インタビューココだけ | ガールズ&パンツァー 最終章
『エンカイ・ウォー』の舞台でもお馴染み、大洗ホテルで活躍する「こそこそ作戦本部」の重要人物 島根隆幸 [大洗町回覧板 こちらガルパン出張所]
『ガールズ&パンツァー』の舞台・大洗で、より作品を身近に感じている方々に、作品と出会ったきっかけやエピソード、作品への思いなどを聞いていく『大洗町めぐり~大洗の今、そしてこれから~』。第8回は大洗ホテル 経営企画課 島根隆幸さんにお話を伺いました。
「ファンの皆さんのお陰で大洗町はポジティブなイメージになりました」
──まずは「大洗ホテル」のPRをお願いします。
やはり太平洋が眼前に広がる最高のロケーションですね。そして海の幸、野菜、畜産物などに恵まれた土地柄ですので、いつでも新鮮な食材を使ったお食事がご提供できるのが売りです。でも自然に囲まれた環境は恩恵ばかりではないんですよ。
▲1940年に開業され長い歴史を持つ大洗ホテル。雄大な景色と新鮮な郷土料理が自慢で、浴場はもちろんプール、
カラオケルーム、ナイトクラブなどの施設も完備。大洗駅からのバスによる送迎も行っている。
──それは東日本大震災の時の話ですね。
直接的な被害は自力で何とかなりましたが、原発事故による風評被害の払拭が大変でした。
──島根さんはどのような形で『ガルパン』と巡り会ったのでしょうか?
このインタビューの第3回で大里明さんがお話していたプロレス企画に自分も参加していたんですよ。それは「オートガイド」という茨城県内の中古車情報雑誌で、覆面レスラーのオーアライダ―が大洗町をPRする企画でした。それが最終段階まで進んだ時、常盤良彦さんが『ガルパン』の企画書を持ってきて、「秋に大洗を舞台にしたアニメが始まるので、このメンバーで盛り上げてほしい」と言われたんです。そのメンバーというのが自分と常盤さん、大里さん、山戸呉服店の山戸章弘さんでした。当時の自分は個人としてのボランティア参加でしたが、その年の9月初旬にプロデューサーの杉山潔さんと常盤さんが大洗ホテルにご挨拶にいらして、それからホテル側として正式に協力させていただく事になりました。
──島根さんご自身が好きだったアニメ作品は何でしょう?
『キン肉マン』や『キャプテン翼』、『北斗の拳』世代で、子供の頃は自分でも漫画を描くくらい漫画やアニメが好きでした。また『機動戦士ガンダム』や『ドラゴンボール』など男子に人気のアニメも見ていました。『ガルパン』のような戦車のアニメは見たことはありませんでしたが、戦車のゲームは何度かやっていたので面白そうだと思ったんですよ。また『コクリコ坂から』が話題になった事もあって、地元がアニメの舞台になるのは光栄に思いました。
──作品を実際にご覧になった感想はいかがでした?
第1、2話は大洗が出てこなかったので「あれ?」と思いましたが、第3、4話でしっかり描かれていて感動しました。実はこの放送を見る前に町内でファンらしき人達を見たんです。その方達は大洗磯前神社前の坂道とか、普通の観光客は撮らないような場所を撮影していました。その光景を見て、放送を見る前に大洗が登場するという実感がわいたんです。
──『ガルパン』を見て好きになった戦車はありますか?
『ガルパン』以前に知っていた戦車といえば、ドイツのティーガー戦車とか自衛隊の戦車とか、あと怪獣映画に登場する戦車くらいでした。でも『劇場版』を見てからKV-2が好きになったんですよ。海から上陸して砲撃したら思い切り外して当ホテルを破壊し、お隣の大洗シーサイドホテルさんの壁に穴を開け、砲塔の重みでバタンと倒れるのが可愛かったです(笑)。『ガルパン』では戦車も一人のキャラクターとして捉え、その魅力を上手く引き出しているのが良いですね。それまで戦車といえば屈強な印象でしたが、この作品を見てから可愛いと思うようになりました。
──好きなチームはどこでしょう?
