実録! スタッフ&キャストインタビュー【第2回 古川慎(サイタマ役)☓石川界人(ジェノス)SP対談】 [実録! ワンパンマン]
12月21日にBlu-ray BOX & DVD BOXが発売、来春には第2期の放送も決定しているTVアニメ『ワンパンマン』。今回ついに、サイタマ役の古川慎さんとジェノス役の石川界人さんのSP対談が実現! 第1期の思い出や役ヘの思い、さらには二人が選ぶベストシーンなど、たっぷりとワンパンマンの魅力について語っていただいた。
自分の目指すところへ向かうための努力は欠かさない点はジェノスっぽいよね
[古川]
普段ひょうひょうとしているのに、収録では一発で決める…先生との共通点です
[石川]
──サイタマ、ジェノスをそれぞれ演じる時に、役に入るスイッチはあるのでしょうか?
古川 そうですね…サイタマの声って、ちょっと他の役にはない特殊な声の出し方なんです。
──特殊、といいますと?
古川 具体的にどう違うか説明するのは難しいのですが、サイタマって、マジモードはとてつもなく格好いいのですが、マジ以外の時間がとても長いんです(笑)。その通常モードのサイタマが、普段あまり演じることのない声を使うということでひとつスイッチになっている、と言えるかもしれません。
石川 僕は気持ちの部分でスイッチをいれることが多いのですが、ことジェノスに関しては、サイタマ先生へのリスペクトがスイッチになっています。尊敬の念からセリフのニュアンスを掴むイメージで演じています。たとえば、先生に何か嬉しいことを伝える時、ジェノスが落ち着いていることってほぼ無くて、ちょっとテンションが高くなっているんです。
──なるほど、深いお話ですね…では今あらためて、サイタマ、ジェノスの魅力をお聞かせください。
石川 ジェノスはストイックなところでしょうか。一つの目的を達成するために自分を高めていく。自分なりに向き合って具体的な努力をするところはすごく好きです。
古川 そういうストイックな所は界人くんに似てるよね。自分の目指すところへ向かうための努力は欠かさない人だなと、そういう部分はジェノスっぽいなって僕は前々から思っていました。そのストイックさ、僕にはない部分なので…。
石川 (食い気味に)いや!そんなことはないです!
古川 努力しようと思って立派なことは言うんですけど、努力が続かないタイプなんですよ。
石川 僕は知ってますよ。最近の古川さんの声の変化について。僕が出会ったときよりも音圧が変わって、すごく響きのある声になったんです。それはたゆまぬ努力がなければ、手にいれられないものということも、よく知っています!
古川 ……ありがとうございます(笑)。そうだなあ、僕自身がサイタマと似ているなと思うところは、小市民的なところだと思っていて…。
──小市民的なところ、ですか?
古川 この作品において、最強の存在でありヒーローであるサイタマが、実は一般の人々の感性をもった一市民であるという部分ですね。ゴミ出しであるとかスーパーの特売日であるとか、ちょっとした器の小ささとか。そういった部分は僕と似ているなと思っています。いたって普通の日常を送っているサイタマが、いざ人類の脅威と相対した時には一発で決着をつけてしまうという得体の知れないギャップは魅力的に感じます。
石川 そして、共通点でもありますよね。
古川 !?
石川 普段はひょうひょうとして、物腰が柔らかくて人当たりも良い。でも、いざ収録となるや本番では一発で決めてくるところは、先生との共通点だと思いますよ。
──石川さん、今完全にジェノスの声になっていましたね。
古川 (笑)。
先生との手合わせのシーンは唯一ジェノスが必死感を出したシーンという意味でも印象深いです
[石川]
最終話のマジ殴りは、まさに最強の一撃。僕の心にもずっしりと響いてきたのを今でも覚えています
[古川]
──ではここで、第1期から心に残った名シーンを教えてください。まずお二人が選ぶ名シーンは?
二人 (声を揃えて)師弟対決ですね。
古川 アフレコブースで界人くんが「見てください! 先生の足のブーツのシワがここまでこんなにも細かく描かれていますよッ!」と、絵コンテでさえめちゃくちゃコーフンしていたのをすごくよく覚えています(笑)。
石川 (笑)。あのシーンは作画もさることながら、先生の格好良さが異常だったんです。もちろん、ジェノスがとにかく格好良く描かれているシーンではあるのですが…だからこそ、最後の先生の一発のカットが芸術的に決まるという、心に焼き付いて離れないシーンです。
──その名シーン、演じる上ではいかがだったのでしょう?
石川 ジェノスはサイボーグなので、基本的にはセリフに息を入れないんです。ただ師弟対決シーンに限っては人間に寄せて演じました。先生が圧倒的に強いので、その必死感を出すためにも。ジェノスが第1期を通して最も必死感を出したシーンという意味でも印象深いです。
古川 第1期において唯一彼らがガチンコでバトルをするシーンなんです。今後もし、再び師弟対決があったらどうやって演じるだろう…という楽しみがあります。我々も当時のシーンを超えるような芝居で臨みたいです。
──では、「師弟対決」以外で石川さんが選ぶ名シーンは?
石川 第9話の深海王に無免ライダーが立ち向かうシーンです。弱者が強者に立ち向かうという鉄板の構図に、無免ライダー役の中村悠一さんの迫力あるお芝居が乗っかって、まさに最強のシーンのひとつでした。そこまでの深海王の描かれ方が、誰が見ても最強。どうあがいても勝てないことはわかりきっているのに、市民のために立ち上がる無免ライダーの不屈の心が刺さりました。アフレコ現場では、中村さんのお芝居が今でも思い出せるくらいの凄さでした…。
──…思わず見返したくなりました。では、古川さんが選ぶ名シーンは?
