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魔法の世界に魅せられて――“ぴえろ魔法少女シリーズ” 堀越 徹(元日本テレビ)&大野 実(元読売広告社)プロデューサー対談
2026年4月5日(日)からのぴえろ魔法少女シリーズ最新作『魔法の姉妹ルルットリリィ』放送を記念して、2026年4月より隔月発売中の「ぴえろ魔法少女シリーズ Anniversary Blu-ray BOX」。
この度の発売を記念し、堀越 徹プロデューサー(元日本テレビ)と大野 実プロデューサー(元読売広告社)のスペシャル対談が実現!40年を超えて愛される“ぴえろ魔法少女シリーズ”立ち上げの経緯や、制作当時のエピソードを伺った。
堀越「“ぴえろ魔法少女シリーズ”は僕の原点です」
大野「堀越さんと僕は物語を作りたい側。ずっと同じ気持ちです」
――“ぴえろ魔法少女シリーズ”立ち上げ経緯をお聞かせください。
大野1980年代前半、いわゆる「魔法少女もの」は休止期間に入っていました。『ベルサイユのばら』『エースをねらえ!』など少女漫画原作アニメが流行した後に、原作の無い魔法少女ものを企画し復活させるのはかなりの苦労だったんです。それでも前年に『魔法のプリンセス ミンキーモモ』に関わって手応えを得ることができたので、次も同じ路線を続けることにしました。どのくらい商機を狙えるか、放映局はどこにするかなどの課題を色々と悩んでいたところ、布川ゆうじさんの存在が思い浮かびました。当時まだ一緒に仕事をしたことはなかったけれど、彼の演出は印象に残っていたんですよ。布川さんがタツノコプロから独立してスタジオぴえろを創設したことも知っていたので、『クリィミーマミ』は布川さんにお願いすることにしました。放送時間枠として狙ったのは18時台、しかも全国にネット局も多い日本テレビでの放映です。
堀越当時は「同じ視聴率1%でも、他局と日本テレビでは格段の差がある」と言われていました。その頃の僕は編成部員で『太陽の使者 鉄人28号』を担当していた頃から「金曜18時のアニメは視聴率が取れる」と知っていました。そして『クリィミーマミ』の企画書を部長に見せられて、これは面白そうだなって。人事異動のタイミングに合わせて、少し遅れて僕が日本テレビ側のプロデューサーとして参加することになりました。
これも当時の話ですが、局としては「おもちゃを売るために枠を使うのか」とアニメにいい顔をされなかったんですよ。正直に言えば反発がありました。上司からは「そんな得体の知れないものに関わりたくないから名前を出すな」とまで言われまして。
大野堀越さんの名前、最初の頃は表に出てないですよね。
堀越それでも視聴率を取って「それ見たことか」って(笑)。結果を出せたから名前も出せるようになりました。もともと『ミンキーモモ』は一ファンとして好きでしたし、『クリィミーマミ』のプロデューサーを担当できて嬉しかったです。
――『ミンキーモモ』は当時広い層に人気でしたからね。
堀越ただ、悲劇的な終わり方をした点に思うところがありました。なので『クリィミーマミ』の立ち上げを聞いて「これは『ミンキーモモ』の仇討ちだ。絶対に成功させてやる」と意気込んで参加し、最終回はテレビの前でボロボロ泣きながら観ていました。『クリィミーマミ』の名付けも大野さんですよね。
大野高田明美さんのキャラクターデザイン案を見て「クリームみたいな女の子」が思い浮かんで、別案に存在した「マミ」と繋げて「クリィミーマミ」にしました。「クリーミー」だと字面がありふれているし、発音記号から取って「クリィミー」だとオリジナリティも出るかなと。オリジナル作品は「主人公はどんな子か」を考えるところがスタートです。映像には無くても朝起きてからの歯の磨き方、顔の洗い方、最初の言葉まで全部想像することでイメージが完成します。そうすると脚本読みで「この子はこんなことはしない」「きっとこうする」と意見が出て、堀越さんもだいたい同じことを思っているんですよね。
堀越僕と大野さんに別々に質問して、答えが同じだったとスタジオぴえろのスタッフにも言われたことがあります。
――「日常と地続きのリアリティ」は歴代の主人公から確かに伝わりますね。
堀越『ペルシャ』の後半や『マジカルエミ』には安濃高志監督がこだわった日常の描写が見られますね。『クリィミーマミ』から「魔法では少女は成長しない。自分の力で成長していくんだ」という要素が物語に存在していますが、このジレンマは作れば作るほど膨らんだと思います。だから『マジカルエミ』では香月舞は魔法の力を最後に返し、未熟なりに自分の力でマジシャンを目指していくんですよ。
大野当時はそれを聞いて、スポンサーさんに怒られるんじゃないかなってヒヤヒヤしましたね(笑)。
堀越僕らは「これが重要なテーマなんです」と言い切っていましたが、大野さんは立場的に大丈夫でした?
大野「危険な橋だけど大丈夫ですよ」かな。おもちゃを売る妨げにはならない、むしろ作品に深みが出ると反論すれば良いだけですから。そこはバンダイさんの余裕というか「アイテムを出す事だけ守ってくれれば良い。アニメは専門家が自由にやってください」という姿勢に助けられました。「おもちゃが売れて面白くて視聴率を取れる作品」には応えているはずです。
堀越それが一番大切で一番難しいです。
大野ヒットメーカーの堀越さんからそういう言葉を聞くの、初めてかもしれない(笑)。
堀越当時は日本テレビの看板を背負っていましたから、心のなかで「大丈夫かな?」と思っても傍目には気づかれないようにしていましたね。
大野仕事にもどこかに自分の気持ちは入れたいじゃないですか。僕も堀越さんも物語を作りたい側の人間だから。そういう匂いは観ている人にも伝わります。一緒に仕事している最中は言ってなくても、密かに思っていました。
堀越“ぴえろ魔法少女シリーズ”は僕の原点です。『きまぐれオレンジ☆ロード』『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』など、世間的に僕の代表作と呼ばれる作品は、ここで出会った方々と作ってきているので。大野さんは僕の兄貴であり先生です。とても大きな財産をいただいています。
お二人の対談は2026年10月28日(水)発売「魔法のアイドルパステルユーミ 40th Anniversary Blu-ray BOX(特装限定版)」封入特典の特製ブックレットにも収録!
ここだけでは語り尽くせなかったエピソードは、ぜひ特製ブックレットでチェックしてほしい。
PROFILE
堀越徹/ほりこし・とおる
元日本テレビプロデューサー。1978年に日本テレビに入社。アニメや漫画に造詣が深く、同局で『魔法のアイドルパステルユーミ』までのぴえろ魔法少女シリーズほか、『六神合体ゴッドマーズ』、『陽あたり良好!』(テレビドラマ版)、『きまぐれオレンジ☆ロード』などにプロデューサーとして携わった。
PROFILE
大野実/おおの・みのる
元読売広告社所属プロデューサー。1972年『樫の木モック』よりアニメ作品に携わり、タツノコプロ作品を数多く担当。その後、『魔法の天使クリィミーマミ』から『魔法のアイドルパステルユーミ』までのぴえろ魔法少女シリーズのプロデューサーを歴任する。
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