ニュース | トップをねらえ2!

第9回「第二次カイパーベルト会戦」[トップをねらえ2!大百科]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

『トップをねらえ2!』の世界観を解説するコーナー「トップをねらえ2!大百科」がオープン。既にファンの方も初見の方も、これを読めばトップ!シリーズがもっと面白くなる、作中の世界観を深堀りする内容が満載! 第9回は「第二次カイパーベルト会戦」です。
※電撃ホビーマガジン2005年3月号から2006年7月号まで掲載された『トップをねらえ2!』の作品紹介「トップをねらえ2!大百科」を再掲したものです。

第3話で大戦闘が描かれた『トップをねらえ2!』。第4話では、どんなバトルが繰り広げられるのか?と期待が高まるところ。今回は伝説の一戦・第二次カイパーベルト会戦の概要とともに、大規模戦闘の状況をお送りします。

何匹倒せばトップがねらえる?

太陽系を脅かす宇宙怪獣と、それと戦うバスターマシンに乗るトップレス。両者は過酷で悲壮な戦いを繰り広げていた……などという状況に陥ることは実は少ない。前回の大百科で書かれている様に、宇宙怪獣は太陽系の最外縁部にある「赤い天の川」の中に潜み、時折数匹が太陽系内にやってくるだけなのであるのだから。


通常のトップレス撃墜スコアは50機前後。毎週1回の出撃で1匹撃破、年間4クール・52匹を撃破……だってスーパーロボットですから(笑)。

では帝都凍京で行われる宣誓式で宣言を読み上げる=宇宙怪獣撃破数のトップになるには、どのくらいの宇宙怪獣を倒せばいいのだろうか?例年通りのスコアでいうと、百体前後ということになる。意外に少ないと思うかもしれないが、これは年間でのスコア。日数で割ると、3日に一匹の宇宙怪獣を血祭りにしなければならないのだ。バニシング・エンジンをフル回転させれば、冥王星までひとっ飛び☆ という時代ではなく、軍の輸送船などを借りて数日かけて戦闘区域へ到着、という風に感覚的に太陽系が広くなってしまった『トップ2』の世界で、年間百体撃墜というスコアは、ずば抜けた実力と、宇宙怪獣とばったり出くわす強運(?)の持ち主でなくては手にすることができないのだ。まれにトップレス能力者の予知によって出撃することもあるが、1話でラルクがぼやいている通り的中率は高いとは言えないようである。撃墜数に差がつき始めると挽回するのは難しく、遮二無二になっても空回りしてしまう……というのが実情。

もっとも、現在のトップレスメンバーで撃墜数にこだわっていたのはチコぐらいのもので、あとのメンバーは宇宙怪獣との戦いを楽しんでいたり、逆にトップレス能力の消耗を恐れてあまり戦わないようにしていたり、もしくはまったく別の目的に向かって邁進していたりするのだが。

右も左も敵という大戦闘!

通常は少ない頭数で太陽系内へと侵入する宇宙怪獣たち。だが、時には大挙して、侵入してくる場合がある!宇宙を埋め尽くすが如く現れる大軍団。過去にもこんな危機は何度となく襲いかかってきたのだ。その都度、地球人類は一丸となって防衛を行い、時には攻勢に出るべく反攻作戦を展開したのである。宇宙空間にずらりと並べられた宇宙戦艦とバスターマシンたち。そこから放たれるのは灼熱の華を咲かせるビームに、すべてを粉砕するミサイルの嵐!通常行われる宇宙怪獣とバスターマシンの戦いからは想像も付かない、激しい戦(いくさ)が展開されるのだ。このような大兵力をつぎ込み、敵味方双方が対峙して行われる戦いは「会戦」と呼ばれる。古来よりこの会戦は敗北した軍隊を壊滅させ、ひいては戦争の行く末を決める可能性を持っているのだ。


