『しんちゃん通信』 スペシャルインタビュー「マサオくん役 一龍斎貞友」
『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』で大活躍したのは、なんとマサオくん! そこでいつもは気弱で泣き虫オニギリなマサオくんを演じる一龍斎貞友さんに、本作の見どころとカスカベ防衛隊の仲の良さの秘訣などについてお話をうかがいました!(取材・文 / 大山くまお)
「マサオくんらしくなくていいじゃない!」と思いました(笑)
──『爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』はマサオくんが大活躍する作品でしたね。
予告で「街の平和を守るのは…あのマ、マサオ~?」って言うんですよね。なんてまぁ憎らしい(笑)。でも、ご覧になった方の作品の評価が高かったのがとても嬉しかったですね。
──最初に今回の作品のお話を聞いたときのご感想はいかがでしたか?
そんなに出番がなくてもいいですよ~、って(笑)。マサオくんって、何かあると生贄みたいな感じで先発で行かされて、だいたいすぐにやられて泣いて帰ってくるんですよね。それがマサオくんの役割だと思っていたので、キーパーソンになると聞いたときはちょっと心配でした。でも、いろいろなシーンを、それぞれの状況の気持ちで演じることができたのはすごく幸せに思いました。
──前半は期待通りのマサオくんでしたね。兄(あに)弟子なのに、すぐにしんちゃんたちに追い抜かれたり(笑)。でも、そんなところにすごく共感できました。
何やってもできないしね~!(笑) 悔しい気持ちはあるんだけど、「しょせん、僕、マサオだから」と日和っちゃうんですよね。でも、後半の師匠役の関根勤さんと一緒のシーンなんかは自分でも「マサオくんらしくなくていいじゃない!」と思いました(笑)。
マサオくんが「僕はしんちゃんじゃないんだよ!」と言うところは、「まさしく!」と思ったんですけど(笑)。彼なりに大きなハードルを超えられなかった悔しさがありつつ、師匠をお世話しながら新しい自分の役割を見つけていくというところが、「いつもザンネンなマサオくんも、ちょっと変わった?!ブラボー!!」と思いました。
──とても成長した感じがあって、カッコ良かったです。
「人として一番大事なことって何なんだろう?」ということに珍しく!正面から取り組んでいったところがありましたね。マサオくん、いいぞ!でも、日常生活に戻るとだんだん忘れて戻ってっちゃうんでしょうけど(笑)。
──作品全体で印象に残ったシーンはありますか?
「ジェンカ」は橋幸夫さんの声のような気がするな~、と思っていたら、本当に橋幸夫さんが歌っていてびっくりしました! 収録中は「これが全国の幼稚園や小学校で流行ったらいいね」と話し合ってました(笑)。ぷにぷにの精は不思議な存在でしたが、水島裕さんがとても楽しんで演じていらしたのが印象的でした。私は収録中、席が隣だったんですが、すごく研究されていて、流石!と思いました。
カスカベ防衛隊は「ベタベタしていない」のが良い!
──カスカベ防衛隊は最近、劇場版での活躍が増えていると思います。カスカベ防衛隊の結束の強さ、チームワークの良さの秘訣はどのようなところにあると思いますか?
一番ヘタレのマサオくんが言うのも何なんですが(笑)。それぞれの人物設定が明確だということがありますよね。みんな良い子じゃないところがいい。それぞれズルいところもあるし、でも、それを反省するところもある。そのバランスがいいんだと思います。
マサオくんはヘタレだけど、「それはこの人のキャラクター」ということで仲間に認められている。ネネちゃんだってだいぶ厄介な存在だと思いますけど(笑)、「ネネちゃんだから」と納得されている。なんやかんや言いながら、お互いを愛しく思っている部分が底辺にあるんですね。
しんちゃん以外は一人っ子なんです。小さな頃から一緒にいる彼らは兄弟のようなものなのかもしれません。密接な関係なんだけど、突き放すときもある。ベタベタしていなくて、サラッとしているんですよ。
──なるほど。「仲良くしよう!」という感じではなく、自然な感じがいいんでしょうね。それぞれ裏表もありますし(笑)。
『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』で、森の中で迷ったカスカベ防衛隊が食べ物を取り合うシーンをよく覚えています。 マサオくんがお菓子を隠し持っているんですけど、ドキマギ、イジイジ、うしろめたい。じゃ隠さなきゃいいのに、やっぱり出さないところがマサオくんなのかなー。あー、ザンネン!(笑)
でも、そういうところって、誰しも持っている部分だと思うんですよ。「人としてこうするべき」とわかってはいるけど、ズルいほうを選んで良心が痛むこともある。だから、誰の心にも人には知られたくないマサオくんがいるってことじゃないかしら(笑)。
──では、これまでの劇場版で印象に残っている作品がありましたら教えてください。
劇場版の良いところって、誰かが大ピンチになったりしたときにヒューマンなスタンスが前に出てくるところだと思うんですよね。それが強く感じられる作品が好きです。『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』はすごかったですね。劇場版として一皮むけた作品になっていたと思いました。大人が観られる作品になっているところがすごいな、と思います。『嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』はネネちゃんと夫婦みたいになっているところがおかしかったですね。やっぱりネネちゃんの尻に敷かれてヘタレなんですよ(笑)。勿論、今回の『カンフーボーイズ』も挙げておきたいですね。マサオくんがもうこんなに注目される作品もないと思うので(笑)。
──では、最後にファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。
マサオくんはある意味、残念なタイプかもしれませんが、マサオくんなりに「こうなりたい」と思いながら生きています。自分の思うようにならないことのほうが多いのですが、でも、自分を信じたい気持ちもあるので頑張っているんです。ヘタレな部分もありますが、可愛いところもありますので、ぜひ長い目でマサオくんのキャラクターを愛して下さると嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします!
PROFILE
一龍斎貞友(いちりゅうさい ていゆう)
6月20日、大阪生まれ。1981年に『まいっちんぐマチコ先生』のまる子役でデビュー。代表作に『ちびまる子ちゃん』のお母さん役、『忍たま乱太郎』のしんべヱ役などがある。現在は女性講談師、声優、ナレーターとして幅広く活躍中。
<Blu-ray&DVD情報>
映画 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~
2018年11月9日発売
Blu-ray:¥4,800(税抜)/ DVD:¥3,800(税抜)
映画 クレヨンしんちゃん 公式サイト
バンダイナムコアーツ 『クレヨンしんちゃん』Blu-ray&DVDサイト
映画 クレヨンしんちゃんシリーズ 特集サイト 「しんちゃん通信」
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2018