今気になっているのはサメさんチームです。Mk.Ⅳの登場経緯や「因幡の白兎作戦」での活躍が面白かったので今後の活躍も楽しみにしています。
──島根さんは「こそこそ作戦本部」というチームでもご活躍されていますね。
いばキラTVでの第9話の放送終了後、常盤さんから第10話の後はしばらく放送の間が空く事を聞かされたんです。そこで、その間に大洗に来てくださったファンの方々に恩返しをしようという話になり、まずはお手製のスタンプラリーから始めました。その時にとびた荘の純平さんと観光協会の鬼澤正治さんにも参加いただき、「こそこそ作戦本部」というチームを作ったんです。
▲「こそこそ作戦本部」の会議風景。過去のインタビューにご登場いただいた
常盤良彦さん、大里明さん、山戸章弘さんの姿も見られる。
──なぜ「こそこそ」なのでしょう?
もちろん第4話の作戦名が由来ですが、なるべく目立たないように活動したかったからなんです。もし活動内容が公になると町内で噂になり、町の人達からの要望で収拾がつかなくなる可能性がありますからね。ですから、なるべく少人数でこそこそやろうというのが常盤さんの考えでした。
──キャラクターパネルに冷泉麻子が選ばれた経緯をお聞かせください。
先のスタンプラリーでスタンプの設置場所を決める際、いつでも押せるよう年中無休の店に置く事になりました。その8ヵ所の中に当ホテルの売店も選ばれ、スタンプの柄を何にするかという話になったんです。その時点で残っていたのは冷泉麻子さんと五十鈴華さんで、常盤さんが「俺は華さんが良い!」と言ったので必然的に麻子さんになりました(笑)。ホテル業としては仲居さんのイメージで行きたいので、黒髪のおしとやかなそうな子で良かったと思います。朝に弱いなら夜には強そうですし(笑)。そして、その流れでパネルのキャラクターも彼女になりました。最初の頃はパネルを不思議そうに眺めるお客様も多かったんですよ。やがて『ガルパン』というキーワードが世間で広まるようになり、それからは一般のお客様も「これ有名なやつじゃん!」と反応するようになりました。後に麻子さんの名刺交換という企画を始めてから訪れるファンの方も急増しました。
──麻子はここでアルバイトをしている設定ですね。
彼女を採用するかどうかは役職者会議で決めたんですよ。会長、社長、総支配人、部長が出席する場で承認をもらいました。もしかしたら、よく分かっていなかったのかも知れません(笑)。
──ここの宴会場がTVシリーズBlu-ray・DVD第6巻収録のOVA『エンカイ・ウォー』で描かれた経緯をお聞かせください。
最初に常盤さんから宴会場の撮影依頼があって、当日は一緒になって楽しく撮影していたんですよ。でもOVAの内容を聞いた時は、登場人物達がお酒を呑んでないか心配したんです。ホテルとしては未成年にお酒は提供できませんからね。やがてBlu-rayとDVDをいただいたので拝見したところ、ジュースで酔っ払っていたので安心しました(笑)。背景の細かいところまで再現されていて、それに感動しつつ「描く人は大変だなぁ」と思いました。
──それから宴会場の撮影を希望するファンも増えたのではありませんか?
ファンの方は入りにくいだろうと思ったので、1日だけ宴会場を撮影用に開放したんです。平日であったにも関わらず大勢の方が撮影に来られました。
▲2013年9月に『エンカイ・ウォー』と同じ宴会場で催された『リアル・エンカイ・ウォー』。
またホテルの施設は『ガルパン』関連の会見場としても使用される。
──ホテルにはどのような層が訪れるのでしょう?
