インタビューココだけ | 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 –STASHA-
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 –STASHA-』土門竜介役・畠中祐 インタビュー
新キャラクターと新スタッフを迎えて、リメイクシリーズとしても新たな船出となる『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。2月4日(金)より『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-』公開! 作品やキャラクター、後章の見どころについてなど、本作の鍵を握る土門竜介を演じる畠中祐さんに語っていただいた。
彼が答えの出ない悩みに対して苦しんでいる姿には共感できます
──長きに渡って愛され続けている『宇宙戦艦ヤマト』について、作品に参加される前と後のイメージに変化はありましたか?
畠中宇宙を舞台に、命のやり取りが描かれる戦争をテーマに扱っているので、硬派で男臭くて重みがあるという漠然としたイメージを持っていました。でも「ヤマト」に深くかかわっていくことで、そのイメージが変わりましたね。戦闘シーンの迫力はやはり凄くて、重いテーマを扱った時のシリアスさもきちんと受け継ぎながらも、新シリーズは特に女性クルーの活躍や日常生活との緩急などで、今の時代に生きる僕らでも入りやすい「ヤマト」がそこにありました。「ヤマト」を知らない世代でも、頬が緩むようなシーンがいくつかあり、それは大きな驚きでした。
──畠中さんが演じられている土門竜介はどのようなキャラクターですか? 演じる上で気を付けたことはありますか?
畠中彼が抱えているものは、僕らの想像を絶していると思っています。父親を亡くした理由もヤマトに関係していて、もしかしたら殺した張本人が艦内にいるかもしれない。それは古代進かもしれない。そういう相手と相対した時に、どういう気持ちになるのか。まずはどんな人物か確かめたいというのが、その時の土門の姿勢です。でも、その答えを出すのはとても難しいですよね。もう本人に聞くことはできないから「なぜ死んだのか」という疑問を自分の中で反芻するしかない。その悩みや寂しさを想像することはできますが、実感として持つことはできないので、難しさを感じつつ真剣に向き合いました。父親はなぜ死ぬ前に笑みを見せたのか。それは土門の中でずっと残っているしこりみたいなものですが、演者としての視点からでも答えは見つかりませんでした。その分からない部分を、薮助治役のチョーさんとの掛け合いの中で、素直にそのままお芝居にのせてみようと思いました。
──土門竜介とご自身との接点は感じましたか?
畠中土門は終始揺れています。覚悟は決まっているかもしれませんが、どういう選択をするかについては未熟です。僕自身もこれから声優として頑張っていきたいですが、どんな選択をするべきか迷うことも多く、先輩方に比べたらまだまだです。彼が答えの出ない悩みに対して苦しんでいる姿には共感できますね。
──安田賢司監督や脚本の福井晴敏さんから、土門竜介についてディレクションはありましたか?
畠中原作に登場したキャラクター像は忘れて、そのままの素材を活かして土門を新しく作り上げていきたいという話は伺っていました。役のイメージをしっかり定めずに、その時に出てきたものを大事にしてくれる現場だったので、感じるままに演じました。
『後章 -SATASHA-』では本音で語ってくれる古代艦長を見られた気がした
──『後章 -SATASHA-』の印象的なシーンやセリフはありますか?
畠中終盤のある重要なシーンで古代艦長とやり取りがありますが、その時に彼の中で一つ区切りになる瞬間が訪れます。あのシーンは息遣いも含め言葉にならない部分まで録ってくれたので、凄く丁寧に演じられました。最初は静かに演じていましたが、もっと熱を込めて実感のこもった言葉で言って欲しいとディレクションして頂いて、録り直した大切なシーンになりました。『前章 -TAKE OFF-』では背中で見せてくれる存在でしたが、『後章 -SATASHA-』では本音で語ってくれる古代艦長を見られた気がしたので、そこは発見であり面白い部分でもありました。
──本作のアフレコ自体は個別にされていると伺っていますが、収録に臨むにあたり古代進役の小野大輔さんとやり取りは何かされましたか?
畠中別の機会でお会いした時に、熱い作品にしていきたいよねという共通認識と、土門はそのままだと思うからのびのびと演じればいいと思うよというお話を少ししました。事前に話し合うよりも現場の情熱を大事にしました。
──『前章 -TAKE OFF-』では新人クルーによる反乱、古代進の「アイツは俺なんだ」というセリフなど、土門竜介は『2205』における第2の主人公とも言える印象を残しました。実際に完成された映像をご覧になっていかがでしたか?