第二次カイパーベルト会戦で帰投しなかったトラントロワ。近年、その機体の漂流が確認された!果たして人工知能は生きているのか?修復への期待が高まる。

さて、この『トップ2』の世界で近年行われたもっとも大きい会戦。それが20年前に行われた「第二次カイパーベルト会戦」である。この戦いにおいて、先に行動を起こしたのは宇宙怪獣側だったといわれている。ある日、推定5万を超える宇宙怪獣の集団が、陣形を整えて太陽系内に侵入を開始したのである。監視をしていた地球側は、すぐに迎撃態勢を整える。それは宇宙軍の第3軍、第6軍、第7軍と、バスターマシン14機を投入するというかつて無いほどの規模を誇る陣容だった。他にも稼働バスターマシンはいたのだが、他方面からの敵侵入に備えるため(陽動の可能性があったため)、全機投入は見送られた。

この戦いの舞台となったのは、冥王星軌道の外側。あまりにも広大な範囲に渡って、戦いが繰り広げられたため、海王星以遠の小惑星帯名称であるカイパーベルト(正式名称はエッジワース=カイパー・ベルト天体)の名が付けられることになった。一週間もの長期に渡ったこの戦闘は、侵入してきた宇宙怪獣のほとんどが撃破され、残存勢力も退去するという地球側の勝利で終わることになる。しかしその勝利は苦いものでもあった。参加した宇宙軍は甚大な損害を受けてしまったのだ。特に第6軍はほぼ半数の艦艇を失い、壊滅状態となっている。この後に第6軍は解体、残存した艦船や人員は他の軍に編入されたのだ。

もちろんトップレスにも大きな被害が出た。二機のバスターマシンが撃墜され、一機が未帰還となった。単純な金額の比較をすれば、トップレス部隊は宇宙軍の3倍もの被害を受けたことになる(人的損耗を除けば)。また被害は軍の損害だけ留まらない。この戦いの影響で、冥王星の開発基地も壊滅的な被害を受け、開発計画は頓挫。衛星カロンに無人宇宙港が残されたまま、20年経過した現在に至るも再開されていないのだ。第二次カイパーベルト会戦は、宇宙怪獣・人類の双方に大きな爪痕を残した悲惨な戦いとして記録されている。

生きながらにして伝説になった男

ここで語られなければならない人物がひとりいる。それが格闘型のバスターマシン・ディスヌフに乗り、数々の戦功を打ち立てた伝説のトップレス、カシオ・タカシロウである。現在はフラタニティのスタッフとして、年下のトップレスに遠慮しつつ、へいこら仕事をしている彼だが、トップレス時代は燦然と輝くトップスターだったのだ!

13才でトップレスとしてデビューすると同時に、いきなり年間最高スコアを記録。そのまま三年間連続でトップの座を維持している。性格はやんちゃで自信過剰。その分、行動力に富み、他のトップレスからも信頼を集めていたという。現在でいうならば、「ラルク以上の実力」と「ニコラ以上の人望」を兼ね備えているという感じだったとか。まさにスーパートップレス!! もっとも、大人に対してはすぐに噛みつく超反抗型で、宇宙軍やバスターマシン公社を相手にしょっちゅうもめ事を起こしたらしい。そのおかげで付いたあだ名は「暴れ馬」……いまはアンドロイドの入浴シーンをニタニタ眺める「種馬」だけど(笑)。

さて「最強」とか「伝説の」という名が残ってはいるが、実はカシオは戦史に残るような突出した記録を残しているわけではない。「3年間連続でトップ」というのも確かに達成しづらい記録だが、他にも例がないわけではない。それでいて彼の名が伝説となったのは、見た者の記憶に残る激しい戦いを繰り広げたからにほかならない。古参兵ディスヌフに颯爽と乗り込み、接近戦重視で敵陣に単身突撃、格闘技と砲撃のすべてを宇宙怪獣に容赦なくたたき込む姿は、敵ならず味方までもが恐怖したとまで言われている。もっともその激しい戦闘のせいでディスヌフの損傷修理も多く、ときには作戦中にリタイアという事態も多かったらしい。傷ついた敵を仲間のバスターマシンが止めを刺し、スコアを持って行かれたということもあるとか。

