インタビューココだけ | 映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記
『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』 佐々木 忍(監督) × 小林由美子(野原しんのすけ役) スペシャルインタビュー
劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズの第31作目にして、シリーズ歴代最高となる26.9億円の興行収入を記録した『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』がDVD&ブルーレイで発売! 今回はTVシリーズの演出を手がけ、『映画クレヨンしんちゃん』初監督を務めた佐々木忍監督と、ご存知“嵐を呼ぶ5歳児”野原しんのすけ役の小林由美子さんのスペシャル対談を敢行。『しんちゃん』愛にあふれるお二人のお話をたっぷり伺った。
10年越しの思いが実った初監督
――『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』、大ヒットおめでとうございます! 昨夏はさまざまな恐竜イベントが開催されて「恐竜ブーム」が来ていましたが、本作も大きな後押しになっていましたね。
小林うんうんうん。
佐々木そんな感じはちょっとしましたね!
――佐々木監督が『映画クレヨンしんちゃん』を監督されるのは初めてですが、どのような経緯があったのでしょう?
佐々木毎年、とある忘年会で『しんちゃん』のプロデューサーさんと一緒になるのですが、「いつか『しんちゃん』の監督をやりたいのでお願いします」と営業をかけていまして(笑)。今回、ご縁とタイミングも合い、監督として参加をする事になりました!
――いつ頃から営業をかけていたんですか?
佐々木『バカうまっ! B級グルメサバイバル‼』(2013年)に演出で参加した後ですから、2015年ぐらいでしょうか。10年越しということになりますね(笑)。
小林えーっ!
佐々木ずっと監督をやりたい!と思っていましたので。
――10年越しの思いが実ったわけですね。正式に決まったときのお気持ちは?
佐々木だまされてるんじゃないかな?って(笑)。本当に作画インするまでは、「いやいや、そんなまさか」という気持ちでした。
ナナを助けに来たスピノサウルスのシーンで涙腺崩壊!
――今回の恐竜というテーマは、どのように決まったのでしょう?
佐々木プロデューサーから提案がありました。恐竜は子どもたちに人気なので、これはいいんじゃないかと。僕はテーマ曲だった「オラはにんきもの」の「しょうらい楽しみだ」という歌詞がすごく好きで、映画を作るなら「将来・未来」を盛り込みたいと思っていたんです。「古代・過去」のものである「恐竜」はテーマにリンクするんじゃないかと思いました。あと、恐竜は作画が大変すぎてテレビでは扱えないテーマなので、やらせていただけるならぜひ映画でやってみたかったですね。
――小林さんは恐竜というテーマをどう感じましたか?
小林『しんちゃん』、夏、恐竜! 子どもたちの好きなものが全部詰まっているので、タイトルだけで絶対面白い!と思いました。本当に恐竜って子どもたちも大好きですし、大人たちも大好きですし、ロマンがすごいですよね。台本を読む前からワクワクしていました。
――完成した作品は、恐竜のインパクトが抜群でした。ご覧になっていかがでしたか?
小林まず、プロデューサーさんから恐竜が全部手描きと聞いて、「えっ、全部手描きですか?」と言ってしまいました。絵に関しては素人の私でも「嘘でしょ!?」と思うぐらい、とんでもないことだな、と思います。恐竜たちが画面いっぱいに動いている迫力とか、細かい演出とか、手描きじゃなきゃできないものなんですよね。その上、最新の恐竜に関する研究も反映しているんです。これは子どもたちも興奮しますし、恐竜好きの大人たちも唸るんじゃないかと感じました。
――物語のカギになる恐竜のナナはいかがでしたか?
小林可愛い! 一瞬、垣間見える凶暴性も描きつつ、本当に可愛い。そりゃ、みんなナナのぬいぐるみが欲しいって殺到しますよね(笑)。本能のまま凶暴化してしまうこともありますが、ただただ純粋で本当にまっさらで何にも染められていないキャラクターだと思いました。
佐々木恐竜がテーマになる中で、野原家と仲良くなる存在が欲しいと思って設定しました。ペットではあるのですが、ナナとシロとの友情や、ナナにケガさせられたときのしんのすけの姿など、ペットを超えた関係を見せたいと思っていました。
小林あのシーンは、しんのすけめ!このこの!って感じでしたね(笑)。
佐々木しんのすけを信じるひろしもカッコ良かったですね。
――小林さんが印象に残った恐竜のシーンを教えて下さい。
小林ナナがピンチのとき、それを察知したスピノサウルスがやってきて、オドロキーと対決する場面が、本当に涙なくしては見られませんでした! ここが一番泣きましたね。このスピノサウルスはロボットなのですが、オドロキー親子のつながりより、本来は無機質なロボットのほうが愛情深かったり、温かったりするシーンが胸に迫って、涙腺が崩壊してしまいました。しかも、このスピノサウルスがめちゃくちゃカッコいいんです!
