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『takt op.(タクトオーパス)』本渡 楓(運命役)×上坂すみれ(ワルキューレ役)スペシャル対談全文掲載
3月26日(金)に制作発表放送にて発表されたDeNA×バンダイナムコアーツのメディアミックスプロジェクト『takt op.(タクトオーパス)』。クラシック楽曲をモチーフにした美しき少女・ムジカートたちが織りなす物語が、TVアニメとゲームを中心に展開される予定だ。そして今回、まだまだ謎に包まれた『takt op.』について、ヒロイン「運命」を演じる本渡 楓さんと、「ワルキューレ」を演じる上坂すみれさんにお話を伺った。
──ご自身の役が決まったときの率直なお気持ちを教えてください。
本渡私はオーディションのときから、運命役を受けていました。今まであまり演じさせていただいたことのないタイプのキャラクターだったので、運命役が決まったときはすごく嬉しかったですし、新しい挑戦だと思ってドキドキしました。突如現れた敵と、彼らに対抗する力を持っている運命たちムジカートが戦うというお話ですが、オーディションのときからすでに、かなり分厚い世界観説明の資料があって「こういうふうに作っていきたい」というのが明確化されていたのが印象的でした。スタッフさんたちの熱量がすごいなと感じたのを覚えています。
上坂私はオーディションのとき、運命とワルキューレを受けたんですが、何度も録り直した運命ではなく、ワルキューレ役に決まったのが意外でしたね。それから本渡さんがおっしゃったように、最初から重厚な世界観がしっかり作り込まれているんだなと、こだわりを感じました。ムジカートたちは単にクラシック楽曲を擬人化した存在ではなくて、楽曲の因子というかパワーを持っているんですね。それで、ワルキューレ自身が「ワルキューレの騎行」や作曲者のワーグナーについて語る台詞もあるんです。楽曲そのものや作曲者を美少女化するのとはまた一線を画す面白さがあって、斬新だなと思いました。
──世界観やストーリーについて、台本を読んだ際の印象や感想を教えてください。
本渡運命たちはもともと人間なんですが、D2(DespairDolls)と呼ばれるこの世界における人類の脅威と戦うために、ムジカートという兵器になっています。そして物語が進むにつれて、ムジカートと一般の人々との間にも格差というか、ギャップがあるんだなと思うようになりました。
上坂ムジカートは人類にとって最後の希望のような存在なので、ストーリーとしてはけっこうヘビーなんですよね。ただ、ムジカートは兵器なんですけど、女の子らしい一面も持っているので、そのアンバランスな危うさが大きな魅力だと思います。
本渡そうですよね。運命たちは一人でも戦えますが、指揮者である主人公がいることによって、より力が増していくという設定で、その関係性が深まるほどに力を発揮できるようになっていく。その関係を深めるやりとりの中で女の子らしいところがだんだん見えてくるんです。
上坂あと台本といえば、この作品の台本がすごく変わってるんです。ライターさんの、脚本に対するツッコミのようなコメントがト書きに残ってるんですよ(笑)。こんなの初めてで、最初に見たときはびっくりしました。でも、アニメを実況している視聴者の声みたいで、愛があって面白いです。シリアスなシーンに、「このへんはおいおい考える」って書いてあったときは、思わず笑っちゃいましたね。いつかツッコミつき台本を、何かの特典につけて、みなさんにも公開してほしいです(笑)。
本渡そうそう、ありました! メインキャラクター以外の、街の人たちに対するツッコミとかもあって、私もすごく好きです(笑)。
──見てみたいですね……(笑)。では、担当ムジカートの第一印象はいかがでしたか?