さて、そのカシオも第二次カイパーベルト会戦に参戦している。もちろん愛機ディスヌフに搭乗し、僚機としてトラントロワ(バスターマシン33号)を伴って第一次攻撃に参加したという。しかし、この会戦の最中に突然カシオはトップレス能力を喪失したと自己申告し、現役を引退してしまうこととなった……。なお僚機・トラントロワは第二次出撃以降も参戦、五日後に行われた、第6軍残存艦艇を冥王星フライバイ軌道へ脱出させる救出作戦に参加、未帰還となってしまった。こうしてカシオは2年半という、トップレスの中でも短い期間でアガリの日を迎えた。だが、彼は第二次カイパーベルト会戦を含む最後の半年間だけで、他のトップレスの追随を許さないほどの年間スコアを上げているのだ。激戦の中で、カシオは何を見たのだろうか。その答えは、彼が今なおもっとも前線に近いフラタニティでの仕事を選んでいるところにあるのかもしれない。


ティッシュの箱やゴミ、工具、雑誌が宙を舞い、万年床に積みプラモというカシオの部屋。とっても親近感が沸く風景……と思ってしまうのはダメ人間の証?


ハンドル握って、爆走準備! 規則違反や無茶無謀は、昔取った杵柄。トップレスたちにロートルといわれるトシになっても、カシオコーチは少年のココロを忘れていないのだ。

人類には止められない大軍団

第二次カイパーベルト会戦以降の20年間、平穏無事……日常的に侵入してくる宇宙怪獣の退治は別として……に過ごしてきた太陽系内の人類たち。その平穏はひとつの横暴を黙認していたからに他ならない。それこそが、第三話でバスターマシン軍団が立ち向った木星急行(51-β-706群)と呼ばれる宇宙怪獣の大暴走である。「赤い天の川」から飛び出した高機動型宇宙怪獣の群れは、木星付近をかすめるように楕円軌道を描いて飛び、再び「赤い天の川」へと戻っていく。その様相は圧巻の一言に尽きる。赤い天の川に黒いシミが現れたかと思うとあっという間に近づいてきて、逃げ遅れた宇宙船などがあれば飲み込み、砕き散らかしてしまうのだ。定期的に行われるこの木星急行の影響で、辺境部分から鉱物&資源を運ぶ航路は全面的にストップ。木星近辺の経済活動はマヒしてしまう。人間たちの困惑をあざ笑うかのように、宇宙怪獣の悠々と飛び回るだけなのである。戦術的な観点から見れば、威力偵察とか社会基盤の破壊という、人類の経済活動を邪魔する立派な戦法と言えるだろう。


サーペンタイン姉妹

この木星急行に人類側が手を出さなかった理由は、単純に大群だからである。さらにこちらから攻撃しない限り、木星急行は攻撃をしてこない。ヘタに攻撃をして人的・物質的存在を受けるぐらいなら、黙ってみていた方がマシ……という後ろ向きな考えなのだ。もし迎撃作戦に失敗したら、第二次カイパーベルト会戦以上の被害が出るかもしれない。最悪の場合、太陽圏航路の要である木星が破壊され、外惑星への航行が事実上不可能になってしまうかも……。そんな危険が予測される木星急行問題。何故それに、手をつけることになったのか?危険な作戦を行わせるほどに力を持つサーペンタインの双子とは?『トップ2』の中でサーペンタインの双子は、宇宙怪獣と同等の謎を秘めた存在なのかもしれない。