佐々木キャラクターデザインの神戸さんがこだわってくれたからこそ、すごく迫力が出たシーンでしたね。
小林鬼気迫るシーンでしたね。ここだけでも、この映画を観る価値があるシーンだと思います!
“圧倒的弟感”を表現した北村匠海さん
――ゲストキャラのビリーはどのように着想されましたか?
佐々木まずは恐竜を生み出した人物が必要ということで、科学者キャラのビリーが生まれました。北村匠海さんを起用したいという構想が早い段階からあったのと、神戸さんから上がってきたキャラクターがカッコよかったので、これは北村さんに演じてもらいたいなぁ、という思いもありまして、リクエストしました。
小林ビリーは圧倒的弟感がありますよね(笑)。科学者だけど、いろいろなところが未熟で成長過程の子だと思います。ナナに対する思いも最初は自分本位のところがあって、彼がナナのことをしっかり考えられるようになるのはきっとこれからだったんだろうな、と思いました。彼にとって、ナナとの出会いが大きな成長の分岐点になっていくんだろうなという感じがします。物語も、彼が成長して終わるのではなく、これからきっといろいろなことを学んで成長していくんだろうな、あとは観ているみなさんの想像に委ねます、という終わり方だったと感じました。
――ビリーを演じた北村匠海さんはいかがでしたでしょう?
佐々木北村さんは以前からいろいろな作品に出演されている姿を観ていますし、アニメ映画でも声優も務められていて、全作品を拝見しましたが、どれも本当に上手かったので「ビリーを演じるならこの人だ!」とかなり初期段階から思っていました。実際にアフレコで演じていただいて、「一流芸能人のカッコ良さは尋常じゃないな……」と思いました(笑)。すごく勉強熱心で、ちゃんと作品の内容を理解した上で本番に挑んでいただけたのも嬉しかったですし、こちらが出した要求にすぐ対応できてしまう器用さもあって、「すごいな!」と思いました。
小林毎回、ゲスト俳優さんは本当にお上手だなと思うんですけど、今回もやっぱり素晴らしい俳優さんは声優をやっても上手いんだな、とあらためて感じました。ビリーの圧倒的な弟感を声だけで表現されていましたし、なにより『しんちゃん』愛にあふれていらっしゃって(編集部注:北村さんは『クレヨンしんちゃん』の大ファン)。ビリーはああいうキャラクターですが、TVシリーズに出てきても準レギュラーぐらいになれるんじゃないかと思うぐらいの『しんちゃん』の世界への溶け込み方がすごかったです。素晴らしかったですね。
奇跡の「イェーイ」に耳を澄ましてほしい
――ゲストとしてオズワルドの伊藤俊介さんがマッドサイエンティストのアンモナー伊藤、畠中悠さんが三葉虫部隊のチュウを演じています。
佐々木『しんちゃん』の映画は芸人さんにゲスト出演をお願いする機会も多くありまして、監督をさせていただくことが決まってからは、お笑い番組をチェックするようになりました。演技力があって、キャラクターデザインのモチーフにもなりそうで、漫才もちゃんと面白い方を探し続けて、オズワルドさんに行き着いた感じです。
――伊藤さんはお上手でしたが、畠中さんは味がありましたね。
小林ぜひDVDを購入していただいて、耳を澄まして聴いていただきたいのですが、畠中さんの第一声の「イェーイ」は、私たち声優には二度と出せない「イェーイ」なんです(笑)。畠中さんがあのときにしか出せない、貴重な「イェーイ」なので、ぜひ耳を澄まして聴いてください!
佐々木あれは奇跡でしたね。
――ゲストといえば、今回は酢乙女あいや黒磯、埼玉紅さそり隊など、TVシリーズのレギュラーや準レギュラーのキャラクターが大量に登場していました。これはどのような思いがあったのでしょう?
