忘れてしまった大切なものに出会う感動のSFファンタジー!『アリスと蔵六』振り返りトーク&上映会レポート
今年4月から6月まで放送され、少女とじいさんの心温まる交流が話題を呼んだ泣けるSFファンタジー『アリスと蔵六』。最終話までの放送を終えた締めくくりとして、2017年7月8日(土)、東京・新宿バルト9にて第1話と第6話の振り返り上映会とトークショーが実施された。ゲストには樫村紗名役の大和田仁美さん、樫村蔵六役の大塚明夫さん、松倉友二プロデューサーが登場。ファンにとってとても楽しい一時となったイベント当日の模様をお届けする。
第1話&第6話上映後にトークショーがスタート!
第1話と第6話の上映が終わり、ゲスト3名がステージに登壇。それぞれ一言ずつ観客へ挨拶の言葉を述べ、早速トークショーがスタート。まず、「アニメ化の経緯」を聞かれた松倉さんは「『アリスと蔵六』は非常に自分の年代好みの作品だったので以前から注目していました。この作品を好んでくれそうなプロデューサーにアニメ化の企画を持っていったのが始まりで、あれはコミックス第1巻が発売された頃なので、2013年ですね」と語った。続けて「スタッフの人選」についての質問が飛ぶと、松倉さんは「自分が好きな作品だったので、スペシャルなメンバーでいきたいなと思いました。自分のスペシャルと言えば髙山文彦です(笑)」とシリーズ構成の髙山さんの名前を挙げ、その他のメンバーもしっかりした陣容が揃ったと続けた。また、本作のシナリオの打ち合わせには原作者である今井哲也さんも同席し、アニメ化にあたって様々なアイディアをもらったことも明かした。
紗名と蔵六、それぞれのキャスティングについて
続いて、紗名役のオーディションについて聞かれた大和田さんは「テスト無しの一発勝負だったので全力で挑みましたが、手応えも感じられず呆然としながら帰った記憶があります。だから、決まった時は本当に嬉しかったです」と当時の心境を振り返った。紗名役について松倉さんは「芝居ができすぎてもダメなので、最初は声優ではなく子役も想定していました。オーディションの半分くらいは子役だったと思います」と舞台裏を明かし、「でも結局、キャスティング会議で大和田さんに満場一致で決まりました」と続け、大和田さんから滲み出る“孫感”を絶賛した。一方、オーディションではなく指名だったという蔵六役の大塚さんは「話を頂いた時に、タイトルやどんな役かも分からないまま、音響制作会社の名前と1クールのTVアニメという情報だけで『いいよ』と二つ返事で受けました(笑)」というまさかの発言に会場から笑いと共に驚きの声が。すると、松倉さんが「実は最初、大塚さんの蔵六役には抵抗しました。大塚さんと言えば、(歴戦部隊の隊長といった)格好良い役のイメージがあったので、普通のお爺ちゃん役を頼んでいいのかと。第1話を収録するまではちょっと不安でした(笑)」と当時の心境を吐露。また、「厳しさと優しさの混ぜ具合が絶妙で、すごくしっくりきました」とまとめ、大塚さんの起用が上手くいったことを語った。その大塚さんは「普通のお爺ちゃん役を演じたのは初めてだったので、どんな音が自分から出てくるのか楽しみだった」と語り、結局は「自分の親父に寄った音が出た(笑)」と照れくさそうな表情を見せていた。
大和田さんと大塚さんがアフレコで苦労したこととは?
蔵六と紗名との関係性について話題が移ると、大塚さんは「段々と紗名が可愛くなってくるので、どうしてもいいお爺ちゃんになっちゃう」とその苦労を明かし、上手くコントロールしてくれた音響監督の岩浪美和さんをはじめとするスタッフ陣に感謝の言葉を述べていた。大和田さんは「第5話で蔵六から認めてもらえたので、第6話からは自分的にも解放されたという感覚があり、ここにいて大丈夫なんだという安心感もあって楽しく演じられました」と当時の気持ちを言葉にした。また、第6話に登場した紗名のオリジナルソングは台本に書かれている言葉と尺しか決まっていなかったそうで、大和田さんは「尺に合わせて自分でメロディをつけるのにすごく苦労しました」とアフレコ時の貴重なエピソードを教えてくれた。
渾身のリテイクver.に大満足の観客からは大きな拍手が!
さらに話は、TVオンエア時に「止まっている車の背景が動いている」というミスが発覚したことで修正が加えられた第1話について及んだ。そのことに関して、松倉さんは謝罪の言葉を述べながら「4月2日オンエアという早い日程でさらに初回は1時間スペシャル。背景が止まっているカットがあったはずなのにどこにあるか分からなくなってしまったんです」と現場の混乱ぶりを必死に説明。結論として、松倉さんは「もう二度と1時間スペシャルは作りません!」と宣言。さらに、今回のパッケージ化に向けて、絵だけではなく音の面など色々とバージョンアップしたそうで、劇場でその完成形を観たファンからは大きな拍手が巻き起こった。ここで話は、7月28日に発売されるBlu-ray Box第1巻の特典の話題へ。紗名たちが動物園を訪れた様子が描かれたスペシャルドラマCD、ブックレットに掲載されているインタビュー、そして蔵六のお店のモデルになった原宿の花屋に大和田さんが実際に訪れた模様など、多岐にわたる内容に話が尽きない様子だった。
今の時代にこそ! 「子供が困っている時に大人が駆けつけるアニメ」を!
今回は振り返りトークということで、ここから第6話以降の第二部での印象的なシーンについて伺っていくことに。大和田さんは「ずっとモシャモシャしている紗名の気持ちがよく理解できて、私自身もモシャモシャしてました(笑)」とコメント。大塚さんは「ワンダーランドの様子がアフレコをしている時は完成していなかったので、オンエアを観た時にとても驚きました」と感想を述べた。松倉さんは「大塚芳忠さんが演じる内藤竜の『子供が元気だったらそれはいい世界だよ』っていうセリフを言えるアニメって今はなかなか作らせてもらえない。こういうことを言える大人ってすごく格好良いなと思えるシーンでした」と熱く語った。さらに松倉さんは「あそこに行くためにずっと作ってきたという想いがあります」と熱い胸の内を明かし、「子供が困っている時に大人が駆けつけるアニメ」という本作の重要なテーマが見事に結実したシーンをお気に入りに挙げた。トークショーもそろそろ終わりの時が近付き、ここでゲスト陣が引き当てた座席番号の方が豪華なプレゼントをゲットできる抽選会を開催。8名の幸運な方がプレゼントをゲットし、会場内は温かい空気に包まれた。最後は、ゲスト3名から会場へ足を運んだファンに向けてコメントが贈られ、『アリスと蔵六』の振り返りトーク&上映会は幕を閉じた。
左から大塚明夫さん、大和田仁美さん、松倉友二プロデューサー
<再放送情報>
BS11にて毎週土曜19時〜放送中
※放送日時は変更になる場合がございます。
<Blu-ray発売情報>
アリスと蔵六 Blu-ray Box第1巻&Blu-ray第1巻
2017年7月28日発売
Blu-ray Box特装限定版:¥19,000(税抜)
Blu-ray:¥6,000(税抜)
アリスと蔵六 公式サイト
©今井哲也/徳間書店・「アリスと蔵六」製作委員会