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大人気シリーズ遂に完結!『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』小野大輔×山寺宏一スペシャル対談

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羽原信義監督やシリーズ構成・福井晴敏ら新旧を超えた豪華スタッフが集結した『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のTV放送がいよいよクライマックス! そこで今回は、前作から同じ役を演じ続けてきた古代進役の小野大輔さんとデスラー役の山寺宏一さんに、古代とデスラーの変化や互いの関係性、印象的なシーンやキャラクターについてなど、長い旅を終えた今のお気持ちを伺った。

いつもヤマトの中にいるような感覚がありました[小野]

──前作『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)から始まり、本作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下『2202』)まで演じ終えた、現在の心境をお聞かせください。

小野『2199』の時は1年半以上、今回の『2202』では2年以上旅をしてきました。いつも同じスタジオで収録していたんですけど、その雰囲気が本当にヤマトの艦内みたいで、一緒に旅をしてきたことを実感しています。最後の収録が終わった時は、ここまで一緒に辿り着いたみんなにお疲れ様と言いたい気持ちでいっぱいでした。ブースからだと、調整室にいる監督たちは第一艦橋にいる艦長に見えるんですよ。

山寺あのガラスの感じがね(笑)。

小野本当に似ていて。だから、いつもヤマトの中にいるような感覚がありました。それと、役者さんはベテランから若手まで老若男女が参加されていて、世代に関係なくみんなが同じ気持ちで作品に情熱を注いでいました。それは艦長としてとても嬉しかったですし、クルーたちを誇りに思いました。

山寺こんなに長いスパンで収録して、色々な世代の人たちが出ている作品は他にないですよね。他のシリーズものとは一線を画す特別な作品でした。しかも、デスラーは毎回出ている役ではないので、物凄い緊張感がありました。決して殺伐とした空気のスタジオではないんですけど、最後の最後まで一言を発する度に緊張が走っていました。今はまだ終わったんだという実感はなくて、この先も旅が続くんじゃないかという気が勝手にしています。

──様々な作品に出演されている山寺さんでも緊張されるんですね。

山寺僕はまだ老若の若ですから(笑)。「ヤマト」の現場は、ベテランだけじゃなくて声優業界を引っ張っているような世代から、キラキラした若手まで色んな人が参加されているので。

小野緊張されていたんですね。

山寺いや、大変でしたよ(笑)。『2199』の時は、ガミラス側とヤマト側で別々に録ることが多かったので一人の時間もあったんですけど、『2202』はみなさんと一緒の収録だったので。他の現場では中心にいるような人たちが端っこにいたりしてね。

小野そうですね。「あなたがそこに座ったら若手が座るとこないですよー!」って場面もありました(笑)。

山寺僕もどうしたらいいかなと思って、さり気なく小野くんの隣に座ることが多かったですね。

小野ご本人はこう仰っていますけど、山寺さんがいらっしゃる時は場の空気がとても華やかになるなと思っていました。

山寺あら、嬉しいですね。小野くんがそう言っていたと大きく書いておいてください(笑)。

小野(大塚)芳忠さんや麦人さんたちはとても気さくな方で、気軽に話して頂けるんですけど。僕らからしてみると大先輩なので。

山寺まぁ、ジジィたちがね(笑)。

小野そんなこと言ってないですから(笑)。本当に凄い方たちばかりなので、どうやってコミュニケーションを取ったらいいのかと、実は座長として悩んだりもしていました。

山寺そうなんだ。でも、とても良い雰囲気でしたよ。

小野山寺さんが僕の近くに座ってくださった時に、もう一段現場の空気が上がったような気がしたんですよね。

デスラーの中で、古代は好敵手を超えた存在になるのかなという気がしています[山寺]

──好敵手と呼ばれる古代とデスラーですが、今回の『2202』での長い旅を経て、ご自身が演じられているキャラクターについての印象は変わりましたか?