2013年に「ガールズ&パンツァー応援宿泊プラン」を販売させていただきましたが、その後は『ガルパン』関係の企画を休止しているんですよ。ウチは「こそこそ作戦本部」として先の情報まで知っている立場なので、他の民宿さんに泊まっていただくことを優先すべきだと考えたからです。それに関しては常盤さんも大里さんも同じ考えですね。現状としては当ホテルには団体様、民宿さんには個人のお客様がお泊まりになる傾向で、個人的にもそのバランスがベストだと考えております。
──客層の変化はいかがでしょう?
パネルを設置した2013年が大洗にとって一番変化の大きい時期でした。その頃は缶バッジ製作も始まったばかりで、それ以外のグッズの販売もほとんどありませんでした。でもOVAの制作が発表された頃から大洗町とファンとの交流が始まり、ファンの皆さんが大洗の魅力をSNSで発信してくださるようになったんです。実は「大洗町」をインターネットで検索すると、それまでは堅苦しいネガティブなイメージだったんですよ。でもキャラクターパネルの設置でファンの方が気軽にお店に入れるようになり、そんなファンの皆さんと情報交換をしながら店側もSNSを始め、いつしか大洗町を検索するとポジティブなキーワードばかり出るようになりました。お陰様で『ガルパン』を知らない方まで「大洗は面白そうな町」という印象を抱いてくださるようになり、旅行先の候補として選ばれる事も増えました。そして『劇場版』公開後はさらに大きな変化があり、若い人達やカップル、女性のお客様が増えましたね。
──そのように大洗を訪れるファンが絶えないのはなぜだと思いますか?
やはりキャラクターパネルの影響は大きいと思います。パネル目的で店を訪れた方がお店の人と仲良くなり、やがてお店そのものを目的に大洗に来るようになったんです。そのような現象は他作品でも起こっていると思いますが、『ガルパン』に関してはリピーターが多い印象ですね。テレビ放送開始から6年くらい経ちますが、初期に大洗を訪れた方々が今もお見えになっているので。おそらく大洗を第2の故郷のように思ってくれて、実家に帰るような感覚で来てくれているのだと思います。ファンの皆さんは我々以上に大洗に詳しくて、逆に教えていただく事が多いくらいなんですよ。本当にありがたいです。『最終章』すべての公開が終わっても大洗に通っていただけたら嬉しいです。
──大洗ホテルとして今後予定されている事をお教えください。
9月1日に恒例の冷泉麻子さんの誕生日イベント(※イベントは終了しました)があり、今年はいつもと違う趣向を用意しております。そして11月に日本出版販売さん主催で「ガルパン戦車道検定」というイベントが催される予定なのですが、その大洗会場として当ホテルを使っていただく事になりました。今はそのための準備をしているところです。後は恒例の「あんこう祭」や「海楽フェスタ」に向け、安心してイベントが楽しめるような町作りに努めたいと思います。
──最後に次のインタビュー相手をご紹介願います。
水戸ホーリーホックの選手である長谷川凌選手にお繋ぎします。「あんこう祭」のアテンドをするようになってから、『ガルパン』宣伝プロデューサーだった廣岡祐次さんとお話しする機会が増えたんですよ。その時によく話題になったのがサッカーのJ2やホーリーホックさんの話でした。大洗ホテルとしてもホーリーホックさんにはいつもお世話になっていますし、廣岡さんへの感謝の意味も込めてお繋ぎしたいと思います。
PROFILE
島根隆幸(しまね・たかゆき)
1975年7月5日生まれ。水戸で生まれひたちなか市で育つ。18歳の頃に大洗ホテルに就職し、現在は購買係として仕入れ作業や宴会場の裏方スタッフとして活躍中。
<Blu-ray&DVD情報>
ガールズ&パンツァー TV&OVA 5.1ch Blu-ray Disc BOX
2018年12月21日(金)発売!
<上映情報>
ガールズ&パンツァー 最終章 第2話
2019年6月劇場上映予定!
ガールズ&パンツァー 最終章 公式サイト
大洗町回覧板 こちらガルパン出張所
©GIRLS und PANZER Finale Projekt
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