佐々木TVシリーズも観ている人が映画を観て思わず「ニヤリ」と楽しめるようにしたかったんです。作っている側もTVシリーズのキャラクターにも愛着があります。本当はもっと出したかったのですが(笑)。
小林アナウンサーの団羅座也は、いつもTVシリーズや過去の映画版にも出てくださっているのですが、今回も出演していて安心しました(笑)。あとは地獄のセールスレディこと売間久里代さんが大好きなので、ちゃんと商品を紹介しているのが嬉しかったですね。
――売間久里代も埼玉紅さそり隊も、何度も登場してストーリーにしっかり絡んでくるのに驚きました。
佐々木出すんだったら、ちゃんと出してあげたかったので、最後はみんなで協力して戦うのが熱いと思ったんですよね。
小林あいちゃんが映画にしっかり登場するのも珍しくて、嬉しかったですね。まさか、このままカスカベ防衛隊と一緒に活躍するの?って。
佐々木僕はまたずれ荘の四郎が大好きで、脚本の上では出せなかったんですけど、好きという気持ちだけで絵コンテに描いてしまいました(笑)。優しいところが好きなんですよ。
悩みに悩んだラストシーン
――ナナとの別れ・・・。
佐々木あれはものすごく悩みました。制作陣全員、すごく悩んだ結果です。本来、恐竜がいないのが現実の世界ですよね。だから、日常に戻さなければいけないという思いもあって……(ため息)。未来への選択肢はいろいろあったのですが、最終的にああいう形を選んでしまいました。ショックを受けた方には申し訳なく思うのですが……。生きていればいろいろ悲しいことはあるけど、きっと将来は楽しいよ、というメッセージを込めました。
小林しんのすけはナナとの別れの後、表面上はいつもと同じように明るくしていると思うのですが、ずっと根っこには抱えているんだろうなと思っています。『クレヨンしんちゃん』はずっと続いていて、アニメの中でしんのすけは5歳から大きくはなりませんが、映画などで別れを経験したとき、ずっと5歳のしんのすけの中の時間がちゃんと動き出すような気がしています。ナナとの別れも、彼の中でずっと心の中で動き続けている感情の一つだと思います。
――冒頭でひろしが将来への不安をこぼすのと、「未来は楽しいよ」というメッセージも対比してますね。佐々木監督が子どもたちに伝えたいことをあらためて教えてください。
佐々木ここ数年、本当に思うんですけど、自分が子どもの頃に観ていた作品がリバイバルされたり、復活したりするニュースが多かったりするので、いろいろあるだろうけど、長生きすると楽しいことがまたやってくるんだよ、と伝えたいですね(笑)。
小林大事! 大事!
――劇中でモーニング娘。の「LOVEマシーン」が流れますが、この曲でも未来の明るさや楽しさが歌われていますね。
佐々木もともとは別の曲を提案されていたのですが、自分の中で何か違うとひっかかっていて、ずっと考えていたんです。で、ある朝、パッと「『LOVEマシーン』がいい!」と下りてきまして(笑)。すぐにプロデューサーにメールしたんです。
小林突然のひらめきだったんですね!
佐々木昔から聴いていた曲で、踊りも楽しいし、みんなも知っているし、何より歌詞が明るいですよね。「日本の未来はwow wow wow wow」って今回の映画のための歌詞じゃないか!と思ったんです。ぜひ、このシーンも楽しんで観てください!
プロデューサー恐竜がマシーンというところとも、かけてあるんですよね(笑)。
小林なるほど! マジだ! そんなところにネタバレが隠れていたとは!(笑)。
――では、最後にファンにメッセージをお願いします。
小林大画面で観る『恐竜日記』のすごさもありますが、テレビサイズでじっくり観る『恐竜日記』もまた違った良さがあると思います。ぜひ推し恐竜を見つけてください。何よりもナナの真っ白さ、純粋さに心打たれてもらいたいと思います。
佐々木2024年の渋谷の景色を閉じ込めているので、1年後、2年後、もしくは10年後に観たら「あったなぁ……」と思っていただけるかもしれません(笑)。この映画が、みなさんの心に残る作品となってくれたら、とても嬉しいです!!
PROFILE
佐々木忍(ささき しのぶ)
演出家、監督。『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』の演出を手がける。シリーズでは本作が初監督作品。
PROFILE
小林由美子(こばやし ゆみこ)
1979年生まれ。千葉県出身。代表作は『デュエル・マスターズ』切札勝舞役・切札勝太役・切札ハム勝太役・切札ジョー役、『怪盗ジョーカー』ハチ役、『クレヨンしんちゃん』(野原しんのすけ〈2代目〉)など。
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©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024