祝言をあげたばかりの妻、お蝶(鈴木京香)を置いてけぼりにし、一年にわたる渡世修行に出かけた駆け出し博徒、次郎長(中井貴一)とその子分たち。 右腕となる軍師的存在、大政(岸部一徳)をはじめ、悪臭を放つ坊主くずれ、法印の大五郎(笹野高史)、意外な素顔を持つご存知、森の石松(温水洋一)、伊達者の美青年、追分政五郎(北村一輝)ら、旅を重ねるうちに、次郎長の男っぷりに惚れたヤツらが、次々に仲間に加わっていく。 清水に帰還した次郎長は、さらにはお蝶にまでモーションをかけてきた、とんでもないロクデナシ、大野の鶴吉(木下ほうか)まで拾い上げ、やがて東海道中にその名を轟かせるようになる。
しかし、知られれば知られるほど、立ちはだかる敵も増えてくる。甲州で一大勢力を誇る黒駒の勝蔵(佐藤浩市)、石松の宿敵でもある極悪人、三馬政(竹内力)、さらには一家の裏切り者、久六(蛭子能収)らが入り乱れて、大変なことになる。 そんな中、お蝶が病に倒れ、さらにはとんでもない事態までが起こってしまう。絶対絶命のピンチに陥った次郎長。さあ、いったい、どうする? そして、子分たちが選ぶ運命は? 次郎長一家は、いよいよ壮絶な闘いを迎えることになる……。
1940年京都出身。祖父に“日本映画の父”牧野省三、父に沢村國太郎、兄が俳優の長門裕之、父方の叔父叔母に加東大介、沢村貞子、母方の叔父がマキノ雅弘監督、マキノ光雄東映専務という文字通り芸能一家に育つ。父が主催する劇団新演技座に子役出演したのを皮切りに、様々な大映映画に出演。正式なデビュー作は、映画『狂った果実』(56)。以来俳優として実績を重ね、東陽一の『マノン』でブルーリボン助演俳優賞受賞、『マルサの女』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞するなど、数々の伊丹十三作品で強烈な存在感を示した。そして、『別れぬ理由』(98)で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞するなど日本映画界を牽引する俳優として活躍。また、叔父マキノ雅弘から監督名として「マキノ」姓を名乗る許可を得て、映画『寝ずの番』(06)で鮮烈な監督デビューを飾り、見事大ヒットを収めた。本作撮影後に『旭山』動物園物語〜ペンギンが空をとぶ〜』で早くも監督第3弾に挑戦した。役者としてのみならず、監督としてますます脂の乗った円熟の境地のさなかにある。
主演は、前作『寝ずの番』に続いてマキノ雅彦監督とタッグを組む中井貴一。持ち前の清潔感に、タフで一本気な人間味を加味し、男なら誰でもついていきたくなるような親分像を体現する。そんな次郎長が愛して愛しぬくお蝶に扮したのは、『血と骨』で日本アカデミー賞に輝いた実力派、鈴木京香。子分達から慕われる姐御であり、ふとした一瞬に可憐な素顔を見せる絶品のヒロイン役だ。俳優陣からの信頼が厚い雅彦監督の許には、中井貴一以外にも『寝ずの番』の出演者が再び集結。岸部一徳に、笹野高史、木村佳乃、高岡早紀、蛭子能収、そして長門裕之……。さらには雅彦監督初登場の顔ぶれも、超豪華の一言。佐藤浩市、温水洋一、竹内 力、北村一輝、大友康平、荻野目慶子、ともさかりえ、いしのようこ、とよた真帆らが、あっと驚く人物として登場して、スター映画としてのヨロコビも存分に堪能させてくれる。
BCBJ-3453/147分/(本編126分+特典21分)
ドルビーデジタル(5.1ch・ドルビーサラウンド)
片面2層/16:9(スクイーズ)/ビスタサイズ
¥3,800(税抜)
※リピート版からは特典が3分になります
初回特典:特製アウターケース
初回映像特典:メイキング番組「海道を彩った義理人情 清水次郎長」
毎回映像特典:劇場予告編、特報