第12回「バスターマシン7号」[トップをねらえ2!大百科]
『トップをねらえ2!』の世界観を解説するコーナー「トップをねらえ2!大百科」がオープン。既にファンの方も初見の方も、これを読めばトップ!シリーズがもっと面白くなる、作中の世界観を深堀りする内容が満載! 第12回は「バスターマシン7号」です。
※電撃ホビーマガジン2005年3月号から2006年7月号まで掲載された『トップをねらえ2!』の作品紹介「トップをねらえ2!大百科」を再掲したものです。
最古にして最小そして最強の兵器
タイタンの地下奥深くに眠っていた変動重力源。異星のバスターマシンやトップレスではないかと推定されていたそれを、秘密サークルのメンバーであるサーペンタインの双子が、推定一万年もの長い眠りから目覚めさせた。だがその変動重力源こそが、かつて人類を脅かした真・宇宙怪獣だった。
太陽系の危機を前に、宇宙怪獣……いやバスター軍団が果敢に特攻をかけたが、大きなダメージを与えることができない。呆然と見守るフラタニティのトップレス&バスターマシンも戦禍に巻き込まれ、死傷者を出す。圧倒的な戦闘能力と人類への悪意を持って復活した変動重力源の前に、歴戦の勇士であるディスヌフすらも左腕を破壊され、地に叩き落とされる。 誰もが人類の滅亡を覚悟した時、伝説の彼方から救世主が復活する。
バスターマシン7号
「地球帝国宇宙軍太陽系直掩部隊直属・第六世代型恒星間航行決戦兵器・バスターマシン7号!」頭頂高175センチ。頭部の突起を含めたとしても180センチがやっとであろうその存在は、バスターマシンと呼ぶにはあまりにも小さく、決戦兵器というにはあまりにも可憐な存在だった。だが、その実力、戦闘能力は、人類史上のどの兵器にも劣らぬ、現存する最古のナンバーを持つ最強のバスターマシンだったのだ!!
地面下からテーマソングにのってただいま参上! しかし、わざわざ冥王星から地面の下めがけてワープしたのだろうか? この登場の仕方は最初からすり込まれているものだったりして。
十文字の瞳に、2つのウイングが展開。そのマークはかつての地球帝国宇宙軍の証!
ノノは普通の娘 7号でも普通 !?
突然現れた救世主・バスターマシン7号……その正体はフラタニティに特例で入った人型ロボット・ノノだった。ノノがフラタニティに入れた理由は、メガネビュラ所属のトップレス・ニコラの強い推薦があったからである。本人の強い意志もあったが、それはさほど重要な問題ではない。火星における新型宇宙怪獣(ツインテール級)との交戦データや、ニコラの「ノノはバスターマシンと会話している可能性がある」という報告、現在も検証作業が行われている人工知能におけるトップレス能力の発動可能性の実証データ収集になるかもしれないという、フラタニティ内部及び、政府、軍などでの思惑があったからである。
もちろん入るにあたってノノ自身の個人調査が行われている。そのデータによれば、身長172センチ、体重49キロ。ナノマシンで構成された身体は、人間に限りなく近い構造となっている。肌などは通常の人間と同じような柔らかさで、体温も36度程度。通常時のエネルギーには、人間と同じ炭素系物質を利用。それも物質そのものを摂取することはできず、人間と同じように「食料」という形態でなければ取り込めないようになっているという。摂取口となる口内には味覚センサーまでもが設置されており、普通の人間が「不味い」「腐っている」と思うような食料は受け付けない。こうして取り入れられた食物を体内で分解、燃焼して熱エネルギーにすることで活動や欠損部分の修復などを行っているという。また一部の余剰エネルギーは、電気に変換し体内に蓄えておくこともできる。酸素が無い宇宙空間などでは、蓄えておいた電気を使って活動するのだ。さて、ここからが検査機関が頭を抱えた部分なのだが……エネルギーとして利用できない食料などを、固形・液体にして体外に放出する機能までもが付いているとか。その物体には、これまた丁寧なことに刺激臭が添加されている。
この調査報告書の最後に、ノノは身体的な部分からメンタリティな部分にいたるまで、まさに人間そのもののように作られていると書かれている。フラタニティのメンバーとなった後の追跡調査でも、風呂に入り、洗濯物などをため込むのを嫌がり、美味しい食べ物を好み、ファンシーなアイテムを喜ぶなどなど、ロボットだというのを考えると意義が薄い性格設定がされているとある。というよりも、10代の女の子そのものをコピーして作った、まさに人間的存在だといえるだろう。事実、彼女を火星で雇っていたというアルバイト先の店長は、ノノのことを人間の女の子だと思い、ロボットだとは疑ってもいなかった(ただし店長も「冷蔵庫を割る」というのはおかしいと思った、と証言している)。もちろん現在ある高機能アンドロイドに、ノノのような人間らしく見せる機能をつけることも可能だ。ただし、バカバカしい上にコストが上がるだけなので誰もやらないだけである。もともと高機能アンドロイドは、大企業や軍でしか使われない高額な物品。またそういうところで使用するのに、必要以上の人間らしい所作は必要ないのである。
このようにノノは無駄な機能こそ多いが、とくに不審な点は見あたらない。結論としては「トップレス能力者に危害を及ぼす可能性は低い」と判断されたのである。しかし彼女の正体が、バスターマシン7号だったということは、フラタニティ外郭団体の精緻なチェックすら切り抜けてしまったということを意味する。これは検査機関がサボったとか誰かが意図的にデータを捏造した、というよりはノノがそれだけ高度な構造を持つ証拠といえるのではないだろうか?
