第6回「太陽系の姿」[トップをねらえ2!大百科]
『トップをねらえ2!』の世界観を解説するコーナー「トップをねらえ2!大百科」がオープン。既にファンの方も初見の方も、これを読めばトップ!シリーズがもっと面白くなる、作中の世界観を深堀りする内容が満載! 第6回は「太陽系の姿」です。
※電撃ホビーマガジン2005年3月号から2006年7月号まで掲載された『トップをねらえ2!』の作品紹介「トップをねらえ2!大百科」を再掲したものです。
我らが故郷 その現在の姿は?
宇宙の海は、俺の海? とばかりに、人類が地球を飛び出し、人類初の超光速戦艦・るくしおんが出航したのは21世紀の初頭。こうして太陽系という枠を超えた人類は、「宇宙怪獣」と呼ばれる宇宙の免疫体と遭遇してしまった。
降ってわいたこの苦難を、人類は努力と根性で乗り切ることに。そしてついには、宇宙怪獣の巣である銀河系の中心をブラックホール爆弾で吹き飛ばし、堂々たる勝利を手にしたのだった。
とはいえ、この戦いの過程で、太陽系の中も大きく変化してしまう。冥王星より外周にあった雷王星(第13番惑星)は、太陽系絶対防衛戦においてブラックホール化した戦艦エクセリヲンに飲み込まれ、その影響は太陽系各惑星のバランスを崩すことにもなった。
さらに最大の惑星であった木星は、バスターマシン三号ことブラックホール爆弾を作るための材料にされてしまった……。
ここまでが前作にあたる『トップをねらえ!』のおさらい。時代は『トップ2』へと舞台は移り、この時代の太陽系はどうなっているのか?今回は太陽系の主要惑星の現状を探っていこう。
人類発祥の地そして生活圏
内地と呼ばれている火星軌道より内側の惑星のうち、人類がその生活圏としているのは地球、月と火星。水星は昼側と夜側の温度差が激しく、居住不能。金星も地球の90倍もある気圧に、濃硫酸が降るという地獄さながらの星であり、防衛上の理由から軍の基地があってトップレスたちも駐留しているものの、そこに一般市民は住んでいない。残る火星、地球、月に人類の生活圏はあるが、ではその様子はどうなっているのだろうか?
それではまず、我々人類の母なる星・地球から見ていこう。この時代においても多くの人々が生活し、自然も幾分か残されているらしい。空は青く、鳥が自由に飛んでいるという(もっともラルクの話ではカラスなのだが)。しかし、すでに首都は地球上から別な場所に移されており、政治や経済の中心ではなくなっているのだ。
厳密に言うと惑星ではなく、月は地球の衛星である。月の質量はきわめて小さく、重力は地球の六分の一しかない。そのため大気を地表に留めてはおけず、地球型の環境に改造する「テラフォーミング」を行うことは難しい。そこで月にはドームなどの都市群が作られた。そして、帝国の首都もこの月に移されたのだ!月の首都は人口1000万を抱える太陽系最大の都市となり、政治、経済的な中心として活動している。ちなみにこの首都の名称は21世紀の日本の首都と変わらない「トウキョウ」となっている。しかし、漢字にすると「凍京」と書くのだ。月は大気層と海が無いために寒暖の差が激しく、陽が当たらない面の平均最低気温は零下150度にもなるという。そんな星にある都の名前に「凍」の文字はふさわしいと言えるだろう。
灼熱地獄や濃硫酸地獄などの星々がある中、唯一人間が居住できる星へと改造されたのが、質量・太陽からの距離などの条件がもっとも地球に近い火星だった。21世紀では薄い大気(そのほとんどが二酸化炭素)と、水があったという痕跡が残っているだけの不毛な星だが、『トップ2』の時代ともなると、かなり環境の整備が進んできている。それを行ったのが、SF作品によく出てくる「テラフォーミング」と呼ばれる技術だ。まずは大気内の酸素濃度を増やし、呼吸補助装置が無くても人間が戸外で活動できる様にする。次に雨などによって大気内に水を循環させる。こうして海などを作ることによって、惑星の温度を一定に保つようにするのだ(水は暖まりやすく、さめにくいという特性を持っている)。このテラ化によって、『トップ2』の世界の火星は数億人もの人々が居住し、活気ある星となっているのだ。この人口は、今後の低緯度地域の温暖化や開拓の拡張に伴って、大幅に増加すると言われている。内地と言われている火星だが、実はまだまだ開発途上にある場所だったりする。
様々な建造物やロケットが立ち並ぶ火星の風景。これもまだまだ開発途上だったのだ。
さて、この火星には月の帝都とは別に自治政府が存在し、これが火星開発の進行や行政を行っている。政府といっても生活している人々の管理や公共サービスを執り行うという程度。火星を守っている火星警戒管制軍も実は宇宙軍・第15軍の別名で、独自の戦力などは全くもっていないに等しい。「地球(月)政府の横暴に耐えかね、ついに独立戦争を起こした」などというロボットアニメ的状況は、夢のまた夢だったりする。というよりも、宇宙怪獣という驚異の襲来に晒されている世界では、月の政府に反乱を起こすなどというのは考えもつかないことだろう。
惑星の王 そのなれの果て
『トップをねらえ2!』の3話の舞台は木星である。こう言うと、前作からの『トップ!』ファンは驚くはず。なにしろ木星こそは人類を救うためにその身を犠牲にし、ブラックホール爆弾となって散っていった偉大な星だからだ。実は木星には双子の星があった?それとも『トップ2』は、『トップをねらえ!』とは関係ないパラレルワールドの物語だったのか!? いえいえ、そんなことはありません。あの太陽になり損ねたという、太陽系最大の威容を誇るガス惑星の姿はちゃんと無く、その軌道上に浮かぶのは全高約70キロもある太陽系最大の人工惑星!この新しい木星は、内地やアステロイドベルト、そして辺境の地を結ぶ大圏航路の要衝として栄えているのだ。多くの宇宙船が出入りし、それらの船へのサービスを行うために200万人もの人口を抱えるという一大惑星都市と化している。
元宇宙船という巨大な人工惑星・木星。周囲に浮かぶ丸は宇宙港で、元・木星の衛星と同じ名前だが、これも人工的なもの。この人工惑星、横にして見てみると……!?
