インタビュー | 「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択
6月11日(金)上映開始!『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』大塚芳忠(真田志郎役)インタビュー
『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』両シリーズを「真田志郎」というキャラクターの視点から再構成した本作。真田を演じた大塚芳忠さんにお話を伺った。
上質な〝ドキュメンタリー作品〞であり、凝縮されたエンターテインメント
──本作の収録には、どのような気持ちで臨まれたのでしょうか?
大塚この作品は自分の演じる真田志郎の独白によって物語が進んでいく構成になっていて、最初に台本の下読みしたとき「これは重大な仕事が舞い込んできたな」とまず感じました。台詞でもナレーションでもない、淡々とした〝語り〞での表現ですよね。ヤマトの航海を全て見てきた男のリアリティをどうやって作っていくのか、物語を伝えていくことの責任感と重圧を感じながら本番に臨みました。最初は手探りでしたが、「真田なら、この場面ではこうやって語るかな」というポイントを捉えることができてきて、そこからは気持ちが乗っていきました。長いこと真田を演じさせていただいていることもあって心情もよく分かるので、〝一人の人間としての真田志郎〞となって語れたと思います。
──『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下『2202』)を振り返る総集編である本作ですが、その見どころは?
大塚真田を語り部に据えた、上質な〝ドキュメンタリー作品〞ですよね。なおかつ、『2202』を中心にした物語が、すごい密度に凝縮されたエンターテイメントでもあります。
──大塚さんが「ヤマト」の世界に初めて触れたのは、いつ頃のことだったのでしょうか?
大塚最初の『宇宙戦艦ヤマト』が放映された1974年、僕は20歳くらいで、ちょうど田舎から東京に出てきた頃でした。当時の僕は、まだ仕事もなくてフラフラと途方に暮れている時期だったんですよ(笑)。テレビもない四畳半の部屋に住んでいて、食うことが精いっぱいというような状況でした。ですから、実は『宇宙戦艦ヤマト』を観る余裕がなかったんです。今思えば、もったいないですが。大ヒットした沢田研二さんの『ヤマトより愛をこめて』をはじめ、雲の上にいるような声優さんがたくさん参加されていて、当時、声優の道を志そうかと考え始めていた僕にとって「ヤマト」の世界は、華やかな〝遠い世界〞でしたね。作品にきちんと向き合ったのは『2199』でオファーをいただいてからです。
──『2199』でオファーを受けた時はどのように受け取られましたか?
大塚『宇宙戦艦ヤマト』で真田志郎を演じられていた青野武さんは大好きな先輩で、当時毎日のようにお酒をおごっていただいたり、遊びに連れていっていただいたりしていました。尊敬する青野さんから役を引き継がせていただくことには、特別な思いがありました。実際に真田を演じることで、あらためて青野さんの偉大さを理解できましたね。
──真田志郎というキャラクターをどのように捉えていますか?
大塚僕はちょっと変わったキャラクターを演じることが多いので、きっと真田も変わった人なんだろうなと想定して、最初のテストで、ちょっとひねったエキセントリックな演じ方をしてみたんですが、「ちょっと考え方が違うのではないでしょうか?」とダメ出しをされてしまいまして(笑)。真田は強面だけどユーモアもあって優しくて、決断力のある、僕にとっては理想の男ですね。すごく憧れますけど、なかなか彼のようになるのは難しい。『2199』の序盤では冷徹にも感じられるくらいでしたが、ヤマトの航海を通じて徐々に人間味が見えてくるようになって、その変化は演じていて楽しめました。真田という人格の本質や、その内側にある、大切な人を失った哀しみのようなものを台詞の端々に漂わせていきたい、と思って演じていました。
──『2199』『2202』シリーズを通じ、特にお気に入りのシーンや台詞を挙げるとすれば?
大塚やはり、「ある男の話をさせてください。どこにでもいる、ごく普通の男です」から始まる『2202』最終話の演説シーンですね。あの演説は素晴らしい台詞の連続で、しかもあれだけ長い台詞をいただくことはまずありませんから、役者として非常にやりがいのある、夢のような体験でした。本番では途中から感情が熱くなってきて、自然と真田と一体となって演じることができました。この台詞を言うために真田は生きてきたんだなと。
──最後にファンの方へメッセージをお願いします。
大塚これまでの「ヤマト」シリーズを知らない方が観てもよくわかるし、今まで観続けてこられた方も新しい興奮が見つけられる仕立てになっています。そして、次に控えるシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち』がどんな展開になるのか、期待をさらに膨らませていただくためにも、皆さんにぜひ観ていただきたいですね。
PROFILE
大塚芳忠(おおつか ほうちゅう)
1954年5月19日生まれ、岡山県出身。洋画吹き替えを起点に、アニメやゲーム、テレビ番組のナレーションなど多岐にわたり活躍。『転生したらスライムだった件』ハクロウ役、『鬼滅の刃』鱗滝左近次役ほか多数。
<公開情報>
「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択
6月11日(金)より全国36館にて期間限定劇場上映!
<作品情報>
【イントロダクション】
アポロ月面着陸から始まる宇宙開拓、2199年イスカンダルへの大航海、2202年ガトランティス戦役に至るまで、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』を中心に再構成した、人類史・宇宙史に刻まれる歴戦の全記録。新作カット・新録ナレーションを織り交ぜリビルドした慟哭の120分!!
【スタッフ】
原作:西﨑義展
製作総指揮・著作総監修:西﨑彰司/構成・監修:福井晴敏/ディレクター:佐藤敦紀
脚本:皆川ゆか・福井晴敏/脚本協力:岡秀樹/設定アドバイザー:玉盛順一朗
新作パート絵コンテ・作画:麻宮騎亜/制作:studio MOTHER/配給:松竹ODS事業室
【キャスト】
真田志郎:大塚芳忠/クラウス・キーマン:神谷浩史
演説の声:スティーブ・W/ナレーション:沢城みゆき
【シリーズメインキャスト】
古代進:小野大輔/森雪:桑島法子/島大介:鈴村健一
土方竜:石塚運昇・楠見尚己/沖田十三:菅生隆之
アベルト・デスラー:山寺宏一/ズォーダー:手塚秀彰
サーベラー:甲斐田裕子/テレサ:神田沙也加
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
©2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択 公式サイト
https://yamato2202.net/omnibus2202/
宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 公式Twitter