第7回「新たなトップレスたち」[トップをねらえ2!大百科]
『トップをねらえ2!』の世界観を解説するコーナー「トップをねらえ2!大百科」がオープン。既にファンの方も初見の方も、これを読めばトップ!シリーズがもっと面白くなる、作中の世界観を深堀りする内容が満載! 第7回は「新たなトップレスたち」です。
※電撃ホビーマガジン2005年3月号から2006年7月号まで掲載された『トップをねらえ2!』の作品紹介「トップをねらえ2!大百科」を再掲したものです。
新メンバーはどこから来た?
3話で登場した個性豊かなトップレスたち。ニコラ以上に優等生のような子もいれば、おしゃまな娘や、見ただけで生意気、口を開けばもっと生意気!な男の子もいる。かと思えば白塗り化粧でコタツにあたる正体不明、というより人間じゃなくてメ○ロン星人?な人物までもがいたりする。彼らを指導すると思われたコーチ・カシオはというと、ニコラ以外のトップレスたちにも頭が上がらないという体たらく。本当に権威とかは持って無いのね……という状況。さらには子供のトップレスたち同士も、反目・嫉妬・分裂・策謀などなど、大人に負けない複雑な人間関係を築いているようで……。
さて、そんな彼らがどこの基地から来たのか、ここで紹介といこう。まずは、ゴウヤ、シトロン、グルカ、ニャーンの4人。彼らは金星のダーリング基地に所属している。カトフェル、ロイ、パシカはアステロイド東方星区メイミイ基地。ルウはアステロイド西方星区マグノリア基地からやって来ているのだ。最後に登場するのは、木星急行攻撃という作戦の提案はしたくせに、実際には戦闘に参加しなかったサーペンタインの双子。彼女たちは、辺境区のケンジントン基地の所属。このケンジントン基地には辺境特有の閉鎖的な気質があり、フラタニティ内でも交流が乏しく独立独歩という感じが強いと言われている。ニコラが呟いていた、「双子の秘密サークル」というのがあるのも、この基地の気風が生み出しているものらしい。秘密サークルというのが、これからの物語の展開にどうかかわってくるのか?ニコラのシリアスな表情を見ると、重要なキーワードのひとつなのかもしれない。
左からカトフェル、ロイのガキ大将&パシリコンビ。でも服の色まで同じというわけではない。
左からニャーン、ゴウヤ、ルウ。ゴウヤやルウ、ラルクなどの優等生っぽいメンバーの制服は緑色(!?)。
左からグルカ、シトロン、パシカ。グルカとシトロンも、ゴウヤと同じ金星基地所属。ところが制服の色は水色に黄色とまるで違う。
またこのトップレスの基地所属に関しては「現在の」という但し書きが付けられるのを忘れてはいけない。宇宙怪獣の撃墜成績や、搭乗するバスターマシンの状態、さらにはトップレス自身の体調、精神状態、希望などなど、様々な条件の変化によって、別の基地へ編入および移籍することが可能なのだ。とはいっても、もともとやることはひとつ。全人類を幸福と繁栄に導くために、雪だるまを作る……じゃなくて宇宙怪獣を撃退するのだ!
科学技術の結晶はマシーンだけじゃない!
驚異のバスターマシンを生み出す、『トップ2』世界の科学力。それは何もバスターマシンだけを形作っているわけではない。トップレスたちにとって、もっと身近なアイテムにもその科学力&技術力がふんだんに使われているのだ。
その代表ともいえるのが、彼らが身に付けているポップな服、トップレスの制服。首周りはセーラー襟(男子は襟章)が付き、胴体部分は比較的つるんとしている。ズボンは半ズボンだがふくらみ袖風になっており、足がでるところは絞りになっているなど、さまざまな意匠がこらされたかわいらしいデザインとなっている。そんなデザインの裏に隠された、最新科学&技術を紹介していこう。まずは服を形作っている布地から紹介していこう。
布は、12種の様々な材質を積層させて作られている。表面は耐熱耐放射線にすぐれたストレンジファイバーとよばれる金属系の繊維製。もちろん対ショック性能も万全。古来スーパーロボットに乗るパイロットとくれば、高度6千メートルから落ちても大丈夫というパイロットスーツを着なければならないというが、そんな無茶苦茶な性能は無いにしても、ソレ相応の対ショック能力も備えている。そしてこれだけの性能を持ちながらも、裏地はスーパーシルクで縫製されており、着心地は絶品。お子様の繊細な肌にキズひとつつけないという逸品なのだ。
スカート姿が目を引く、ソワンテアンのパイロット・パシカ。
もちろん単に生地が凄いというだけではない。トップレスが行動するのは、宇宙船での航行中や衛星基地内など、気を抜くとあらぬ方向へ動いてしまう低重力下。そこで自在に動きまわるために、姿勢制御用のスラスターが、アームジャケットとブーツに取り付けられている。これを使えば、長距離をすっ飛んで生意気なロボットの頭に跳び蹴りをかましたあと、その場所に降り立つなんてことも可能になるのだ。
さらに緊急時に対する備えも万全。セーラー(襟)に付いているネクタイに似た形のマーカータグを引き絞ると、瞬時に頭部を保護する簡易マスクが展開する。もちろんマスクからは酸素が供給されるため、呼吸に支障はないし、布地が気圧差も解消してくれるのだ。同時に脚の露出部分も、腿部のリングが展伸して素肌部分が保護されるようになっている。
さらに緊急ビーコンが発信され、近隣にいる仲間のトップレスや宇宙軍に見つけてもらえるようにもなっている。もっとも、あくまで緊急避難用という意味合いのものであり、長時間の使用に耐えるものではない。だいたい透明ではない布地で頭部が覆われてしまうために、外を見ることも出来ず、救出をじっと待つことしかできないのだ。宇宙空間を普通に移動するためには、2話でラルクが着ていたようなちゃんとした宇宙服を着用する必要がある。
ちなみに制服の色やデザインは、所属基地で決められているという。とは言っても現代の中学・高校のように、基地によってその規制範囲が違う様子。厳格に適用されるところもあれば、自由にカスタマイズできる基地もあるとか。3話で登場しているトップレスメンバーの様子をみても、様々な色の制服が登場。中にはスカート付きという一風変わった制服も登場していた。 やっぱり他の人間と同じスタイルの服は着たくない、若者らしい個性の主張というものなのだろうか?
