10年ぶりの再会!『ウルトラマンゼロ THE MOVIE超決戦!ベリアル銀河帝国』小柳友(ラン(ウルトラマンゼロ)役)&濱田龍臣(ナオ役)対談[前編]全文掲載
デビューから10年、破天荒なキャラと怒涛の強さで今も第一線で活躍し続けるウルトラマンゼロ。今回、「ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX」の発売を記念して、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』に出演した小柳友さんと濱田龍臣さんの対談が実現。10年ぶりに再会を果たした両名に撮影エピソードやゼロの魅力を存分に語り合っていただいた。今回はロングインタビューの前編をお届けする。
──まずは率直に「ウルトラマンゼロ10周年」を迎えてのお気持ちは?
小柳 10年って、すごいですよね。本当に時の流れは早いもので、僕らが『ウルトラマンゼロ THE MOVIE超決戦!ベリアル銀河帝国』に出演してから、今もまだゼロが活躍し続けているのが、さらにすごいなって。ひとつのキャラクターがテレビシリーズもなく、第一線で活躍し続けているなんて、それこそ、奇跡に近い出来事じゃないですか。しかもゼロがメインのウルトラマンとして出続けていたわけでもないんですよね。それは本当に素晴らしいし、ファンの皆さんに愛されているからだと思います。
──では、端々でゼロの活躍の様子も?
小柳 ええ。やっぱり、自分が演じた役柄でもあるし、ちょこちょこ気になっていました(笑)。
濱田 僕はゼロと4回共演しているんですよ。『ベリアル銀河帝国』、『ジード』、『Z』、それから声優としては『ウルトラギャラクシーファイト』です。
小柳 おお、そんなに!
濱田 どんどんカッコ良くなっていくんですよね。この10年で最初の頃はオラついていたゼロがどんどん成長して今や師匠ポジションで、「やっぱ、すごいな、ゼロは!」と思っちゃう反面、羨ましいなぁ、いいなぁって気持ちもちょっとあります。それはホントにゼロの持ってる魅力もそうだし、それを支えてきた方々……最初に産み出した坂本浩一監督や声優の宮野真守さん、小柳さんもそうですし、ウルトラマンシリーズのファンとしてはこれだけカッコ良くステキなウルトラマンを作り上げてくれて、本当に感謝しかないなって思ってます。
──『ベリアル銀河帝国』で共演されたお二人ですが、終わった後には接点が?
小柳 僕の記憶では一度も会ってません。映画が封切られてすぐに、舞台挨拶まわりをしたけど、それ以来かな?
濱田 そうなりますね。映画の公開がクリスマスの頃(12月23日封切り)だったので、約10年ぶりです。
小柳 さっき一緒に告知映像の収録を行ったんですけど、こうして再会できて、思わず泣きそうになってしまいましたよ。自分が10年、役者を続けて来られたこともそうだし、当時子役だった、たっちゃん(濱田さん)が、役者になっていて、一言でじゃ語り切れない思いがありますね。
濱田 当時は小柳さんを見上げていたのが、ちょっと視点が近くなっていて、自分が大きくなったことに軽く感動を覚えました(笑)。
小柳 俺も思った。実際会ってみると、目線が違うだけで感動できる。
濱田 相変わらず大きいですね! 父親も割と背が高いんですけど、当時、めちゃめちゃ大きい小柳さんを見て「大きくなりて~」と思ってました(笑)。
小柳 実際、「僕も小柳さんくらい大きくなりたいです」と言われたのを覚えている。当時は「俺くらい大きいと私生活で支障が出るよ」と言ってたけど(笑)。
──再会されてみての印象は?
濱田 小柳さんは当時と全く変わらないです。
小柳 ああ、良かったぁ(笑)。
──そういう意味では、濱田さんは身長しかり、大分変りましたよね。
小柳 そりゃもう(笑)。(土屋)太鳳ちゃんとキャッキャッ遊んでた、あのたっちゃん……敢えて「たっちゃん」を呼ばせてもらうけど、ちゃんと敬語も使えるようになって……あ、こんな話しても大丈夫?(笑)。
濱田 全然大丈夫です(笑)。ホントにあの頃は、ただ楽しいーってだけでやってましたから(笑)。
──撮影当時を振り返っていかがですか?
