吉浦康裕監督&豪華メインキャストが登壇! アニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』完成披露試写会レポート
『イヴの時間』『サカサマのパテマ』などで海外からも注目を集めている気鋭の監督・吉浦康裕による、新作オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』が、2021年10月29日(金)より劇場上映される。公開に先駆けて、完成披露試写会が9月22日(水)に新宿ピカデリーにて開催された。本編上映前に実施された舞台挨拶には、メインキャストの土屋太鳳、福原 遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野 聡、大原さやかと吉浦康裕監督の8人が登壇。今回は、和気あいあいとしたムードの中で行われた舞台挨拶の模様をお届けする。
豪華ゲスト陣による舞台挨拶スタート!
大きな拍手で迎えられてゲスト陣が登壇し、完成披露試写会がスタート。まず初めに観客に向けての挨拶で土屋が「厳しい状況の中、駆け付けてくださった皆様、本当にありがとうございます」と感謝を伝え、「本作は世界中で不安が膨らむ中、たくさんの試行錯誤と愛情によって作られました。このようにご挨拶できることを本当に嬉しく思っています」と喜びを語った。続いて福原は、自身もこの作品が大好きであることを伝え、「愛に溢れた素敵な作品ですので、ぜひその想いが届いたらいいなと思います」と作品愛を滲ませつつ語った。続いて工藤は「この状況下で皆さんに来て頂き、それだけですごく嬉しいです。他に言いたいことは全て土屋さんと福原さんが言ってくれたので終わります」と、はにかんで会場を和ませた。続いて興津も、大事なことは全部お三方が仰ってくださったと言ったあとで「皆さんにお会いできて本当に嬉しいです」と笑顔で一礼した。小松は「こうしてメインキャスト勢揃いで登壇できることを本当に幸せに思います」と嬉しそうに語り、「この情勢下、皆さんに光を与えられるような作品に仕上がっていると思います」と自信を覗かせた。続いて日野も、暗いニュースが続くが「皆様を幸せにする作品になっています」と太鼓判を押した。続いて大原は「皆さんにお会いできて嬉しい」と喜びの表情で挨拶した。最後に本作の原作・共同脚本も務めた吉浦監督は「数年前に本作の企画書を作って、ここまで何とか走り切ることができました」と喜びもひとしおの様子で語り「皆さん楽しんでいってください」と笑顔を見せた。
王道エンターテインメント、ついに完成!
本日が一般観客への初お披露目となるにあたり、感想を聞かれた土屋は「素晴らしい先輩方、キャストの方々と同じ場所に立てていることが夢のようで、観てくださる方々と同じ空間にいることができ胸がいっぱいです」と感極まった様子で語った。吉浦監督は「作品は人に観てもらって完成する」と伝え、その意味で「ようやくこの映画が完成するんだと思い、胸がいっぱい」と現在の心境を語った。制作当初、本作が青春ジュブナイルかつ王道のエンターテインメントであり、ミュージカルの要素もあることについて、周りからは「本当に作るんですか?」という反応だったことを打ち明け、「本当に作りました! 本当に嬉しいです」と満面の笑みで語り、場内もつられて笑顔になった。
収録の意外な裏話も明かされる!
キャラクターを演じた感想を聞かれ、シオン役の土屋は「シオンは頭脳を持っているんですが、呼吸で生きているわけではないんです。物体なんですけど、動いているし、感情がある。なので、どう演じたらいいか分からなくて苦しくて…」と不安だったことを明かした。それを乗り越えるため土屋は「周りのAIの声を聴いたんです。“お風呂が沸きました”とか、携帯の自動音声を何度も聴きました」と語りキャストや場内から温かな笑いが漏れた。そんな中、現場で他のキャストの声を聴いた時に「シオンの心がモノクロからカラーに変わった気がした」と語り、「コロナ禍で一緒に収録することはできなかったが、離れていても皆さんに支えて頂いて演じることができたと感じています」と晴れやかな表情で振り返った。
続いて、福原は自身が演じたサトミについて「すごく正義感が強くて真っ直ぐだけど、あることをきっかけに心を閉ざしてクラスで一人ぼっちでいる女の子」と語り、どうやって演じたらいいだろうと思っていたが、実際に収録してみて、「シオンと出会ったことでサトミがどんどん変わっていく」のを実感したという。収録中にシオンから愛情をたくさん受け取りながら、楽しく演じさせて頂いたと語った。
続いて、声優初挑戦となった工藤は「いや~大変でしたね」としみじみ振り返った後、「大変でしたがすごく楽しく最後まで演じさせて頂きました」と語った。自身もアニメ好きを公言している工藤だが、色々な作品のキャラクターの声を聴いた時に、「自分の声がトウマに合うのかな?」という不安があったと吐露。地声が低いため、家で声を少し高めに出してみたり、セリフによって声の出し方を変えたりと、色々と研究したことを明かした。そんな中、収録現場へ行くと制作陣から「まだ他の方の声があまり入っていないです」と言われて余計不安になったが、最終的に監督から大丈夫ですと言っていただけてやりきることができたと振り返った。
ぴったりのキャスティングに感謝感激!
