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エウレカプレス 第4弾 アドロック役 古谷徹 インタビュー全文掲載
“アドロック”として劇場版で『エウレカセブン』シリーズ初参加となった古谷徹さん。
アフレコ後には放心状態になるほどアドロック役にのめり込んでいたという古谷さんに本作の感想を伺った。
――台本を読まれた最初の感想をお願いします。
まずこの世界の専門用語が全くわからなかったです(笑)。僕が演じるアドロックは、人類を命がけで救うというキャラクターです。それだけを見るとすごくカッコいい役なんですけど、演じると非常に大変でした。まずは年齢的なことですよね。キャラを見たら、軍服を着てヒゲを生やしている。最初の印象では、今まで僕が演じてきたキャラクターに比べて声質が合わないんじゃないかと感じたんです。映像と声との違和感がないよう「これは相当老け込まなくちゃいけないかな」と、大きなプレッシャーになりました。ただ読んでいくと、息子がいるお父さんだけど、当時レントンは4歳なので、キャラ的には30歳前後くらいでいいのかなと思ったんです。それだったら『名探偵コナン』で演じている降谷零や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のアムロ・レイも29歳なので、心情的な表現をきっちり演じれば、観た方に、僕が台本を読んだときの感動を与えることができるんじゃないかなと思って頑張りました。
――先ほど専門用語のお話がありましたが、その部分はどう対応されたのでしょうか?
アフレコ当日の朝に、台本を読んで分からなかった言葉を全て書き出して、監督(京田知己総監督)にひととおり質問しました。監督が秘密にしておきたい部分や、敢えて伝えたくないというところもあったので、全てを理解したうえで演じたわけではないです。アドロックが死んでからのレントンのストーリーの部分は、ほとんど読まずにアフレコに臨みました。「なぜアドロックがそういう行動をとらなければならなかったか」という部分にだけ集中して演じたかったんです。
――テレビシリーズでは話すことのなかったアドロックを演じる難しさはありましたか?
アドロックは写真や別世界で登場するぐらいしか出ていないんですよね。だからこそ、ファンの方は、声はなくともキャラクターをある程度想像していらっしゃる。映画が発表されたときから期待もされているでしょうから、僕にとっては、やっぱりプレッシャーになりました。
――レントン役・三瓶由布子さんに対して意識されていたことはありますか?
特に意識はしていないですね。先ほどもお話しましたがTVシリーズはアドロックが死んだ後の話なので、予備知識を入れないほうがいいんじゃないかと思って、観ていないんですよ。自分が演じるクライマックスの部分に集中しようと思っていたんです。けれど、自分の中でレントンの声を想像はしていたんですが、ぴったりだと思いました。
――三瓶さんは今回レントンを再演されていて、古谷さんご自身も他の作品で昔演じていた役を何年か経って再演することがあるかと思いますが、難しいものなのでしょうか?
僕が今まで他の作品で演じてきた役は、どちらかというと同じストーリーをなぞることが多かったのですが、本来はあまり同じ役の同じストーリーはやりたくないです。最初のときに後悔していて、「もう1回やりたい」と思っていたのなら別ですけど。当たり前ですが、最初のときに全力を出して燃え尽きているので、それ以上のものを出すのは大変なんですよ。
――印象に残っているシーンを教えてください。
冒頭のアドロックが吐くシーンですね。この行為は心も体もギリギリの状態にあってこそですよね。だから、いきなりテンションマックスに上げなきゃいけないというところで、僕としても自分の気持ちをそこに持っていくのが大変でした。アドロックは自分が立てた「ネクロシス作戦」を止めるために反乱を起こすんです。人類を救うために立てた作戦を止めるために、何の罪もない人を殺さなければいけないという、自分の行いに耐えられず嘔吐してしまうんですよ。アフレコがそんなところから始まったので、最初から苦労しました。アドロックがよく嘔吐するのは、テレビシリーズでよく嘔吐していたレントンと同じDNAなんじゃないかと感じました。二人ともいつも先走って行動して、結局うまくいかずに後悔する。完全に同じDNAですよね(笑)。それから、三瓶さんが14歳のレントンを生き生きと演じているのが本当に素晴らしく印象的でした。信念があって行動力があって好奇心が強くて。もしアドロックが生きていて、レントンの姿を見たら、すごく嬉しいんじゃないかと思いますね。アドロックも子どもの頃こんな感じだったんじゃないかと思わせるんですよね。自分のDNAをそのまま継いで生きてくれている。僕自身も父親目線で嬉しく思いました。
――古谷さんの中でアドロックとはどういう人物でしょうか?
まずは軍人ではなく科学者だということですね。そしてとても責任感、使命感が強い男である。それでいて4歳の息子を持つ子煩悩な父親。きっと子どもにメロメロで優しかったんじゃないかと。特にレントンは幼いときに母親を亡くしているので、より可愛がっていたと思うんです。そういった父親としての部分と、軍に所属している科学者としての部分と、両方を考えて演じなければいけないなと思いました。自身の作戦を尻拭いしなければならなかった。本当に絶望的な状況からスタートしたけれど、ラストシーンでようやく希望が見えたところは救いかなと思っています。
――アフレコを終えられたときの感想をお願いします。
エウレカ役の名塚(佳織)さんと二人だけでアフレコをしていたんですが、全てのシーンが意外と短時間でOKになったので、監督をはじめスタッフに満足してもらえたかなと思っています。ただ、アフレコが終わった後に、自分が今どこにいるのか、これから何をしなければいけないのかわからなくなってしまったんです。アドロックと一緒に昇天しちゃったんですよ(笑)。「僕はどうしちゃったんだろう」という、ふわふわ雲の上を歩いているような状態が2日くらい続いて、回復するまでに時間がかかりました。普段、そこまでのめりこむことはないんですが、今回は役にかなり集中したのと、クライマックスでアドロックが一人で喋るシーンの台詞に酔ってしまったのかなと思います。
――アフレコを終えられたあと、作品をご覧になっていかがでしたか?
僕は自分が出ている作品も客観的に観てしまう事が多いんです。試写会を拝見して、怒涛の戦闘シーンの迫力にも圧倒されましたし、アドロックの最期のシーンでも泣かされました(笑)。それから、レントンの、14歳の少年らしい生き様はすごく嬉しくなりましたね。僕自身も青春時代に戻ったような気分になれて、リフボードも欲しくなりました(笑)。
――古谷さんご自身が心を動かされたシーンを教えてください。
アドロックの子ども達に対する愛に感動しましたね。あとはヴォダラクの少女をレントンが救おうとするエピソードも良かったです。常識や大人の都合に縛られず、己の信念を通すために走り回るレントンはとても魅力的に映りました。
の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。
PROFILE
古谷徹(ふるやとおる)
●7月31日生まれ、神奈川県出身。青二プロダクション所属。『機動戦士ガンダム』アムロ・レイ、『巨人の星』星飛雄馬、『聖闘士星矢』ペガサス星矢、『ドラゴンボール』ヤムチャなど、誰しも一度は耳にしたことのあるキャラクターたちを演じるベテラン声優。最近では『名探偵コナン』降谷零、『ONE PIECE』サボなど。
<公開情報>
9月16日より全国ロードショー
交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 公式サイト
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