小柳 やっぱり10年前となると、僕が22歳で。
濱田 僕が10歳。
小柳 10歳かぁ。僕の記憶だと、確かに最初に会ったのが衣装合わせだったかな。
濱田 衣装合わせ……覚えてない(笑)。
小柳 そりゃ、10歳の頃なんて、自分も覚えてないよ。確かそこで「弟役の濱田龍臣くんです」と紹介されたけど、帽子被って水筒持っていたよね。
濱田 ああ。いつも水筒を持ってました。
小柳 それもウルトラマンだったような。
濱田 ケースがウルトラマンだったんです。それと、当時、衣料メーカーがコラボしていたウルトラマンのTシャツも着てました。なんか思い出してきたかも(笑)。
小柳 その際の笑顔がもう愛くるしくて、これがいい弟ができたなって思ったんですよね。
濱田 太鳳ちゃんも一緒だったのかな。
小柳 ああ、いた、いた!
濱田 そう、二人でウルトラマンの指人形を付けて撮った写真が残ってるのですが、たぶん、衣装合わせのときのだと思う(笑)。
小柳 なんか普通に話しちゃってますけど(笑)。
──当時の取材記事を読むと、3人でリハーサルをやったとか?
小柳 ああ、ホン読みしました。
濱田 何回かありましたね。小学生だった僕には難しい言葉も多くて(苦笑)。
小柳 地球じゃない惑星の物語だったからね。独特の用語をいかに自然に使えるかは意識していましたね。
──それぞれが演じる役柄については?
小柳 俺はどちらかといえばゼロのほうが多かったけど、逆にナオは是非聞いてみたい。どう役作りしてた?
濱田 まず台本を読んで、一人称が「俺」ということに衝撃を受けたんですよ。学校でもずっと「僕」で「俺」なんて言ったことがなかったから。6年生くらいになると「俺」になるんですけど(笑)。
小柳 ああ、年頃ならではのこっ恥ずかしさってあるよね。
濱田 そうなんです。映像作品で初めて一人称が「俺」で、それがものすごく恥ずかしくて。しかもナオは口調がちょっとオラついている感じがあるじゃないですか。
小柳 うんうん、あったね。
濱田 無邪気でわんぱく坊主で、何でも積極的なキャラでどうしようって。
小柳 セリフの感じとかね。
濱田 毎日こっ恥ずかしいまんま過ごしてました(笑)。
小柳 そっか。でも、こっちからしたら全然違和感なかったよ。
濱田 そうですか。すごく頑張ってた記憶があります。どうしたら「オラオラ」にれるのかなって。
小柳 もがいていたわけね。
濱田 「(ナオの口調で)兄貴ーっ!」って言うじゃないですか。
小柳 言ってた、言ってた。
濱田 ああいうのは自分になかったので、新鮮でしたね。
小柳 僕は頭とケツだけが基本的にはランで、逆に言うとゼロと対比してどう役を作っていくかがありましたね。ゼロは元々宮野真守さんが作られた役柄だったので、それをどうやったら人間態として消化できるかという部分ですよね、難しかったのは。
──兄弟としては?
小柳 僕自身は弟なので、「兄貴になれるかな?」と思ったんだけど、このカワイイたっちゃんと一緒に過ごすというか、なるべく遊ぶことで、少しでも兄貴感を出せればいいなって。まあ、年齢的にも離れているし、自然とそういう雰囲気になり、それが映像からも伝わればなって。
濱田 カメラの外でもすごく優しいお兄さんでしたよ。
小柳 いや、別に今になって気を使わなくていいんだよ(一同笑)。めっちゃ怖かったとか?
濱田 いやいや。さっきも話しましたけど、現場が楽しかった思い出しかないんですよ。小柳さん、太鳳ちゃんはもちろん、スタッフさんに甘やかされてたなぁって。遊んでもらったり、構ってもらったり(笑)。
──当時の記事によるとロケ先で将棋をやったりされたとか?
小柳&濱田 ああああああっ!!
小柳 やったね!
濱田 懐かしい。マグネットで折り畳み式のを持ってました。
小柳 そうそうそう!
濱田 ちょうど、その時期、学校でハマってたんですよ。
小柳 しかもすごく強くて。俺はあまりやったことがなかったから、「たっちゃん、つえーな」っていつも負けてた。
濱田 懐かしいなぁ。
小柳 色々思い出しますね。
濱田 日活走り回ってましたね。撮影は今のニュージェネでも使っている調布の日活撮影所だったのですが、今より広くて、12スタくらいまであったんですよね。
──「たっちゃんカフェ」とかでコーヒー配ったりも?
濱田 やりました(笑)。今思うと製作さんにご迷惑をおかけしたなと(苦笑)。
小柳 いや、あれで笑顔になれるんですよね。正直、しんどくなる局面もあるじゃないですか。そんなときにたっちゃんと太鳳ちゃんがそういうイベントをやってくれて、二人の笑顔が見られると安心するんですよね。現場的にも「一回、ブレイク挟もうか」みたいになるし、いい雰囲気の現場でしたね。
──撮影自体は振り返っていかがでしたか?