さて木星急行迎撃作戦は、第3話を見てもらえばわかるとおり、新鋭機キャトフヴァンディスの参戦によって大成功した。この時にキャトフヴァンディスの搭乗者となったチコの撃墜スコアは、現在映像資料などでの測定中とのこと(宇宙怪獣の遺骸は、航路確保のために早急に破壊&撤去されてしまったとか。中には隕石の欠片や、偽装した宇宙怪獣の抜け殻のようなものもあったという報告が上がっているらしい)。今後大きな作戦が無ければ、彼女が撃墜スコアのトップになることは間違いなく、次の宣誓式代表に選ばれるだろう。もっとも作戦終了後、チコはあれほどこだわっていた撃墜スコア争いに興味を失ったらしい。無茶をしなくなった彼女の姿に、コーチのカシオも胸をなで下ろしているとか。


いまはコーチとなったカシオにディスヌフはどんな感情を抱いているのか?傷つけられた恨み?それとも……。


撃墜数争いの呪縛から説かれ屈託のない笑みを浮かべるようになったチコ。耳飾りは雪だるまから回収済みです。

宇宙怪獣はなぜ総攻撃をしない?

太陽系外縁部の「赤い天の川」に大量に潜む宇宙怪獣たち。だが、そんな近くにいる宇宙怪獣に対して、人類は戦力不足から掃討作戦に出ることが出来ない。対抗策のバスターマシンは、キャトフヴァンディスを含めても31機のみ。宇宙軍が持つ戦力では、まったく相手にならないという状況にある。いわば、宇宙怪獣が一斉に攻め込んできたら、人類は「あ」というコトもできずに滅ぼされてしまうはず。では、なぜ彼らは攻め込んでこないのだろう。さらに言えば、彼らはなぜ再び太陽系に現れたのだろうか?現在のところ、その部分はまったく不明である。実は前作の『トップをねらえ!』でも、宇宙怪獣の侵攻目的は明確になっていない。ただ地球人類側の見解として、いくつかの推測が出されている。ここに代表的な意見を三つ上げてみよう。

推測1
恒星に寄生して繁殖する宇宙怪獣は、若くエネルギーにあふれる太陽を狙っている(リーフ64の状況を見たタシロ艦長の意見)。

推測2
宇宙怪獣は宇宙の安定を守る免疫体なので、宇宙を汚す地球人類を駆逐するために現れた(『トップをねらえ!』第4話冒頭、エクセリオン内での学者の意見)。

推測3
宇宙怪獣は知性を持っており、ワープ技術を持った人類を恐れて侵略してきた(『トップをねらえ! NeXT GENERATION』説・縮体炉技術を封印する論拠とされた)

以上3つの説が出ている訳だが、どれも確証に欠ける。なにしろ宇宙怪獣と会話することができず、知性があるかどうかの確認すらも出来ないからだ。謎は解けないままに、宇宙怪獣との戦いはひとまずの終わりを迎えたのである。

それでは今回の宇宙怪獣は、この三つの目的のどれかで来ているのだろう? まず1の「繁殖説」。これは速攻で却下である。繁殖目的で来ているのならば、すぐさま太陽を手に入れるために地球に総攻撃を仕掛けているだろう。それに「赤い天の川」内から次々と出ているところをみると、恒星を喰わずとも繁殖できるようである。他の恒星系から補充が来ている可能性も あるが、その場合ならワープアウト跡の観測が海王星の衛星・トリトンに設置されたレーダーサイトでキャッチされるはずである。次の2であるが、免疫体なら速攻で人類は滅ぼされている だろう。3の説も同じこと。かつて宇宙怪獣を窮地に追い込んだ人類。衰退しつつあるとはいえ、見逃すとは思えない。では、彼らはなぜ戻ってきたのか?宇宙怪獣はなんのために生まれて、なんの目的で動くのか。本能?それとも……。その謎に宇宙怪獣は答えてくれない。宇宙怪獣と話が出来る能力を持ったトップレスでも現れない限り答えは永遠に出ず、人類は戦い続ける運命にあるのかもしれない。


キャトフヴァンディス (ブリスターパック 梱包時)

 

<発売情報>

トップをねらえ! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1836


トップをねらえ2! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1837

 

▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
https://v-storage.jp/gunbuster/

続きを読む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

© Bandai Namco Filmworks Inc. All Rights Reserved.