12月25日Blu-ray BOX発売記念!川澄綾子、清水香里、長岡康史監督が登壇!『星界の戦旗Ⅲ ~家族の食卓~』上映生コメンタリーレポート
星雲賞を受賞した森岡浩之によるSF小説を原作とした人気シリーズ『星界の紋章』。TVアニメ放送20周年を記念して、全作品を新規HDリマスターした『星界』シリーズ初のBlu-ray「星界 Complete Blu-ray BOX」が2019年12月25日に発売される。その発売を記念したイベント『星界の戦旗Ⅲ ~家族の食卓~』上映生コメンタリーが、11月16日(土)に練馬区立区民・産業プラザCoconeriホールにて開催された。イベントには長岡康史監督、ラフィール役の川澄綾子さん、エクリュア役の清水香里さん、ビースタックのプロデューサー大橋豊さんが登場。上映されたのは2005年に発表され、シリーズの中でも人気が高い『星界の戦旗Ⅲ ~家族の食卓~』。参加者と共に鑑賞しながら、終始和やかなムードで行われた上映イベントの模様をレポートする。
往年のファンが集い、トークショーがスタート!
イベント当日は爽やかな秋晴れとなり、会場はほぼ満席。TVアニメ放送当時を知るであろう30~50代の参加者が多く、中には親子連れも見られた。司会者の紹介で川澄さん、清水さん、長岡監督、大橋プロデューサーが登場すると会場は温かい拍手に包まれ、アニメの上映開始とともに生コメンタリーが行われた。
1カットが長いのは、心象風景を伝えるため
早速、『星界』シリーズの中で印象に残っている場面を聞かれると、清水さんはエクリュアがジントへ言ったセリフ「あなたの猫だから、と言ったら嬉しい?」をあげ、収録当時まだ高校生だったことを振り返り「自分の引き出しにはない言葉だったから、どのように演じたらいいのか悩んだ」と明かした。川澄さんは(前方のスクリーンを見つつ)「冒頭からイチャイチャしすぎ」と語り、ラフィールがジントへ詰め寄るシーンが流れると「ここです!…距離近くない?」と指摘し、会場の笑いを誘った。
一方の長岡監督は、『星界』は他のアニメに比べてカット数が少なく、1カットが長いことを挙げ、心象風景が伝わるように演出したと語った。また、本編の時間について、長岡監督は当初前後編30分ずつの予定だったが、どうしても時間内にまとめられず結果45分に延びたと明かした。それを聞いた清水さんが「当時は尺って延びるんだと思ってました(笑)」とコメントし「いや、本当は延びないよ!」と長岡監督がすかさずツッコミを入れ会場は笑いに包まれた。
アフレコ現場でのほっこりエピソードも…
スクリーンを眺めながら「アニメの技術の変遷が見られますね」と清水さんがポツリとこぼすと、長岡監督は「当時は艦隊のシーンがあっても、手描きだと何百隻も描けないからね」と頷き、現在の技術があれば描けたシーンもあると、感慨深げな表情を見せた。
また、ある時スタジオのマイクが足りず、次に話すキャストのためにマイクから離れなければならないところを清水さんが動けずにいると「(大塚)明夫さんが(動くなという合図で)私の肩をポンと叩いて、私の頭の上からアフレコをしていた」という貴重なエピソードも。「すみません…!と思いました」と、清水さんが申し訳なさそうに語る様子に、会場から笑いが漏れた。
川澄さんもスタジオの雰囲気が独特で、マイクとマイクの間についたてがある珍しい作りだったため、普通のアニメよりもマイクワークが難しかったと話した。終始和やかな雰囲気のまま生コメンタリーは続き、エンドロールでキャストが流れると川澄さんが「えっ、間島(淳司)くんいたの!?」「小野D(小野大輔)いた?」と驚きの声をあげると、その驚きっぷりにつられて客席から笑いが起こった。白鳥英美子さんの歌うエンディングテーマ「手のひらの夢」が会場全体を優しく包み、作品の余韻を残しながら本編の上映は終了。その後は、コミカライズの作者である米村孝一郎さんが描いたイラスト2点がスクリーンに映し出され、妄想話に花が咲く一場面も。
20周年の想いをファンへ向けて─
最後にファンへのコメントを求められると、まず長岡監督は「ほぼ20年間、ファンの皆さんに応援して頂いて、まさかのBlu-ray BOXまで出ることになり嬉しいです。原作自体はまだこの先も続くので、この先の展開は小説で楽しんで頂ければと思います。ひょっとしたらアニメの方も続きがあるかもしれません。その際は応援して頂けたらと思います。本当に今は感謝の気持ちでいっぱいです。私はもう思い残すことはないので…。本当に今日はありがとうございました」とファンへの感謝を語った。
続いて、清水さんはイベント参加の喜びと感謝を述べた後、「収録当時はデビューしたての高校生でよく分かっていなかったのですが、今思えば偉大な先輩たちと肩を並べてお芝居をさせてもらっていたんだなと改めて気づくことができました。作品はBlu-rayで見直すことができるので、これからも引き続き皆さんに愛して頂けたらなと思います」と笑顔でコメント。
最後に、川澄さんは「20年経った今もこうしてコアな作品を愛してくださる皆さんと一緒にこの作品を見られたことは、本当に私にとって大切な時間になりました」と喜びを語り、続けて「ラフィール役は間違いなく当時の自分にとって挑戦で、思い返すと後の自信に繋がった本当にすごく難しい役でした。全てが詰まったBlu-ray BOXを見て頂いて、原作の続きを追いかけて頂いて、いつかまた皆さんとお会いできる日が来ることを願っています。また会いましょう!」と語り、三人は大勢の拍手で見送られながら、惜しまれつつイベントは幕を閉じた。
<Blu-ray BOX 発売情報>
星界 Complete Blu-ray BOX[特装限定版]
2019年12月25日発売
価格:¥40,000(税抜)
星界シリーズ 公式サイト
©森岡浩之・早川書房 ©サンライズ