濱田 冒頭のハスキーのシーンが好きです。
小柳 ランとナオの撮影した場面だ。
濱田 「マジかーっ!」って慌てるランが好きなんですよ。弟のナオのワガママに必死についてきてくれる優しいお兄さんって感じがして。何とかちゃんと支えてあげようって雰囲気が出ているシーンなんです。
小柳 撮影はほとんどGB(グリーンバック)で、セットはハスキーとジャンバードくらいで、しかもあそこは操縦シーンで、ちょっと特殊な感じの撮影だったから僕も覚えています。
濱田 僕は操縦する側で、シートベルトをしているけど、後ろで立ってる小柳さんはそのまま引っ張られて。
小柳 落下して無重力に。
濱田 そうそう、あれが好きなんです(笑)。
小柳 俺は色々考えたけど、あれかなぁ。最初にジャンバードに搭乗した際にエメラナ姫の前で拘束される場面。
──二人が記憶を消去されそうになる場面ですよね?
小柳 そうです。現場ではオレンジ色のマジックテープを巻かれた状態で、「本番!ヨーイスタート!」で、二人して「ああああ!」って苦しむ芝居をしたんだけど、カットかかった瞬間、たっちゃんと目があって「いったい俺たち何やってるんだろう?」と大爆笑しちゃって。
濱田 そのテープがまた関節にすごい食い込むんですよ。僕はその日、ヒザとヒジにプロテクターを付けていたから、そうでもなかったけど、小柳さんはけっこうプルプルされていて(笑)。
小柳 そう、「あれ、思ったより動けない!?」って。
濱田 今、思い出しました(笑)。
小柳 後は完成映像を観て忘れられないのがたっちゃんの「ジャンファイト!」。あそこは、僕らは撮影を終えて先に帰ってしまって、たっちゃんだけ居残りで撮影したんですよ。
濱田 前日からジャンバード(ジャンボット)内の撮影していたんですよね。「アヌー拳法」の場面は前日だったかな。当日は何シーンか撮って、小柳さんは「お疲れ様」で僕は変身や「バラージの盾だったんだ!」と驚く芝居を、ものすごく声を張り上げて言ってたから、ノドが乾いちゃって。やたら水飲んで、とにかく頑張らなくちゃと撮影していた記憶があります。
小柳 次の日にメイクさんが涙目で、「いや、昨日、たっちゃんが頑張って撮影していて」と涙ぐんで語っていたので、「そんな大変だったんだ」と思っていて、後で映像を観たらあの熱演でしたからね。翌日、たっちゃんと会ったときに、少しだけ大人になったような印象を受けました。今思うと、あれが片鱗だったのかもしれないですね。
──ポーズ自体は?
濱田 難しかったですね。あのときは殺陣師(アクションコーディネーター)の寺井大介さんに教わって。
濱田 監督ももちろんいらして、その前で寺井さんに細かく教えていただきました。
──逆に濱田さんから覚えているのは?
濱田 最初にハスキーでレギオノドを火口に落としてやっつけた後で、二人が「やったー」って肘をぶつけ合うところで、僕が完全に押し負けてるんですよね(笑)。
小柳 あれね、僕ももうちょっと気を抜けばいいのにね、大人気ねー(笑)。
濱田 それがまたいいんですよ。
小柳 ランもつい嬉しくて、「おりゃー」ってやっちゃう。
濱田 頑張ってる弟と、やり過ぎちゃうお兄さん(笑)。しかも今回Blu-ray BOXの告知動画でもそこが使われていて。
小柳 あそこ使うんだって。
濱田 ニヤニヤしちゃいました(笑)。
VIDEO
──その後、崖から落ちる場面は?
濱田 宙吊になりましたね。
小柳 あれは現場で急に言われてビックリしたんだけど、当時、カラサワさんから「普通ここまでできないよ」って褒められたのが嬉しかったです。
濱田 あれ、カッコイイっすよね。いいなぁって思いましたもん。
──助けられようとするナオとしては?