小野『2202』の始まりが『2199』の3年後ということで、新しい役職に就き、責任も増えました。今回の古代は言ってしまえば、中間管理職的な位置にいるところから始まります。『2199』からの成長という意味では、ちゃんと周りが見えるようになったのかなと思います。旧作からずっと受け継いでいるのは、自分一人の気持ちで突っ走って行くというところですね。それは、彼の良いところでもあるし、ちょっとした弱点でもあります。真っ直ぐな部分、その熱量は変わっていないんですけど、『2199』から『2202』になって、改めて艦長代理として、そして最終的には艦長として、ヤマトクルーのみんなを見つめています。その全てのクルーたちの想いを背負いながら、『2202』では選択を迫られ続ける。そしてその都度必ず、彼なりの答えを出してきました。演じ手としても、一人の男としても、とても尊敬するし憧れる部分ですね。強くなったなと思います。

山寺今回の『2202』で過去が明らかになって、そんなことがあったのかとビックリしました(笑)。デスラーは生まれながらにしてカリスマ性があり、目的のためには手段を選ばない冷徹な人物として歩んできたのかと思っていたら、そうじゃないことが分かって。改めて『2199』を振り返って、大丈夫だったのかなと思ったんですけど、その時はその事を知らないですからね(笑)。そもそも旧作にはない話なんですけど、その時の自分に教えてあげたいなと思いました(笑)。あの時は、ガミラスを救うため、スターシャのために自分を律してという気持ちで演じていましたけど、さらに深い想いを抱えていたとは。母、そして兄…多くのことをスターシャ以外にそんなものまで抱えていたことを知って、本当にお疲れ様と言ってあげたいですね。最初は古代のことなんて何とも思っていなくて、最後にしてやられたという想いを引きずって、『2202』では遂にテレサの前で対峙します。その影響を今回の第七章でも強く感じるんじゃないかと思います。デスラーの中で、古代は好敵手を超えた存在になるのかなという気がしています。

小野僕からすると、デスラーはバックボーンが見えなくて、『2199』ではずっと怖かったです。

山寺確かにね(笑)。スターシャの前だけでは少し人間味が見えるけど、全て見透かしている感じだったからね。

小野だから、古代からすると戦う以前の問題というか。得体が知れないけど、でも何か信念を持って動いているから、とにかく怖かったんですよ。本当に文字通りカリスマ、理屈抜きに怖い。ずっとその気持ちがあったので、『2202』は凄く嬉しかったですね。ズォーダーが「人間である」というセリフを言うんですけど、それを聞いてデスラーも人間なんだなと思いました。ちょっと好きになってしまいました。

山寺『2199』の最後は、自分を見失うほどムキになってしまうデスラーの姿がありましたけど、そのヤマトの戦い方、古代たちの姿を見て変わっていったんでしょうね。いつも全てを見透かして、「さぁ、どうする」と試しながら、本当は自分がどうするべきかという答えを探そうとしていたんじゃないかと、『2202』をやっていて思いました。だから、キーマンにヤマトはどんな艦だったと聞いて、それを否定しながらもそこから自分自身の生き方への影響を受けていたんだと思います。それも“大いなる和”の一つですからね。

小野デスラーが自分もその中にいることに気付いているのが、感動的でした。敢えて誰とも心を通じ合わせない孤高の存在かと思っていたんですけど。

山寺だから、第六章のエンディングテーマ「大いなる和」を僕が歌ってもいいのかなと思いましたよ(笑)。デスラーとして歌っている訳じゃないけど大丈夫かなって。この第七章を観て頂ければその部分も分かって頂けるんじゃないかと思います。

あんなにアフレコに行くのが嫌だと思ったことはないです[小野]

──『2202』は感情を消耗する大変な収録の連続だったと思いますが、ご自身が演じられている役で辛かったシーンや楽しかったシーンがあれば教えてください。

小野一番辛かったのは、ズォーダーにどの艦を助けるんだと選択を迫られるシーン(第三章)ですね。そして、選ばないという選択肢を編み出す凄い展開でした。あのシーンを演じた時は、本当に僕自身が消耗してしまってドッと疲れました。あんなにアフレコに行くのが嫌だと思ったことはないです。本当に何て脚本を書くんだとシリーズ構成の福井(晴敏)さんをちょっと憎みました(笑)。演じ手ですけど、古代として、あのシーンは凄く辛かったです。

山寺僕は毎回プレッシャーがあって緊張しました。「今日はデスラーを演じられるから楽しい〜♪」というルンルン気分には一度もならなかったです(笑)。難しい役をやっている時は、気が重い部分もあるんですけど、それと同時に嬉しくもあります。役として複雑で難しい感情を演じられる喜びを感じます。役者はどこかMっぽいところがありますから(笑)。

