レポート | ガールズ&パンツァー 最終章

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話 音響&CGスタッフトークショーレポート

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11月2日、グランドシネマサンシャイン池袋にて『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話の上映を記念し、Dolby Atmos版上映後に、音響&CGスタッフトークショーが開催された。ステージには、音響監督の岩浪美和さん、3DCGI監督の柳野啓一郎さん、3DCGI副監督の髙橋慎一郎さんが登壇。よりパワーアップしたCGと音響の側面から『最終章』第4話が語られるということで、多くのガルパンファンによって会場は満席状態。大いに盛り上がったトークショーの様子をレポートしていこう。

今回のトークショーでは、岩浪さんが司会を担当し、スタッフ同士のざっくばらんなやり取りという雰囲気となっており、3人によるフリートークに加えて、事前にSNSにてファンから寄せられた質問を交えながら語るスタイルで進められた。
登壇の挨拶を終えると、まずは軽めにということで、SNSで寄せられた質問から「映画とは関係無いんですが、なぜ岩浪さんはいつも甚平を着ているんでしょうか?」というものが選ばれた。これに対して岩浪さんは、「本当に関係無いなぁ(笑)。一応答えておくと、ファッションとかに気を使うのが嫌だっていうことで。コンセプトはスティーブ・ジョブスの黒いタートルネックと一緒だよ。そう思ってくれ」と答えトークショーがスタート。続いて柳野さんへ「改めて4話の作業はどうだったんですか?」と質問が振られた。
柳野さんは、水島努監督のCGに対する厳しい要望も踏まえて、「このコンテにOKを出して、通している方がおかしいなと思いますね」と、やはり今回も大変な作業であったと返答。柳野さんは水島監督によるラフコンテを元に、3DCGでの作業用に技術面やコスト面、そしてクオリティのバランスを取るような形でコンテ自体を翻案する作業を担っているという自分の作業を説明し、水島監督が書いた元のコンテの段階から大変な作業が見えていたことを語った。
それに対して、岩浪さんは「僕も元のコンテを見ましたけど、柳野さんはそこにさらに盛っていますよね」とツッコミ。それに対して「盛ってます(笑)。地味だけどめちゃくちゃ大変なのと、映像的に映えるけどめちゃくちゃ大変な場合、CG的に効率が良くなるなら、どちらを取るかという場合がある」と前置きし、結果「映える方」を選んでいるからこそ、コンテ状態でも迫力が加わっていると語った。 それをきっかけに、後半の雪山での滑走しながらの戦闘シーンは、正確な高さを割り出すとエベレスト以上の高さから滑り落ちていること、吹雪や砂嵐のシーンでは水島監督から3パターンの強さが求められてそれに応えるために作り込んでいることなどが語られた。
中でも苦労した部分として、状況を判りやすく伝えるための戦闘状況を上から見せる俯瞰カット。ここに水島監督から吹雪を入れるよう指示が入り、柳野さんから「実際にチェックが入った時には吹雪が薄いとか濃いとかと話されました」とこだわりの様子が語られた。柳野さん、髙橋さんともその調整に苦労したという話を聞き、岩浪さんは「その大変な指示をされると「水島、〇す!」ってならないの?」とツッコミを入れて笑いを誘っていた。

続いて、一見気付かない大洗女子学園の戦車が地下トンネルを抜けるシーンの話へ。暗い場所の移動ということで、ここでは戦車のヘッドライトが点灯されるが、現存する八九式戦車にはヘッドライトが存在していないため、実車取材をした時の資料をもとにライトを取り付けられる場所を確認し、取り付けてもいいような形状のライトの候補を探すなど苦労した話、さらに苦労を重ねたものの本編ではライトを点灯したら白く光ってよく見えない状態になったという裏話も披露された。
ここで話題を変え、第3話から『ガルパン』に参加し、第4話から3DCGI副監督となった髙橋さんへ「今回作業して、一番大変だったというところはどこでした?」と岩浪さんが質問。それに対して、髙橋さんは雪の斜面を滑走中のBT-42の主観で見せる24秒の長尺カットを挙げた。「三式中戦車を追いかけて、途中で立っているライトが倒れてきたりするカットですが、コンテを見たときに大変だと思ったので半分は自分のところに来て欲しくないと思っていました。それまでも第3話で担当した5秒のカットが長かったので、24秒は大変ですからね」と、長くてアクションの多い尺はそれだけ負担も大きいことを語るも、一方で実は髙橋さん自身がやってみたいと希望したことが柳野さんから明かされた。さらに、アップ後にその髙橋さんの担当カットに柳野さんからリテイクが入ったと聞くと、岩浪さんは「「この野郎! 柳野〇す!」って思ったことないの?」と尋ね、「それはないです(笑)」と否定した流れから話題は髙橋さんから見た柳野さんの印象へ。
「僕は第3話から柳野さんの元でCGのお手伝いするようになったんですが、一緒に仕事をしてみて、今まで一緒に仕事をしてきたCGディレクションをしてくれる方とは違うなと思いました。もの凄く細かいところまで考えている方で、今までいかに自分が何も考えずに仕事をしてきたのかを判らせてくれて、それにはものすごく衝撃を受けました」と柳野さんの印象を語ってくれた。

