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「takt op.Destiny」若山詩音(コゼット/運命役)×本渡楓(アンナ・シュナイダー役) スペシャル対談
音楽に惹かれて現れる怪物“D2”によって荒廃したアメリカを舞台に、音楽を力とする“ムジカート”の運命と、彼女を指揮する“コンダクター”の朝雛タクトの戦いを描いたテレビアニメ『takt op.Destiny(タクトオーパス デスティニー)』。その物語をアニメ映像と生演奏で振り返るオーケストラコンサートが、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて6月19日に開催された。そこにゲスト出演したコゼット/運命役の若山詩音さん、アンナ・シュナイダー役の本渡楓さんに、出演したイベントの感想をはじめ、本作の魅力・キャラクターへの思いを語ってもらった。
──まずは、オーケストラコンサートのご感想を教えてください。
若山実際に間近でオーケストラの演奏を聞かせていただくと、音の重量感がすごかったです。それに、オーケストラを指揮するという本当に貴重な経験をさせていただいて、ありがたかったです。オーケストラにおいて、どれだけ指揮者が責任重大なポジションなのかを肌で感じることができました。コンサートの最後に伊藤さん(巨人役・伊藤未来さん)がおっしゃっていたように、出演させていただくのはもちろんですが、客席で鑑賞する側もとって も楽しいと思うんです。なので、次回またこんな機会があった場合は、出演もしたいけれどお客さんとしても演奏を楽しみたい……複雑な気持ちですね(笑)。
本渡最初に壇上に上がったとき、今までのアニメイベントとは違う、幅広い客層の方が足を運んでくださったことに驚きました。作品のファンの方はもちろん、オーケストラや指揮者、ピアニストのファンの方々が来てくださっていました。それぞれ違うものを好きで応援している方々が、同じ場所に集まって、同じ映像を観て、同じ音楽を楽しんでいる素敵な時間に立ち会うことができて、すごく嬉しかったです。私たちを初めて知ってくださっただろうクラシックファンの方も、すごく温かく見守ってくださって、素敵な経験をさせていただいたなと思っています。
──ここからは、テレビアニメ『takt op.Destiny』について伺っていければと思います。若山さんは、コゼットと運命の2役を演じられましたが、演じ分ける際に何か意識されていましたか?
若山コゼットと運命は、正反対と言っていいくらい性格が違うので、2人のお芝居にはっきりとした差をつけることはすごく意識しました。とくに運命は、最初のころは喜怒哀楽の表現がほとんどない機械的な雰囲気だったんですね。そこから徐々に人間的な感情を学んでいくので、しゃべり方が大きく変わるわけではないんですが、話数が進むほどに感情に深みが出るようにといろいろ考えていました。1話で運命という役を固めてから、過去エピソードを描いた2話でコゼットに向き合うことができたので、それぞれのキャラクターの違いをより意識して演じられたと思います。
──本渡さんは、アニメの前にアプリゲームで運命の収録をされていたと伺いました。アニメはその前日譚にあたるわけですが、アンナの役作りはいかがでしたか?
本渡オーディションの段階で運命とアンナ両方の課題が用意されていたので、もともとアンナのイメージはありました。それで、私も詩音ちゃんと同じように、アンナとムジカートになった運命のお芝居に差をつけようと思っていたので、アンナはお姉ちゃん気質なので、コゼットや運命はもちろんタクトにも気を遣っている部分があるので、自分は前に出過ぎず、一歩下がって見守ることができる人だなと思いました。ただ、気丈に振舞ってはいても、内心ではコゼットを失ってしまった悲しみを抱えていますし、運命を「コゼット」と呼び続けてしまうことに罪悪感もあって。そういった感情が出てくる部分は、アンナの気持ちを素直に表現できればと思っていました。
──先にアプリで運命(アンナ)を演じている本渡さんとしては、若山さんが演じる運命(コゼット)をどんな感覚で見ていらしたんでしょうか?
本渡コゼットとアンナはそれぞれ違う人間なので、ムジカートになって見た目はそっくりになっても、細かいところは違うんじゃないかなと思っています。それから、アプリで運命、アニメでアンナ、コンサートではどちらの声も少しだけやらせていただいたのですが、改めて振り返ってみると、運命の他者への接し方のなかに、「アンナらしい」と思える部分がありました。ムジカートになってガラっと性格が変わってしまっても、アンナの根底にあるものを感じる瞬間があったというか……。ただ、アニメのアフレコ中はコゼットの姉として、詩音ちゃんが演じる運命を見ていたので、そこまで考えてはいませんでした。それよりも寂しいという気持ちが大きかったんです。詩音ちゃんがコゼットと運命をしっかり差別化していたので、「コゼットを失った」というインパクトが強くて。詩音ちゃんからすれば、してやったりなんでしょうけど(笑)。
若山そうですね(笑)。嬉しい!
