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第六章のエンディングテーマを担当!『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』山寺宏一インタビュー

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混迷の21世紀に贈る国民的SFアニメのシリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』。ファン待望の第六章「回生篇」が、2018年11月2日(金)より劇場上映スタート! そこで今回は、第六章のエンディングテーマ「大いなる和」を担当した山寺宏一さんを直撃。自身が演じるデスラーへの想いはもちろん、思い出深いシーンやセリフなど、様々な話を伺ったインタビューの模様をお届けする。

僕の中ではレコーディングを終えたその日に代表曲になっています(笑)

──第六章「回生篇」のエンディングテーマを担当することになった率直なご感想をお聞かせください。

山寺デスラーとして歌うのかなと思ったらどうも違うみたいなので、“どうして僕なんだろう?”とビックリしました。以前、沢田研二さんの「ヤマトより愛をこめて」をカバーさせていただいた事があるんですが、誰からも褒められていないので評判悪いのかなと思っていたんです。でも、どうやらそのおかげで僕に今回のオファーが来たみたいです。頂いた仕事はやっとくものですね(笑)。

──エンディングテーマ「大いなる和」はどのように収録されていったのですか?

山寺作詞・作曲・プロデュースを担当してくださったS.E.N.S. Projectのお二人、勝木(ゆかり)さんと武沢(豊)さんとレコーディング前に色々とお話をさせて頂きました。お二人に「曲を作る前に山寺さんが歌っている曲を聴いて、山寺さんに合わせた曲を作りました。思うように歌ってください」と言って頂いたのが逆にプレッシャーで(笑)。「歌うといえばモノマネの方が多いくらいですから(笑)、テクニックもないし、これと言ったボーカルスタイルもないので言われた通りに歌います」と僕が言ったら、「山寺さんの代表曲にしましょう。セリフを言うように気持ちで歌ってください」というお言葉を頂きました。それで、壮大な絵を思い浮かべて歌ったらお二人がとても褒めてくださったので、気持ちを乗せてくださるタイプの方々なんだなと(笑)。でも、お二人が「普段はあまり褒めないんです。本当に良いと思ったんです」と言ってくださったので、そこからは気持ち良く歌うことができました。歌う時の一つひとつの気持ちを確認していきながら大切に歌いました。例えば、僕の地元宮城の風景を思い浮かべながら歌ってみたら、自分の中で色んな想いが溢れてきました。それが聴いてくださる方にどう伝わるかは分からないですけど、まずは歌っている自分自身が想いを大切にしなければならないと思いました。歌う時はどうしても上手に思われたい、格好良く思われたいという欲が湧いてきますけど、今回はお二人に委ねて気持ちだけで歌いました。

──「大いなる和」は山寺さんの代表曲になりましたか?

山寺僕の中ではレコーディングを終えたその日に代表曲になっています(笑)。改めて出来上がったものを頂いてからは毎日のように聴いています。それに、僕がモノマネをやるようになったきっかけは玉置浩二さんだったので、安全地帯のギタリストとして玉置さんの歌声をずっと間近で聴いてきた武沢さんが良かったと言ってくださっているんだから、それだけでもう充分だなと思っています。

色んな想いが積み重なった上でセリフを発しているので演じるのは難しかったですね

──第五章「煉獄篇」ではデスラーの過去が描かれていました。彼の行動原理や心情がよりはっきりとしたことで、役へのアプローチの仕方に変化はありましたか? また、その部分について監督の羽原信義さんや脚本の福井晴敏さんから事前に何か話はあったのですか?

山寺中学校1年生の頃から「ヤマト」を観ていて、伊武(雅刀)さんがやられていたデスラーの大ファンだったので、プレッシャーを感じながら、『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)よりデスラーをやらせて頂いています。『2199』で旧作よりもさらに深くデスラーが描かれてとてもありがたく思っていたんですが、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下『2202』)でここまで話が深くなるとは誰も予想していなかったと思います。僕は、福井さんがお書きになっていた『2202』の企画書的なモノを事前に頂いていたので、羽原さんと福井さんが描きたい方向性を知った上で収録に臨むことができたのが良かったと思っています。第五章の始まりは、幼少期を除いて様々な年代のデスラーをやらせて頂いたので、よりその時その時の気持ちを理解しなければと思って演じました。年代の演じ分けをあの神谷(浩史)くんも褒めてくれたそうで。 後付けみたいですけど、僕も神谷くんとの絡みはとても嬉しかったです(笑)。キーマンの存在は今回の物語において凄く大きいですね。第五章でキーマンはデスラー側に付くのかなと思わせておいて、ヤマト側に行って、それが第六章ではどうなるのか。デスラーは母国ガミラス、敵対するヤマト、自分を救ってくれたガトランティス、ヤマトに乗っている甥っ子のキーマン、色んな想いが積み重なった上でセリフを発しているので演じるのは難しかったですね。それにしても、この作品は凄いと思います。デスラーだけでもこんなに複雑な背景なのに、それが登場人物それぞれにあるわけですから。いつの間にか第六章では、仲良しの高垣(彩陽)さんと林原(めぐみ)さんが大活躍していてビックリしました(笑)。

──第五章での様々な年齢(幼少期以外)のデスラーはどのように演じ分けられたのですか?

