インタビュー ココだけ | ブラック★ロックシューター
2022.3.31 UP
TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』 石川由依(エンプレス役)×早見沙織(デッドマスター役)×潘めぐみ(ストレングス役) スペシャルインタビュー
2007年に1枚のイラストから始動し、アニメ、コミックス、ゲームとマルチメディア展開へと発展し話題を呼んだ『ブラック★ロックシューター』。誕生から15年が経過し、新たな映像化プロジェクトとして始動した『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』が4月3日より地上波TVアニメ放送がスタート、動画配信サービス・ディズニープラスでの見放題独占配信がスタートする。今回は、メインキャラクターを演じる、石川由依さん、早見沙織さん、潘めぐみさんの3人に本作の魅力と見どころを語ってもらった。
──本作『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』(以下、『ブラック★★ロックシューターDF』)の作品に対する印象をお聞かせください。
石川 今回の作品は、近未来というか、荒廃した世界で人類が絶望の危機にある中、ヘーミテオスユニットという、元々少女だった子たちがサイボーグ化されて、世界を守るために戦っているという世界観で、個人的にめちゃめちゃ好みです。最初に、本作の世界観を描いたイメージボードを見せていただいたんですが、それが素晴らしくて、絵を見ているだけでゾクゾクワクワクしました。元々、オリジナルの『ブラック★ロックシューター』という作品は、1枚の絵からインスピレーションを受けて、色々な方が映像や物語を紡ぐことでアニメ化やゲーム化がされた作品なんですよね。今まで『ブラック★ロックシューター』を愛してくださった方も、これから知ってくださる方もどちらにも楽しんでいただけるものになっているのではないかと思っています。
潘 第1話は、アバンで荒廃した世界が映し出されて、その後に作品の舞台が「西暦2062年」と画面に出るんです。「アレ? そんなに遠くない未来だ」と思う年代なんですよね。パラレルとして近い将来の話を描いているとは思うんですが、「もしかしたら、こういう未来の話もあるかもしれない」と思える、決して遠くもなく、近くもない、だけど想像できる世界観だという風に感じました。また、人類とAI=人工知能が戦うというところでも、ありえるかもしれない世界観なのかなとも思いました。そこも、そんなに遠い未来という気がしなくて、近い未来の話なのかなという印象を持ちましたね。
早見 第1話は冒頭から映画みたいなんですよね。一気に引き込まれて、「これからこの世界はどうなっちゃうんだろう?」と思うような映像が、最初の1分から展開されて、のめり込むようなドキドキ感から始まるんです。「こんなことが起こるはずはない」と思うような状況ながらも、街並や建っているビル、荒野の風景などの映像があまりにリアルなので、「本当にこういう場所があるんじゃないか?」とか「本当に2062年になったらこうなっちゃうんじゃないの?」と不思議とゾクゾクドキドキしてしまうようなリアルさがある世界だなと思いました。
──それぞれが演じられているキャラクターの魅力、そしてその魅力をどのように演じられようと思われましたか?
