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【映画クレヨンしんちゃんなんでも図鑑】第10回「イエスタデイ・ワンスモア<ケン・チャコ>」[しんちゃん通信]

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1993年に上映が始まった『映画クレヨンしんちゃん』は、今年30周年! これまでDVDでのみ発売されてきた旧作映画19作品のブルーレイ化プロジェクトが始動! 2022年12月から約1年間をかけて隔月で全19作を発売予定です。「映画クレヨンしんちゃんなんでも図鑑」第10回は、映画クレヨンしんちゃん 第9作『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(ブルーレイ4月26日発売)から、日本を20世紀に逆戻りさせようと企む組織「イエスタデイ・ワンスモア」と、組織のリーダー・ケン、ケンとともに行動するチャコを紹介!
※紹介文には本編のネタバレを含みます。

【映画クレヨンしんちゃん 第10作】
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

イエスタデイ・ワンスモア<ケン・チャコ>

『映画クレヨンしんちゃん』の中でも屈指の人気を誇る本作。野原一家と相対する組織「イエスタデイ・ワンスモア」を率いるのがケンとチャコだ。本作の魅力は彼らの存在にあるといっても言い過ぎではない。それゆえ非常に人気の高い悪役である。

リーダーのケンはマッシュルームカットと丸眼鏡がトレードマーク。いつもケンとともに行動するチャコはミニスカートとゴーゴーブーツを身にまとっている。彼らは「イエスタデイ・ワンスモア」を組織し、春日部で大型イベント「20世紀博」を開催。大人たちを夢中にさせて洗脳し、「懐かしい匂い」を日本中に放つことで「黄金の20世紀」への逆戻りをたくらむ。また、「20世紀博」の建物の中に昭和風の町「夕日町銀座商店街」を作り上げており、その中の木造アパートの一室に住むとともに多くの人々を生活させていた。

これまでの『映画クレヨンしんちゃん』に登場した“世界征服を目指す悪党”と異なり、思想家、あるいは革命家の色合いが濃い。「現実の21世紀の放つ匂いは、俺には耐え難い悪臭だ」「今の日本に溢れているのは汚い金と燃えないゴミぐらいだ」などとケンが語っているように、彼らは現実の世界を憎悪、拒絶し、未来への夢と希望があふれていた20世紀に戻ろうとしていた(ただし、20世紀といっても正確には高度経済成長期から70年代の大阪万博を中心にした時代であり、彼らが幼少期、あるいは青春時代を過ごした時代であり、彼らによって美化された理想の過去にすぎない)。そのために周到な準備を行い、日本全国に30か所の支部がある組織を作り上げるなど、組織力とリーダーシップを発揮している。
本作の監督・脚本を務めた原恵一監督は「自分の過去、自分にとっての大事な時間が詰まったキャラクターだったので、いつものようにバカな悪役にできなくなってしまった」と振り返り、ケンとチャコについて「格闘技が強いわけでもないし、マッドサイエンティストでもない、思想的なリーダー」と表現した。
現実的な欲望ではなく「心」にこだわっているのも、彼らが思想家たるゆえんである。チャコは「外の人たちは、心が空っぽだから」と言い、それを受けてケンは「もう一度、やり直さなければいけない。日本人がこの街の住民たちのように、まだ心を持って生きていたあの頃まで戻って」と言う。彼らが求めているのは物ではなく、心である。一方、60年代末に発売された幻の名車・トヨタ2000GTなどの「物」にこだわり、「20世紀博」では物を使って大人たちを釣っていたりしたのは、彼らが愛する高度経済成長期が「消費の季節」の始まりだったからだろう。

なお、ケンとチャコの関係ははっきりしていない。みさえに「ご夫婦?」と問われたときは言下に否定した。ひろしは二人の暮らしぶりを見て「『同棲時代』って感じだね」と漏らしている。『同棲時代』は70年代前半に人気を博した上村一夫によるコミック。結婚や結婚を前提とした恋愛とは異なる新しいライフスタイルを提示して社会現象となった。
年齢差はありそうだが、二人は主従ではなく対等な関係にあるように見える。チャコのほうが激しい感情を見せる場合もあり、チャコの願望をかなえるためにケンが作戦を実行していたようにも感じる。ちなみに二人の名前の元ネタになったドラマ「ケンちゃんチャコちゃん」シリーズの主人公は兄妹であり、「イエスタデイ・ワンスモア」の元ネタである70年代の人気音楽グループ・カーペンターズの中心メンバーも兄妹である。

このように60年代、70年代の生活と文化を愛し、アンニュイな雰囲気を漂わせながらも実行力と統率力を備え、野原一家にもフェアにチャンスを与えるケンとチャコは、『映画クレヨンしんちゃん』を通じても類を見ない、存在感のある敵役となったのである。

【設定】ケン・チャコ<キャラクターデザイン:原勝徳>

設定:ケン&チャコ

 

<発売情報>

Blu-ray
2023年4月26日発売
税込価格:¥5,280
品番:BCXA-1794

関連記事:『しんちゃん通信』 映画作品ちょこっとレビュー第3回 “家族編”

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