レポート | ストレンヂア 無皇刃譚

『ストレンヂア -無皇刃譚-』15周年記念・舞台挨拶付き初DCP上映会レポート

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『鋼の錬金術師』『僕のヒーローアカデミア』など人気作品を数多く手掛けるアニメーションスタジオ・ボンズ(BONES)による、日本刀アクションの金字塔とも呼べる完全オリジナル時代劇アニメーション『ストレンヂア -無皇刃譚-』(以下『ストレンヂア』)。本作の15周年記念、そしてEMOTION40周年を記念して、舞台挨拶付き初DCP上映会が、2023年9月18日(月・祝)、新宿ピカデリーにて開催された。上映後に行われた舞台挨拶には、監督の安藤真裕さん、作画の中村豊さん、プロデューサーの南雅彦さん(ボンズ)が登壇。当日は満員御礼となり、ここでしか聞けない貴重なトークが繰り広げられた。

本編の上映後、大きな拍手に迎えられてゲスト3名が登場し、司会を務めるプロデューサーの西川さん(バンダイナムコフィルムワークス)の進行のもと、トークショーがスタート。本作を劇場で初めて観たという観客が全体の1/3程度いるとわかり、今なお新規ファンを増やし続けていることにゲストから感嘆の声が出た。

15周年を振り返って、安藤監督は「公開後も、こうして劇場で上映してもらえる映画はなかなかないので、このような機会を頂けて、新規のお客さんにも観てもらえて、本当に幸せです」とコメント。公開当時はフィルム上映で、10周年記念上映の際はBlu-rayを上映していたため、今回のDCP(デジタルシネマパッケージ)上映は一層特別に感じるとのこと。作画の中村さんは「公式から15周年記念上映会が開催されると思っていなかったので、嬉しいです。本当にありがとうございます」と笑顔でコメント。司会の西川さんから、中村さんがよく「#ストレンヂアはいいぞ」をつけてSNSに投稿していることに触れると、「いい作品ですからね!」と力強く答えていた。南プロデューサーは「大きいスクリーンで観てもらうために作った作品なので、15年を経てもこうして上映頂けるのは本当に嬉しいです」と喜びを語った。

その後、話は企画当時にさかのぼり、南プロデューサーは『鋼の錬金術師』の大ヒットが資金の面で制作の後押しになったと振り返った。脚本を髙山文彦さんに依頼した経緯について、安藤監督は「それまで髙山さんとはしっかり組んで仕事をしたことはなかったのですが、知り合いのプロデューサーから、安藤さんと髙山さんはきっと合いますよ、と話があったのを覚えていたので、お願いしました」と語った。

本作の区分を決めるにあたって、南プロデューサーは当時シナリオの冒頭でまず映倫から「この矢はどこに刺さっているのか」などの確認があったことを語り、シナリオで引っ掛かったのは初めてだったと明かした。その後も作品の完成前のチェックで「このシーンとこのシーンは<R18+>になる」など色々とアドバイスを受けて、なんとか<PG12>にしたとのこと。安藤監督も「勉強になりました、本当に」と苦労を滲ませた。

本作が安藤監督のデビュー作にあたることについて、「この作品でやりたいことを全部やれたおかげで、それ以降も色々な作品に携わってきましたが、フラットな目線で監督できた気がします」とコメント。監督として携わったことについて「15年経った今の方が感謝しています」と語り、「少しずつご恩を返せたらと思っています」と南プロデューサーの方を向いて語った。また、「名刺のように作った作品ですが、今まで一度も『ストレンヂア』のような作品を作ってほしいと言われたことがない」と話して笑いを誘った。

中村さんは、もともと安藤監督をアニメーターとしてリスペクトしており、「監督作品に携われただけで嬉しかった」と語った一方、「クライマックスのシーンを担当することになり、重圧がありました」と当時の心境を振り返った。安藤監督との打ち合わせでは意見がぶつかることもあったようで、「羅狼(らろう)が飛びすぎ」という監督に、中村さんは「僕はエンターテイナーなので飛ばしたいです」と言って、最終的に100mほど飛ぶはずのシーンを70mに抑えたエピソードを明かして、ファンを驚かせた。

他にも、主人公・名無しの声優を務めた長瀬智也さんが、本上映会の告知をしてくれたことや、南プロデューサーと安藤監督が海外の映画祭で各国を回った話などが飛び出し、思い出話に花が咲いた。本作は海外での評価も高く、実現しなかったが、中国で実写化の話もあったそう。

お気に入りのシーンについて、安藤監督は、名無しと仔太郎が二人並んで立ち小便をするシーンを挙げ、「もう少し長いシーンでも良かったと観るたびに思います。食事のシーンと同じで、二人の絆が深まったところなので」と語った。南プロデューサーは「中村さんがいるので言うわけではないですが…」と前置きした上で、「終盤で羅狼が名無しに渡そうとした薬を足で割るシーン」を挙げた。すると中村さんから「あそこは僕ではないです」と返しがあり、会場から笑いが起こった。中村さんは「ところどころ出てくる所作やロードムービー的なところが好きですが、ちょっと選べないです」と難しそうな表情を見せた。また、公開から15年経つ今でも「本当にヒットしてほしいと思う」と語り、最近では『刀剣乱舞』の人気を見て『ストレンヂア』もそろそろ来るんじゃないか…と思っているとのこと。南プロデューサーも、初めて公開するという形で本作を今、上映したら大ヒットになるんじゃないかと冗談交じりに語り、会場から温かい拍手が沸いた。

トークショーも盛り上がってきたところで、9月1日に誕生日を迎えた安藤監督に誕生日サプライズが行われた。飛丸が描かれた誕生日ケーキがプレゼントされ、ゲスト3人に記念の花束が贈られた。「本当に幸せです」と喜ぶ安藤監督を見て、中村さんが「安藤監督が今年の誕生日はあまり祝われてないと言っていたので…」と言うと、途端に会場からは一段と大きな拍手が贈られ、幸せな雰囲気に包まれた。

記念撮影の後、南プロデューサーは「この作品を作るのは本当に大変でしたが、この作品から始まった日本のアクションアニメーションの表現というものがあったのではと思います。応援して頂いてありがたいです。20周年でも、また皆さんとお会いできたらと思います。本日はありがとうございました」。中村さんは「20周年があると聞いて安心しました。今日はありがとうございました!」。安藤監督は「映画館で上映されるものとして作ったので、今日という特別な日に上映できて嬉しいです。映画は映画館でかかっていると、生き延びている感じがしますね。フィルムもまだ残っているので、フィルム上映もできます。今日は皆さんに来て頂いて感無量です。ありがとうございました!」とファンへ感謝を述べた。

その後、中村さんの長年の夢だった、観客と作品のキャッチコピーである「運命に、斬り込め」を使ったコール&レスポンスを行うことに。安藤監督の「運命に」の呼び掛けに客席から「斬り込め」と大きなレスポンスが響き、会場は万雷の拍手に包まれた。多くのファンに愛され続ける不朽の名作『ストレンヂア』の15周年記念・舞台挨拶付き初DCP上映会は、次の20周年への期待を残して、大盛況のうちに幕を閉じた。

<Blu-ray発売情報>

ストレンヂア -無皇刃譚-【廉価版】
好評発売中
¥5,280(税込)

<配信情報>

ストレンヂア -無皇刃譚-
バンダイチャンネル他にて配信中!

『ストレンヂア -無皇刃譚-』Information Site

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