本渡イレギュラーなかたちでムジカートになったこともあって、何かが欠落しているというか、未熟な部分があるというのが、詩音ちゃんのお芝居でしっかり表現されていると感じたんです。例えば、D2を倒すことしか頭になくて、壁を壊して出て行ってしまうシーンとか(笑)。その未熟なところから始まって、運命の感情や成長のグラデーションがすごく繊細に表現されていて、何度もグっときました。コンサートで最後に「With Love」が演奏されましたが、あの海辺でタクトと運命が並んでいるシーンは、何度も観ているはずなのに涙がでました。素敵な演奏はもちろんですが、あのシーンのお芝居が蘇ったというのもあります。
若山ありがとうございます。あのシーンは作画も美しくて、私もすごく印象に残っています。
──では、アニメから参加された若山さんは、この『takt op.』の世界観などについて、どんな感想を持たれていましたか?
若山音楽のない世界って、言うのは簡単ですが、イメージするのが難しかったんです。特別意識していなくても、私たちの日常に音楽は溢れているじゃないですか。でもアニメでは、タクトたち以外の、音楽を奪われてしまった世界で生きている人たちの生活にもスポットが当たっているので、だんだんとその感覚がリアルに想像できるようになりました。かっこいいバトルシーンもありますが、アメリカを旅するロードムービーらしいのほほんとした雰囲気もありますし、それぞれの町で暮らす人々がちゃんと描かれているのも、アニメのすごく好きなところですね。
──役作りで難しかった点や、大変だったシーンなどはありますか?
本渡難しかったというとまた少し違うかもしれませんが、アンナが突然タクトにキスするシーンはかなり衝撃的でした。「アンナ、いつからその気持ちを抱えてたの!?」とびっくりして、アフレコ現場でもみんなでその話をしました。「いつからだと思う?」ってタクト役の内山さんにも質問してみたり(笑)。
若山音響監督の郷さんなんて、「タクトはコゼット派かもしれないのに……」って言ってましたよね(笑)。
本渡確かにそうかもしれないって、盛り上がったよね(笑)。本当のことはタクトの胸の内にあるんですが、キャストの間でもどう思ってるんだろうっていろいろ話し合ったので印象に残っています。
──アンナはタクトに対してもお姉さん的な側面が強いのかなと思っていたので、確かにあのシーンには驚きました。
本渡タクトがとても鈍感なのでじれったい気持ちがあったのかもしれないし、妹のコゼットに遠慮していた部分があるのかもしれない……。そうだとしたら、すごく切ないですよね。
若山私が難しかったのは、最初のころの運命とタクトの掛け合いですね。憎まれ口をたたき合うようなシーンがあるんですが、そこをテンポよくやりすぎちゃうことがあって。序盤の運命はまだ感情表現が乏しいので、タクトのテンションに乗っかってしまわないように気をつけました。会話のキャッチボールがまだ上手にできない運命を表現するために、タクトが投げて来たボールをうまく返したいけど、そこはグっとこらえる……ということが何度もあったんです。精神的に成長した後半の話数では、気持ちよく会話できて嬉しかったですね。
──そのほかに、とくに印象的なシーンはありますか?
本渡アンナのシーンではなかったのですが、巨人ちゃんが髪をほどいて戦うシーンですね。レニーさんと巨人ちゃんの関係性が本当に素敵で、大好きです。タクトたちの前では、レニーさんも巨人ちゃんもいつも明るくて、その裏には2人の大事な約束があったんだなと思うと、胸がじーんとします。そしてレニーさんとの別れを覚悟して戦う巨人ちゃんの姿は、伊藤未来ちゃんのお芝居の力もあって、すごく鮮明に覚えていますね。いつもと全然違う表情と声で戦う巨人ちゃんはかっこいいんですが、すごく寂しくもあって。
若山私は最終話の運命とタクトの海辺のシーンですかね。あ、その前の地獄のオルフェとの戦闘シーンも……!どっちにしよう。
──ぜひ、両方語ってください!