本渡赤い薔薇の衣装が印象的な、とてもきれいな子だと思いました! 運命はみなさんご存知のベートーヴェンの「運命」がモチーフですが、彼女と出会ってから、楽曲のイメージも赤色になりましたね。
上坂ワルキューレはその名の通り戦乙女なので、凛々しい顔立ちですが、ガンガン剣を振り回すタイプではなく、盾を持って守るタイプのキャラクターというのが新鮮でした。それから、表情集に「笑うとすごくかわいい」と書いてあったんです。オーディション時のセリフには、笑顔になるようなハッピーなセリフはなかったんですけど、かわいい顔を見せてくれる、ギャップがある子なんだなと思いました。
──担当ムジカートを演じる際に意識していることやこだわり、アフレコでの印象的だったディレクションなどありましたら、教えてください。
本渡運命は、理性的で冷静なので、よっぽどのピンチでもない限り、声を荒げたり感情を爆発させたりするタイプではないです。ディレクションでも「もっと淡々とした感じで」といただくので、感情を出し過ぎないように調整するのが新鮮ですし、やりがいがありますね。でもそれで硬くなりすぎてしまって「もう少しこの場面は天然なところを出してみよう」と言われることもあって、まだいろいろ探りつつ……という部分があります。それから、運命は主人公に出会ってから、いろいろ感情が揺れ動いたり、思いを巡らせていたりするのに、それを表に出さずに自分の中だけで完結させちゃうところがあります。台詞内で主人公の名前を呼ぶことが多いんですが、あまり感情を表に出さない彼女がそこにどんな感情を込めているのかなと、毎回女心を読み解きつつ、アフレコに臨んでいます。
上坂ワルキューレは、昔、主人公と会ったことがあるんですが……どうもそのときに色々あったみたいで。そのせいでワルキューレは最初、すごくつっけんどんな態度なんですけど、親しくなるにつれてだんだん可愛さが見えてきて。古風なしゃべり方で、軍人っぽい硬派なキャラクターなのに、どこかダメな女の子っぽさが滲み出ているというか……(笑)。実はけっこう依存するタイプで、もし人間の女の子だったら、既読がつかないと「今なにしている?」「忙しいのか?」って何度も連絡しちゃうような子なんだろうなって(笑)。台本を読んでいると、そういう本当は主人公が大好きな気持ちを隠しきれていないところが可愛いなと思うんですけど、本人にはデレが滲み出てしまっている自覚がないので、可愛さを出し過ぎないように気をつけています。むしろワルキューレ自身は「絶対そういう部分は見せないぞ」という気持ちなんですね。だから必要以上に声に力を込めてみたり、大きい声を出してみたり、その努力をセリフに反映しようと意識しています。
──ご自身と比較して、似ている部分や共感できる部分はありますか?
本渡「あれはこういうことかな? いや、違うかも」と、一人で悩みがちなところは似ているなと思います。だから、台本を読んで「運命ってちょっとめんどくさいな……」と感じたときに、「あ、私ってめんどくさいタイプなんだ」と気づいたり(笑)。あと、運命は「こうしよう」と決めたら走り出すところがありますが、私もやりたいと思ったらその気持ちに素直に従うタイプなので、親近感があります。
上坂ワルキューレは木星(組曲「惑星」より)というムジカートとのやり取りが多いのですが、彼女とのシーンで、仲がいい相手にはちょっと当たりが強くなるタイプだとわかって、ちょっと自分と似ているなと思いました。私も仲がいい相手だとすぐにツッコミを入れに行きたくなるタイプなので(笑)。
──では反対に、ご自身と全然似ていないと感じる部分はありますか?
本渡運命は、とにかくルールを重んじるタイプで、自分にもすごく厳しい子です。言ってしまえば頑固で融通がきかない面がありました。そこは私とは違っていて、「そんなにルールに縛られていたら疲れちゃわないかな」って感じていました。女性としてかっこいいなと思いつつも、真面目さが行き過ぎていて、心配だなって。主人公との関わりの中で、ルールに従うだけじゃなく、「私はこの人が大事だからこうしたい」という自我が芽生えるというか、心が成長していくのだなと。
上坂ワルキューレが私と一番違うのは、天然なところですかね。私はボケたいときに「どうやってボケようかな」と考えるタイプなので、計算されていないボケを放つワルキューレが羨ましいですし、ズルいなぁって思います(笑)。
──ご自身のキャラクターについて、特に注目してほしいポイントを教えてください。
本渡物語が進むにつれて、運命の印象が変わっていくと思うので、彼女を育てるような気持ちで見守っていただけたら嬉しいです。突っ走ってしまうところがある彼女を気にかけてもらえたらなと思います。
上坂最初はつっけんどんな感じのワルキューレですが、その理由もストーリーが進むにつれてしっかり語られます。凛々しく戦うかっこいい一面と、主人公と話しているときのギャップも注目ポイントです。本人は「常に心は戦場にある」と言っていますが、滲み出てくるので……(笑)。そんな彼女のいろんな面を発見してほしいです。
──ちなみに、お互いの担当ムジカートについての印象はいかがですか?