古川 11話、12話にわたって描かれたサイタマとボロスのバトルシーンです。ラストのマジ殴りは、僕にとってものすごいカタルシスがありました。まさに最強の一撃で、僕の心にもずっしりと響いてきたのを今でも覚えています。後に、ボロス役の森川智之さんと対談させて頂く機会があって、その時に“強者ならではの孤独が二人にはあって、サイタマとボロスはその孤独の部分で通じ合っていた部分もあるんだな”というお話をしたことも、印象に残っています。
──演じる古川さんにとっても、ついにマジ殴りが出せたという喜びが?
古川 演じる上では細かな息遣いも含めてリアクションをどこまで増やすかにもこだわったシーンでしたが、僕自身マジ殴りを出せた喜びは、実はさほど感じていなかったんです。勝った喜び以上に、たった一発のパンチで決まってしまう“無常観に似た切なさ”のほうが、僕にとっても大きかったですね。
──心情面でも、完全にサイタマとシンクロしていたのですね。
古川 そうかもしれませんね。そんな心情面でも印象的ですし、信じられないくらい派手に動くアニメーションがとにかく圧巻で! やはり印象に残っています。
──ちなみに、お二人がサイタマばりに一撃必殺したいモノは?
古川 お腹の脂肪と3行以上のセリフを噛んでしまうということを一撃必殺したいですね。
──古川さんがセリフを噛むというのをまったくイメージできないですが…。
古川 いやいや、噛んじゃうんですよね…。マジ殴りで一撃したいです。
──(笑)。
古川 マジ悩みなんです(笑)。
──(笑)、では、石川さんがワンパンしたいものは?
石川 僕は一撃必殺したいものなんてないですよ。生きとし生けるものすべてを愛する…それが正義の心なんですけども、まあ交通渋滞かな(笑)。
第2期ではサイタマの対をなす存在として登場するガロウに注目しています
[古川]
第1期で見られなかったS級ヒーローたちの活躍も楽しみです
[石川]
──『ワンパンマン』という作品との出会いで変化したことはありますか?
石川 イベントの立ち居振る舞いは変わったな、としみじみ思います。『ワンパンマン』のイベントでは、古川さんと僕が歴戦の猛者でもある先輩キャストのみなさんに真っ向から立ち向かうという構図があって(笑)。たくさん学ばせていただいてます。ぷりぷりプリズナー役の小野坂昌也さんの胸を借りるつもりで、他のイベントではないくらいツッコミも激しく入れてますし、体も張るようになりました(笑)。
──(笑)。では、古川さんは?
古川 ふと通常モードのサイタマのようなテンションでボソッと言葉が出ることがあって、「あ、今なんかハゲマントな感じだったな」と思うことがあります(笑)。
──それだけ特殊なお芝居ということなんですね。そんなサイタマを再び演じる第2期が4月に放送スタートします。楽しみにしていることをお聞かせください。
古川 新たなキャラクターがたくさん出てくるのが楽しみですね。新旧のキャラがどう躍動していくのか…。特にサイタマと対をなすようなキャラクターとして登場するガロウは面白いですね。新たな話の軸が動き出す感じもあり、僕自身、第2期への期待感がとても大きいです。
石川 楽しみにしているのは、やはりS級ヒーローの活躍です。第1期で登場はしていたものの詳しく描かれなかったS級ヒーローたちがたくさんいた中で、彼らが活躍するシーンが見どころになるはず。そしてとにかくキャスティングがものすごいので、役者としても先輩たちのお芝居を目の当たりにできる楽しみもまた大きいです!
──それでは最後に、第1期Blu-ray BOX & DVD BOXと、第2期を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします!
古川 満を持して『ワンパンマン』のBlu-ray BOX & DVD BOXが発売されます。このBOXを持っていれば、第1期のすべてが分かるものになっております。僕もこのBOXを観返して、第2期の収録に臨んでいきたいと思っていますし、皆さんも、第1期の熱量をそのまま第2期への楽しみに変えていただければと思っています。
石川 今までに収録されたOVAや、英語の吹き替え音声なども入っていて、観どころも聴きどころも満載のBOXです。このBOXで第1期は総括できますので、今一度このBOXを観ていただいて第2期で盛り上がる準備をしていただければ。我々もこのBOXを見返しながら、最高の状態で第2期に臨む準備をしたいと思います!
PROFILE
古川 慎(ふるかわ まこと)
熊本県出身。トイズファクトリー所属。『orange 』須和弘人役、『アイドルマスター SideM』アスラン=ベルゼビュートII世役、『覇穹 封神演義』哪吒役、『BANANA FISH』ショーター・ウォン役、『転生したらスライムだった件』ベニマル役、『機動戦士ガンダムNT』ブリック・テクラート役など。
PROFILE
石川 界人(いしかわ かいと)
東京都出身。プロ・フィット所属。『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』梓川咲太役、『ポケットモンスター サン&ムーン』カキ役、『僕のヒーローアカデミア』飯田天哉役、『東京喰種トーキョーグール:re』瓜江久生役、『ブラッククローバー』ランギルス・ヴォード役、『盾の勇者の成り上がり』岩谷尚文役など。
TVアニメ「ワンパンマン」公式サイト
©ONE・村田雄介/集英社・ヒーロー協会本部