映画『空母いぶき』劇場公開を記念してボイスドラマ制作決定!主演・上坂すみれスペシャルインタビュー
大ヒット作『沈黙の艦隊』や『ジパング』で知られる巨匠・かわぐちかいじの同名漫画『空母いぶき』が、西島秀俊、佐々木蔵之介らオールスターキャストで待望の実写映画化! いよいよ2019年5月24日(金)より劇場公開される。その公開に先駆け、5月12日(日)より映画『空母いぶき』公式サイト特設ページにて配信されるボイスドラマ『第5護衛隊群かく戦えり-女子部-(映画「空母いぶき」より)』全三章で、主人公の《いぶき》艦長・秋津竜太役、戦闘機パイロット・柿沼正人役、ナレーションの3役を演じた上坂すみれさんにインタビュー。映画本編はもちろん、ボイスドラマの感想など、様々な話を伺った。
空母《いぶき》の護衛艦《はつゆき》が燃えるシーンではボロ泣きしてしまいました。
──今回の『空母いぶき』のボイスドラマ「第5護衛隊群かく戦えり-女子部-」の企画を最初に聞いた時の感想をお聞かせください。
上坂原作も映画もリアルな海自(海上自衛隊)の世界を描いているんですけど、それがボイスドラマでは全員女性キャストになるということで、どのようなアレンジがされるのか気になっていました。でも実際は、意外と映画に沿った内容だったのでビックリしました。女子キャラのミリタリーものってどこかゆるふわな部分があるんですけど、そういうものは一切なく、原作や映画の雰囲気そのままにCV(キャストボイス)だけ女子になっていて、非常に男らしい作品に仕上がっていました(笑)。
──映画本編をご覧になった感想をお聞かせください。
上坂映画を観た後に原作を読んだので、内容については全く知らずに観ましたが、空母《いぶき》の護衛艦《はつゆき》が燃えるシーンではボロ泣きしてしまいました。私自身ミリタリーは好きなんですけど、自衛隊についてはあまり触れてこなかったのでとても新鮮でした。それと同時に、映画内では一般の人たちの暮らし、内閣やメディアの様子、《いぶき》をはじめとする第5護衛隊群の奮闘が並行して描かれているので、ミリタリーが全く分からないという人にこそ観て欲しいなと思いました。
──《はつゆき》が燃えるシーンを観て、泣いてしまったのはなぜですか?
上坂もうとにかく頑張ったね!という気持ちです。「艦これ」(艦隊これくしょん)というゲームで、駆逐艦だった頃の初雪と白雪の声を演じていたのもあって、より想いが入ってしまいました。《いぶき》が率いる他の艦が身を挺して《いぶき》を守る戦闘シーンは、戦車や戦闘機とはまた違った連携プレーを見ることができ、艦隊ならではの魅力が詰まっていました。たくさんの乗員が乗っている大規模な艦が主力を守るために危険を顧みないシーンの描かれ方が凄く良かったですね。
原作では心情を語るシーンは限られているので、あのシーンは映画ならではの味わいを感じました。
──その他に印象に残っているシーンがあれば教えてください。
上坂柿沼さんのシーンは、まさかの展開に驚きました。秋津さんが捕虜に対して許しでもないし同情でもない言葉に表せないような心のやり取りをしていたので。他にも、《いそかぜ》が主砲で敵の艦を撃つシーンでも、敵側を単純に「ただの敵」という言葉だけでは括れないように描写されているのは凄いですよね。現代の戦闘って本当に大変なんだなと思います。もちろんそれだけでなく、《はやしお》の体当たりや《いそかぜ》の猛バックのような緊迫のシーンはダイナミックに描かれていて、観ていてワクワクするところが多かったです。
──終盤で秋津の人間味溢れる部分が出てきますが、あのシーンはいかがでしたか?
上坂原作では心情を語るシーンは限られているので、あのシーンは映画ならではの味わいを感じました。秋津さんはずっと淡々としているのかなと思っていたら、最後にちゃんと私たちと同じ人間だったと思える部分が見られて安心しました。実は、今回のボイスドラマ用のキャラクターデザインはなかったので、あくまで自分の想像の中のことなんですけど、秋津さんをアニメ的にキャラ分類するとクーデレ(クールデレデレ)に属するんだろうか、なんて考えていました(笑)。
──その想像していたキャラクターデザインは女の子の姿ですか?
