※一部作品のネタバレを含みます。
AV評論家 鳥居一豊が観た『ガールズ&パンツァー 劇場版』
2012年から2013年にかけてテレビ放送され、満を持して2015年に劇場公開された作品。「戦車道」という戦車による試合を描くためもあってCGを本格的に導入。テレビシリーズに比べてクオリティもさらに高めたものになっている。10年前とはいえ、すでにCGやデジタル制作が本格的に採り入れられた時代の作品を4K化してもあまり違いはないと思う人も少なくないかもしれないが、その差は歴然。まず、映像がすっきりと見通しがいい。
FORIS AIによる4K化でこれまでの2K版に比べて細部が潰れたような感じがなくなった。『劇場版』はクオリティも高まっているとはいえ、CGの戦車と手描きのキャラクターの合成がうまくいかず、遠景のキャラが荒れた感じになっているカットもいくつかあったが、それらのほとんどがまるで合成からやり直したかのようにすっきりと見通しがよくなっている。キャラクター中心の手描きカットでも、表情がよくわかり、チームごとに異なる服装の細かな色の違いまでよく見える。手描きとCGの合成など、時代的な技術の差を感じさせず、最新の『最終章』と比べて遜色のない仕上がりになっている。
CGによる戦車もディテールの豊かさは公開当時も話題になっているが、細かな傷や汚れ、戦闘で増えた傷などの再現がよりはっきりとわかる。これも映像がより鮮明になったことの効果だが、CGモデル自体がここまで作り込まれていたことに驚かされるはずだ。戦車の動きもより見やすくなり、砲塔が旋回する様子はもちろん、履帯が回転する様子などもはっきりとわかり、戦車戦のリアリティーを高めている。カンテレの音楽とともに、曲芸的な走行で相手を翻弄する継続高校BT-42突撃砲の活躍は大きな見どころ。
見どころを言い出したらキリがない作品だが、最後の決戦でのA42センチュリオンのどこから現れるかわからない神出鬼没の走行なども、ただ自在に動くだけでなく、車体に合わせて砲塔も連携して回転しているなど、細かな動きを含めて見れば見るほどに新たな発見がある。
そして、本作の大きな魅力である音響もドルビーアトモス化でさらに臨場感を高めた。各種の戦車による砲撃も大音響ながらもクリアで、戦車ごとに砲撃音が異なるのがよくわかる。KV-2の砲撃、カール自走臼砲の射撃音や着弾音などは必聴のサウンド。そして、なんと言っても「観覧車先輩」の自走だ。着地時の轟音が周囲に響く様子、次第に回転速度を上げながら転がる姿、向きを変えるときの鉄がきしむような音はドルビーアトモスの移動感のスムーズさや音のスムーズなつながりの良さを実感できるはず。轟音ばかりなのにすべての音が聴き取れるような音響設計の巧みさにも改めて感心させられる。映像も音も最新仕様で蘇った『劇場版』は必見・必聴の一枚となるはずだ。
PROFILE
鳥居一豊
オーディオ・ビジュアル専門誌での編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。月刊「HiVi」誌のほか、さまざまな媒体でオーディオ、ビジュアル関連の記事を執筆中。アニメとの付き合いは小学生以来。趣味として膨大なテレビアニメや劇場用アニメ、OVAを見続けている。自宅には約15畳強のサイズの専用シアタールームがあり、4K映像とドルビーアトモス対応の9.4.4ch音響システムで映画やアニメを堪能する日々を過ごしている。
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©GIRLS und PANZER Film Projekt
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▼「ガールズ&パンツァー」TVシリーズ&OVA&劇場版公式サイト
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