実録! スタッフ&キャストインタビュー【第1回 シリーズ構成 鈴木智尋】 [実録! ワンパンマン]
12月21日にBlu-ray BOX & DVD BOXが発売、来春には第2期の放送も決定しているTVアニメ『ワンパンマン』。そのシリーズ構成を担当している鈴木智尋さんに、第1期の制作エピソードを振り返っていただきつつ、TVアニメ『ワンパンマン』の見どころ、さらには、第2期についてのお話など幅広く伺った。
サイタマの強さを際立たせつつ、意外性のあるストーリー展開を成功させている稀有な作品だと思います。
──第1期の制作はいかがでしたか?
僕にとってはじめてシリーズ構成を担当した作品でしたから、最初は重圧がすごく大きかったです。しかも原作が『ワンパンマン』。とにかく力のある面白い作品で、どうやって脚本に落とし込んでいこうかと、武者震いするほどでした。しかし、いざスタッフのみなさんと顔合わせをして制作を進めていくと、原作のONE先生、村田雄介先生をはじめ、スタッフの夏目真悟監督、キャラクターデザイン・総作画監督の久保田誓さんらには同世代のスタッフも多くて、打ち合わせも意見交換もとにかく楽しかったことばかり思い出しますね。
──当時、原作の魅力はどのようにお感じになったのでしょう?
力強さ、でしょうか。サイタマという絶対に一撃で終わらせるという強烈なキャラクターがいて、彼が物語全体を牽引していき、しかも普通には終わらせないというところに、ものすごい力強さを感じました。本来であれば、主役が一撃で終わらせるわけですから、物語としては広げようが無いはずなのに、ストーリーがどんどん広がりを見せる面白さも魅力だと感じました。
アクション作品って、主人公たちが“アクションをするための動機”を積み上げていって、爆発させる展開を考えるものなのですが、『ワンパンマン』では“アクションをさせない動機”づくりが、サイタマの強さを際立たせつつ、意外性のあるストーリー展開を成功させている稀有な作品だと思います。
──アニメ化する上でのご苦労はありましたか?
いかに原作の力強さをアニメに落とし込むことができるかを考えるのがとにかく楽しくて、シナリオを制作する上で苦労はほとんどなかったんですよ(笑)。夏目監督はじめ、村田先生やONE先生とも活況な意見交換が出来たことで、打ち合わせで飛び出した面白いアイデアをどんどん投入していくというスタンスで参加できたのが印象的です。
最終話に特別なエンディングを用意しようというのも打ち合わせを重ねる中で自然と出てきたアイデアですね。
──アニメ化する上で工夫された点は?
最初の段階から夏目監督と決めていたのは第1話の冒頭シーンでは一人で戦いに出たサイタマが、最終話のCパート最終シーンでは、ジェノスと二人で戦いに出る、という場面です。その過程をワンクールかけて、しっかりと描いていこうということをまず決めたんです。
また第7話のディザスタームービーのようなはじまり方など、映画的な見せ方はアニメ化にあたって盛り込んだ要素です。オープニングは戦いの中での格好良さや熱さを表現して、エンディングでは余韻を残す観終わり感にするというのも映画らしさを意識した点です。そうした意味では、最終話に特別なエンディングを用意しようというのも打ち合わせを重ねる中で自然と出てきたアイデアですね。
──12月21日にBlu-ray BOX & DVD BOXが発売されます。今あらためて『ワンパンマン』の見どころをぜひ教えてください。
アクションシーンは本当にどのシーンも見せ場です。まず第1話のBパートでいきなり度肝を抜くアクションシーンが観られます。ある種の最終回のような見どころでもあります(笑)。 第5話、サイタマとジェノスとの手合わせのシーンは何度観ても圧巻の格好良さです。村田雄介先生の原作では、すごく動きのあるアクションシーンでしたから、スタッフ一同も「原作を超えるシーンに!」という強い意気込みのもとで制作されたシーンでしたが、村田先生にも納得いただけたアクションシーンになったのではないでしょうか。
個人的に好きなのは第9話、無免ライダーと深海王との対峙シーンです。名場面として挙げる方もたくさんいらっしゃると思うのですが、あの格好良さはなかなか出すことのできない名場面です。無免ライダー役・中村悠一さんの凄みのあるお芝居は、アフレコブースが静まり返るほどの緊張感で、すごい集中力の中だったことも忘れられないシーンになりました。
──第2期では、引き続きシリーズ構成をご担当されます。制作現場の雰囲気はいかがでしょう
櫻井親良監督はじめスタッフさんたちとも活況な意見交換をさせていただきながら制作しています。すでにいい雰囲気の醸成されているとても楽しい現場ですね。シナリオに関しては今回も原作のONE先生、村田先生にシナリオをチェックして頂いて、意見交換しながら書かせていただいています。
──では最後に、第2期で楽しみにしている点をお聞かせください!
第1期で掘り下げられなかったキャラクターたちがいよいよ活躍します。毎回アクションシーンが見どころとなってくるのはもちろんですが、アンチヒーローでもあるガロウや、スイリューをはじめとした新キャラクターが群像劇のように動き出します。いろいろな思惑が交錯するさまがアニメとしてどう表現されていくのか、僕自身も楽しみにしてます。
PROFILE
鈴木智尋(すずき ともひろ)
脚本家。アニメ作品では『TIGER & BUNNY』で脚本を担当したほか、『ルパン三世』(2015年~16年放送 脚本)、『ACCA13区監察課』、『ブギーポップは笑わない』(シリーズ構成・脚本)など。『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』では自身初となるオリジナル作品のシリーズ構成・脚本を手がける。
<Blu-ray&DVD情報>
ワンパンマン Blu-ray BOX/DVD BOX
2018年12月21日発売!!
Blu-ray BOX 15,000円(税抜) DVD BOX 8,000円(税抜)
発売・販売:バンダイナムコアーツ
TVアニメ「ワンパンマン」公式サイト
©ONE・村田雄介/集英社・ヒーロー協会本部