上坂はい。割と頭身高めなイメージがあります。逆にこれで3頭身だったら話が変わってきますね(笑)。7.5頭身ぐらいありそうな雰囲気の台本なので、声もそんなに作り込まずどちらかというと朗読に近いやり方で演じました。
──かわぐちかいじさんの原作漫画を読まれた感想をお聞かせください。
上坂第11巻までコミックスを読ませて頂いたんですけど、映画とはまた違って具体的な戦うべき目標があるので、政治、自衛隊、マスコミの関係がより深く描かれていました。戦闘に至るまでの経緯が丁寧に描かれていたり、内閣の緊張感が克明に描かれていたり、単純なミリタリーものともまた違う政治ドラマ的要素がありますよね。もしこういう事態が起こったらきっとこうなるんじゃないかという様子をこれ以上なく詳細に描き出していて、読んでいて次はどうなるんだろうというドキドキ感と緊張感がありました。こんなに緊張しながら読む漫画があるのかと思いました!
帽子や靴は西島さんが撮影で使っていたものをそのままお借りしているとのことですし、このジャケットとか本当にお買い上げしたいくらいです!
──今回の取材のために用意された海上自衛隊の衣裳をお召しになった感想をお聞かせください。
上坂めちゃくちゃテンションが上がりました! まさか、こんな素敵な衣裳を用意して頂いているなんて予想していなかったので、仕事で着られることが嬉しいし、コスプレ好きとしても堪らないですね。帽子や靴は西島さんが撮影で使っていたものをそのままお借りしているとのことですし、このジャケットとか本当にお買い上げしたいくらいです! これを着て台本チェックをしたらとても背筋が伸びるだろうなと思うので、お家に一着欲しいです。衣擦れのノイズ音も立たないので、アフレコ向きでもありますね(笑)。
──キャスト全員で収録されたとのことですが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
上坂かなり時間をかけて録ったので、状況が掴みやすかったです。アニメの場合、状況によっては一人で収録する場合もあるんですけど、今回はキャストが全員揃っていて、環境に恵まれていたのでやっていて楽しかったです。多分冒頭のナレーションを聴いた時点で、皆さん「真面目かよ!」ってつい独り言を言ってしまうと思います。機会があれば「新波さん、おはよう! 今日も日本の領海を守るよ♪」といったゆるいのもぜひ観てみたいですけどね(笑)。現場では妙に皆のテンションが上がってきて、ゆるい『空母いぶき』を考えようみたいな流れになっていて、ずっと真面目なことばかりしていると脳がバランスを取ろうとするんだなということが分かりました。お聴き頂く作品とは違って現場はほのぼのとした雰囲気でした。
──秋津の同期である新波役のM・A・Oさんとの共演はいかがでしたか
上坂M・A・Oさんはいつもクールな役のイメージが強くて、私は感情を出す役が多かったので、今回はいつもと逆だなと思いました。秋津さんの方が上の立場なので、M・A・Oさんの声に服従しないようにしようということを心掛けていました(笑)。
──男らしさを求められた今回のボイスドラマの演技で意識したことはありますか?
上坂秋津さんとナレーションをやらせて頂いたんですけど、ただ声を低くすれば良いというものでもないので、試行錯誤することが多くて難しかったです。メンタル的にはほとんど完全に海自の男性隊員なんですけど、声だけは普通の女子なので悩みましたが、演じながら密かに新しい萌えの世界を感じていたりもしました。
専門用語が多いので普通のスピードで台本を読んでいると
脳が追い付かず、想定と違って大変でした。
──今回のボイスドラマの収録に臨むにあたって、スタッフの方から何かお話はありましたか?
上坂事前にというよりは、やりながら修正していくことが多かったですね。秋津さんに関しては「いつも冷静でいてください」と言われました。ナレーションは映画に合わせて重厚な雰囲気でゆっくりやるべきなのかなと思ったら、普通のスピードでお願いしますと言われました。専門用語が多いので普通のスピードで台本を読んでいると脳が追い付かず、想定と違って大変でした。
──秋津とナレーションでは声色を変えたりしたのですか?
上坂どちらもあまり作らず普段の声に近いですね。区別がつかなかったら申し訳ないんですけど(笑)。秋津さんの「私たちが誇るべきは、自衛隊に戦死者がいないことじゃない。戦後何十年もの間、国民に誰一人として戦争犠牲者を出していないこと」というセリフがあるんですけど、決して格好つけず、国を守るという目的のために行動する人として演じていました。
──映画本編の役者さんの演技は意識されていましたか?
上坂最初はちょっと意識してやっていたんですけど、ボイスドラマはテンポを速めにお願いしますと言われていたので、映画のことは一回忘れました。映画は間が長くて重厚感のあるお芝居が多かったんですけど、ボイスドラマではテンポの良い会話劇になっています。
──普段耳にしない専門用語がたくさん出てくるボイスドラマですが、収録で苦労されたことはありますか?
