11月26日(金)にBlu-ray・DVD・4K ULTRA HD Blu-rayが発売となった『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。発売を記念して、AV評論家 鳥居一豊さんによる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 の4K ULTRA HD Blu-rayコラムをご紹介します。4K ULTRA HD Blu-rayサイトの特集ページとあわせて是非ご覧ください。
AV評論家 鳥居一豊が観た『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
BD/DVDに加えて4K ULTRA HD Blu-ray(以下、4K UHD)でも発売される『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。4K UHDが気になっている人は少なくないだろう。結論から言ってしまえば、「買い」である。従来までの4K UHD化された作品は、もともとがフィルム作品であったり、2K SDRで制作された作品を後から4K HDR化したもの。だが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は制作の段階で4K HDRで上映されるドルビーシネマでの公開が決まっており、最初から4K HDR化を想定して制作されている。これは大きな違いだ。私見ではあるが、ドルビーシネマでの上映を想定していたからこそ、夜のシーンの暗さやダバオの眩しい日差しなど、陰影にこだわった映像設計ができたのだと思っている。
▲戦闘シーン:暗い演出が見て取れる
室内や日陰、暗いシーンでのハサウェイの表情や身振りに注目したい
本作は作画が非常に緻密で、タブレットに表示された「シャアの反乱」のニュース記事まできちんと読めるものになっていたり、コックピット内のさまざまな表示も細部まで描かれている。それ以上に重要になるのが、ハサウェイやケネス、ギギといったキャラクターたちの表情や動作。会話の中での目線の動きや表情の変化で、ハサウェイの心情を描写しているが、暗いシーンでも細かな動きが実にきめ細かく描かれている。こうした映像設計は、映画館のような暗い環境で見ることを前提にしていて、自分の家の明るい環境で見ていると暗くてわかりにくいと感じることもある。部屋を暗くして見ることで映画館に近い環境になるが、4K UHD版はHDRの広いダイナミックレンジを活かすことで、暗いシーンもかなり見通しがよくなっている。巨大なモビルスーツが目の前で戦闘を繰り広げ、逃げ惑うハサウェイとギギが抱きしめ合う印象的な場面は、眩しいほどのビームの光の影でハサウェイの揺れ動く気持ちが丁寧に描かれている。そんなシーンを映画館で見るのと同じ感覚で楽しめるのだ。
HDR化だけでなく、4K化されたことで、緻密なディテールも鮮明だ。看板やホテル内の表示などさまざまなものが細かな文字まで描かれているのはBD/DVD版でもわかるが、細かな文字まで潰れることなく読めるのは4K UHD版の良さ。4Kアップコンバートを丁寧に行い、4K化することで増えてしまいがちな細部のノイズや色にじみなどもきちんと除去している。細部までクリアーに見通せるからこそ、自然な遠近感が感じられ、映像の奥行きが出る。映画館の大きなスクリーンで見て感じるスケール感までもそのまま収録しているのが4K UHD版なのだ。
ガンダムの大きな魅力であるモビルスーツの戦いでは、細かく設定されたモビルスーツの細部の違いにも注目したい。マフティーのモビルスーツはΞ(クスィー)ガンダムのほかはメッサーだけだが、ガウマンの乗るメッサーF01型とF02型では細部が異なる。逆に空中戦のためのノズルやスカート部分がウイングのように可動する装備は共通している。そのほかにも機体ごとに細かく仕様が違っている。地球連邦軍のモビルスーツである、グスタフ・カールも同様だし、旧式となったジェガンはマン・ハンター仕様に改修されていたり、消火活動にも使われているが、ベースとなるジェガンA型とは細かく仕様や装備が異なる。ファンならばこうした点にも注目したいが、情報量の豊かな4K UHD版ならばそうした細かな違いまでよく見える。
また、Ξ(クスィー)ガンダムがカーゴ・ピサから外に出る場面は、非常に暗い場所で姿が見えづらい演出になっているが、そんな暗さの中でも異様とも思える白い機体がきちんと見通せる。暗いシーンは暗く、明るいシーンは明るく。当たり前のことなのだが、それを正確に再現することで、架空の物語でありながら実際にあるもののようなリアルさと臨場感を体感することができるのだ。
ドルビーアトモスの立体的な音響にも注目
映画館の臨場感をそのまま楽しめる4K HDRも素晴らしいが、4K UHD版とBD版で収録しているドルビーアトモスによる音響も大きな魅力だ。冒頭のハイジャック犯襲撃の場面で、ハイジャック犯を前にしたハサウェイの頭の中で「やっちゃいなよ。そんな偽物なんか」という声が響くが、いくつもの声が頭の中に浮かぶような演出は、これぞニュータイプによるテレパシー的な会話の再現だと思うし、ドルビーアトモスならではの立体感だ。
もちろん、モビルスーツ戦でも目の前で戦いを繰り広げる巨体の重量感やビームの粒子が飛び散って、燃え上がる炎の様子なども実に生々しい再現だ。クライマックスでのペーネロペーとΞ(クスィー)ガンダムがミサイルを撃ち合う空中戦も、ミサイルの飛翔音があらゆる方向から飛び交い、コックピットに居るような感覚が味わえる。
4K HDRとドルビーアトモスの音響は、まさにドルビーシネマでの映像体験を自宅でもそのまま体感できるものだ。ガンダムはどの作品もリアリティーを追求しているが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、最新の映像と音響でさらなるリアリティーを実現している。
現在は4Kテレビの普及も進んできており、サウンドバースピーカーなど、ドルビーアトモスに対応したホームシアター機器も増えてきている。今後、第2部、第3部と続く『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を存分に楽しむためにも、ぜひとも4K UHDで、映画館とほぼ同じ4K HDR+ドルビーアトモスの臨場感を味わってほしい。
- 鳥居一豊
- オーディオ・ビジュアル専門誌での編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。月刊「HiVi」誌のほか、さまざまな媒体でオーディオ、ビジュアル関連の記事を執筆中。アニメとの付き合いは小学生以来。趣味として膨大なテレビアニメや劇場用アニメ、OVAを見続けている。自宅には約15畳強のサイズの専用シアタールームがあり、4K映像とドルビーアトモス対応の4.2.2ch音響システムで映画やアニメを堪能する日々を過ごしている。
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ (4K ULTRA HD Blu-ray)
2021年11月26日発売
価格:¥6,364(税抜)¥7,000(10%税込)
品番:BCQA-0013
※UHD BDのご視聴にはULTRA HD Blu-rayに対応した専用プレーヤー、再生環境が必要です。4K(HDCP2.2対応)及びHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応していないテレビ等でご覧になる場合は、本来の画質では再生されません。※“ULTRA HD Blu-ray™” および “4K ULTRA HD”ロゴは、ブルーレイディスクアソシエーションの商標です。
©創通・サンライズ
▼バンダイナムコアーツ 4K ULTRA HD Blu-rayサイト
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▼『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 公式サイト
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▼『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 公式Twitter
@gundam_hathaway