この人工惑星がどうやって出来たかなどの詳細なデータは、残されていない。ただ月に首都が移転されるよりも前に作られたらしく、惑星のベースとなったのも「宇宙怪獣との戦争のために作られた宇宙船」だったという。結局その戦艦は戦闘に出されることはなく、人工惑星としての長い人生(?)を送るハメになったとか。とはいってもこれは伝聞であり、確証はない。しかし、最初から居住区として作られたとするには異常な構造をしており、外層なども戦闘用としか思えない丈夫さを誇っている。もっともこれらの構造も、何度も行われた居住のための改修工事によって、原型がどうなっていたかなどは、わからなくなってしまっている。
小さな光の一つ一つで、人が生活を営んでいるのだ。木星の大きさは、まさに画面に入りきらない大迫力!?
木星の少年・少女たち。彼等はまだトップレス能力が顕在化していないため、シールは付けられていない。
そのほかの星々そして外は……?
木星から先、そこはもう一般の民間人が住む世界ではなくなっている。木星までは経済圏、生活圏として機能しているが、土星から以遠ともなると、軍事基地や開発基地がぽつんぽつんと置かれているだけ。地球圏から遠すぎるという物理的な理由もあってそういう状態になっているのではあるが、それはかつて銀河の彼方にまで出兵した人類が、すでに勢いを失いつつあるという証拠なのかもしれない……。
初登場! 土星の衛星タイタンで炬燵にあたるサーペンタインの双子たち。やはり辺境は寒いのだろうか?
なにしろ『トップ2』の世界で、人類の人口は60億人程度しかいないという。その程度の人口ならば木星まででも広すぎるぐらいだと言えるだろう……。だが、もっと重大な理由としては木星からの先の辺境区は、宇宙怪獣が跋扈する安全とはほど遠い場所だというのがある。人類はなんとか冥王星に基地を確保しているものの、そこから先は宇宙怪獣に制圧され人類が踏み込めない場所と化しているらしい。20年前にコーチのカシオが参加した「第2次カイパーベルト会戦」で激しい戦いが展開された結果、辺境地区の開発は中断して頓挫したままになり、冥王星に軍事基地が存在する程度になった。
3話でニコラは「人類は太陽系に閉じこめられた」と語っている。それでは人類は、宇宙怪獣との戦いに敗北したというのだろうか?太陽系の外に人類は残っていないのか?『トップ2』には、まだ多くの謎が隠されている――。
宇宙怪獣の集団・木星急行。彼等が襲来すると、木星の大圏航路が運休するハメになってしまう!
物理法則を超えるトップレス能力と引き替えに、人類の科学技術が衰退してしまった……のだろうか?
ついに明らかとなったディスヌフの背中
重々しいガクラン風のマントを着込んだまま、激しく宇宙怪獣と戦うバスターマシン・ディスヌフ。そのマントの下に隠されているモノは?
前面は2話のメンテナンス風景で出てきたものの、その背中がどうなっているのかまでは見せてくれなかった。現存する中で最古であり、かつ多くのトップレス能力者と共に戦いをくぐり抜けてきたディスヌフの背中に刻まれているモノは? 幾多の戦いでついた傷跡? それとも、白蛇の彫り物? それがついに3話で明らかとなった。なんと彼の背中にあったのは、スペースチタニウムとニューバスター合金で形作られた「鬼の顔」だった!!
「鬼の顔」を斜め横からみたところ。首筋から肩を守る装甲が額に見え、その下の部分に眼の様に見える後方攻撃用のビーム砲が取り付けられている。
近接防衛用の2つのビーム角を天へと突き上げ、肩胛骨の下には宇宙怪獣を睨みつけるかのような双眼がある。いや、この眼は睨みつけるように見えるだけではなく、ここからビームを放ち、宇宙怪獣を焼き滅ぼすことが出来るのだ。脱ぎ捨てたマント自体も円筒形に変形。大口径ビーム砲となる。ディスヌフにとって、ガクラン風マントは防御兵器であると同時に、戦闘力を抑制する枷となっているのだ。格闘能力に両腕の兵装、それだけでも攻撃型なバスターマシンのディスヌフ。さらに背中とマントのビーム砲を加え、超攻勢型となったディスヌフの、まさに「鬼神の如き戦い」を3話では見られる!
これが劇中に登場した「鬼の顔」だ!眼の部分はビーム発射の直前で不気味に光っている。
マントは内側から大量のミサイルを一斉発射可能。さらに変形して大口径ビーム砲にもなる。
▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
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