東金城奈々子（あがりきんじょうななこ）、25歳。都会の喧騒に疲れ、久しぶりに里帰りを決めて船上の人に。連絡船を操るのは幼なじみのケンジ。だが、二人の仲は、ケンジがほのめかすような恋愛関係に至るかどうかもわからない…
彼女をトラックで港まで迎えに来てくれていたのは、祖父母の恵達おじぃとナビィおばぁ。その荷台に乗って、島の懐かしい風に吹かれる奈々子。その時、トラックは同じ船で島に着いた二人の男を追い抜いた。それはいわくありげな老紳士と、本土から来た風来坊…。その後、おじぃが風来坊の青年を家に連れてきた。彼の名は福之助。彼の事が少しだけ気になり出す奈々子だった。ところが、心を騒がせているのは奈々子だけではなかった。ナビィおばぁの様子も何だかソワソワして落着かないのだ。実は、あの老紳士こそナビィおばぁが60年前に引き裂かれた大恋愛の相手、サンラーだったのだ。やがて、村が「牛祭り」に盛り上がる頃、サンラーが島を離れる日がやってきた。どうする奈々子? どうする福之助? どうする恵達? そして、どうするナビィおばぁ…?!

「ホテル・ハイビスカス」宿泊料は沖縄料理付きで三千円…でもお客さんの部屋はひとつだけ。ホテルを営んでいる仲宗根家は、働き者で美人の母ちゃん、三線とビリヤードが得意な父ちゃん、黒人とのハーフのケンジにぃにぃ、白人とのハーフのサチコねぇねぇ、くわえタバコのおばぁ、そし て元気いっぱいな小学三年生の美恵子といったとっても“インターナソナル”なファミリー。
美恵子は毎日忙しい。新しいお客さんはやってくるし、クラスの親友ガッパイとミンタマーを連れてのキジムナー探しの大冒険もある。この夏も、美恵子にとって新しい出会いがたくさん待っていた。