石川 私の演じるエンプレスは、ヘーミテオスユニットの生き残りでリーダーだったキャラクターです。第1話の時点では完全に記憶を失っていて、自分のことも何もわからない状態から、夢に見るなどして現れた自分の記憶にある場所に行こうとする形で物語はスタートします。最初は本当に記憶が無いので、わりとボーっとしているような感じがあって、何も知らないからこそ他の人と会話が食い違ったりもして、そこが可愛らしくて、ちょっと笑ってしまうところもあります。でも、誰かが危機に陥った時や、戦わなければならない時、守らなければならない時には「なぜかわからないけど守りたい」という意思の強さを見せるというのが彼女の魅力だと思います。
潘 ストレングスは、名前の如く強さが魅力ですね。本当に好戦的な役柄ですけど、実は二面性があって、人格がふたりいるような感覚がどこかにあります。なぜそうなってしまったのかも後々明かされていくんですが、その記憶はエンプレスと同様に曖昧で、確かなものは自分でもわからない。でも、エンプレスのことだけは覚えていて、デッドマスターのこともおぼろげに覚えている。彼女たちが敵か味方かわからないけど、おぼろげに覚えているという繋がりや漠然とした記憶を持っていて、「過去に何かあったんじゃないか?」という、前世というか、見えない繋がりを感じている子だなと思いますね。それから、好戦的ではあるものの、ただの脳筋ではないところも特徴です。好戦的なキャラクターは、知的さよりも強さをアピールするキャラクターが多いと思いますが、彼女の場合は意外と知性がある。好戦さと知性という相反するものが混在しているバランスを、ブレずにどう演じていくかという部分は、ちょっとチャレンジ的ではありましたね。力の押し通しではなく、賢くもあるという、賢くもあるという役どころでもありますけど、その二面性については今後楽しみにしていただきたいところです。
早見 デッドマスターもヘーミテオスユニットの生き残りのひとりなのですが、いろいろあって情緒がかなり不安定なところがある女の子なんです。序盤は謎が残る感じで出てくるのですが、話が進むにつれて、彼女の中にある「芯」というものが、全てエンプレスにあるというのが見えてくると思います。エンプレスに対して、恐ろしいまでの偏愛を抱えていて、彼女のことになるとスイッチが入ってしまうという、熱すぎるくらい熱い気持ちを持っている女の子なんです。生活してきた環境や自分が持っている素養もあると思うのですが、スイッチがパチっと入ると、一連のセリフの中でも態度がまったく変わってしまうところがありますね。話している相手の回答が自分の求めているものと違っていたり、気に入らないようなことを言うと、さっきまでは語尾にハートマークがついているような感じで喋っていたのに、一気に態度が変わってしまう。そういった、ちょっと狂気めいたところも持っているようなキャラクターです。
──それぞれが演じられているキャラクターの魅力、そしてその魅力をどのように演じられようと思われましたか?
早見 デッドマスターに関しては、あまり細かい指示はなく、まずは1度掛け合いをしてみて、そこから少しずつ修正箇所を教えていただいて作り上げていきました。デッドマスターは「静」も「動」も結構幅が広く、どこで態度を切り替えてもある種「デッドマスターだから」というところで成立して伝わるところがあるので、一度やってみて「やり過ぎです」と言われたら変えればいいという感じでした。
潘 ストレングスは、オーディションの時に演じたものが大きく正解なのだろうなというところがありました。オーディションでOKが出た一定の基準があったので、収録のテスト時にはその延長線上でやってみたところ、自分の中でリミッターのようなものが無くなってしまって。テストでも特にディレクションがなかったので、「やっていいんだ」と。とにかく出し切っていいキャラクターだと思って、通常のギガントアームズが付いている時のストレングスはそういう形でやっていこうかなと思いました。収録後に監督からも「あのまま、もっとやっても大丈夫ですので」と言われたので、気が付けばどんどんエスカレートしていった感じはありますね。
早見 収録の時はすごかったですよね。ずっと現場で叫び続けているような感じで。
潘 朝の現場だったんですが、ずっとエネルギーを発散できて楽しかったです。暴言もたくさん吐いて。二面性のもう片方に関しては、通常が「動」であるとすると、「静」になってくるんですが、そこはもう、それまでの彼女とは正反対の方向性だと思ってやらせてもらいました。彼女がエンプレスに出会った時は、今のストレングスではない、二面性のもう片方のストレングスであって、その時はそれこそ、エンプレスの裾でも引っ張っていないと不安なくらいのか弱い女の子なんです。力押しの姿では出せない寂しさや愛情に飢えている部分、誰かを慕う気持ちというのを、もう片方の部分で出していこうかと思っています。どちらにせよ、デッドマスターも同様に、ストレングスも情緒が不安定なんです。多分、3人全員を足して、そこから引いていくとより人らしくなるんでしょうね。そういう不完全さにおいて、ストレングスであれば、怒りとか快楽とかで成立しているものの反対の要素に寂しさなどの感情があるのかなと思って演じました。
石川 本当にお二人は振り切ったようなキャラクターなので、それに比べるとエンプレスはわりとフラットですね。潘ちゃんが、「みんなを足していくとひとりの人間になる」と言っていましたが、確かにほかの2人の感情が激しい分、エンプレスは感情が欠如しているようなところがあります。だからこそ、基本的には安定しているし、音響監督からディレクションされるとしたら、「力を抜いて」ということが多かったです。戦う前に力を入れるような雰囲気を出すと「もっと力を抜いて大丈夫です」と言われるので、記憶を失っているということもあって、割と常にフラットな気持ちで演じていました。
──皆さんは、世代も近くて共演作も多く、それぞれ気心も知れている間柄だと思います。現在は感染対策のために、スタジオ収録も制限が多いですが、今回は一緒に収録することはできたのでしょうか?