若山では手短に両方語りますね(笑)。海辺のシーンは、タクトを思うからこそ運命が切ない選択をする様子が、本当に美しく描かれているんです。きっと観てくださった方の心にも残っていると思いますし、私の胸にも強く刻まれています。オルフェとの戦闘シーンは、実は他のシーンをすべて録り終わって、最後に収録したんです。「最後に三石さんと戦って終わりましょう!」という感じで。『美少女戦士セーラームーン』が大好きなので、「最後に三石さんと2人で!?」という興奮と緊張をなんとか抑えて挑みました。全身全霊で戦ったので、喉がカラッカラになった記憶があります。運命の人間的に成長した部分のすべてがさらけ出されている戦闘だと思うので、大好きなシーンですね。
──アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか? コロナ禍で人数も制限されたなか収録されたかと思いますが、若山さんと本渡さん、内山さんは一緒に収録されたんでしょうか。
本渡ほとんど3人一緒でしたね。あとは、そこに巨人ちゃんやレニーさんが加わったりという感じで。アフレコ現場で毎週次の話数の台本をいただいていたので、内山さんも含め、3人でいろいろその後の展開を予想し合っていました。「最終的に本渡さんが運命になるということは……」「いや、それ以上考えるのはまだやめておこう」みたいな(笑)。
若山毎話ご一緒させてもらえてよかったです!
本渡私は内山さんとここまでガッツリとご一緒することは初めてでしたし、詩音ちゃんとは初めてお会いしました。内山さんと詩音ちゃんは同じ事務所の先輩・後輩にあたるというので、事務所トークで盛り上がった記憶がありますね。劇団ひまわりさんは小さいころからお仕事をされている方が多くて、詩音ちゃんも年齢は私より下なのに、お芝居のキャリア的には大先輩です。
若山子役からやっていますけど、声優としてのキャリアはまだ赤ちゃんなので……!
本渡芸歴の話をすると、毎回「もう言わないでください」って嫌がられますが、今後もこの話はやめないと思います(笑)。
若山こうやって現場でもからかわれていたんです(笑)。
──和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました(笑)。では、アプリゲームについてもお話を伺えればと思います。気になるムジカートはいますか?
本渡アニメの11話でも、くるみ割り人形ちゃんなど、何人かのムジカートが登場していましたよね。「あ、洲崎さんだ!」ってびっくりしました(笑)。
若山私が気になるのは、ワルキューレちゃんですね。アニメではタクトに対して顔を赤らめるシーンがあったので、アプリでその関係性がどうなっているのか、早く知りたいです。
本渡私は、きらきら星ちゃんです。これは公式設定じゃなくて、私の勝手な想像になりますが、ムジカートの見た目には何かしら生前の姿が反映されるのではと考えているんです。そうだとすると、彼女はすごく幼く見えるので、どんな理由があってムジカートになったのかが気になりますね。アプリはムジカート1人ひとりと向き合えるような作りにもなっているので、いろんなムジカートと関わって、彼女たちのバックボーンについて想像を巡らせてもらえたら、楽しみが広がると思います。
──7月27日にはアニメのBlu-ray最終巻が発売となります。アニメを観てくださった方、そしてアプリを心待ちにしている方へ向けて、最後に一言お願いします。
若山全12話、タクトと運命、アンナの3人でとても素敵な旅をしてきました。後半にかけては運命が精神的に大きく成長しますし、そうやって成長したからこそたどり着いた最終話の選択や、3人の旅をBlu-rayで何度も観返していただけたら嬉しいです。そして、アニメの興奮や熱を持ったまま、アプリゲームの配信を待っていてもらえるとありがたいです!
本渡オリジナルアニメということで、観ていただくためにたくさんの時間がかけられた作品ですが、ついにBlu-rayの最終巻をお届けすることができて嬉しいです。私は以前からアプリ用に運命として何度か収録をしていましたが、アニメの収録をしたことで、アプリで「この子、こんなしゃべり方してたっけ?」と違和感を覚えたり、「アニメのあのシーンがあったから、この子はこういう態度なのか」と新たな気づきがあったりしました。みなさんが今後アプリをプレイしたときも、きっと同じような気づきを楽しんでもらえると思うので、ぜひアニメを観返してもらえると嬉しいです。それから、アンナ目線でアニメの内容がコミカライズされることも発表されました。あのキスシーンのアンナの心情をより深く知ることができるかもしれないと思うと、私もすごく楽しみです。漫画やBlu-rayを楽しみつつ、アプリの配信を待っていてください。
PROFILE
若山詩音(わかやま しおん)
2月10日生まれ。千葉県出身。主な出演作に、『SSSS.DYNAZENON』南夢芽役、『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』川合麻依役、『空の青さを知る人よ』相生あおい役などがある。
PROFILE
本渡 楓(ほんど かえで)
3月6日生まれ。愛知県出身。主な出演作に『パリピ孔明』月見英子役、『ダンス・ダンス・ダンスール』五代都役、『ゾンビランドサガ』源さくら役、などがある。
▼『takt op.Destiny』公式サイト
https://anime.takt-op.jp/
▼ 『takt op.Destiny』公式Twitter
@takt_op_destiny ハッシュタグ #takt_op_Destiny
©DeNA/タクトオーパスフィルハーモニック