──お二人にとってはとても挑戦しがいのある役だったんですね。

山寺そうですね。こんな気の弱い男が、全てを見透かして達観しているような役をずっと演じなければいけない訳ですから。ただ、デスラーも実は元々持っているものではなくて、そうしなければいけないという使命感からそうなったので、ちょっとだけ自分と繋がった気がしています。でも、古代の苦悩は大きいですよね。悩んだ末に出す答えが、選ばない、引き金を引かない(笑)。

小野あれは言えないですよ、ちょっと恥ずかしいですもん。何言ってるんだ!ってなりかねないです。

山寺古代だから成立するものだよね。

小野仰る通りだと思います。古代だから、ウォ〜っと盛り上がっていく。

山寺でも、彼のそんなところにみんなが感化されていくんだよね。

小野山寺さんも仰いましたが、ハードルが高ければ高いほど役者としてはやりがいがあるんですよね。それを乗り越えた時に何か新しいものを生み出せる気がしていて。やっている時は本当にしんどいんですけど、振り返ってみるとあれを乗り越えられたんだという喜びがあります。

山寺『2202』も様々なエピソードがあって、それぞれのキャラクターにスポットが当たって、敵のガトランティスまであんなに深く描くじゃないですか。こういうインタビューを受けていると、色々気になるエピソードを話している内に終了の時間になっちゃって、古代と雪のことを全く話せていないことが結構あったんですよ。でも最後まで観て、やっぱり今回も古代と雪の物語だったなと感じて、涙しました。昔観ていた時は、古代を演じていた富山(敬)さんの「雪〜!」っていう言い方をずっと真似していましたから(笑)。

小野『2199』の頃はずっと「雪〜!」って言っていましたね。心の拠り所で、いつも彼の行動理念の真ん中にあるのは雪でしたから。今回の最後のシーンは、作品の元になっている『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下『さらば』)とは違うじゃないですか。そこで、雪が「一人じゃ無理」って言うんですけど、あの言葉が物凄く心に響きました。艦長としての役割を全うし、最後も一人で行こうとしていた古代を止めてくれる存在はやっぱり雪なんだなと。テレサに導かれて雪と共に向かう流れには凄く感動してしまいました。

山寺“小野、ここで涙ぐむ”と付け足してください(笑)。

小野そこは盛らなくて大丈夫です(笑)。

山寺でも、第二十五話は二人で行ってしまって、最後の第二十六話はどうするんだろうと思いましたよ。

小野『さらば』は良い意味で深い傷を付けられるような壮絶なラストを迎えているじゃないですか。今回のラストは、同じことを描いているはずなのにとても“気付きと温かさ”に満ちている感じがしました。このラストに辿り着けて良かったですね。「福井さん、ありがとう。途中、憎んでごめん」って。

古代とあんなに絡んだキーマンに対する嫉妬はちょっとありますけどね(笑)[山寺]

──『2199』では実現しなかった古代とデスラーの掛け合いが『2202』では実現しました。その時の収録はいかがでしたか?

小野『2199』の時に古代とデスラーは一瞬すれ違ったんですけど、別々に収録していたので、文字通り僕らもスタジオですれ違ったんですよ。その時からいつかセリフをもっと交わしたい、お芝居の中で気持ちを交換し合いたいと思っていました。デスラーのバックボーンが分かった上でセリフのやり取りをできたことが凄く嬉しかったですね。でも、やっぱりデスラーは一枚上手だなと思いました。デスラーは先を見ていて、古代は今を生きている。お互いちょっと羨ましい部分、そういう生き方をしてみたかったという想いがあるのかなと感じました。

山寺デスラーはそれを凄く感じていると思いますね。 

小野古代は中間管理職のような立場にいたのに、最終的にはみんなの期待を背負って上に押し上げられる存在になっているので、一番上に立つ人の気持ちを知りたいはずです。そういう身からするとデスラーの存在は計り知れない。だから、古代はデスラーのことを羨望の眼差しで見ていた部分が少しはあったのかなと思っています。

