『しんちゃん通信』 映画作品ちょこっとレビュー最終回 “爆笑編”
今年で25周年を迎えた「映画 クレヨンしんちゃん」シリーズ! 本コーナー「ちょこっとレビュー」では、第1作目『映画 クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』から最新第25作目『映画 クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』までの作品の見どころや名シーンを『シリリ』にこめられた6つのテーマに沿って紹介。最終回となる今回は、“爆笑”をテーマに4作品を紹介するゾ!
(文 / 大山くまお)
劇場版 第25作
『クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』
いつだって映画『クレヨンしんちゃん』が大切にしているのは「笑い」だ。どんな感動作やアクション作でも、かならず全編が「笑い」で覆われていて、「ああ、楽しかった」「たくさん笑ったなぁ」と劇場を後にすることになる。最新作の『シリリ』にも笑いのポイントはいっぱいある。そもそも「お尻」の顔をしたシリリが生意気な口をきいているのを見ているだけでおかしい。驚きのエンディングも笑っちゃうので見逃さないように。
劇場版 第11作
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』
ものすごーく貧相な朝食を見て、みさえにブーイングを送るしんのすけたち。しかし、それは超豪華焼肉のためだった! ところが、そこへ謎の男が現れて、あれよあれよという間に野原一家は全員指名手配犯に! すべては謎の組織「スウィートボーイズ」の陰謀だった。バラバラになった野原一家は敵の本拠地、熱海へ向かう。すべては焼肉のため!
水島努監督による劇場版第11作は、なかだるみ一切なし、ノンストップギャグで最後まで突っ走ろうとした野心作。言い間違いや「ゾウさん」などの定番ギャグを使わず、急にしんのすけたちの顔が劇画タッチになったり、ひろしがすさまじい女装を披露したりする意表を突いたギャグが目白押し。映画のパロディーも多く、堂ヶ島少佐は『地獄の黙示録』のキルゴア中佐そのまんまだ。“裏切りオニギリ”ことマサオくんの活躍(?)も見逃せないゾ。
劇場版 第8作
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』
「アクション仮面」最新作完成記念の豪華客船ツアーに参加した野原一家。ところがそこに突然、謎のサル軍団が現れ、主演の俳優・郷剛太郎と大人たちが連れ去られてしまう! 船に残されたしんのすけたちは、大人たちを助けるために無人島に乗り込むが、そこは王を名乗る男・パラダイスキングが支配する島だった!
原恵一監督による劇場版第8作。「アクション」のカテゴリに入れてもいい快作だが、なんといっても大人たちをさらったパラダイスキングの目的が「自分を主人公にしたアニメを作らせるため」というくだらなすぎるものだったので「笑い」のカテゴリに入れさせてもらった。セル塗りに苦戦するひろしの姿につい笑ってしまう。ゲストで登場する小林幸子の“ラスボス”感の先取りぶりにも注目だ。
劇場版 第17作
『クレヨンしんちゃん オタケベ!カスカベ野生王国』
野原一家が住む街に、新しい町長としてエコ活動を訴える四膳守(しぜん・まもる)が就任した。ある日、しんのすけが拾った謎のドリンクを飲んだひろしとみさえが動物に変身してしまう! なんと四膳は「人類動物化計画」を企む過激エコ組織「SKBE(スケッベ)」のリーダーだったのだ! しんのすけは家族を元の姿に戻すことができるのか……!?
ギャグが大好きなしぎのあきら監督による劇場版第17作。いきすぎたエコロジーへの風刺や、みさえとしんのすけの親子愛などが印象的だが、全編をハイテンションなギャグが覆い尽くしている。SKEBの大げさすぎるミュージカルシーン、「はっぱ隊」のような四膳の姿や、ニワトリに変身したひろしの無力ぶりなど、見どころは盛りだくさん。それぞれの個性にあわせた動物に変身した、かすかべ防衛隊も愛らしい。
劇場版 第1作
『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』
駄菓子屋でチョコビを買って、アクション仮面カードを当てたしんのすけ。ある日、海へ行く途中に現れた“アクション仮面アトラクションハウス”にカードを使って入場した野原一家は「時空移動マシン」に乗せられる。たどりついたのは悪の宇宙人・ハイグレ魔王が暴れまわる世界だった。しんのすけはアクション仮面を助けてハイグレ魔王に挑む!
本郷みつる監督による記念すべき劇場版第1作。全人類をハイレグ化して地球を侵略しようとするハイグレ魔王とその一味のインパクトがすごい。打ち合わせの席で臼井儀人先生がハイグレ魔王やTバック男爵などを描いたデザインを次々と披露して、スタッフ一同が呆気にとられたというエピソードが最高。『クレヨンしんちゃん』の生みの親、臼井先生はやっぱり「笑い」の天才だった!
今回紹介した過去4作品の予告編はこちら!
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 1993 - 2017