早見 何回かはできましたね。
石川 エンプレスは劇中でいろんな人と絡みがあるので、登場するいろんな方と収録させていただきました。それでも、多分2、3回くらいは3人で収録することができました。
──一緒に演じてみた感想はいかがでしたか?
石川 最初の収録は、私はお二人とは一緒じゃなかったんです。だから、ストレングスとデッドマスターがどういう風に来るのか期待していました。台本を読む限りだと、両方ともわりと振り切ったキャラクターという印象があったので、きっとこのお二人なら凄いものを見せてくれるだろうなと、アフレコに行くまで楽しみでしたね。実際に聞いてみると、本当に気持ち良くなるくらい、お二人が狂気的だったり、暴力的だったりするキャラクターに合った演技をガツンとしてくれたので、こちらは「カロリーが低くてスミマセン」って気持ちになりました(笑)。
潘 いやいや、そんなことはないから(笑)。
早見 それはキャラクターの違いなので(笑)。
石川 いずれにせよ、お二人はすごく難しいキャラクターを演じているなというのは見て感じたところではありますね。
潘 二人とは、何度も現場で一緒になっているし、掛け合いもやったことがある近しい存在なんですよね。『ブラック★★ロックシューターDF』は、世界観は殺伐として絶望的な状況を描いた作品なんですが、演じた後に2人が同じスタジオにいるとフラットに戻れる感じがしました。作品の世界観に引きずり込まれなくて済む安心感というか。本当に2人を信頼していますし。今回は、役柄がみんなアブノーマルなので(笑)。演じた後に素に戻りやすい環境だったのは良かったです。演技にしても、それぞれハッとさせられるところもたくさんあって、すごく頼もしかったです。行動を共にして一緒に戦ったり、探索するシーンにおいても心強いし、2人が一緒だと安心感があるなと思って演じていましたね。
早見 私も「安心感がある」と絶対に言おうと思っていたら、先にそのワードが出ちゃいましたね(笑)。やっぱりそう思っていたんだなと。私にとってお二人の存在が、横にいると安心するところがあって。今回は三人組的な関係性ということもあり、そこに入ることができて良かったです。最初からすごく心地良い収録でした。
石川 わたしも仲間がお二人で嬉しかったよ。
早見 本当に嬉しかったです。作品の内容は、少しエッジが効いていますし、デッドマスターを演じる時は、変な手汗をかくというか、自律神経が少しブレる感じがあって。謎の冷や汗をかいたり、心臓がバクバクするような感じがあっても、録り終えて椅子に座ると二人がいて、なんてことない会話をするとすごくホッとする。本当に安心できるメンバーだなと思いました。
──作品を観てみた感想をお聞かせください。
石川 さっき最初に早見ちゃんが言っていたように、本当に映画が始まったような感じでしたね。第1話から先の展開が気になって仕方がなくなるようなあの雰囲気は、きっと皆さんも心を鷲づかみにされるんじゃないかと思いますし、作画の方も本当に細かくてすごい気合いを感じました。台本を見ながら第1話の映像を観させていただいたんですが、本当に止めて見ないと気付かないようなイラストなども差し込まれていて、背景に映っているものなども気になる感じです。本当に、何度でも見て欲しいですし、それこそ一時停止とかして止めて見て欲しいと思うくらい気合いを感じる第1話でした。音楽も壮大で、グッと引き込まれる1話になっていると思います。
潘 色で表現される質感や錆び付いた感じ、触ったらボロっといっちゃいそうな表現、温かさとか冷たさとか、匂いまで感じそうなくらい、絵が作り込まれているのに驚きました。こんなダイナミックな作品なのに、描かれているのは繊細で。その世界観の描き込みは、キャラクターも相まってレンジの広さや深さも素敵だと思います。音も、砕ける音や穿つ音なんかもすごくて、あれで撃たれたら声が漏れてしまうようなリアルさがすごくありました。本当に第1話で引き込んでいくんだなと。設定などは本当に細かくあるんですが、それを映像で観るだけで世界感が入ってくるような、言葉ではなかなか言い表せない感じもあるので、ぜひ観て欲しいですね。
早見 最初にも言いましたが、風景の映像が実写のようなんですよね。「もしかしたら、このような瓦礫が積もった風景が世界のどこかにあるんじゃないか」と妄想してしまうほど、映像がリアルだなというのがありました。でも、その中でも道に落ちている人形とか、ちょっと不気味な映像や、ゾワっとするような演出もあったりする。荒廃した世界にすごく異質なものが挟まってくるのが、作品に引き込まれる要素のひとつになっていると思います。そういう意味では、美しさと不気味さという、相反する感情に包まれながら、でも気になってどんどん続きを観てしまう作品になっていると思いましたね。