土屋、福原、工藤の話を受けて吉浦監督は「自分が大切に思うことは、シンプルに“そのキャラクターに合っているか”ということ」と述べ、「工藤さんは不安がっていたが、トウマにドンピシャに合っています」と自信を持って言い切った。今回の現場は本当に恵まれていたと語る監督は土屋の演技についても、「土屋さんの人間性の部分がシオンそのもの」として、監督としては不安なく進行できたと語った。福原については「サトミは一筋縄ではないキャラクターだが、福原さんの声の質や立ち居振る舞いに助けられて、サトミというキャラクターが完成した」と明かした。「三者三様、キャラクターのイメージに合っているし、ご本人たちの属性がキャラクターをより良いものにしてくれて、感謝感激しかない」と伝え、今回のキャスティングが大成功であることを伺わせた。余談だが、監督の話を聞いていた興津が大きく頷き、キャストがキャラクターそのままだということは「イケメンのゴっちゃん役の僕は、そのままイケメンということでよろしいですか監督?」と問いかけ、監督が困ったように沈黙し「ちょっと!」と突っ込み、会場を笑わせた。
“AI×ミュージカル“!新しいミュージカル作品が誕生した‼
本作を通して印象的だったこと、新しい発見などについて聞かれ、興津は「サンダーと仲良しなロボットがいるが、こんなに活躍するのかと思いました(笑)。日常にAIが溶け込むとこんなことになるのかとすごく印象的でした」と語った。興津の話を受けて小松は「試写の際、隣に興津さんがいたが、二人ともずっとサンダーのシーンで笑っていました」と笑いながら明かした。また本作について「“AI×ミュージカル”という全く新しいミュージカル作品が誕生したと思った」と語った。日野は印象的なシーンについて「シオンとサンダーの乱取り」を挙げ、「瞬間に見せるシオンの小悪魔的な表情」にグッときたと振り返った。大原は「なんて素晴らしい作品なんだろうと、試写を観ていた際、隣で日野さんが泣き始めたので、自分も泣いていいんだと思い二人で泣いていた」とのこと。「土屋さんの歌声が素晴らしく、真っ直ぐ心に届いて純粋な気持ちが湧き上がるような印象がある」と土屋の歌唱を讃えていた。
改めて、本作ならではの特別なところを聞かれて監督は「“楽しい映画にしよう”という、言葉にすると恥ずかしいくらいシンプルな思いで作った映画なので、キャラクター一人一人を魅力的に描こうと思いました」と語った。また音楽劇としての側面にも触れ、ある意味王道だが、ちょっと変わった仕上がりになっているんじゃないかと思うと語った。
「土屋の優しい歌声に涙が止まらなかった」
歌唱パートについて土屋は「子供の頃は声量が出ずに悩んでいた」と前置きし、本作での歌唱が奇跡だと思うと感動を語った。また「前に進みたい人、挑戦したい人にぜひ聴いて欲しい」と自身の思いも伝えた。シオンの歌を聴いて福原は「太鳳さんの歌声に優しく包まれる感覚があり、涙が止まらなかった」と語り、土屋は照れながら「ありがとうございます」と返した。
また、作中では土屋と一緒に工藤、興津、小松、日野も歌唱する楽曲もあったが、それぞれのキャラクターの個性が表れるように、あえて音を外して歌うという制約があったため、キャストそれぞれに苦労があったことも明かされた。
キャストたちそれぞれの“幸せ”トークにホッコリ
トークが盛り上がる中、本作にちなみ「最近叶えたい・又は既に叶った“幸せ”」について質問されると、土屋は「今日、今、ナウです」と噛みしめるように答えて笑いが起こった。一方で「ゲストが登壇した時、観客がキャー!と声に出して言えるような時代が戻ってきて欲しい…」と切実な本音を覗かせた。続いて、福原は先日従姉妹が福原の誕生日近くに出産したことを挙げ「ホッコリしました」と笑顔で語った。工藤は今年の夏野菜が良い状態で収穫できたことを挙げ、会場には笑い声が響いた。ちなみに冬野菜の準備も全部終えたとのこと。そしてもう一つ、登壇する際、自分の名前を書いたボードを見つけてすごく嬉しかったと照れながら語る純朴な一面も覗かせた。興津は今日の吉浦監督がとても晴れやかな笑顔だったので良かったと語った。それを聞いた監督も嬉しそうにしていた。小松は自身が三重県出身で、伊勢神宮に初のリモート参拝をしたことを挙げ、ヒット祈願をしたと語った。日野は本作を観た感想や感動を色んな人と共有できる日がくることを願うと語り、大原は昨日が中秋の名月だったことに触れ、今夜は十六夜の月に照らされて、『アイうた』の余韻に浸って頂けたら嬉しいと語った。
愛情溢れる作品と太鼓判!たくさんの人に届いてほしい‼
舞台挨拶も終わりの時が近づき、最後の挨拶として、土屋は「アニメーションという技術で愛情溢れる作品が誕生しようとしています。今という時代を象徴しつつ、未来を救う物語であると感じます。場所や時代を超えて、たくさんの方々の心に届きますよう願っています」と語り、「そのためにぜひSNSなどで感想を教えてください。その声がシオンたちの翼になると思います。本日は本当にありがとうございました!」と胸いっぱいに語った。
吉浦監督は「こうして作品を発表できたことを幸せに感じます」と語り、「言葉にすると月並みですが、多くの人に楽しんでもらいたいと思って作った映画ですので、本日ご来場くださった皆様、どうか本作を気に入って頂けたら、本作の告知に協力して頂けると本当に嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします」と締め括り、舞台挨拶は幕を閉じた。
<上映情報>
アイの歌声を聴かせて
2021年10月29日劇場公開予定<配給:松竹>
▼アイの歌声を聴かせて 公式サイト
http://www.lovelive-anime.jp/
©吉浦康裕・BNArts / アイ歌製作委員会