越智一裕(まんが映画家)
今回、映像特典として収録されるパイロットフィルムは、僕の師匠であった金田伊功さんがレイアウト(画面構成)の一部を担当しています。当時、原画を依頼されたのですがスケジュールの都合でレイアウトのみでの参加になったと記憶しています。完成したパイロットフィルムを見たことはありませんでしたので、今回復元版としてDVD-BOXに収録されると知って心が躍ってしまいました。
このパイロットフィルムのメカニックデザインは、スタジオぬえの宮武一貴さんが担当されており、TB-1~4号のデザインはテレビ版のものとは全く異なっています。まさかTB-1号が深紅のボディであったとは!! レスキュー=赤(消防車)のイメージだったのでしょうか?初見であったパイロットフィルムの映像には新鮮な驚きがいっぱい詰まっていました。
このパイロットフィルムの後、『科学救助隊テクノボイジャー』として放送が始まるまでには、少し時間が空いていた記憶があります。放送を知ったのは、確かアニメ誌だったでしょうか。掲載されていたメインキャラクターを見た際に、上手い絵だなぁ…と思った記憶があります。そして同時に、どこかで見た絵柄だなとも思いました。キャラクターデザイン 早田光茂。聞いたことのない名前でした。いや…薄々そうではないのかと感づいてはいたのですが…確証もなく、もやもやしたものがずっと引っ掛かっていました。
そのもやもやは、2003年に発売された『科学忍者隊ガッチャマンII』DVD-BOXの解説書内のインタビュー記事(※)で、早田光茂=漫画家の秋本シゲル先生のご本名であると明記されていたのを読んで、20年ぶりにようやく晴れました。※“マンガくん”(小学館)にて、早田光茂名義で『科学忍者隊ガッチャマンII』のコミカライズを執筆されていました。
僕が最初に見た秋本先生の作品は、テレビマガジン(講談社)で連載された『新造人間キャシャーン』であったと記憶しています。当時、小学生であった自分にも、その上手さははっきりと認識できたものです。
話をテクノボイジャーに戻します。早田先生は、企画初期からキャラクターデザイナーとして参加されていたようで、企画初期のイメージスケッチや、パイロットフィルム用のゲストキャラクター設定なども残っています。当時のアニメ誌での新番組紹介の記事には、パイロットフィルム版ともテレビ版とも違う、なびき髪のヒダカや黒髪ロングヘアのキャサリンが掲載されており、いつか先生に当時のお話を伺うことが夢でもあります。と…早田(秋本)先生へのファンとしての様々な想いを頭の中に巡らせつつ、今回のジャケットイラストを描かせていただきました。とても楽しい時間でした。あのパイロットスーツは超絶にカッコ良いのですが、線が多くて描くのが大変でしたけれど…(汗)
▼越智一裕氏からの応援イラスト
園田英樹(文芸担当)
DVD-BOX発売、すごく嬉しいです。自分の青春時代が甦るようです。あのとき自分が生きていた証のような気さえします。
頭のなかで主題歌がリフレインしています。1982年の作品が、今見ても新鮮です。
僕にとっては初めて関わるテレビアニメシリーズだったので、特別な思いがありました。演劇畑から映像脚本の世界に飛び込み、いきなり大御所の脚本家のみなさんの仕事に触れることができて、すべてが勉強の毎日でした。企画から脚本作りに一から関わることができたのが最大の経験になりました。
放送前に、ホテルの火災事件が起きたのですが、その前夜までそのホテルに泊まってプロデューサーたちと企画会議をしていたのを覚えています。あと一日会議が伸びていたら、まさに僕たちも救助隊を待つことになっていたのかもしれません。さすがテクノボイジャーの企画者たちは、運良く難を逃れたのでした。これは本当の話です。
当時の制作会社など、すべて無くなっていることを思うと、テクノボイジャーという作品があったということが、こういう形で残ることになったのは、すべてはファンのみなさんの熱い気持ちのおかげだと思っています。ありがとうございました。テクノボイジャーがもしアニメで復活することになったら、ぜひ脚本を書かせていただきたいです。
青井邦夫(メカニックデザイン)
本作は色々紆余曲折もあった作品ですが、日本では珍しいメカを中心としSF性を重視したアニメでした。個人的には商品化を念頭に置いたデザイン作業において超合金の神様である村上克司さんとご一緒にお仕事出来たことが深く印象に残っています。石黒昇さんが手がけた「恐怖のSOS細胞」は、美樹本晴彦氏も参加していたのを覚えています。是非この機会に改めてチェックしていただきたいです。
麻宮騎亜(漫画家「彼女のカレラRS」を月刊コミックバーズで連載中。)
人命救助を第一の目的として、多種多様のメカニックで遂行する若者の物語。時にお気に入りなのは、そのメカニックの個性とデザイン。ある種、メカニックは登場人物よりも主役になりうるということを実証してくれたであろうテクノボイジャー。DVD-BOX化は、嬉しい以外の感想はないです!
当時学生で、放映前にアニメ誌に載ったそのメカニックの設定の数々に心躍らせました。このメカたちの活躍が毎週見れるのか!と。そして主題歌のかっこよさ。今でもよく聞きます。
発進シークエンスからもう燃え上がること必至のTBナンバーのメカ達!そして主題歌をまた目にできる幸せを共有しましょう!
西村誠芳(「機動新世紀ガンダムX」ではキャラクターデザインを担当。)
基本は災害や人命救助、そして近未来を舞台にした故のSF的ギミックや災害シチュエーション。本放送当時、惹かれていたのはそこでした。
好きなエピソードは「天駆けるエアポート」と「還ってきたスペースシップ」。前者はスケールの大きい災害シチュエーションとタイムリミットサスペンスが魅力的、後者は数十年ぶりに帰還した宇宙飛行士物語、そしてその幕の閉め方が大好きです。
それと羽田健太郎さんの手がける壮大な音楽もまた魅力の一つ!やっとテクノボイジャーのメンバーに数十年ぶりに再会できる…DVD-BOXの発売に喜びを隠せません。
▼西村氏からの応援イラスト