──では最後に、今後の見どころを含めてファンにメッセージをお願いします。
早見 第1話からグッと世界に引き込まれる作品になっていると思いますので、皆さんも仰っていましたが、1分1秒を見逃すことなく見届けていただけると嬉しいです。デッドマスター的には、今後様々な面が見えてきますし、彼女がなぜエンプレスを愛しているのかについても見えてくるかもしれませんので、この先も楽しみにしていてください。
潘 物語は絶望から始まります。なので、本当に荒廃した世界で、絶望的な状況で、どうやって圧倒的に数が少ないエンプレスたちが世界を救っていくのかというのが見どころになると思います。何だかわからないけど救わないといけない、戦わなければいけないという予感というか、使命感みたいなものというか、生まれながらに持っている感覚ってあると思うんですがそうした思いも大切に描いていてくださっていると思います。素晴らしい映像と音楽、そしてお芝居が組み合わさって描かれるストーリーの「真」なる部分をぜひ注目していただければと。そして、ストレングスに関しては、二面性の部分が注目です。なぜ、そんな人格が生まれたのかも物語の肝になってくると思うので、ぜひ楽しみにしていてください。
石川 第1話の時点ではまだまだ謎めいていて、エンプレス自身も記憶を失っていたりと、わからないことだらけで物語は始まります。その世界で、いろんな人物たちとの出会いや別れを通して、荒廃した世界観がグッと叩き付けられることになり、時には哀しい状況も描かれていきます。そんな中で、彼女たちが平和のために、人類のためにどう戦っていくか? 仲間を通してどんな気持ちが生まれていくかなど、とても心に残る作品になっているかと思います。『ブラック★★ロックシューター』の新たな物語として、再びたくさんの方に愛されるよう心を込めて演じさせていただきましたので、ぜひ観ていただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
PROFILE
石川由依(いしかわ ゆい)
5月30日生まれ。兵庫県出身。主な出演作に『進撃の巨人』ミカサ・アッカーマン役、『ガンダムビルドファイターズ』コウサカ・チナ役、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ヴァイオレット・エヴァーガーデン役、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』一ノ瀬みのり/キュアパパイア役、『聲の形』佐原みよこ役などがある。
PROFILE
早見沙織(はやみ さおり)
5月29日生まれ。東京都出身。主な出演作に『魔法科高校の劣等生』司波深雪役、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』新垣あやせ役、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』鶴見知利子役、『賭ケグルイ』蛇喰夢子役、『鬼滅の刃』胡蝶しのぶ役、『ガンダムビルドダイバーズ』アイラ・ユルキアイネン役、『魔法つかいプリキュア!』花海ことは/キュアフェリーチェ役などがある。
PROFILE
潘めぐみ(はん めぐみ)
6月3日生まれ。東京都出身。主な出演作に『HUNTER×HUNTER』ゴン=フリークス役、『ハピネスチャージプリキュア!』白雪ひめ/キュアプリンセス役、『DEVILMAN Crybaby』牧村美樹役、『ULTRAMAN』北斗星司役、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』セイラ・マス役、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』十六夜九衛門役、『ウルトラマンジード』ペガッサ星人ペガ役などがある。
<放送情報>
TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』
4月3日(日)より放送開始!
▼TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』公式サイト
https://blackrockshooter-dawnfall.com/
▼TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』公式Twitter
©B★RS/ブラック★★ロックシューター DAWN FALL製作委員会