上坂本渡さんが演じる運命のお声はまだ聴けていないんですけど、運命は選ばれし存在というイメージですね。ワルキューレ目線で見ると、敵わない相手だなと感じています。これはワルキューレの設定ではなくて、あくまで私の中の勝手な印象なんですけど、ワルキューレからは勝者になれない「敗北ヒロイン」っぽさを感じる部分があるんですよ(笑)。対して運命は「真打ち」という言葉がぴったりというか、勝者のオーラを放っているイメージがありますね。
本渡上坂さんがおっしゃった「敗北ヒロイン」っぽさは、確かにちょっとわかる気がします。うまく言えないんですけど、ワルキューレは「くっ……!」って感じがあります。そこが愛嬌があるというか、すごく可愛らしいイメージもあって…、伝わりますかね(笑)。それに、ワルキューレは主人公と過去に縁があるので、その分いろいろ抱えているものがありそうだなと。運命的には、自分の知らない主人公を知っているワルキューレは、すごく気になる存在だとも思います。ワルキューレの接し方を見たら「どうしてそんなに強く当たるんですか?」って、気にするんじゃないかな。
上坂確かに、そうやって聞きそうですよね。それでワルキューレは「くっ……、それは聞かないでくれ」ってなりそう(笑)。でも実はまだ、二人の掛け合いのシーンはないんですよ。それが逆に怖いなって……。でもこうやって言っていれば、きっと掛け合いシーンを追加してもらえるはず! 修羅場じゃなくて、仲良く盛り上がる二人が見たいです(笑)。
本渡今後が楽しみですね。ぜひぜひ、掛け合いシーンの追加お願いします!
──担当ムジカートのモチーフ楽曲については、もともとどんなイメージを持っていらっしゃいましたか?
本渡「運命」に限らずなんですけど、小学校の掃除の時間にずっとクラシックが流れていたので、掃除の曲という印象が一番強いです。あの冒頭を聞くと、「早く掃除しないと!」って急かされている気持ちでした(笑)。
上坂「ワルキューレの騎行」といえば、私は映画で大音量で流れていたことが思い浮かびました。
──担当ムジカートを演じたり、改めて楽曲を聞いたりするうちに、印象の変化はありましたか?
本渡有名な冒頭部分以外も改めて聞いてみて、クラシックって1曲がすごく長くて、その中に物語があることに気づきました。まるで映画みたいに、1曲の中にいろんなシーンがあるんだなって。私はクラシックについて詳しくないので、個人的な印象の話になりますが、例えば「ショックなことがあったけど、ここで立ち直ったのかな」とか、聞いているといろいろと想像が膨らみます。そうやって気まぐれなところ、意地っ張りなところ、おおらかなところ……1曲の中で聞こえ方がいろいろ変わるので、どんなふうに運命の性格に反映されているのかと思いをはせてみたりして。それに「運命」に限らず、聞き手が自由に受け取って楽しんでいいなら、クラシックってそんなに遠い存在じゃないのかなって、このコンテンツのおかげで知ることができました。
上坂この役をいただいて改めて聞いたら、すごく美しくて神聖な印象を持ちました。私もクラシックには全然詳しくないんですけど、威風堂々としていて、戦乙女のテーマだというのがよくわかるなと。それから、ワルキューレがこの曲について「戦いに行く前に聞くと、人々を守るという気持ちに満たされるんだ」と語るシーンがあるので、仕事前に聞いたらテンションが上がっていいかもしれないなと思いました。
──クラシックに詳しい方はキャラクターとの共通項に気づいたり分析したりする楽しみがありそうですが、詳しくない方でも聞いてみた印象からキャラクターの想像が膨らむなど、いろんな面白さがありそうですね。ちなみに、楽器経験があるなど、これまでに何かクラシックとの関わりはありましたか?
本渡祖母がバイオリオンやピアノをずっとやってきた人なので、祖母が演奏しているのを聞いていたくらいです。だから今こそ、祖母に「運命」やムジカートたちのモチーフ楽曲を弾いてほしくて仕方ないです!