山寺最後の方はお役に立てたのかどうかはわかりませんけど、僕としてはもう少し絡んで影響し合いたかったなという想いはありますけどね。その分、甥っ子のキーマンが頑張ってくれました(笑)。それに、『2202』(テレザート星のシーン)での会話はキーマンとミルがほとんどで(笑)。今回は、キーマンが地球とガミラスの間に入って、お互いを理解し合う部分があったのかもしれないですね。

小野僕もキーマンとばかり話していましたよ。だから、今回はライバルと言うとキーマンになるんです。

山寺そうなんだよ、本当はデスラーとなるはずだったのに…アイツのせいだ(笑)。オイシイところを色々と持ってかれたからね。でも、あの結果も“大いなる和”の一つとして良しとしましょう。古代とあんなに絡んだキーマンに対する嫉妬はちょっとありますけどね(笑)。

小野デスラーの存在と気持ちをキーマンが全部代わりにやってくれた部分はありますよね。デスラーがいなければ、キーマンはああいう風に変化していかなかったと思います。

──『2202』の中で特に印象に残っているキャラクターはいますか?

山寺いっぱいいますね! 僕は永倉が大好きです。斉藤が最後に女房って言っていましたよね。あの「永倉ぁ〜!」っていう斉藤の言い方で、すぐキャラクターを認知したんですけど(笑)。

小野東地(宏樹)さんのお芝居がハマっていますよね。

山寺そうそう、東地くんの斉藤が本当に良くて。あの二人のコンビは好きですね。

小野最後に、斉藤が生きる意味を見つけて特攻していくじゃないですか。あれは凄いですよね。“愛”とはこういうことかって思いました。あれは格好良かったです。

山寺格好良いよね、斉藤。

小野実は僕も二人が好きだったので、先に言われちゃいました。

山寺そうだったの? 他にもいっぱいいるでしょ。

小野そうですね。最後に真田さんが地球の人々に向けて演説をするシーンがとても印象に残っています。どこか客観的に戦況を見つめ、常に冷静な真田さんが、最後はあれだけ熱く語ってくれたことに凄く感動して、その言葉が心に染みました。真田さんも大切な人を失う壮絶な過去を背負っているのに、そんな人が最後にああやって感情を吐露してくれることが嬉しかったです。また、(大塚)芳忠さんのお芝居が素晴らしくて。この人は全部を分かって喋っているのかなと思うくらい、飄々とあの難しい場面をやってのけるんですよ。

山寺あれは凄いよね。

小野山寺さんとはまた違った形で、役に入り込んだ時と現場にいる姿とのギャップが良い意味であって、和ませて頂きました。

山寺元々演じられていた青野(武)さんの真田も大好きで、たくさんの作品でご一緒させて頂いている芳忠さんはどうやるんだろうと思っていたんですけど、一声聞いたらもう真田そのもので(笑)。別に青野さんの真似をする訳じゃなく、何の苦労もなく自然にスッと役に入られていて(笑)。

小野本当にそうですよね。何の苦労もなくやられていて。

山寺普段は全くそういう人じゃないんだけど、芝居になると変わるんだよね。ズルいよね?

小野確かにズルいです!

山寺最後の演説の「地球を救ったヒーローを助けに行く訳じゃない」という収め方には拍手喝采でしたね。

小野「彼はあなたです」という言葉は素晴らしいですよね。

山寺この作品は過去の名作をオマージュしている訳ですけど、今の時代に生きる人々が考えるべき大切なものがいっぱい詰まっているので、観ていて色々なことに気付かされますね。今観るべき作品だなと、改めて感じました。

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PROFILE

小野大輔(おのだいすけ)
5月4日生まれ。高知県出身。主な出演作は『黒執事』セバスチャン・ミカエリス役、『進撃の巨人』エルヴィン・スミス役、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ 空条承太郎役、『おそ松さん』松野十四松役など。その他、海外ドラマの吹替えやナレーションなどでも活躍している。

PROFILE

山寺宏一(やまでらこういち)
6月17日生まれ。宮城県出身。主な出演作は『らんま1/2』響 良牙役、『新世紀エヴァンゲリオン』加持リョウジ役、『ドラゴンボール超』ビルス役、『ルパン三世』銭形警部役など。声優の他、タレント、ナレーター、ラジオDJとしても第一線で活躍している。

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