変動重力源への対処をどうするのか?その命令を聞くべく7号の前にバスター軍団が集結する。
トップ世界の宇宙船の歴史
ここで一時ノノの話題から離れ、トップ世界における宇宙船の歴史を振り返ってみよう。地球人類の作り出した宇宙船は主に科学技術によって構成されてきており、推進機関の差異や理論によって1~5世代に分類されている。ここでは世代ごとに、その特徴をまとめてみた。
第1世代
ロケット燃料を使用した科学反応ロケット。アポロ宇宙船やスペースシャトルなどがこれにあたる。20世紀の科学で建造可能。
第2世代
光子力推進による亜光速宇宙船。太陽系内を移動するならば、十分な機能を持つ宇宙船。前作『トップ』で「るくしおん」に接触するために使われた宇宙艇や、『トップ2』世界における宇宙船がこれに該当すると考えられる。
第3世代
縮退炉とバニシングモーターを装備した涙滴型超光速宇宙船。前作の「るくしおん」がこれにあたる。この船よりワープ(超光速移動)が可能となり、太陽系外進出が可能となる。
第4世代
エーテル流体力学を応用したデザインと大型バニシングモーターを装備した、超光速大型宇宙船。「ヱクセリヲン」でおなじみの艦艇で、大きさの違いはあるがバスターマシン1・2号も、ここに分類される。スペースシャトルと同じようなリフティングボディを持つ。
第5世代
エーテル流体力学を応用したデザインと思考主推進機関を搭載した超光速大型宇宙船。形状的には第4世代と同じだが、推進機関はそれまでの世代とはまるで別物となっている。思考主推進機関とはアルゴリズムイメージ推進法の応用により、純粋数学で周囲の空間の物理法則を書き換えながら進むというものである。主な艦船は6話に登場した全長70キロの超巨大旗艦ヱルトリウム。
第6世代は乗員と船とロボの合体マシーン
では、その先「第6世代」の宇宙船とはどうなるのか?ここにノノ=バスターマシン7号の謎を解く鍵がある! まずは第6世代と自称する7号の外観を観てみよう。目に付くのは小型化されたということ。しかも、人型なのである。もっともヱルトリウムは、約5万6千人の人間と800機ものマシーン兵器を搭載している訳だから、巨艦になるのはあたりまえ。逆に言うと、内部に物や人を入れる必要が無ければ小さくできる。宇宙船とマシーン兵器、艦長・操舵手・機関員・航宙士の乗組員をすべて兼任させたのが第6世代の宇宙船の姿なのではないのだろうか!?
実現するためには徹底的という言葉では足りないぐらいな小型化が必要となるだろう……というよりか物理的に不可能だ。ところが、その不可能を可能とする技術が、すでに第5世代に搭載されていた。その技術こそ、思考書き換え推進システムである!! 純粋数学で周囲の空間の物理法則を書き換えて移動する……これを物質に対して応用すれば、如何なる物体をも、必要ならば縮体炉すらも作り出すことが可能なはず。第5世代では宇宙空間での推進という限定的な事例しか書き換えられなかったが、第6世代では如何なる物をも変化させる、科学で作られた魔法の杖となったのである。ノノがバスターマシン7号の姿へと変身したときのスーツ、ゴーグル、バスターミサイルなども周囲の宇宙塵や冥王星にあった物質などを書き換えて創造したと思われる。当然この時、ゴテゴテとした装備や、戦闘のために身体内部を変化させているので、7号としてのノノの体重は49キロ以上になっているだろう。それこそ普通の建物に入ったりすれば、床が抜けてしまうぐらいに。もっとも、そんな一般家屋に入るなら、影響する重力子を書き換えて見かけ上「重くない」ことにしてしまうとか、いっそすぐさま書き換えを行って元の体重49キロに戻してしまえばいいのだが。フラタニティの検査をくぐりぬけた鍵はここにあった。バスターマシン7号ではなくノノである時、そのボディの中をどんなに徹底的に調査しても、ビーム砲だのミサイルだのという不審なパーツなどは見つからないのである。検査官が見落とした訳でも、不正が行われた訳でもなかったのだ。ただ不審なのは、この調査の時点でノノの体内に思考書き換えシステム(後述するフィジカルリアクター)と思われるような機器が確認されていないということである。ともかく、武装などの必要な機材を自ら作り出し、必要なくなれば最小限のシステムに移行する。人間の形状をしていれば、保管スペースや取り扱いにも問題を生じにくい。通常の取り扱いは人間が1人増えただけのことなのだから。命令するときも、決戦兵器本人をオフィスに呼び出せして口頭で伝えれば万事OK。第6世代は、最小にしてリーズナブルという決戦兵器と言えるだろう。
最強のバスターマシンの実力を見よ!