山寺当たり前ですけど、たくさん練習をしました。僕に幼少期以外全てをやらせるのは監督の賭けだったと思いますが、もしこれで上手く演じ分けられなかったら他の人に代えられちゃうなと思ったので、まだまだここら辺もできるぞというアピールの意味も含め、デスラーを一人で演じ切りたい一心でやりました。伊武さんのようなカリスマ性のある声を僕は持っていないけど、ここまで深く描かれた重要な役を頂いているので、なんとかやりたい。でも、皆から無理していると思われるのが一番格好悪いので、そのプレッシャーをひた隠しにして。ドキドキしすぎて吐きそうになりましたけど(笑)、音響監督の吉田(知弘)さんから「いい感じです」と言われたので安心しました。声で勝負をしている人間としては、わずかな年齢差も声で表現するつもりでやっています。

──さらに、第五章ではマティウス・デスラー役の草尾毅さん、エーリク・ヴァム・デスラー役の井上和彦さん、アデルシア・デスラー役の池田昌子さんらデスラー家を演じた豪華キャストが話題を呼びました。収録はいかがでしたか?

山寺驚きました。大人数での収録だったんですが、初め大先輩方がスタジオの隅にいらして焦りました。井上和彦さん、草尾毅くんも含めたあの並びの共演は嬉しかったですね。大ベテランから若手まで色々な世代がいる「ヤマト」の収録はいつも緊張感があるんですけど、特にあの回は凄かったです。

皆それぞれ大きなものを背負っていますが、デスラーのスターシャへの想いは特別だと思います

──第六章まできた本作全体の感想をお聞かせください。

山寺驚きの展開の連続でした。最初に見どころだと思っていた部分を忘れてしまうくらい次から次へと新たな盛り上がりがきて(笑)。ヤマト、加藤、藤堂、ズォーダーとサーベラー、登場人物たちそれぞれのドラマが描かれていて、最後はあの終わり方ですから。オリジナルの『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を見直してみると、こんな話は全く出てこないので(笑)。これだけ凄い物語をこの後どのように回収していくのか気になりますね。それと今気付いたんですけど、第六章のことをこれだけ話しておいて、主役であるはずの古代と雪の話を一つもしていない(笑)。もちろん大活躍していますよ! 「ヤマト」は見どころが多すぎて本当に困りますね。

──本作ではキーマン役の神谷さんと共演される機会が多いですが、何か印象に残っているエピソードはありますか?

山寺神谷くんは先輩後輩関係なくツッコむ人で、ハッキリ言って口が悪いんですよ(笑)。でも、それは彼の優しさで、おかげで皆がリラックスできる。かつてはあまり共演がなかったんですけど、ここ何年かは他の作品でも絡むことが多くて、その度に彼の凄さを目の当たりにします。神谷くんだけじゃなくて、ヤマトには飛ぶ鳥を落とす勢いのスターたちがたくさんいます。僕が業界に入った30数年前は各世代の人たちがいて色んな刺激を受けていたんですけど、段々と若い人ばかりの作品が多くなってきてそこにベテランが行くと話す相手がいないとかいう話も聞きます。それを考えると「ヤマト」は色んな世代の人たちがいますからね。こういう作品はやっていて本当に楽しいです。緊張感はありますけど、色んな世代の人と共演できる環境は声優としていっぱい学べるし、その良い雰囲気が作品にも反映されるのかなと思います。先輩からも若手からも盗みたいなと思いながら僕は現場に行っています。

──本作が描くテーマ“愛”についてはどのように考えていますか?

山寺皆それぞれ大きなものを背負っていますが、デスラーのスターシャへの想いは特別だと思います。そういう意味ではガミラスという国家への愛だけではないからこそ、デスラーはヤマトやキーマンから影響を受けて揺れているんだと思います。自分が理想とする愛に対して、今何を成すべきかを探っている。“愛”はとても難しい言葉ですね。一番人間に大切なものを漢字一文字で表せと問われたら、多くの人が“愛”と答えると思います。でも何を持って“愛”と定義するのかは難しいですよね。『2202』はあえてそこに挑戦している凄い作品です。まずは劇場の大きなスクリーンと音響で堪能して頂いて、1回観ただけでは分からない部分はパッケージを購入してすぐに確認して頂く。なんて素晴らしいシステム(笑)。繰り返し観るとより深く楽しめる作品だと思いますので、ぜひそのように楽しんで頂ければ“愛”についての理解も深まると思います。

本当にデスラーは歩く名言集ですよね

──デスラーを演じる上で意識されていることは何かありますか?