畠中「ヤマト」が元々持っている熱量の高さに加えて、群像劇の作り込みが凄かったですね。特に薮さんが自暴自棄になってヤマトを出て行こうとして土門と徳川太助がケンカになるシーンは、観ていて胸が詰まりました。今回は薮さんが悲しみを一身に背負っていて、そこにきちんと向き合って丁寧に描くのは「ヤマト」のような作品でないときっと難しいだろうなと思います。あのようなシーンを演じていて「ヤマト」に関わって良かったなと心から思えるし、胸を突き動かされます。だからこそ、現実を叩きつけられても理想に向かっていく古代艦長の背中が格好良く見えました。今までのシリーズの中で古代艦長も悩んでいて、上手く進めない時もありましたが、確実に進んできたという積み重ねがあります。だからこそ、あの瞬間は土門にとって古代艦長がとてもヒロイックに見える。観ていて気持ちが良く、やっぱり古代艦長は格好良いなと素直に感じました。政治的なしがらみを描きながら、理想に向かっていくヤマト、キャラクター一人ひとりが背負った想いも描くので、とにかく脚本が凄いなと思いました。
──小野大輔さんが以前インタビューで、「土門竜介を観た時に、『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)の古代進を思い出すと同時に若い頃の自分の姿を重ね合わせた」と仰っていたのがとても印象的でした。畠中さん自身も『2199』の古代は意識されていますか?
畠中『2199』は観ましたが意識はしていないですね。その中の古代は確かに揺れていましたが、そこを真似してしまったら土門がブレてしまうので、結果的に近付くのはいいけどそこをスタート地点にしないようにはしました。結果としてそのように見えたのなら、土門としては良かったのかなと思います。
──舞台挨拶では小野大輔さん、デスラー役の山寺宏一さん、スターシャ役の井上喜久子さんといった錚々たるメンバーと一緒にご登壇される機会がありました。畠中さんにとってどのような経験になりましたか?
畠中緊張しましたね。コロナ禍が収まって一緒に収録するようになったらこんな現場になるのかと思いました。あのような大先輩方と一緒にお芝居をする機会はなかなかないので、とても良い経験だったなと思いますし、常にこの緊張感なんだなとも思いました(笑)。もちろん、皆さん優しくて素敵な方ですが、ただ僕が小さい頃から聞いていた声ばかりなので(笑)。
台本を読んでいるだけでも自分はボロボロ泣いてしまった
──『2205』で気になっているキャラクターがいれば教えてください。その理由もお願いします。
畠中京塚みやこが少し気になります。なぜあんなに優しいのか。直接的なことは何も描かれていないし、何もないとは思いますが、みやこは本当に献身的に支えてくれます。土門が悩んでいると必ず傍にいて話を聞いてくれる。特に福井さんからは何も言われていないので、今後の二人はどうなるんだろうなと個人的には気になります。掛け合いはそこまでありませんが、傍にいるシーンが多いのは謎ですね。
──これから物語が大きく動いていきそうなところで『前章 -TAKE OFF-』は終わりました。『後章 -SATASHA-』の見どころやオススメのポイントを教えてください。
畠中福井さんも仰っていましたが、明かされていなかった秘密が明らかになるのは見どころの一つです。また、そのキャラクターの今まで見ることができなかった人間臭い表情が見られるのは、胸が熱くなるところですね。台本を読んでいるだけでも自分はボロボロ泣いてしまったので、劇場で観たら凄いだろうなと。『後章 -SATASHA-』は熱くて面白い話なので、ぜひ観て頂きたいです。
──「ヤマト」に参加した経験は今後どのように活きていくと思いますか?
畠中台本や役者の演技に突き動かされ、「ヤマト」が持っている熱量を浴びられた現場でした。この時あなたはどうするという銃口を常に突き付けられている気がしました。先が見通せない今の時代に対する回答のような、もがいてでも泥臭く進むことの大切さをこの「ヤマト」に出会って目にすることができただけで、自分の中で変わるものがありますね。
──最後に、ヤマトファンに向けてメッセージをお願いします。
畠中『後章 -SATASHA-』は『前章 -TAKE OFF-』を観ていないとさすがに分からないところが多いと思います(笑)。「ヤマト」をまだ観たことがない人たち、特に僕と同世代や下の世代には硬派で古臭いイメージがあるかもしれませんが、今回の『宇宙戦艦ヤマト2205』は今の時代にも確実に刺さる内容だと思います。今からでも間に合うので、まず『前章 -TAKE OFF-』をBlu-rayかDVDで観て頂いて。『後章 -SATASHA-』はそれを上回る熱さが必ず待っています。きっと土門と同じように皆さんの中にも答えが一つ浮かぶのではないかなと思います。ぜひ「ヤマト」を観て、熱い何かを持って帰ってください!
PROFILE
畠中祐(はたなか・たすく)
8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作は『うしおととら』蒼月潮役、『KING OF PRISM』香賀美タイガ役、『甲鉄城のカバネリ』生駒役、『僕のヒーローアカデミア』上鳴電気役、『RE-MAIN』猪俣ババヤロ豊役など。
シリーズ最新作
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 –STASHA-』
2022年2月4日[金]より劇場上映・Blu-ray特別限定版販売・デジタルセル配信
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宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 公式サイト
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会