『しんちゃん通信』 スペシャルインタビュー「ボーちゃん役 佐藤智恵」
『クレヨンしんちゃん』きってのミステリアスなキャラクターであり、カスカベ防衛隊の縁の下の力持ちであるボーちゃん役の佐藤智恵さんにインタビューを行いました。『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』の見どころのほか、臼井儀人先生に「ボーちゃんの本名」をおうかがいしたエピソードまでお話していただきました!
「特撮好きの大人、信用できる」
──『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』の最初の印象はいかがでしたか?
今回は正義についてのお話ですよね。立場によって、人によって思う正義が違っているという深いテーマがあるじゃないですか。だけど、自分が演じるボーちゃんを中心に台本を読んでいくと、普段よりアクションも多いし、先にポスターで見たカンフー着の衣装も可愛いし、楽しい作品になるんだろうな、と軽めの印象を持ちました(笑)。
しんちゃん映画って、『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』で「大人も泣ける!」と注目されてから、「友情あり、涙あり、感動あり」みたいに期待されることが増えてきたと思います。「絶対面白いでしょ? 泣けるでしょ?」って(笑)。でも、演じるほうとしては、あまり気負わずに演じるようにしています。劇場版でも子どもたちの部分は楽しい掛け合いが多かったりしますからね。
──最近はカスカベ防衛隊が活躍する劇場版が増えてきました。
そうなんですよ! 何がうれしいって、グッズがたくさん出るのが楽しいんです。ボーちゃんがコップのフチに鼻水でひっかかるフィギュアもありましたね(笑)。自分が演じているキャラクターのグッズってうれしいですよね。昔はぜんぜんなかったので、「ボーちゃん、頑張ったね」って(笑)。
──佐藤さんのバッグにもボーちゃんのフィギュアがついていますね! では、今回の作品で印象に残ったシーンを教えてください。
カスカベ防衛隊のみんながマサオくんのところへ行って、風間くんが「防衛隊をやめても、友達はやめられないよ」と言うシーンですね。あのセリフは、あそこにいるみんなが同じ気持ちでいるんだろうなぁ、と思って、グッと来ました。あとは防衛隊のみんながぷにぷに拳の修行をしているシーンが好きです。「一生懸命頑張ってる~!」って(笑)。
ボーちゃんの「特撮好きの大人、信用できる」というセリフは、大切に言わせていただきました。大人の人たちがクスッと笑えるといいな、大人の人たちにメッセージが届くといいな、という気持ちを込めています。
──このセリフもそうですが、ボーちゃんはみんなが言いたいことを一言でズバッと言うことがありますよね。
普段口数が少ない分、一言で核心を突いたり、その場をまとめたりする力があると思います。なので、気持ちが伝わるように大切に言っています。だからこそ、説得力が伝わるんじゃないでしょうか。みんなには「ボーちゃんは一言で全部持っていってズルい」と言われますけど(笑)。
実は最初の頃は、しんちゃんの声がかなり高かったんですよ。でも、今はだんだん低くなってきて、ボーちゃんと同じぐらいになったので、私もどんどん下げていっているんです。普段の声とぜんぜん違うので、けっこう力が必要なんですよ。劇場版などで長いセリフがあると息が続かないんです(笑)。
ボーちゃんの名前の謎に迫る!
──カスカベ防衛隊の結束の強さを感じることが多いのですが、チームワークの良さの秘訣は何でしょうか?
キャラクターのチームワークに関しては、もともと臼井(儀人)先生の原作からキャラが立っていますので、それぞれきちんと演じることで面白い化学反応が起こって笑いにつながるのだと思います。
演者のみんなは仲良しですよ。最初の頃は収録が夜だったので、よく終わってから晩ごはんに行ったりしました。みんなでわざわざ電車に乗ってごはんを食べに行くこともありましたよ(笑)。世代も同じなので、いろいろ通じ合う部分もあるのでしょうね。
──カスカベ防衛隊のように、みなさん同級生のような感じですね。
ノリとしては同級生に近いですね。今、スタジオにマイクが4本あって、しんちゃんが1本使いますから、残りの3本をマサオくん、風間くん、ネネちゃん、ボーちゃんの4人で使うのですが、何も言わなくてもお互いの気配だけでスムーズに使えるんですよ。みんなの身長があまり変わらないというのもあるかも(笑)。
──佐藤さんがお考えになるボーちゃんの魅力とは、どんなところでしょうか?
やっぱり謎が多いところ、余白が多いところですね。ボーちゃんは、フルネームも家族のこともわからないんですよ。以前、臼井先生とお会いしたとき、「ボーちゃんの本名って何ですか?」とお聞きしたことがあります。
──えっ……!
臼井先生は「どうなんでしょうねぇ?」とニッコリ笑って、結局教えていただけなかったんです。もう聞くことはできませんから、永遠の謎になってしまいましたね。
──では、佐藤さんがお好きな劇場版を教えてください。
まずは最初の劇場版『アクション仮面VSハイグレ魔王』です。『しんちゃん』はもともと、それほどヒットするとは思われていなかったんですよ。当時、プロデューサーの方に「(視聴率)20%超えたら、みんなをハワイに連れていくよ」と冗談で言われたぐらい期待されていなかったんです(笑)。その後、20%を超えたのですが、プロデューサーさんに「こんな大ヒット作のキャストに何かあったら大変だから、ハワイなんて連れていけない!」と言われまして(笑)。結局、温泉旅行に連れていってもらえました。そんな作品が劇場版になるなんて、すごいことですよね。
あとは、カスカベ防衛隊のみんなが活躍する作品が好きですね。特に『カスカベボーイズ』でみんなが役柄を演じているのに、ボーちゃんだけがネイティブアメリカンの格好でいつもどおりなところが本当に可愛かったです。
──『カンフーボーイズ』ではマサオくんがフィーチャーされましたが、いずれボーちゃんがフィーチャーされるかもしれませんね。
カスカベ防衛隊のほかのメンバーは自分から事件を巻き起こせるキャラクターですけど、ボーちゃんはあまり自分から事件を起こすタイプではないと思うんですよね。事件を起こしたみんなを支えたり、助けたり、守ったりするのが一番ボーちゃんらしいかな。マイペースで、みんなを支え続けるボーちゃんでありたいと思っています。
──では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。
みなさんに「面白いだろうな」と期待していただける作品に携われることは本当に幸せだと思います。観てくださる方の期待を裏切らないように頑張っていきたいですね。常に体調を整えて、ボーちゃんらしいボーちゃんを演じ続けたいです。「お、今回はちょっと頑張ってるな」とボーちゃんのことにも注目していただけるとうれしいです。
PROFILE
佐藤智恵(さとうちえ)
7月1日生まれ、埼玉県出身。青二プロダクション所属。少年役などを中心に活躍中。代表作に『忍たま乱太郎』二郭伊助役他、『家なき子レミ』ジョリクール役、『とんとんみーの冒険』とんとんみー役、『妖怪ウォッチ』カンチ役他などがある。
<Blu-ray&DVD情報>
映画 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~
2018年11月9日発売
Blu-ray:¥4,800(税抜)/ DVD:¥3,800(税抜)
映画 クレヨンしんちゃん 公式サイト
バンダイナムコアーツ 『クレヨンしんちゃん』Blu-ray&DVDサイト
映画 クレヨンしんちゃんシリーズ 特集サイト 「しんちゃん通信」
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2018