎しみが呼ぶ対決」のリーンホースが特攻するシーンですね。他のキャストの方も、あのシーンが好きだっていう人が結構多いです。最終回よりも盛り上がりますしね。多くのキャラクターが一斉に死んでしまったこともあり、そういうキャスト的な思い入れもあるので僕自身も印象が強いですね。作品の中でも独特な盛り上がり方を見せたというか、僕の勝手なイメージなんですけど、富野監督って人の死を感動的には描かずに淡々と描くというか、そんなイメージを持っていたんですけど、あそこに限っては凄くドラマチックに描かれている気がするんです。そういう意味でも、あのシーンは印象深いですね。

渡辺 私もやっぱり第50話「憎しみが呼ぶ対決」ですね。あのシーンに流れてくる音楽も凄く良くて、何度見返しても涙が出てきます。悲しくて切ないんですけど、とても感動的なシーンだと思います。

[V-STORAGE online 限定]──お気に入りのキャラクターやモビルスーツを教えてください。

阪口 キャラクター的にはクロノクル・アシャーが好きですね。まともというと語弊があるかもしれませんが、あの世界においては普通の人だったと思うんです。そういう普通の人間が権力を持ってしまったが故に戦いに巻き込まれて、ああいう最後を迎えてしまった訳ですが、人間的には一番魅力的だったと思います。モビルスーツだとゴッゾーラです。あのカメラの形状が独特で好きですね。

渡辺 私もキャラクターに関してはクロノクルですね。あとは、シュラク隊のお姉さんたちの何気ない会話が好きでしたね。お化粧の話だったり、戦場という殺伐さを感じさせない感じが良いですよね。モビルスーツに関しては正直あまり良く分からないんですけど、ザンスカール帝国のモビルスーツは何となく猫目というか可愛い感じなので好きですね。

[V-STORAGE online 限定]──音声特典のオーディオコメンタリーの収録はいかがでしたか?

阪口 本当に“同窓会”のような感じの収録で、話数の内容というよりも当時の思い出などを話していた印象が強いです。当時の記憶が甦ってきたり、とても楽しい収録でした。

渡辺 当時みんなで旅行へ行った時の話だったり、色んな話が沢山できて、とても懐かしかったですね。そういう意味で、当時の現場の雰囲気などが何となく伝わるコメンタリーになっていると思います。


──最近ハマっていること、マイブームがあったら教えてください。

阪口 最近ハマっているというか、僕が新潟県出身ということもあって、昔からずっとプロサッカーチームのアルビレックス新潟を応援しています。試合が首都圏であって、スケジュールの都合がつく時は、できるだけスタジアムに足を運ぶようにしています。普通にゴール裏で応援しています(※ゴール裏は熱狂的なサポーターが集まることが多い)。でも実は、サッカーだけじゃなく、野球だったり、ボルダリングだったり、バスケだったり、ハマっているものが多いんです。なので、今回もどれを紹介しようか迷ってしまったほどなんです(笑)。

渡辺 私はプロレス観戦にハマっています。ティグレ・ブランコというメキシコ出身のプロレスラーがいるんですが、彼の大ファンだったんです。ホワイトタイガーをモチーフとしたマスクをした覆面レスラーで、彼のマスクを被りながら後楽園ホール(※プロレスを始めとした格闘技の聖地として知られる)で応援しています。でも、そのマスクを紛失してしまって…。なので、今は自分専用のマスクを作って観戦に行きたいと思っています(笑)。あと、マイブームという訳ではないんですが、昔から犬が大好きなんです。今もヨークシャー・テリアを飼っているんですが、可愛くて可愛くて仕方ないですね。休日は犬と散歩へ行ったり、ご飯を食べたり、犬と一緒に過ごす時間が一番癒されます。

[V-STORAGE online 限定]──ファンにメッセージをお願いします。

阪口 もうこれ以上ないという自分の限界を出し切れた作品なので、放送から20年以上が経って、こうしてBlu-ray Box化されるというのはやっぱり嬉しいですね。自分で改めて観るのは少し照れくさかったりもしますが、多くの人に観てもらいたいという気持ちもあるんです。今観ても古くさいとは全く感じないと思いますので、放送当時は生まれていなかった平成生まれの人に、ぜひ観て欲しいですね。

渡辺 当時は「ガンダム」シリーズに出演するということに特別な意識はなかったんです。今思うと、それが逆に良かったのかなって。変に意識することなく演じることができたし、自分が女性キャラクターを演じることに自信を持つきっかけとなった作品なのは間違いないですね。あと、改めて作品を観ると、今と昔では感じ方が全然違うんです。中学生の頃に日光へ行くのと、大人になって日光へ行くのとでは感じ方が全く違うじゃないですか、そんな感覚です。なので、当時のファンの方は私と同じ気持ちで観て頂いて、初めての方は自分の今の感性で作品を観て頂けると嬉しいです。

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阪口大助 PROFILE

さかぐちだいすけ:10月11日生まれ、新潟県出身。青二プロダクション所属。本作『機動戦士Vガンダム』の主人公ウッソ・エヴィン役で声優として本格デビューを果たす。以来、『ガンバリスト!駿』の藤巻駿役、『あたしンち』の立花ユズヒコ役など様々な作品に出演。

渡辺久美子 PROFILE

わたなべくみこ:10月7日生まれ、千葉県出身。声優・ナレーターとして幅広く活躍。アーツビジョン所属。本作『機動戦士Vガンダム』ではカテジナ・ルースを演じる。主な代表作に『ケロロ軍曹』のケロロ軍曹役、『犬夜叉』の七宝役、『あたしンち』の母役などがある。

写真/寺坂Johney!

※インタビューは2015年4月下旬に取材したものです。

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