上坂私は大学のときにロシア語学科に通っていたのですが、そこでロシア音楽の授業がありました。チャイコフスキーや、プロコフィエフ、ムソルグスキー、ストラヴィンスキーなどの音楽を聞いたんです。個人的には、ストラヴィンスキーの「春の祭典」というのが激ヤバソングで、ものすごく印象に残っています(笑)。展開がとんでもなくて、「春の祭典」というタイトルからは想像できないような曲なんです。もしストラヴィンスキーの曲が『takt op.(タクトオーパス)』(以下、『takt op.』)に登場したら、敵キャラクターになるんじゃないかなとか、想像すると楽しいですね。ロシア音楽のムジカートがいっぱい参戦するのを楽しみにしてます!……ここで言っておけば、出してもらえるかな(笑)。
本渡「春の祭典」、とても気になります。私も聞いてみます。
──上坂さんには今語っていただきましたが、本渡さんは「運命」以外に好きなクラシックの楽曲はありますか?
本渡えっとあの……昔、替え歌とかにもなっていた曲の、原曲って何でしたっけ(笑)?
──それはおそらく、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」のことだと思います。聞いたことがあっても、タイトルとなかなか結びつかない曲も多いですよね。
上坂運動会でかかっている「天国と地獄」や、電話の保留音で「エリーゼのために」など、タイトルは知らなくても、意外と身近なところにクラシックってあったりしますよね。
本渡確かに! そういえば、小さい頃に「エリーゼのために」は祖母から教えてもらいました。意識していないだけで、実はいろんな曲が身近にあるんだなと思いました。物語が進むにつれて、いろんな楽曲のムジカートが出てきて、みんなすごく濃いキャラクターの子ばかりですが、調べてみたら知っている曲だったとか、きっとそういう発見もあります。今、あの曲もクラシックだよって、上坂さんに言われて私が気づいたみたいにすごく素敵だなと思いました。
──最後に、『takt op.』を応援してくれているみなさんに、メッセージをお願いします。
本渡今回のインタビュー中に改めて気づけたことですが、意外にクラシック音楽って私たちの身近にあるもので、この『takt op.』をきっかけに、クラシック音楽をより身近に感じてもらったり、何か再発見があったりしたら、とても嬉しいです。コンテンツの内容だけに留まらず、いろんなものに興味が膨らむような作品だと思いますから。オリジナル作品なので、可能性はまだまだ無限大ですし、始まったばかりの『takt op.』の応援、よろしくお願いいたします!
上坂私もこのインタビューを通して、クラシックってそんなに敷居が高いわけじゃないんだなと、感じることができました。本渡さんみたいに学校で流れていたイメージの方も多いと思いますし、私もクラシックといえば授業で聞いたものだったので、作品を通してこの奥深い文化に触れられるのは、素晴らしいなと思います。ワルキューレを好きになってくれた方がワーグナーってどんな人だろうと調べて世界が広がるのはもちろん、それによって『takt op.』の理解もどんどん深まりますよね。そんな素敵な循環が生まれそうな作品だという予感がしています。クラシックがお好きな方はもちろん、難しそうだなと思っている方も、この機会にぜひ触れてみてください。よろしくお願いします。
PROFILE
本渡 楓(ほんど かえで)
3月6日生まれ。愛知県出身。アイムエンタープライズ所属。主な代表作に『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』メイプル役、『魔女の旅々』イレイナ役、『ゾンビランドサガ』源さくら役などがある。
PROFILE
上坂すみれ(うえさか すみれ)
12月19日生まれ。神奈川県出身。ボイスキット所属。主な代表作に『アイドルマスター シンデレラガールズ』アナスタシア役、『スター☆トゥインクルプリキュア』ユニ/キュアコスモ役、『SHOW BY ROCK!! STARS!!』チュチュ役などがある。
<作品情報>
『takt op.(タクトオーパス)』
2021年、TVアニメ/ゲーム展開予定!
【INTRODUCTION】
楽曲は、少女に宿り力を成した。かつての時代に生み出された伝説の歌劇、偉大な楽曲。その楽譜を吹き込まれた新たなる命「ムジカート」。音楽を失った世界で、音楽の力を用いて戦う少女達の儚くも美しい、運命の物語。彼女たちはただ、その先にある歓喜を目指す。「takt op.」それは、明日へと音楽を繋ぐプロジェクト。
【CAST】
運命:本渡 楓/木星:依田菜津/きらきら星:指出毬亜/ワルキューレ:上坂すみれ/カルメン:花守 ゆみり
【STAFF】
企画:DeNA/宣伝協力:バンダイナムコアーツ/キャラクター原案:LAM/キーピアニスト:まらしぃ/背景コンセプトアート:わいっしゅ/音楽考証:栗田博文(指揮者)
©DeNA
takt op.(タクトオーパス) 公式サイト
https://takt-op.jp/
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