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【映画クレヨンしんちゃんなんでも図鑑】第29回「レモン」[しんちゃん通信]

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1993年に上映が始まった『映画クレヨンしんちゃん』は、今年30周年! これまでDVDでのみ発売されてきた旧作映画19作品のブルーレイ化プロジェクトが2022年12月から約1年間をかけてスタートし、2023年12月で、最終月を迎えました。「映画クレヨンしんちゃんなんでも図鑑」第29回は、映画クレヨンしんちゃん 第19作『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 黄金のスパイ大作戦』(ブルーレイ12月22日発売)から、「レモン」を紹介!
※紹介文には本編のネタバレを含みます。

【映画クレヨンしんちゃん 第19作】
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 黄金のスパイ大作戦

レモン

国際的な陰謀に巻き込まれたしんのすけがスパイとして活躍する本作で、しんのすけの前に突然現れてスパイの道へと誘ったのが、少女スパイのスノモノ・レモンだ。まだ7歳の女の子だが、スパイとしては一流の能力を持ち、サポート担当の家政婦・イツハラとともに母国を離れて活動している。

レモンの両親はスカシペスタン共和国の支配者ナーラオとヨースルに忠誠を誓っており、レモンにへーデルナ王国のヘガデル博士が開発した膨大な量の屁を出させる物質「メガヘガデルⅡ」を奪取することを命じていた(『クレヨンしんちゃん』の常とはいえ、よくここまでネーミングを考えつくものだと感心してしまう)。そのためのカギがしんのすけであり、レモンはニセアクション仮面を使ってしんのすけを「アクションスパイ」に仕立て上げて、へーデルナ王国へと潜入する。

いつもクールに任務を遂行するレモンだが、嘘をついてスパイをさせているしんのすけには少し後ろめたさを感じていたようだ。一方で、両親の命令は絶対であり、特に厳しい母・ライムの言うことはどんな無茶な命令でも忠実に守っている。母親に褒められたいと思うのは子どもの常であり、そういう意味では大人びているレモンも普通の子どもだということだろう。

しかし、任務を通じて年の近いしんのすけと友情が芽生えかけていたレモンは、捕らえられてメガヘガデルⅡの実験台にされていた野原一家を助けるため、ついに国家に対して反逆する。国家への反逆は、両親への反逆でもある。

増井壮一監督は本作について「親に対する子の反抗」というテーマを考えていたという。幼児や子どもだって「イヤなものはイヤだ」と主張すればいい。それを誰よりも強く主張しているのがしんのすけである(その前にしんのすけはひろしの制止を振り切ってレモンを助けに行く)。レモンはしんのすけと親しくなることで、そんなことを肌で感じ取っていたのかもしれない。レモンが母親に「私たちは正義のコンビよ!」とタンカを切り、「黙りなさい!」と怒り狂う母親に「やだ!」と言い放つ場面は胸が熱くなる。これがレモンにとって生まれて初めての反抗だった。

歪んだ親子関係が影を落としているゲストキャラクターは、本作の後も『バカうまっ!B級グルメサバイバル‼』のグルメッポーイ、『爆睡!ユメミーワールド大突撃』の貫庭玉サキ(彼女の場合は不幸な行き違いだが)、『襲来!!宇宙人シリリ』のシリリと続いていく。『映画クレヨンしんちゃん』は世の中の写し鏡になっていることがよくわかる。

事件が解決後の別れ際、レモンはしんのすけにそっと誰にも明かしていなかった本名を耳打ちする。車の中で、しんのすけは胸に手をあてて、少し涙目になっていたようだ。これは淡い恋心というよりも、絆で結ばれた友達との別れを惜しんでいるのだろう。しんのすけがサヨナラの挨拶に選んだのは、かつて二人で一緒に披露した「ケツだけ星人」だった。

出典:DVDライナーノート



 

<発売情報>

Blu-ray
2023年12月22日発売
税込価格:¥5,280
品番:BCXA-1804

関連記事:『しんちゃん通信』 映画作品ちょこっとレビュー第2回 “アクション編”

映画クレヨンしんちゃん 公式サイト

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