濱田 ああ、あまり覚えてないっす(笑)。
小柳 いや、何せ10歳ですからね。仕方ないことだと思う(笑)。
濱田 GBも多かったですしね。
小柳 現場でどれだけ完成映像をイメージ出来るかにかかっているところがありましたね。僕もそういう撮影は初めてで、撮影段階で世界観を掴めるかは、全てアベさんの絵コンテ頼りで「これがこうなって、あれがこうなって……」と頭に思い浮かべながら撮影していたのですが、やっぱり難しかったですね。
──先ほどもありましたが、ゼロの芝居でも苦労されたと思いますが。
小柳 そうなんですよ。別人格が入って来て、しかもそれがまた既存のキャラということで、最初は「マネすればいいのかな?」と思ったけど、それもちょっと違うし、かと言って、まだ二作目で何か演じる上で手がかりとなる資料も少ない中、実際苦労したのですが、アベさんが褒めてくださる方だったのが救いでした。「今、ゼロだったねぇ」と言ってくださるのが励みになりました。
──濱田さんはゼロに対しては?
濱田 僕は「ラン兄貴が信じてたんだから、俺も信じる」に集約されていたと思うんですよ。ゼロは一番信頼を置いていた兄貴が信じた人で、そのゼロが兄貴を助けるために融合してくれたわけですよね。あったら大丈夫だろう、というある種の安心感ですよね。
──その他に映画のみどころなどは?
小柳 驚いたというか、大御所俳優の皆さんのいい意味での無駄遣い(笑)。
濱田 あ、宇宙海賊の皆さん。
小柳 ガルギルグルが平泉成さん、きたろうさん、ベンガルさんと。
濱田 確かに(笑)。
小柳 あれはすごいキャスティングでしたね。
濱田 それを言ったら、僕らのお父さんは『ネクサス』の隊長ですからね。
小柳 石橋保さん。
濱田 最近だと『タイガ』に出演されていたんですよ。
小柳 そうなんだ。
濱田 『ジード』の劇場版でも『マックス』で隊長を演じられた宍戸開さんが出演されていたのですが、円谷プロ作品は、そういうのがまた嬉しいんですよね。石橋さんは、場面的には、小さい頃の二人の場面で直接は絡んではないんですけど。
小柳 でも、現場で一瞬すれ違ったよね。
濱田 そう、あそこは一連を同じ日に撮影していたから、お見かけして「隊長だ!」ってニヤニヤしてました(笑)。
──濱田さんは当時から現場ではウルトラマン好きだったんですよね。
小柳 色々教えて貰いましたよ。ウルトラマンは歴史あるシリーズで、それを勉強するとなると大変だけど、なんと目の前に先生が(笑)。
──特に本作だと『ネクサス』要素がキーになってますよね。
濱田 ウルトラマンノアがカッコイイ……(しばし思いを馳せる)。しかもナオはエナジーコアと同じ形状のカケラを持ってるんですよ。あれは「マジか!」ってテンションあがりましたよ。めちゃくちゃ欲しかったですね。
小柳 当時、言ってた!(笑)。
濱田 今でも欲しいと思いますもん。プレバンで出ればいいのに!(一同笑)。
──ランで言えば、回想から目覚める場面はゼロとランが混在しているイメージでしたがああいった場面は?
小柳 ええ。まさに仰ったように外側はランだけど、魂はゼロで記憶が交錯するといったようなことをアベさんと話したんですよね。あれがあるから、あくまでランの体を借りているだけで二人なんだよと、改めて提示することができたと思います。自分が置かれた状況を上手く出せるシーンだったし、自分としてもすごく気に入っていますね。
PROFILE
小柳 友(こやなぎ ゆう)
1988年8月29日生まれ。東京都出身。2006年に映画『タイヨウのうた』で俳優デビュー。本作は映画初主演作となる。また。08年には映画『トウキョウソナタ』で高崎映画祭最優秀新人男優賞受賞。主な出演作に映画『阪急電車 片道15分の奇跡』(11年)、『BLEACH』(18年)、ドラマ『石の繭』、『小説王』、『八つ墓村』、舞台『岸 リトラル』、『すべての四月のために』、『ピサロ』などがある。
PROFILE
濱田龍臣(はまだ たつおみ)
2000年8月27日生まれ。千葉県出身。子役として活躍し、NHK大河ドラマ『龍馬伝』、『怪物くん』、そして本作と多数の作品に出演。17年には『ウルトラマンジード』で主演を務めたほか、テレビ『モブサイコ100』、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』、映画『記憶にございません!』、『ブレイブ -群青戦記-』、舞台『大地』、『オレステスとピュラデス』など若手実力派俳優として、映画、テレビ、舞台と幅広く活躍中。
©円谷プロ
©2009「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」製作委員会
©2010「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」製作委員会
©2011「ウルトラマンサーガ」製作委員会
ウルトラマンBlu-ray&DVD パーフェクトガイド
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