ニュースココだけ | 劇場版 カードキャプターさくら
この世に災いをもたらすという「クロウカード」を回収すべく「カードキャプター」として奮闘する、さくらこと木之本桜の活躍を描く、CLAMP原作漫画『カードキャプターさくら』劇場作品第1弾『劇場版 カードキャプターさくら』(1999年8月公開)。
劇場公開25周年を記念して、2024年8月9日(金)より『劇場版 カードキャプターさくら』と『CLOVER』の再上映も決定している。
見どころはセル画で描かれた舞台・香港の景色、
そして豪華なゲストキャラクター
近所の商店街の福引で特賞の香港旅行を当てたさくらは、冬休みを利用して兄の桃矢、親友の知世、憧れの雪兎、“封印の獣”ケルベロスことケロと一緒に初めての海外旅行へ出かける。大はしゃぎのさくらだったが、香港で彼女を待っていたのは夢で見た女魔導士。同級生・李小狼の故郷、香港を舞台にさくらと不思議な女魔導士との戦いの行方は……。
本作の見どころは舞台となる香港の景色、劇場版ならではのゲストキャラクターの豪華さ、そしてシリーズを追っている人にとってはさくらの恋心や名前の呼び方など、変化する先を知っているからこそ“キュン”とするポイントも盛り込まれている。さくらのかわいらしい姿や、見ごたえたっぷりのアクションも堪能できる。その中でもちょっぴり切ないエッセンスが加えられているのもポイントだ。
セル画で描かれた美しい香港。現地で遭遇するさくらの同級生で小狼の従妹・苺鈴のガイドっぷりも見事で、作品を観ている途中から「聖地巡礼したい!」という気持ちが湧き上がってくる。セントラルプラザやスターフェリー、ピークトラムなどの観光スポットや、ラダーストリートなどのショッピングスポット、飲茶レストランに美しい夜景が堪能できるビクトリアピークなど、押さえておきたいスポットが続々登場。看板や道路標識、ビル、ビニール屋根のお店など、香港のリアルが感じられて(行ったことがある人なら特にそう思うはず!)、リサーチの気合いも伝わってくる。ネオン輝く空を飛びまわるさくらの姿に“めっちゃ贅沢な観光!”と思う人も多いかも。さくらのバトルコスチュームにも当時の香港テイストが入っていて、現地の人以外の香港ファッション(中華風?)も楽しめる。
ゲストキャラクターも超豪華。まずはさくらの夢の中に現れた女魔導士。本名は明かされていない。クロウカードを作り出した稀代の魔術師クロウ・リードとの間になにやら因縁がある模様。彼女の声を担当したのは林原めぐみ。敵キャラという立ち位置ながら、クロウへの美しくて切なくて、そして強すぎる想いには、さくらでなくても寄り添ってしまうかも。夢に出てきた鳥を街中で発見し、追いかけた先で里帰りをしていた小狼と再会したさくらは、彼の実家に招かれる。そこで出会ったのが小狼の母親・李夜蘭。クロウ・リードの母方の血縁であり、自身も強い魔力を持つ彼女は、初対面にも関わらず、さくらがクロウカードを所持していることを一瞬で見抜いてしまう。演じるのは井上喜久子。小狼からは「母上」と呼ばれており、威厳のある母親という印象だが、さくらに助言をするなど優しい一面を見せる。映画ではさくらの頬に口づけをするシーンも登場。その瞬間のさくらの表情はもちろん、小狼、知世の反応、少し離れた場所に見える桃矢と雪兎にくっついて離れない小狼のテンション高めな4人の姉、芙蝶(CV:山口由里子)、雪花(CV:芝原チヤコ)、黄蓮(CV:涌澤利香)、緋梅(CV:菅原祥子)も要チェックだ。小狼の綺麗なお姉さんに「かっこいい!」と飛びつかれ、ベッタリと寄り添われても平然としている桃矢と雪兎の姿は小さいけれど、なんともじわるワンシーン。このおかしさのバランスに『カードキャプターさくら』らしさを感じるはず!
ラストでちょっと大人になったさくらが感じられる本作。敵キャラにも寄り添う優しさを持つさくらの“想い”が滲むシーンも注目ポイント。劇場公開時に話題になった「大好きな人がいなくなるのはつらいよね」のセリフは胸を打つ。このセリフ以降、エンディング(主題歌「遠いこの街で」の歌詞もしっかり噛み締めたい)まではさくらの成長や小さな決意を感じグッとくる。知世の優しさも見られる素敵な終わり方になっていて、映画ならではの余韻を堪能できる。知世の優しいセリフも心に沁みる。さくらが雪兎に恋している時期なので、船のシーンで雪兎を見つめる表情には切なさを感じ、桜の花の形の髪飾りを買ってもらうシーンとのギャップも楽しみたい。この時点では、さくらと小狼はお互いを下の名前で呼んでおらず苗字で呼んでいて、シリーズを追っている人には懐かしさを感じるポイントかも。また、「矢」のカードの捕獲シーンや、小狼が所持する「嵐」のカードを使用する場面など劇場版で初お目見えとなるシーンは必見だ。
カードキャプターとしての運命と向き合い、恋のときめきや揺らぎの中で成長していくさくらの姿を、美しい香港の景色と共に、8月9日より開始する劇場上映で見届けてみてはいかがだろうか。
文:タナカシノブ