上坂艦長の秋津さんは専門用語も全て把握していなければならないので、ただ読み上げているだけにならないよう、何度も口に出して練習しました。私は指示出しが多かったんですけど、他の隊員を演じた方は1(ヒト)2(フタ)0(マル)のような海自独特の数字の読み方をしなければならなかったので、難しそうだなと思いました。
秋津さんは若くして艦長になった人なので、頭の回転が早く、
指示出しが的確で、台本を読んでいても格好良いなと思いました。
──ボイスドラマを演じていて楽しかったところはありますか?
上坂「総員、衝撃に備え!」って言いたかったので、言えて嬉しかったです(笑)。それと、元々ソ連の戦闘機だったミグ35が出てくるんですけど、ミグはやっぱり丈夫で現在も現役でバリバリ働いていて偉いなと思いました。あとは、映画でもよく出てきましたけど「対空、対潜警戒を厳となせ!」や「対空戦闘用意!」のような命令が出てきて、演じていて気持ち良かったです。秋津さんは若くして艦長になった人なので、頭の回転が早く、指示出しが的確で、台本を読んでいても格好良いなと思いました。ボイスドラマは映画本編を簡潔にまとめた内容になっていて、ポイントを押さえたさすがの構成になっています。
──映画をご覧になった時に感じた秋津良太の人物像と、実際に演じてみて変わった部分があれば教えてください。
上坂原作や映画では表情が読めなかったり、「アジア最強」というパワーワードを使う印象があって、色んな意味で周りを巻き込んでいくタイプなんですけど、芯には「国民を守る」という人一倍強い想いがあります。空自(航空自衛隊)のエースであり、いぶきの艦長でもあるので、パイロットと艦乗り両方の気持ちが分かる超人的なキャラクターです。周りが不測の事態に動揺していても秋津さんは凄く冷静で、私はどちらかというとその周りで「先輩もう無理です!」と感情を出して騒ぐ後輩キャラをやることが多いので、抑えるお芝居は学ぶものが多かったですね。いぶきの艦長たる者は狼狽えちゃいけないんだなと、演じてみて再認識しました。
──ボイスドラマならではの魅力はどこにあると思いますか?
上坂ボイスドラマはアニメと違って絵がないので、全てを言葉で説明しなければならないところもあるんですけど、聴く人それぞれがキャラクターの造形を自由に思い描いて楽しむことができます。また、涌井軍司令が頭を殴打した場面もアニメだったら絵できちんと描写することができますが、それをSE(効果音)、周囲のキャラクターの雰囲気や呼びかけなどの音だけで説明したり、2メートル先からやってきて近くに来て喋っているというような3次元的な奥行きを音だけで表現するのはボイスドラマならではの方法だなと思います。絵で説明ができない分、アニメ以上にやり取りが凄く多いので、掛け合いの妙を感じました。
──最後に、ファンに向けて一言メッセージをお願いします。
上坂かわぐちかいじ先生の、初の実写映画化作品にこういった形で携わることができて大変光栄です。かわぐちかいじ先生の作品で、まさか女子だけのボイスドラマができるなんて皆さんもきっと考えてもみなかったと思います。それが果たしてどんなものになっているのか、ぜひ聴いて頂きたいです。ミリタリーものがお好きな方、海自がお好きな方、それらに興味はないけど演じている声優がお好きな方、色々いらっしゃると思いますが、どなたでも楽しめる骨太な作品になっております。ぜひたくさんの方に楽しんで頂きたいなと思います。
PROFILE
上坂すみれ(うえさかすみれ)
12月19日生まれ。神奈川県出身。スペースクラフト・エンタテインメント所属。主な出演作に『パパのいうこと聞きなさい!』小鳥遊空役、『中二病でも恋がしたい!』凸守早苗役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』アナスタシア役、『ガールズ&パンツァー』ノンナ役/ぴよたん役などがある。
公開情報
空母いぶき
2019年5月24日(金)より全国超拡大ロードショー!
配信情報
ボイスドラマ『第5護衛隊群かく戦えり-女子部-(映画「空母いぶき」より)』全三章
2019年5月12日(日)より映画『空母いぶき』公式サイト特設ページにて配信開始!
■第一章:2019年5月12日(日)18時配信開始
■第二章:2019年5月13日(月)18時配信開始
■第三章:2019年5月14日(火)18時配信開始
空母いぶき 映画公式サイト
映画『空母いぶき』特集サイト“V”的極秘ファイル
©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