いまだなお恐ろしい病
宇宙は静寂に満ちた暗黒の世界。そんなことを言ってられたのは遥か昔のこと。空気はなくともエーテルに満ちた世界では、銀河の彼方からはるばる飛んでくる、または恒星から発せられる凄まじい電磁波や宇宙放射線の嵐が渦巻いているのだ! 3話の冒頭で、一瞬の油断からソワサンシスを破壊されてしまったチコは、ほんの数秒間だけだが防護服無しの状態で宇宙空間に放り出されてしまう。ここで恐れなければいけないのが、あの忌まわしい「宇宙放射線病」だ!!
これこそ前作の『トップをねらえ!』でオオタコーチの命を奪い、かの名将・沖○艦長の肉体を蝕んだという、宇宙を旅する者にとって最も恐ろしい病気である。しかし、黄熱病や天然痘が医学の前に屈し、エイズも克服されつつあるように、医術の進歩の前に、宇宙放射線病も克服されつつはある。
『トップ2』の時代においては、軽度の症状に関してはかなりの確率で完治するようになっている。しかし、重度の宇宙放射線病の治療方法は、いまだ見つかっていない。木星の病院にいた子供たちのように、多くの人々がいまだ宇宙放射線病に苦しめられているのだ。ちなみにこの子供たちは、額にパッチを張ってはいない。
『トップ2』が始まって以来、初めて出てきた「普通の子供」だったのだ。彼等も、極微弱ながらトップレス能力を持っているらしいが、発現していないか、パッチを貼るほど強力ではないのだろう。チコのイヤリングを盗って逃げたときも、トップレス能力を使って姿をくらました……という訳ではない様子。「いままで(秘密基地が)大人に見つかってない!」というのも、彼らがそう思っているだけ&大人が探していなかったというだけのことなのだろう。もっとも木星内部は、元の構造がよくわかっていない上に、何度も行われた区画整理で異常に入り組んでいたりする。大人は頭も入らないが、子供なら抜けられるなんていうスキマがたくさんあったりするのだ。
チコが昔、思い焦がれていた少年。しかし彼も宇宙放射線病で……。重度の場合は、いまだに死病なのだ。
作戦に合わせて姿を変える鬼
前回紹介したディスヌフの「背中の鬼」。ガクランを脱ぎ捨て、その封印を解いた時に発揮される戦闘能力だけが、ディスヌフのすべてではなかった。それが3話冒頭に登場するディスヌフ長距離侵攻セットだ。ロケット形態となっているディスヌフに、遠距離攻撃用の武装のアタッチメントを装備。それを有効活用するために、通常より長いレンジをカバーする探知、管制システムも搭載している。
アステロイドで宇宙怪獣を狩る、ディスヌフ・長距離侵攻セットの勇姿。遠くの敵をレーダーで捕らえて、狙撃していく!
ディスヌフは、本来のところ局地格闘戦を得意としているバスターマシン。内蔵している火器も、射程距離はあまり長くはない。向かってくる宇宙怪獣を撃墜するのには適しているが、こちらから攻撃するには「手が短い」のだ。長距離侵攻セットはそんなディスヌフに、単独長距離進出能力を付加するためのユニットなのである。ニコラの乗るヴァンセットの両肩に後になって付けられたユニットと同じようなものだが、こちらは通常は装備されていないというのがポイント。この他にも、任務や環境に合わせて様々な装備が用意されているらしい。ちなみに、この長距離侵攻セットを装備したままでロボット形態に変形することはできず、パーツをパージする必要がある。
また、このときノノが乗っていた補給コンテナは軍からの借り物。中に入っている弾薬なども、宇宙軍の所有物である。借り出すためには、軍票(戦地や占領地で軍が発行する手形)が必要となる。フラタニティが補給を受ける際は、軍票によって補給物資を「買う」という手続きが必要となっているのだ。すべては予算内で、トップレスに配られている。人類を守るためとはいえ、湯水のように弾薬を使わせるわけにはいかないのだ。
ラルクお姉さまにも誉められたという、ノノのマシーン兵器操縦テクニック。やっぱりロボットだから? それとも何か別の理由が?
宇宙のドライブスルーで弾薬補給!? 店員は朱色に塗られたマシーン兵器に乗ったノノが担当。
Q. 1話でチコが猫通信(テレパシー)の中継に使っていたネコは、ラルクの飼い猫なの?
A. 実はその辺りにいた、普通の猫さん。たまたま宇宙港にいた旅行者の愛猫じゃないかというウワサが……。ちなみに、映像のように現実に「猫が人の言葉を話している」わけではないという。猫の鳴き声の中にチコが含ませた任意情報を、ラルクが読み取っていたのだ。つまり、その場を通りすぎる人から見れば、あの猫は普通にニャアニャアと鳴いているだけなのだ。つまりラルクは、ニャアニャアなく猫さんと戯れているかわいい美少女に見えるということなのだ。もっとも、彼女の額に張られているパッチに気づかなければ……の話なのだが。
表情豊かに喋る猫。この表情もラルクだけに見えていたものなのだ。
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