山寺どの役にも共通して言えることなんですけど、台本に書かれている自分のセリフをどう解釈してどう表現するのかが全てですね。その中でデスラーと言えば、カリスマ性とクールさです。その中にある葛藤や背負っているものの大きさを感じさせるけれど、相手にはそれを推し量られちゃいけない。でも、チラッと内面を出す時もあるので、本当に複雑ですよね。なぜデスラーは常に落ち着いて全てを見透かしたような雰囲気でいるのか。今まで演じながらその部分は僕の中でも謎だったんですけど、元来そういう強い人間だからこそガミラスを治められていたんだと捉えていました。でも、『2202』の第五章でそうではないことが分かったので、今はそれも多少意識しながら演じています。そういう人間として生まれた訳ではなくて、そうせざるを得ない人生を歩んできただけだったと。そんなことをいつも考えながら、その役やセリフと向き合って、出たものが音になっています。普段の僕は周りの目を気にしてばかりの小心者ですけど、そんなことを少しでも悟られたらもうデスラーにはなれないので、そういう点では内面を隠し毅然とした態度で振る舞うデスラーを僕が演じている意味があるかもしれませんね。ガミラスを救うと誓ったその日からデスラーは演じていた訳で、僕も演じていいんだと思えました。背負っているもののスケールは大分違いますが(笑)。

──デスラーのセリフで印象に残っているものはありますか?

山寺第五章で演説のシーンで言った「希望を失えば人は心を失う」ですね。日本は昔から自然災害の脅威が多く、その度に傷つけられてきました。皆が希望を失いかけた時に、何か希望の光が少しでもあると人は生きていけると思うんです。東日本大震災で地元が大変なことになって、色んな人と話をしている時に「大切なものを失ったと思ったけど、○○が希望になりました」という言葉をよく耳にしました。デスラーは心を鬼にして計画を進めたんですよね。あとは、同じく第五章でテレサに言った「聞かれぬことにはよく喋る」は面白いと思いました。ただの皮肉じゃないあのセリフが何故か好きなんですよ(笑)。今回の第六章では、モノローグの「ヤマト。大いなる和。けだし理想は美しい。だが、理想だけでは何も救えない。その理想に現実を変える力があるのなら、わたしを倒しに来い。ランハルト」です。ランハルトには聞こえていませんけど、次回に繋がるデスラーの今の想い。色んなものがこのセリフに含まれていると思います。本当にデスラーは歩く名言集ですよね。

──『宇宙戦艦ヤマト』が現在でも愛され続けている理由は何だと思いますか?

山寺人類の永遠のテーマ“愛”について追求している作品だからですかね。そこには緻密に作られているキャラクターがいて、大きなドラマの中にそれぞれのドラマがあるので、様々な世代の人が観ても共感できるんだと思います。それと、重要な登場人物である土方を(石塚)運昇さんが第六章の途中まで演じられています。僕は色んな作品で運昇さんと共演させて頂いているので、まだ亡くなってしまった事実を受け入れられていないんです…。運昇さんが亡くなられてから、初めての収録の時、(大塚)芳忠さんが音頭をとって、スタッフとキャスト全員で運昇さんがいつも座っていた席に向かって黙祷を捧げ、みんな涙をこらえながら収録を行いました。僕も最後にお会いしたのがこの現場で、その時は皆で「治っちゃうね」なんて言いながら談笑していたんですけど…。運昇さんのヤマトでの最後のセリフは「頼む」でした。勝手にいろんな事を託された気がしてます。その後を受けた楠見(尚己)さんが見事に演じていらっしゃいます。最後まで土方を演じたかったであろう運昇さんも喜ばれていると思います。最後まで一緒にやりたかったですけど、大好きな「ヤマト」という作品で共演できたことを嬉しく思います。そこで、エンディングテーマの「大いなる和」を自分が歌っているのも不思議な気持ちがしますね。試写で第十九話を観た後に自分の歌が流れてきて、グッときてしまいました。第十九話が「ヤマト」における運昇さんの最後の出演なので、ぜひその声を皆さんの心に留めて頂きたいなと思います。

PROFILE

山寺宏一(やまでらこういち)
6月17日生まれ。宮城県出身。主な出演作に『らんま1/2』の響良牙役、『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジ役、『ドラゴンボール超』のビルス役、『ルパン三世』の銭形警部役などがある。声優の他、タレント、ナレーター、ラジオDJとしても第一線で活躍している。

<上映情報>

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第六章「回生篇」
期間限定劇場上映中!
特装限定版Blu-ray劇場先行販売&デジタルセル版配信中!

<Blu-ray&DVD発売情報>

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 特別限定版Blu-ray 第6巻
【BVC限定/数量限定生産】
2018年11月9日発売
¥11,000(税込)
※上映劇場にて最速先行販売!
※先行販売は数に限りがございます。無くなり次第終了となりますので予めご了承ください。



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray&DVD第6巻
2018年12月21日一般発売
Blu-ray:¥8,800(税抜)
DVD:¥7,800(税抜)

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち【BVC限定】特設サイト

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 公式サイト

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