なんでも作り出せる第6世代型宇宙船のバスターマシン7号。しかし戦うにあたっては、決まった形態=コスチュームが存在する。ディスヌフと変動重力源の間に割って入った時の姿が、まさしくそれである。兵装を適切な位置に配置して、機能的に運用するためには必要なことなのだろう。それでは4話で確認された、バスターマシン7号の兵装をここで見ていこう。
バスターミサイル
脚部サイロ(コンテナ部)から高速発射されるミサイル。名称はミサイルだが、このバスターミサイルは光学兵器のように見える。どうやらミサイルという用語を「遠隔操作や自律飛行によって、目標を攻撃する兵器」という意味で使っているらしい。名称はバスターミサイルだが、その内実はエネルギー弾を射出するホーミングレーザーに近い兵器のようだ。
バスタービーム
7号の両手人差し指から発射される必殺兵器。赤色の直線攻撃であり、貫通されたタイタンが赤熱しているところを見ると熱線兵器のようである。さてこのバスタービームを搭載しているのは、ガンバスター、ディスヌフ、ツインテール級などが確認されている。ただし発射時のエフェクトから威力まで、どれも違う様相を見せている。ツインテール級が地上でも撃った一撃は熱線系だと判明しているが、この砲撃がガンバスターのバスタービームと同じだとすれば、周囲はあっという間に消滅していることだろう。別兵器だったのか、それとも人間を傷つけないように手加減したのか(空中に撃ってからなぎ払うようにディスヌフの上半身を狙ったところを見ると、地上に被害を及ぼさない配慮をしている可能性が高い〈※前号の記述は一部間違い〉。また地上ではディスヌフが軽く片手で弾いたのに、火星軌道上では全力で防御している)? ここまでのことを考えると、バスタービームとは「バスターマシンが持つ主力射撃兵器の名称」という可能性が高い。要は37㎜砲や88㎜砲、120㎜滑腔砲という性能の違いはあっても「戦車の主砲」というのと同じなのだろう。したがって、バスターマシン1号の冷線砲、同2号の全周熱線砲なども「バスタービーム」と称されるべきだろう。
縮体炉
7号はその内部に縮体炉を持っていない。しかし、超光速で移動(ワープ)するためには縮体炉が必要である。そこで必要に応じて縮退炉を作りだすのだ。これにより、7号は如何なる場所にも自由に、瞬時に移動できる。4話では手のひらの中に拳大の縮退炉を作ったが、長距離ワープの時はより大きな縮体炉を作ることになる。
フィジカルリアクター
7号の胸と両手の甲に装備されている三色の半円物。映像上では敵の攻撃を制止したシールドというだけに見えるが、これこそが第6世代の肝とも言える思考書き換えシステムそのものだ。変動重力源から攻撃を受けた時はこのフィジカルリアクターを作動させ、瞬時にその攻撃のエネルギーを停止状態に変化、その後に分解して取り込んでしまったのである。敵の攻撃を無効化するにのみならず、必要とあれば自分の攻撃エネルギーへと変換してしまう。フィジカルリアクターは戦いの際には無敵の盾になると言えるだろう。フィジカルリアクターがあれば、7号は無敵!と言いたいが、無敵=万能とはいえない。もし本当にフィジカルリアクターが万能なら、わざわざ変動重力源と戦う必要はない。変動重力源自体を無へと書き換えてしまえばいいのだ。そうしなかったところを見ると、フィジカルリアクターには効果が及ぼせる有効範囲があるのだろう。またその有効範囲を活用できるように、7号は人間サイズに作られている可能性がある。
マフラー
ヒーローの証! とばかりにたなびくマフラー。これは努力と根性、そしてお姉さまとの絆の証。という訳で、実は1話にラルクからもらって、ずっと身につけていた普通のマフラーだったりする。宇宙空間での戦いでも、凍結することなく、燃えることがない。これは〝努力と根性?のなせる技と言えよう。このように、敵の攻撃を無効化し、いかなる武器をも作り出せる無敵のバスターマシン7号。彼女がいれば、太陽系は安泰!?というのは少し早い。なぜなら無敵の7号でも、変動重力源が太陽系の四方八方から攻めてきたとしたら防ぎようがない。そこで彼女の手足となって敵と戦ってくれるのが、バスター軍団なのだ!! その軍団構成や行動原理、さらに深まるバスターマシン7号の秘密などに関してはまた項を変えて語ることとしたい。
起動すると中心が赤・緑・青と3色に輝くフィジカルリアクターが7号の最重要武装だ。
脚部サイロを展開してバスターミサイルを一斉発射。その閃光は誘導されて、全弾が敵へと命中する。
変化技、バスタービーム・スラッシュ。『ウルトラ○ンA』のヴァーチカルギ○チンがモチーフ?
7号の手足となって戦うバスター軍団。ひとつひとつは小さな火だが、億が集まり猛火となる!
▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
https://v-storage.jp/gunbuster/
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