続く話題は、音響とCGが関連したシーンについて。岩浪さんから「第1話から第3話までは、登場人物が何かしら歌うシーンが入っていたんですが、第4話はキャラクターの歌が無くて、その代わりに戦車が歌っている。このシーンはめちゃくちゃ難易度高かったんじゃないですか?」と質問し、柳野さんも「めちゃくちゃ大変でしたよ」と答えた。これは、劇中で斜面を滑走しながら攻撃をし合う大洗女子学園と継続高校の車輌同士が発する射撃音や衝突音が、ミカとユリの演奏とシンクロして効果音による音楽に聞こえるシーンを指している。
この音楽と戦闘がシンクロするシーンに対して柳野さんは「こちらの描こうとするタイミングと音のタイミングは必ずしも一緒にならないので、そこをうまく計算して作るのが大変でした。第2話でも生け垣の迷路での戦いの後半で、歌いながら戦うシーンがあるんですが、あそこも曲に合わせて尺を守らなくちゃならず、難易度が高かったです」と、音楽にテンポを合わせる映像がどれだけ難易度が高いかを説明。
そのシーンには岩浪さんも驚いたと語り、「あの滑走シーンのめまぐるしさの中でアクションにおける音のタイミングをしっかりと合わせなくちゃならないわけで。何輌もの戦車が同時に動いて、連続性があって、それを考えながらアクションを組み立てて、かつ音とのタイミングあわせる。僕は音を作るにあたって映像をコマ送りで観たんですが、「これ作った人たちは、いい意味で頭おかしいな」って思いましたよ」と感想を述べた。

ここで話題は、岩浪さんが担当したこだわりのDolby Atomos音響へ。まず、岩浪さんがDolby Atomosの劇場には、どのようにスピーカーが配置されているのかを説明。前方、後方。左右に加えて天井にもスピーカーが配置され、10億個のポイントに好きな音を置くことができる最高の立体音響システムを最大限に生かすべく、クライマックスの滑走シーンから逆算する形で、音付けを行ったことを明かした。「これまでの爆音上映などでは、重低音を重視して戦車もある程度質量のあるものとして幅を持たせた音を作ってきた。それは、「面」で音を制作する感じだったんですが、今回は「点」で考え、点の音源が移動しているように作り込んである。だから、今回は完璧にDolby Atomos向けに音響を作っています」と制作を振り返り、「今、日本一Dolby Atomos映えする映画」であるとその自信を語ってくれた。
この話題に柳野さんが、CGI側の音の演出についての裏話を付け加える。「第3話のジャングルでは、真っ暗な中で戦闘をしていたので、どこに何があるか判りづらい状況でした。その際に、どこに音を付けて欲しいのかの演出的な指示は、音を付けてほしいカットのキャプチャーをとり、そこに丸を書いて「ここに音を付けてください」という指示書を使ってやらせてもらいました。でも今回は、吹雪や砂嵐の中でバンバン撃ち合うので、止め絵だけだとうまく指示を伝えることができなくて。そこで、動画を何回も見直して丸をつけて指示を作ったんですが、それに音を付ける音響さんの作業も地獄なんじゃないかと思いました」と語り、戦闘シーンでの音付けの指示の仕方とそれに答える音響側の苦労を労った。

その後、SNSで募集した細かい質問に少し答えたところで、トークショーも終了の時間が近づき、最後に、ひとりずつ挨拶する形で終了の流れに。
まずは柳野さんから「今回も観ていただきありがとうございます。次は第5話ということで、またいろいろとハードルが上がっているんですが、頑張っていければと思っています。なるべく早く届けたいというのがこちらの希望でも意思でもあるので、皆さんよろしくお願いします。頑張ります」と挨拶。
続いて髙橋さんから「第4話では、皆さん気付いているかもしれませんが、愛里寿の視察するカットでちょっとした仕込みを入れたり、BT-42が砲撃を受けて片輪走行になってミッコが驚くカットで、3Dのサルミアッキが飛んでいたりと仕込んでいますので、そのあたりも楽しんで欲しいです」と語ると、そこに柳野さんが「彼も頼んでいないものをたくさん作ってくれるんですよ。こういう現場の方が面白いものができます」とコメント。
すると岩浪さんの「最後の愛里寿の戦い方は、ズルくない?」と付け加え、その見え方をきっかけにトークはちょっとだけ延長線へ。
追加の見所として、第4話での愛里寿の車輌の動きは、聖グロリアーナの生徒が操縦しているため、大学選抜の時に比べると成長途中の挙動になっている点、第3話のラストで白い魔女ことヨウコが、フラッグ車である三式中戦車ではなく、Ⅳ号戦車を撃破したのかに対する水島監督と柳野さんの解釈の違いなどについても語られた。ちなみに、水島監督はⅣ号戦車は三式中戦車をカバーしたことで撃破されたと言い、柳野さんはヨウコが継続高校の戦いの美学から先にⅣ号戦車を片付けたと解釈しており、映像ではどちらにも取れるように作られていることが明かされた。
最後は、延長トークの流れから、ちょっと緩いまとまりになりつつも終了の時間に。
最後はガルパンのステージでのお約束ということで、岩浪さんの音頭による「パンツァー・フォー!」のかけ声で、会場が一体となってトークショーは幕を閉じた。


左から岩浪美和さん、柳野啓一郎さん、髙橋慎一郎さん

 

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話 4D
劇場上映中!

 


「ガールズ&パンツァー 最終章」公式サイト
http://girls-und-panzer-finale.jp/

ガールズ&パンツァー 公式X(旧Twitter)
@garupan

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